5) 上皮小体機能異常症、アルドステロン症、アジソン病の概説


上皮小体(副甲状腺)機能異常症とは、副甲状腺の機能が亢進したり低下したりすることによる症状の総称です。副甲状腺ホルモンは、パラトルモンと呼ばれます。


副甲状腺機能亢進症では、血中パラトルモンが増加します。その結果、高 Ca 血症、低 P 血症などが引き起こされます。副甲状腺機能亢進症は、女性の方が多いという特徴があります。又、原発性と続発性に分類されます。最も多いのは、原発性の中でも副甲状腺の腺腫によるものです。(約85%)高Ca血症により、情緒不安定、記憶障害、傾眠といった精神症状や、便秘などの消化器症状、尿路の結石などが症状として現れます。


治療薬としては利尿薬やステロイド、エチニルエストラジオールなどが用いられます。又、食事中の Ca を極力低下するといった栄養療法も行われます。


副甲状腺機能低下症では、血中パラトルモンが減少します。この結果、低 Ca 血症、高 P 血症などが引き起こされます。性差は少し女性の方が多いのですが、機能亢進症ほどは偏りがありません。原発性と続発性に分類され、続発性の方が多いです。低Ca血症により、口の周りや、指末端のしびれやけいれん、不安感などの神経症状などが症状として現れます。


治療薬としては、活性型ビタミン D3 製剤や Ca 製剤が用いられます。



アルドステロン症とは、何らかの原因によりアルドステロンが過剰に産生されることです。過剰のアルドステロンは、腎尿細管に作用することで、Na蓄積とK喪失を引き起こします。つまり、尿が出なくなる方向に過剰に調節されるということです。ちなみに、アルドステロンが過剰生成されると、フィードバック効果により、レニンは低い値となるという特徴があります。


アルドステロン症は、原発性、特発性、続発性に分類されます。原発性がもっとも多く、約85%を占めます。


単なる高血圧も含めた鑑別のために副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)負荷試験が行われます。これはACTHを投与して、アルドステロンを測定する検査です。原発性アルドステロン症であれば、アルドステロン値が上昇ます。一方、特発性アルドステロン症や高血圧症では、アルドステロンはわずかしか上昇しません。


症状としては、高血圧と低K血症が引き起こされます。治療は原則手術ですが、手術不能な場合は、スピロノラクトンなどが用いられます。関連する疾患として、偽アルドステロン症があります。多くの漢方処方に用いられる生薬である甘草に、グリチルリチンという成分が含まれています。グリチルリチンを長期使用することにより、糖質コルチコイドが増加し、アルドステロン受容体に作用することで、あたかも過剰のアルドステロンが存在する時と同様の症状が引き起こされることが知られています。



アジソン病とは、副腎皮質機能の低下により、副腎ホルモンが不足する病気です。鉱質コルチコイド(アルドステロン)、糖質コルチコイド(コルチゾール)、男性ホルモン低下により低血圧、易感染性、脱毛といった症状が現れます。


尿中17-OHCS(hydroxycorticosteroid)という特徴的な検査が行われます。17-OHCSは、糖質コルチコイドの最終代謝物です。この値がアジソン病では低い値になります。


治療には、糖質コルチコイドと鉱質コルチコイドの両者の作用を持つヒドロコルチゾン補充療法が行われます。この服用は一生涯続くものであることを十分説明する必要があります。




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