問110
図は、腎臓のネフロンの概略を示している。 健常人の腎臓における体液調節に関与する部位ア~オについての記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.アは、主に腎臓の髄質部に局在している。 2.イでは、炭酸脱水酵素が関与してHCO3-が原尿中に分泌される。 3.ウでは、管腔内の水が受動的に再吸収される。 4.エでは、Na+とCl-が管腔内から間質液中へ輸送される。 5.オに分布するNa+/K+交換系は、アルドステロンにより抑制される。
正解 (3)、(4)
選択肢 1 ですが アは、腎小体です。 主に腎臓の皮質部に局在します。 髄質部では、ありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが イは、近位尿細管です。 近位尿細管では、炭酸脱水酵素が関与して 原尿中に H+ が原尿中に分泌されます。 HCO3-では、ありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。
※アセタゾラミドのような 炭酸脱水酵素「阻害」薬により 尿がアルカリに傾く ということから
炭酸脱水酵素の関与により 原尿中に分泌されているのは H+ と 推測すればよいと考えられます。
選択肢 3,4 は、正しい記述です。 それぞれウはヘンレのループ、エは遠位尿細管についての記述です。
選択肢 5 ですが アルドステロンの作用は Na+/K+ 交換系による Na+再吸収の「促進」です。 抑制ではありません。 よって、選択肢 5 は誤りです。
(ちなみに Na+再吸収をたくさんすれば 尿は減ります。
「抗」アルドステロン薬が 利尿薬として用いられる点から 推測できる内容と考えられます。)
以上より、正解は 2,3 です。
参考 生化(1)1-8 1) |