問175
医療用活性炭の品質管理を目的として、ガス吸着法による比表面積測定を行った。 試料2.0gに対する窒素ガスの単分子吸着量が3.0×10-2molであったとき、この試料の比表面積(m2/g)に最も近い値はどれか。1つ選べ。 ただし、アボガドロ定数を6.0×1023mol-1、窒素分子の分子占有断面積を1.6×1.0-19m2とする。
1.1.6×102 2.2.2×102 3.1.0×103 4.1.4×103 5.2.2×103
正解 (4)
N2 分子 1個 が 1.6×10-19m2 を占めているとのことです。
N2 分子 3.0 × 10-2 mol というのは (3.0 × 10-2) × (6.0 × 1023) 個 の分子です。
従って 試料 2.0g 中の N2 ガスは (1.6 × 10-19) × (3.0 × 10-2) × (6.0 × 1023)m2 =2.88 × 103 m2 占めています。
1g 当たりであれば、2で割って 1.44 × 103 です。
以上より、正解は 4 です。
問176
高分子の構造と性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.合成高分子は単量体の重合反応によって合成されるため、一般に分子量が均一である。 2.分子量が均一なあるタンパク質が溶媒中で会合することなく分散しているとき、その数平均分子量と質量平均分子量は等しい。 3.高分子の物性は、単量体が同じであれば、その分子鎖の長さによらず同一である。 4.良溶媒中の高分子は、分子が伸びた形状をとりやすくなるため、溶液の粘度は高くなる。 5.核酸が形成する二重らせん構造は、分子鎖内の水素結合によって形成されるため、二次構造に相当する。
正解 (2)、(4)
選択肢 1 ですが 合成高分子は 分子量の分布がある程度あります。 そのため 平均分子量などで評価されます。 よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、正しい記述です。 分子量 10000 のタンパク質が 100 分子あるという例で言うと
数が 100 で、合計分子量が 100万なので 数平均分子量は 10000 です。
一方、重量平均分子量は Σ(分子量2 × 分子の個数)/Σ(分子量 × 分子の個数) 100002 × 100/10000 × 100 = 10000 です。
選択肢 3 ですが 分子鎖の長さや枝分かれによって 物性は変化します。 よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は、正しい記述です。
選択肢 5 ですが 二次構造とは タンパク質における αーヘリックスや、βシートのことです。 よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,4 です。
類題 102-173
問177
図の固形製剤の製造工程に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
1.粉砕を行うと、主薬が分解することがある。 2.結合剤を粉末のまま用いると、水溶液で用いた場合に比べ、均質な造粒物が得られる。 3.混合①から乾燥までの操作を同一装置で連続的に行うには、流動層造粒機が適している。 4.滑沢剤の添加量が多いほど、整粒した粉体の流動性が高くなる。 5.図の原料の組合せと工程は、トローチ剤の製造に用いられる。
正解 (1)、(3)
選択肢 1 は、正しい記述です。 アスピリンの粉砕による分解などが 知られています。
選択肢 2 ですが 結合剤として例えばデンプンを考えます。 水溶液にするとデンプンのりです。 「水溶液」の方が均等に全体に行き渡り 均質な造粒物が得られると考えられます。 よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、正しい記述です。
選択肢 4 ですが 滑沢剤を加えすぎると 流動性が低くなります。 よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが トローチは、口の中で崩壊しない方が 望ましい剤形です。 崩壊剤は、用いられません。 よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
類題 96-173
問178
油相に水相を常温で撹祥しながら徐々に加え、o/w型のクリーム剤を調製したい。 調製している溶液の粘度変化を表すグラフとして最も適切なのはどれか。1つ選べ。
正解 (4)
グラフにおける特徴的な部分に 注目して考えます。
【左端付近】 油相に水を加え乳化が始まると まずどろどろのクリーム状となり 粘度はあがっていくと考えられます。 従って、選択肢 1 は誤りです。
【右端付近】 最後の方は水をどんどん加えれば 薄くなっていくだけでサラサラになっていく と考えられます。 粘度は徐々に下がると考えられます。 従って、選択肢 2,5 は誤りです。
選択肢 3,4 の違いは 粘度の上昇が 水相をどの程度加えた時に ピークに達するか というものです。
o/w型クリームの調製なので 全体は water で oil が分散しているクリームを 作っています。
w/o → o/w となる転相で 粘度が不連続になるため 不連続になるのは 少なくとも 50 % 以上 水を加えてからと考えられます。
以上より、正解は 4 と考えられます。
問179
薬物とその効果等を向上させる目的及び目的を達成するために実用化されている薬物送達システム(DDS)の組合せとして、正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 (3)、(4)
選択肢 1 ですが アルプロスタジルは 「リピッドマイクロスフィア」により 「ターゲッティングを目的」とした DDS が実用化されています。 よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが チモロールマレイン酸塩は ジェランガムというゲル化剤を添加することで 1日1回使用を実現した目薬が 実用化されています。 リピッドマイクロスフィアではありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3,4 は、正しい記述です。
選択肢 5 ですが プロポフォールは麻酔薬です。 明らかに「薬物の集積」が 目的ではありません。 よって、選択肢 5 は誤りです。
ちなみに、シリンジポンプを用いて 投与速度をリアルタイムに調節することで 目標血中濃度維持を達成する 「ディプリフューザーTCI 機能を用いる投与」 がプロポフォールに関して実用化されています。
以上より、正解は 3,4 です。
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