国試103回 解説180~184



180

 

医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)に関連する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

1.製造設備に関する規則で、人為的な誤りは対象とされていない。

2.複数の医薬品の交叉汚染や、虫・異物などの混入を防ぐことが必要である。

3.あらかじめ決められた手順・条件で製造すれば、製造記録を管理することが免除される。

4.製造所ごとに医薬品製造管理者を定め、その下に製造部門と品質部門を置かなければならない。

 

 

正解 (2)(4)

 

選択肢 1 ですが

GMPの目的(3原則)は

1:人為的誤りの、最小化

2:医薬品の汚染、品質低下の防止

3:高品質保証システムの設計 です。

従って、人為的な誤りは対象とされていない

というのは明らかに誤りです。

 

 

選択肢 2 は、正しい記述です。

 

 

選択肢 3 ですが

実行したことを第三者に証明でき

かつ後でその内容を確認できるのが

製造記録です。

 

従って

予め決められた手順・条件で製造した時にも

製造記録を取り、管理することが求められます。

よって、選択肢 3 は誤りです。

 

 

選択肢 4 は、正しい記述です。

 

 

以上より、正解は 2,4 です。

 

 

類題 96-172

 


 

181

 

浮腫に関する記述のうち、誤っているのはどれか。2選べ。

 

1.うっ血性心不全では、一般的に朝方に強く浮腫が認められる。

2.糸球体腎炎では、起床時に顔面、眼瞼に浮腫が認められる。

3.高齢者における腎性浮腫では、高アルブミン血症を呈する。

4.肝硬変では、低アルブミン血症により浮腫が起こる。

5.薬剤性浮腫の原因薬物として、非ステロイド性抗炎症薬がある。

 

 

正解 (1)(3)

 

選択肢 1,2 ですが

心不全による浮腫は、一般的に

一日の終わりにより見られます。

 

一方、腎不全による浮腫は

朝方に顔などに、より見られる傾向にあります。

 

よって、選択肢 1 は、誤りです。

選択肢 2 は、正しい記述です。

 

 

選択肢 3 ですが

血中において

水分保持を担うアルブミンが少ないため

血管外へと水分が漏出することで浮腫が生じます。

 

すなわち

低アルブミン血症を呈します。

高アルブミン血症ではありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。

 

 

選択肢 4,5 は、正しい記述です。

 

 

以上より、正解は 1,3 です。

 


 

182

 

65歳女性。脳血管疾患の既往無し。数年前より軽度認知障害があり、CT検査で大脳皮質の萎縮が認められ、アルツハイマー病と診断された。

下記の処方で服薬は正しくなされていた。最近、見当識障害や判断能力が悪化し、日常生活に介助が必要となることが多くなったため、心配した家族に同伴されて病院を受診した。

本患者の今後の薬物治療方針として正しいのはどれか。2選べ。

 

(処方)

ドネペジル塩酸塩錠5mg 11(11) 11回 朝食後 28日分

 

1.ドネペジル塩酸塩の増量

2.リバスチグミンの併用

3.ガランタミン臭化水素酸塩の併用

4.メマンチン塩酸塩の併用

5.メチルフェニデート塩酸塩の併用

 

 

正解 (1)(4)

 

選択肢 1 は、正しい記述です。

ドネペジルは、まず副作用回避の目的で

3mg から投与しますが、その後 5mg に増加し

さらに 10mg まで増量できます。

最近悪化している傾向が見られるため

妥当な方針といえます。

 

 

選択肢 2,3 ですが

リバスチグミンは

商品名イクセロンパッチのことです。

ガランタミンは、レミニールのことです。

 

共に、ドネペジルと同じ機序である

AchE 阻害剤です。

AchE阻害剤は、併用では用いられません。

よって、選択肢 2,3 は誤りです。

 

 

選択肢 4 は、正しい記述です。

 

メマンチン(メマリー)は

NMDA 受容体遮断薬です。

 

中等度から高度

アルツハイマー型認知症の

適用をもつ薬剤です。

ドネペジルと併用が可能です。

 

 

選択肢 5 ですが

メチルフェニデート(リタリン、コンサータ)は

ナルコレプシー(病的眠気)や

注意欠陥/多動性障害(ADHD

に用いられる薬です。

 

 

以上より、正解は 1,4 です。

 

 

類題 99-256

 


 

183

 

ネフローゼ症候群の病態と治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。2選べ。

 

1.低アルブミン血症が認められる。

2.食事療法は高タンパク食を基本とする。

3.浮腫の改善にはアンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬が用いられる。

4.血液凝固能亢進の改善の第一選択薬として、アスピリンが用いられる。

5.ステロイド抵抗性を示す場合は、免疫抑制薬が併用される。

 

 

正解 (1)(5)

 

ネフローゼ症候群とは

高度のタンパク尿により

低タンパク血症を来す状態の総称です。

臨床的には

むくみ(浮腫)が認められます。

 

 

選択肢 1 は、正しい記述です。

アルブミンは、血中タンパク質の一種です。

 

 

選択肢 2 ですが

タンパク質を分解した時に出てくる

尿素窒素等の窒素化合物の処理が

腎臓の負担となります。

 

そのため

「低」タンパク食が基本です。

「高」タンパク食ではありません。

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3 ですが

浮腫の改善には

ステロイド、ACE阻害薬等が用いられます。

ATⅡ受容体拮抗薬ではありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。

 

 

選択肢 4 ですが

ヘパリンやワーファリンが用いられます。

アスピリンではありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

 

選択肢 5 は、正しい記述です。

シクロスポリン、タクロリムス、ミゾリビンなどが

用いられます。

 

 

以上より、正解は 1,5 です。

 

 

参考 病態3-1 3)

 


 

184

 

40歳女性。丸顔と中心性の肥満を伴った高血圧症と糖尿病の患者。二次性高血圧の精査のため受診したところ、早朝空腹時の血中ACTHとコルチゾールの高値を認めた。

そこで入院の上、就寝前に0.5mgのデキサメタゾンを内服して翌朝の血中コルチゾールを測定したところ12μg/dLであった。

翌日、就寝前に8mgのデキサメタゾンを内服して、その翌朝に血中コルチゾールを測定すると3μg/dLであった。

本症例の病態として適切なのはどれか。1つ選べ。

 

1.クッシング病

2.異所性ACTH産生腫瘍

3.副腎腺腫

4.副腎癌

5.副腎皮質過形成

 

 

正解 (1)

 

丸顔、中心性の肥満などが特徴的で

クッシング症候群が連想されます。

「ステロイドの副作用で

ムーンフェイスとか、肥満があったよね」

ぐらいで十分な連想ではないでしょうか。

 

※クッシング症候群 というのは

慢性的に糖質コルチコイドが出ていることの総称です。

何らかの具体的疾患名ではないことに注意です。

 

 

行われている試験は

デキサメタゾン大量投与により

コルチゾール分泌の抑制が

見られるかどうかの試験です。

見られると、クッシング病と考えられます。

 

抑制が見られない場合は

副腎腺腫や、副腎癌

異所性ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)産生腫瘍 

などと考えられます。

 

 

以上より、正解は 1 です。

 

 

ちなみに

選択肢 5 の副腎皮質過形成は

副腎のサイズが大きくなっている状態のことです。

先天性副腎皮質過形成などが

知られています。

 

 

類題 96-190,101-58

 


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