2) 免疫反応を用いた分析法



ある物質を分析、測定したい時に、その物質に関する抗原抗体反応を利用するのが、免疫反応を用いた分析法です。免疫学的分析法(イムノアッセイ)と呼ばれます。標識のついた抗原又は抗体を、抗原抗体反応により分析・定量します。特異性が高く、微量物質でも検出できます。ホルモンの定量や、ウイルス感染有無の検査などに用いられます。イムノアッセイの原理は大きく2つあります。競合法非競合法です。


競合法とは、例えるなら椅子の数が決まっている椅子取りゲームです。椅子(抗体のたとえ です。)を10個と、椅子に座れるゼッケン付きの人が10人 始めにいるとします。(人は抗原のたとえ。ゼッケンは標識のたとえ です。)この状態で椅子取りゲームをすると、ゼッケン付きの人10人が、10個の椅子に座ります。

ここで、何人かよくわからないけど、椅子取りゲームに混ざってきたとします。仮に、10人 混ざってきたとしましょう。※ 新しくゲームに参加する人には、ゼッケンがありません。すると、実力に差がないなら、今度はゲーム後に椅子に座っている人を見ると「ゼッケン付きが5人」になるはずです。

そして、新しく混ざってきた人の数が10人と知らなかったとしても、このゲームの結果だけ見れば「もともとゼッケン付きの10人が、みんな椅子に座れるゲームが5人しか座れていない。→新しく10人が混ざってきたのだろう」と、計算、推測できます。

このように、まず準備として始めに「一定量の標識した物質」及び「一定量の抗体」を準備します。そして、測定対象物質と、標識した物質を抗体に対して競合させます。最後に、抗体と結合した抗原のみを取り出しシグナル強度を測定することで、測定対象の物質の量を測るという方法が競合法と呼ばれます。


一方、抗原が抗体にくっつける場所が複数ある場合(エピトープを有する場合)に用いられるのが、非競合法(サンドイッチ法)です。まず、固体表面に抗体(抗体1)をずらっと並べて、抗原と反応させます。抗原にはまだ抗体とくっつける場所が残っています。そこで、標識抗体(抗体2)を添加することで、抗体1ー抗原ー抗体2 という複合体を作り、標識物質の量をもとに定量する、という方法です。代表例が、タンパク質検出法の1つである、ウエスタンブロット法です。


ここまであっさりと「標識をつける」と書いてきましたが、標識は大きく4つに分類されます。放射性標識、酵素標識、蛍光標識、発光標識です。放射性標識に用いられる核種の代表例は、3H、14C、125I、131I などです。これらの核種は、半減期が長い、入手が容易、安価であるといった利点があり、用いられています。他の標識に用いられる代表的な化学物質はそれぞれ、アルカリホスファターゼ、フルオレセインイソチオシアネート、ルミノールです。


また、イムノアッセイでは、抗原抗体複合体(結合型:B)と、抗体と結合していない抗原(遊離型:F)が混在します。BとF を分類するかしないかで大きく「均一法(B/F 分離なし)」と、「不均一法(B/F 分離あり)」という分類があります。




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