問136
食物連鎖及び生物濃縮に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.食物連鎖における高次消費者の個体数は、一次消費者の個体数に比べて多い。 2.食物連鎖の結果、有毒渦鞭毛藻を摂食した貝類が麻痺性貝毒を蓄積し、ヒトに中毒を起こすことがある。 3.生物濃縮には、直接濃縮と間接濃縮があり、前者には食物連鎖の関与が大きい。 4.生物濃縮の程度を示す指標である濃縮係数は、化学物質の環境中濃度を化学物質の生体内濃度で除した値である。 5.PCB(ポリ塩化ビフェニル)やDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)は、いずれも脂肪組織に移行して残留しやすい性質を有し、海洋生態系において大型魚類に蓄積される。
正解 (2)、(5)
選択肢 1 ですが 食物連鎖とは 食うー食われるの関係系列です。
高次消費者ほど 個体数は原則として少ないです。 よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、正しい記述です。 代表例としては 毒成分サキシトキシンです。 ホタテ貝等の二枚貝に毒が蓄積されています。
選択肢 3 ですが 食物連鎖を介する濃縮が 間接濃縮です。
直接濃縮は 例えば呼吸で継続的に 有害物質を取り込み蓄積する といった濃縮のことです。
よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが 濃縮係数は 「物質の生体内濃度 ÷物質の環境中濃度」です。
割る数と割られる数が逆です。 よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、正しい記述です。 PCB、DDT 共に 第一種特定化学物質です。
以上より、正解は 2,5 です。
参考 衛生(1) 1-3 3) 類題 97-137,99-21)
問137
水道原水の塩素要求量を求めるために、純水及び試料に同量の次亜塩素酸塩を添加し、暗所で一定時開放置後にジエチル-p-フェニレンジアミン(DPD)法によって残留塩素を比色定量したところ、表の結果が得られた。 この結果から求められるこの水道原水の塩素消費量(mg/L)と塩素要求量(mg/L)として、最も適切な数値の組合せはどれか。1つ選べ。
塩素消費量 塩素要求量 1.0.45 0.80 2.0.45 1.15 3.0.80 0.45 4.0.80 1.15 5.1.15 0.45 6.1.15 0.80
正解 (2)
塩素消費量とは 残留塩素濃度が上昇し始める 塩素注入量のことです。
塩素消費量までの区間においては 塩素を消費する成分(鉄分など。) に対する塩素消毒が行われています。 そのため、残留塩素が増えません。
表によれば塩素注入量が 0.40 までは 0 で 0.60 の時 0.15 となっているため その間が塩素消費量です。 従って、正解は 1,2 のどちらかと絞れます。
一方、塩素要求量とは 遊離残留塩素が上昇し始める 塩素注入量のことです。
表によれば塩素注入量が 1.00 までは 0 で 1.20 の時に 0.05 になっているので その間が塩素要求量です。
以上より、正解は 2 です。
類題 97-138
問138
富栄養化とその対策に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.湖沼を水源としている水道水では、2-メチルイソボルネオールやジェオスミンによる異臭が発生することがある。 2.閉鎖性水域で富栄養化が起こると、酸化鉄の蓄積により赤潮が生じることがある。 3.「生活環境の保全に関する環境基準」において、富栄養化の原因となる全窒素及び全リンについて、河川、湖沼及び海域における基準値が定められている。 4.下水の高度処理において、活性汚泥中の脱窒菌は嫌気的な条件で硝酸態窒素を還元し、窒素ガスとして大気中に放出する。 5.下水の高度処理において、活性汚泥中のリン蓄積細菌は、嫌気的条件でリンを蓄積する。
正解 (1)、(4)
選択肢 1 は、正しい記述です。
選択肢 2 ですが 赤潮とは、富栄養化に伴う プランクトンの異常増殖です。 酸化鉄の蓄積ではありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが 全窒素、全リンについて 河川における基準値は定められていません。 よって、選択肢 3 は誤りです。
※ちなみに、全窒素、全リンについて 湖沼・海域では基準値が定められています。
これは、全窒素、全リンが過剰となると 水の動きの少ない水域で 植物プランクトンが異常増殖しやすく 特に湖沼・海域でその濃度を 抑える必要があるからです。
選択肢 4 は、正しい記述です。
選択肢 5 ですが リン蓄積細菌は 嫌気中でリンを放出し
好気条件下で 放出した以上のリンを取り込みます。 つまり 「好気条件下」でリンを蓄積します。 よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,4 です。
類題 99-137,100-24
問139
表は、1999~2014年度における、ある大気汚染物質Aの年平均値(昼間の日最高1時間値の年平均値)及び環境基準達成率を示している。 大気汚染物質Aに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
一般局:一般環境大気測定局、 自排局:自動車排出ガス測定局
1.石炭や重油などの化石燃料の燃焼時に、燃料中の硫黄から生成する。 2.大気中の窒素酸化物や炭化水素類などの一次汚染物質と紫外線との反応により、二次的に生成する。 3.化石燃料中に含まれる窒素化合物や空気中の窒素が、燃焼時に酸化されて生成する。 4.高濃度で曝露されると、気管支や肺への障害に加え、メトヘモグロビン血症を引き起こす。 5.頭痛、眼やのどへの刺激、呼吸困難を引き起こしたり、植物の葉を変色させることがある。
正解 (2)、(5)
環境基準達成率が 極めて低いことから 光化学オキシダントと判断します。
選択肢 1 ですが 記述は SOx についてです。 よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、正しい記述です。
選択肢 3 ですが 記述は NOx についてです。 よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが 記述は CO についてです。 よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、正しい記述です。
以上より、正解は 2,5 です。
類題 102-139
問140
室内換気の重要な指標である二酸化炭素に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.ヒトの呼気中には、10~15%の二酸化炭素が含まれる。 2.血液中では酸素よりも強くヘモグロビンのヘム鉄に結合し、ヘモグロビンの機能を妨げる。 3.一酸化炭素とは異なり、非分散型赤外線吸収装置を用いて測定することはできない。 4.NaOH・チモールフタレイン検知剤を用いた検知管法では、検知剤が二酸化炭素と反応して薄い桃色に変化する。 5.学校環境衛生基準では、室内の濃度は1,500ppm以下が望ましいとされている。
正解 (4)、(5)
選択肢 1 ですが 呼気(は~って吐く方)には 約 5 % の CO2 が含まれます。 ※ちなみに、大気中には 0.04 % です。 よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが CO2 は、ヘモグロビンの N 末端に カルバモイル結合で結合します。 ヘム鉄に結合するわけではありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが CO、CO2 共に 赤外線吸収装置を用いて 測定できます。 よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4,5 は、正しい記述です。
以上より、正解は 4,5 です。
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