国試103回 解説11~15



11

 

図は、ヒトの心臓の断面と心臓に出入りする血管を示す。

15のうち、肺動脈はどれか。1つ選べ。なお、矢印は血液の流れを示す。

 

 

 

正解 (4)

 

心臓の機能は

血液を送り出すポンプとしての機能です。

 

心臓は上下、左右の4室からなります。

上を心房、下を心室と呼びます。

 

 

血液が

心臓のどこから入り、どう出ていくか

大雑把なイメージは以下のようになります。

 

 

血液は全身から右心房へと

「大静脈」を通って戻ってきます。

 

次に右心房→右心室へと流れます。

この時、血液の逆流を防ぐために

右心房と右心室の間には

三尖弁と呼ばれる弁がついています。

 

右心室の血液は

「肺動脈」を通って肺に送られます。

肺では血液中の酸素と二酸化炭素の交換が行われ

酸素が豊富な血液となります。

 

肺から戻ってきた血液は、「肺静脈」を通り

左心房へと流れ込みます。

 

次に左心房→左心室へと流れます。

この時、やはり血液の逆流を防ぐために

左心房と左心室の間には僧帽弁と呼ばれる弁がついています。

 

左心室の血液は「大動脈」を通って全身へと送られます。

全身に酸素を供給した血液は

大静脈から右心房へと戻ってくることで血液の循環が行われます。

 

 

従って、肺動脈とは

右心室から出ている血管となります。

 

以上より、正解は 4 です。

 

 

参考 生化(1)1-5 1)

 


 

12

 

コレステロールの構造はどれか。1つ選べ。

 

 

 

正解 (1)

 

選択肢 1 は、正しい記述です。

これがコレステロールの構造です。

 

 

選択肢 2 ですが

これはトリプトファンの構造です。

必須アミノ酸の一つです。

 

 

選択肢 3 ですが

二糖類と見えれば、明らかに

コレステロールではないと考えることが

できると思われます。

ラクトースの構造です。

 

 

選択肢 4 ですが

リン脂質であると見えれば、明らかに

コレステロールではないと考えることが

できます。

 

脂肪酸の部分が共にパルミチン酸なので

ジパルミトイルホスファチジルコリンの構造です。

 

 

選択肢 5 ですが

プリン塩基の一種で、グアニンです。

 

 

 

以上より、正解は 1 です。

 


 

13

 

図はヒト染色体を表す。矢印の部分(黒色)に存在する構造の名称はどれか。1つ選べ。

 

 

1.動原体

2.テロメア

3.核小体

4.セントロメア

5.紡錘糸

 

 

正解 (2)

 

染色体末端構造は、テロメアと呼ばれます。

繰り返し塩基配列が実体です。

細胞分裂の際、短くなります。

 

 

選択肢 1,4,5 ですが

動原体とは、セントロメアとも呼ばれ

「中心」の粒状の部分です。

細胞分裂時、紡錘糸が結合する部分です。

(より正確には、中心部分がセントロメアで

細胞分裂時、動原体が形成される か。)

 

紡錘糸は

染色体に結合する繊維状の構造のことです。

 

 

どれも、染色体の末端構造の名前ではありません。

よって、選択肢 1,4,5 は誤りです。

 

 

選択肢 3 ですが

核小体とは、核における分子密度の高い領域です。

核の模式図を書く時、中に小さなホクロのような点が

よく書かれています。そのホクロのような部分です。

 

染色体の部分構造の名前では、ありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。

 

 

 

以上より、正解は 2 です。

 


 

14

 

T細胞が分化・成熟する一次リンパ器官はどれか。1つ選べ。

 

1.リンパ節

2.胸腺

3.脾臓

4.副腎

5.骨髄

 

 

正解 (2)

 

T細胞は

白血球の中でもリンパ球由来の細胞です。

 

T thymus(胸腺) の略です。

T細胞は、胸腺で成熟します。

 

ちなみにリンパ組織は、その機能により

1次リンパ組織、2次リンパ組織に分類されます。

 

代表的1次リンパ組織は

骨髄及び胸腺です。

胸腺は心臓の上あたりにのっかっています。

1次リンパ組織では

リンパ球が産生されます。

 

代表的2次リンパ組織は

リンパ節及び脾臓です。

2次リンパ組織では

免疫応答が行われます。

 

 

以上より、正解は 2 です。

 

 

参考 生化(1)1-5 3)

類題 99-12)

 


 

15

 

ヘリコバクター・ピロリが、アンモニアを産生する際に関与する主な酵素はどれか。1つ選べ。

 

1.アルギナーゼ

2.ウレアーゼ

3.グルタミナーゼ

4.クレアチンキナーゼ

5.デアミナーゼ

 

 

正解 (2)

 

ピロリ菌は

胃内で生存することができます。

 

胃内での生存は

ウレアーゼという酵素により

尿素をアンモニアと二酸化炭素に

分解することで胃酸の中和を行うことにより

可能になります。

 

この反応は

菌による感染の診断法として用いられています。

 

以上より、正解は 2 です。

 

 

ちなみにですが

ピロリ菌の除菌は

PPI+アモキシシリン+クラリスロマイシン

3剤療法7日間による

除菌療法(一次除菌)が行われます。

 

※ 除菌に成功しても

まれに胃潰瘍は、再発します。

 

一次除菌が失敗した時は

クラリスロマイシンの代わりに

メトロニダゾールを用いた二次除菌を行います。

 

 

類題 96-193,100-221

 


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