問121
交通事故により顔面を損傷し食事を経口摂取できない入院患者(20歳男性、60kg、基礎疾患なし)に、高カロリー輸液を行うことになった。 身動きできないので身体活動レベルは1.2と評価された。 グルコースのみでエネルギー補給する場合、1日に必要と推定されるグルコース量(g)はどれか。1つ選べ。 ただし、20歳の男性の基礎代謝基準値を25.0kcal/kg体重とする。
1.200 2.375 3.450 4.1,800 5.7,200
正解 (3)
基礎代謝基準値が25kcal/kg とあります。 患者は 60 kg なので 25 × 60 = 1500kcal です。
身体活動レベルをこれに掛けると 1500 × 1.2 = 1800 です。
グルコースは、1g あたり4kcal です。
以上より、1800 ÷ 4 = 450 となります。 正解は 3 です。
ーー以下、完全に補足。国試には不要ーー
ちなみにですが 茶碗1杯 150g弱のごはんとして ご飯の粒は水分たっぷりだから その中の糖質というのは、大体50g ぐらいです。
つまり、本問のエネルギー補給を 現実的に行うと、茶碗 9 杯分ぐらいのご飯が必要です。 なかなか厳しい。。。ということで 輸液でエネルギー補給が必要だろうといった具合に イメージがわくと 少しだけ計算に興味が面白くなってくるかもしれません。
ーー以上、補足終了。ーー
問122
食品のメイラード反応に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。
1.トーストしたパンの褐変や、香気成分の生成に関わる。 2.この反応によって生じるメラノイジンは、抗酸化作用を有している。 3.リシンのε-アミノ基がこの反応を受けると、栄養価は低下する。 4.リンゴの皮をむいて空気中に放置すると、この反応により褐変する。 5.ポテトチップス製造時におけるアクリルアミドの生成にも関与している。
正解 (4)
メイラード反応は 褐変を引き起こす主な反応の一つです。
メイラード反応では 糖とアミノ酸が反応することでシッフ塩基を形成した後 最終的にメラノイジンが生成することで褐変します。
選択肢 1~3,5 は、正しい記述です。 (知らない記述も あったのではないかと思いますが 選択肢 4 が明らかに メイラード反応ではないため 誤り といった判断で、本番は十分だと思われます。)
選択肢 4 ですが リンゴの皮をむいて褐変するのは 酵素的褐変の一種です。
ポリフェノールオキシダーゼにより リンゴ細胞中のポリフェノール類が酸化し キノン類となり、更にそれが重合することで 褐変すると考えられています。 メイラード反応によるものでは、ありません。
よって、選択肢 4 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
参考 衛生(1) 1-2 3)
問123
油脂の変敗に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.オレイン酸のみを含む油脂より、リノール酸のみを含む油脂の方が酸化されやすい。 2.同じ条件で酸化したとき、γ-リノレン酸のみを含む油脂より、α-リノレン酸のみを含む油脂の方が、カルボニル価は著しく速く上昇する。 3.不飽和脂肪酸を含む油脂のヨウ素価は、酸化により上昇する。 4.酸化により油脂中の脂質ヒドロペルオキシドが増加すると、過酸化物価の測定において、滴定に要するチオ硫酸ナトリウムの量は減少する。 5.食品添加物として添加したビタミンEは、不飽和脂肪酸を含む油脂の過酸化物価の上昇を抑制する。
正解 (1)、(5)
変敗とは 食品が本来の性質を失い 食用に耐えられないような状態になることです。 腐敗の他、酸化などを包括した概念になります。
油脂は 空気中の酸素と接触することで 自動酸化を引き起こします。 これが油脂の変敗の原因となります。
選択肢 1 は、正しい記述です。 不飽和が多い方が酸化しやすいです。
オレイン酸は n-9 C18,二重結合1 リノール酸は n-6,C18,二重結合 2 です。 ※ n-◯とは、メチル基末端から数えた時の 最初の二重結合が◯番目にある、という意味です。
選択肢 2 ですが γーリノレン酸は、n-6 C18,二重結合3です。 αーリノレン酸は、n-3 C18,二重結合3です。 二重結合の位置のみが違います。
油脂の酸化は 油脂→過酸化物→カルボニル化合物 と段階的に進行します。 このカルボニル化合物を検出する試験の結果が カルボニル価です。
二重結合の場所の違う油脂を含むだけで 酸化の速度が「著しく大きく」変化するとは 考えられません。 よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが 不飽和=二重結合を含む と読み替えるとよいです。 酸化することにより、二重結合が減るため ヨウ素価は、酸化により減少します。 よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが ヒドロペルオキシドとは ROOHと表されます。
過酸化物価の測定は ROOH + KI →遊離したヨウ素(I2)を チオ硫酸ナトリウムで滴定という流れです。
従って、ROOHが増えれば その分滴定に用いる チオ硫酸ナトリウムの量は増加します。 よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、正しい記述です。
参考 衛生(1)1-2 2)
問124
食中毒に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.蜂蜜にはボツリヌス菌の芽胞が含まれることがあるため、腸内細菌叢が未熟な乳児が蜂蜜を摂取すると、ボツリヌス症を発症し、呼吸困難や呼吸停止に陥ることがある。 2.生魚摂取により生じるクドアやアニサキスなどの寄生虫による食中毒は、生魚を長時間冷凍しても防ぐことはできない。 3.ジャガイモの芽や皮の部分に多く含まれるソラニンやチャコニンは熱に不安定なため、加熱処理によりこれらによる食中毒を防ぐことができる。 4.イヌサフランの球根にはコルヒチンが含まれるため、誤食すると呼吸不全等を起こし死に至ることがある。 5.シガテラの原因となる魚類は主に熱帯から亜熱帯にかけて生息しているため、我が国ではシガテラ発症の報告はない。
正解 (1)、(4)
選択肢 1 は、正しい記述です。
選択肢 2 ですが クドアは、ヒラメに寄生する寄生虫です。 冷凍で病原性を失います。
アニキサスは 海産動物に寄生する寄生虫です。 やはり、冷凍で病原性を失います。 従って、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが ソラニンやチャコニンは耐熱性です。 じゃがいもを茹でても、芽や皮をとっていないと 残留します。熱に不安定ではありません。 よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい記述です。
選択肢 5 ですが 沖縄県を中心に毎年数件~数十件の 報告が見られます。 よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
問125
表は、我が国における1995年と2015年の年齢三区分別人口構成割合及び2035年における予測値を示したものである。 以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.年少人口割合と老年人口割合の和は、従属人口割合となる。 2.この表から求められる老年人口割合の倍化年数は、20年より短い。 3.1995年から2015年にかけて、老年化指数は2倍以上上昇している。 4.2015年における老年人目指数は50を上回る。 5.2035年に予測される年少人口指数は15を下回る。
正解 (1)、(3)
選択肢 1 は、正しい記述です。 従属人口割合=年少+老年人口割合 です。
選択肢 2 ですが 1995年から2015年の 20 年かけて 15 % → 27 % と変化しています。 倍までは増加してません。 倍化年数は 20 年より長いとわかります。 よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、正しい記述です。 老年化指数とは 老年人口(65歳以上人口)を 年少人口(14歳以下人口)で割って 100 を掛けたものです。
老年人口割合を年少人口割合で割って 100を掛けても求めることができます。
1995 年は、15/16 × 100 です。 これは 100 より 少し小さい値です。
2015 年は、 27/13 × 100 これは 200 より 少し大きい値です。
従って、2倍以上上昇しています。
選択肢 4 ですが 老年人口指数とは 老年人口/生産年齢人口 × 100 です。 つまり 27/60 × 100 です。 これは 50 を下回ります。 よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが 年少人口指数とは 年少人口/生産年齢人口 × 100 です。 つまり 10/57 × 100 です。 1/6 × 100 が 17% 弱なので 10/57 × 100 は、15% を明らかに上回ります。 よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
類題 100-18
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