問161
抗菌薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.リンコマイシンは、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害することで細菌のDNA複製を阻害する。 2.スルファメトキサゾールは、パラアミノ安息香酸と競合的に拮抗することで葉酸の生合成を阻害する。 3.ノルフロキサシンは、DNAジャイレースを阻害することで細菌のDNA複製を抑制する。 4.セファゾリンは、ミコール酸の生合成を阻害することで結核菌に対して抗菌作用を示す。 5.リファンピシンは、リボソーム50Sサブユニットに結合し、ペプチジルトランスフェラーゼ活性を阻害することで細菌のタンパク質生合成を抑制する。
正解 (2)、(3)
選択肢 1 ですが リンコマイシンはリンコマイシン系抗生物質です。 タンパク合成阻害薬です。 DNA複製阻害ではありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。
(そもそも リンコマイシンについてわからなくても RNAポリメラーゼ阻害なら 「RNA合成」が阻害されるはずです。
「DNA複製阻害」という記述はおかしいとして 誤りと判断できます。)
選択肢 2,3 は、正しい記述です。
選択肢 4 ですが ミコール酸の生合成阻害は イソニアジドの作用機序です。
セファゾリンは 第一世代セフェム系抗生物質です。 β-ラクタム系抗菌薬の一種です。 細胞壁合成阻害薬です。 よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが リファンピシンは DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害して RNA合成を阻害することで 殺菌的に作用します。 タンパク合成阻害薬ではありません。 よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,3 です。
問162
抗ウイルス薬の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.アマンタジンは、ノイラミニダーゼを阻害することでインフルエンザウイルスの感染細胞からの遊離を抑制する。 2.インジナビルは、HIVプロテアーゼを特異的に阻害することでHIVの増殖を抑制する。 3.ラルテグラビルは、インテグラーゼを阻害することでHIVの複製を抑制する。 4.ラミブジンは、CCR5ケモカイン受容体を遮断することでHIV感染を抑制する。 5.エンテカビルは、チミジンキナーゼによって活性型に変換され、ヘルペスウイルスのDNAポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制する。
正解 (2)、(3)
選択肢 1 ですが アマンタジンは インフルエンザウイルスの M 2 タンパク阻害薬です。
ノイラミニダーゼを阻害するウイルス薬では ありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ,3 は正しい記述です。
選択肢 4 ですが この記述はマラビロクについてです。 ラミブジンは逆転写酵素阻害剤です。 よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが 記述はアシクロビルについてです。 よって、選択肢 5 は誤りです。
ちなみに エンテカビルもDNAポリメラーゼ阻害薬です。 また、細胞内でのリン酸化が活性を持つのに必要です。
以上より、正解は 2,3 です。
問163
がんのホルモン療法薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.デガレリクスは、脳下垂体の性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)受容体を遮断することで黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの分泌を抑制する。 2.ゴセレリンは、乳がん細胞のエストロゲン受容体を遮断することでがん細胞の増殖を抑制する。 3.エンザルタミドは、前立腺がん細胞のアンドロゲン受容体を遮断することでがん細胞の増殖を抑制する。 4.アナストロゾールは、5α-還元酵素を阻害することでジヒドロテストステロンの産生を抑制する。 5.アビラテロンは、アロマターゼを阻害することでエストロゲンの産生を抑制する。
正解 (1)、(3)
選択肢 1 は、正しい記述です。
選択肢 2 ですが ゴセレリンは 性腺刺激ホルモン放出ホルモン (Gn-RH :gonadotropin-releasing hormone) 誘導体と呼ばれます。
反復投与により 下垂体における Gn-RH 受容体が 脱感作をおこし 性ホルモン分泌を抑制する という作用を持ちます。
エストロゲン受容体遮断薬ではありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、正しい記述です。
選択肢 4 ですが アナストロゾールは アロマターゼ阻害薬です。 よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが アビラテロン(ザイティガ)は CYP17阻害薬です。 去勢抵抗性前立腺がんに用いられます。 よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
関連 薬理 3-1 1)
問164
抗悪性腫瘍薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.パクリタキセルは、チューブリンの重合を阻害することで有糸分裂を抑制する。 2.ブレオマイシンは、活性酸素を発生させ、DNA鎖を切断する。 3.ボルテゾミブは、プロテアソームを活性化することで転写因子NF-κBの活性化を阻害する。 4.ラムシルマブは、VEGFR2(血管内皮増殖因子受容体2型)に対するモノクローナル抗体である。 5.カルボプラチンは、HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)に対するモノクローナル抗体である。
正解 (2)、(4)
選択肢 1 ですが パクリタキセル(タキソール)は タキサン系抗がん剤です。
微小管に結合して安定化させ 「脱重合を阻害」することにより 腫瘍細胞の分裂を阻害します。 「重合」を阻害ではありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、正しい記述です。
選択肢 3 ですが ボルテゾミブは、プロテアソーム阻害薬です。 プロテアソームを活性化するわけでは、ありません。 よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい記述です。 VEGFをターゲットとしている薬としては 他にベバシズマブ(アバスチン)や アフリベルセプト(ザルトラップ)があります。
選択肢 5 ですが トラスツズマブ(ハーセプチン)についての記述です。 カルボプラチンはプラチナ製剤です。 アルキル化剤の一種です。 よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,4 です。
|