3) 赤外・ラマン分光スペクトル



赤外吸収スペクトルは、赤外領域の光の吸収を測定したものです。先程までの節の紫外吸収や蛍光分析との大きな違いとして、分子の「振動状態の変化」に伴う光の吸収であるということです。※先程までの節で扱っていた紫外吸収や蛍光分析では「電子の遷移」により光の吸収や発光が見られていました。

赤外吸収スペクトルは、横軸を波数、縦軸を透過率または吸光度とすることが一般的です。このスペクトルによって、特に分子の官能基に関する情報を得ることができます。具体的には、波数 3600 ~ 3200 の幅広い吸収=OH基、1700 付近 = カルボニル基などが知られています。さらに、1500cm-1 以下の領域は、様々な吸収が重なり合い、分子固有の複雑なスペクトルが現れます。そのため、化合物の同定に用いられることがあります。この領域は特に指紋領域と呼ばれます。

装置の光源には、グローバ灯がよく用いられます。

赤外吸収スペクトルは、試料が固体、液体、気体のいずれであっても、適した調整法で測定可能であるという特徴があげられます。固体の測定は、臭化カリウム錠剤法 or 塩化カリウム錠剤法を用いることで測定ができます・結晶多形の確認などに用いられます。


ラマン分光スペクトルとは、一定波長の可視光線を入社し、散乱光を測定したスペクトルです。入射光と異なる振動数の散乱光のことをラマン散乱と呼びます。(ちなみに、同じ振動数の散乱光は、レイリー散乱)。

ラマン散乱光は、更に2つに分類されます。入射光よりもエネルギーが小さい(振動数も小さい)散乱光は、ストークス散乱光と呼びます。大きいものは反ストークス散乱光と呼ばれます。そして、入射光の振動数からのずれを「ラマンシフト」と呼びます。ラマン散乱が観測されるためには、分子の振動によって「分極率」が変化する必要がある、という点が重要なポイントとなります。




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