4) 電気泳動法



電気泳動とは、電極の間に荷電粒子や分子を入れて電圧をかけると、荷電粒子や分子が移動する現象のことです。荷電粒子や分子の電荷、分子量、形などにより、固有の移動速度があります。物質の分離に用いられる手法です。

電気泳動の基本原理として、正の電荷を有する成分は陰極へ、負の電荷を有する成分は正極へと移動するという原理があります。又、移動速度に関しては、以下の式で表される関係が知られています。
具体的な電気泳動法は、大きく3つに分類されます。
1つめは、電荷に依存して分離する電気泳動法で、代表例は等電点電気泳動です。
2つめは、分離対象の大きさに依存して分離する電気泳動法で、代表例はゲル電気泳動です。
3つめは、毛細管を用いた電気泳動法で、キャピラリー電気泳動法です。


等電点電気泳動とは、陽極槽に酸、陰極槽に塩基を用意して電圧を加えることで pH 勾配を作ることにより、溶質を等電点のところへと泳動させる電気泳動法です。


ゲル電気泳動法とは、支持体としてゲルを用いた電気泳動法です。支持体とは、サンプルを通すもののことで、アガロースゲルや、SDS-ポリアクリルアミド(SDSという界面活性剤の一種を加えた、ポリアクリルアミドのこと。SDSを加えることにより、試料タンパク質の形をほどき、又、負電荷を一様に分布させることにより、完全に分子量依存で(形に依存しない)分離を行うことを可能にする支持体です。)

アガロースゲルによる電気泳動は、主に核酸の分離に用いられます。
核酸は分子量の違いにより分離され、その後、エチジウムブロマイドといった色素による染色で検出します。(エチジウムブロマイドを先に加えておいたゲルを用いて電気泳動を行うこともよくあります。

この場合、アガロースを冷やして固める前に、エチジウムブロマイドを加えて混ぜておきます。エチジウムブロマイドは、平面構造を持った分子で、核酸に挿入(インターカレーション)する形で結合します。エチジウムブロマイドは二重結合を多く持っており、UV(紫外線)によって蛍光を発するため、検出が可能になります。)


キャピラリー電気泳動法は、細い管の中で電気泳動を行うため、物質の拡散を抑えることができ、高い分離能を実現しています。又、1回の測定に用いる試料が微量でよいという長所があります。

キャピラリーは、フューズドシリカ(溶融石英) 製 キャピラリー が用いられます。キャピラリー内部の緩衝液の pH が 3 以上になると、Si-OH 基が解離し、表面が負に帯電します。これにより、溶液中の正電荷が表面に集まります。

この状態で両極に電圧をかけると、キャピラリー壁面に集まった陽イオンが陰極に引き寄せられ、それに伴ってキャピラリー内の電解質溶液全体が陽極から陰極に向かう、強い流れが生じます。この現象を電気浸透といいます。又、その流れを電気浸透流と呼びます。電気浸透流は、栓流と呼ばれる、均一で平面的な流れを実現します。そのため、分離がとてもきれいに行われるという特徴があります。





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