国試103回 解説210,211



210211

 

6歳男児。体重20kg。身長120cm。扁桃炎と診断され、この男児の処方箋を、母親が薬局に持参した(処方1)

 

(処方1)

セフジニル細粒10% 10.5g(11.5g) 13回 朝昼夕食後 5日分

 

セフジニル細粒10%の添付文書には、「通常、小児に対してセフジニルとして1日量918mg(力価)/kg3回に分割して経口投与する」と記載されている。

お薬手帳を確認したところ、男児は鉄欠乏性貧血で溶性ピロリン酸第二鉄を服用していることが判明した(処方2)

 

(処方2)

溶性ピロリン酸第二鉄シロップ5% 14mL(112mL) 13回 朝昼夕食後 14日分

 

210

 

セフジニルは鉄イオンに配位し、キレートを形成する。

矢印で示したセフジニルの原子のうち、鉄イオンに最も配位しにくいのはどれか。1つ選べ。

 

 

 

正解 (4)

 

アミド結合の N は塩基性が低く

最も配位しづらいと考えられます。

よって、正解は 4 です。

 

 

 

211

 

本症例に対し、薬剤師が行う対応の中で適切なのはどれか。2選べ。

 

1.セフジニル細粒10%の投与量について医師に疑義照会する。

2.セフジニル細粒10%からレボフロキサシン水和物製剤への処方変更を医師に提案する。

3.セフジニル細粒10%は鉄剤と一緒に服用するように指導する。

4.症状が途中で改善したら服用を終了するように指導する。

5.尿や便が赤色調を呈することがあると説明する。

 

 

正解 (1)(5)

 

選択肢 1 

適切な記述と考えられます。

 

セフジニルと鉄のキレート形成により

吸収が低下するため、この投与量では

適切な薬効が期待できない、という点から

疑義照会する という対応です。

 

 

選択肢 2 ですが

レボフロキサシンも鉄とのキレートを形成します。

よって、選択肢 2 は誤りです。

 

 

選択肢 3 ですが

キレート形成を避けるため

服用時期を「ずらすよう」指導すべきです。

「一緒に服用」ではありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。

 

 

選択肢 4 ですが

耐性菌の発生を避けるため

症状が改善しても5日分飲み切るように

指導します。

よって、選択肢 4 は誤りです。

 

 

選択肢 5 は、正しい記述です。

代謝物により、色がつくことがあります。

 

 

以上より、正解は 1,5 です。


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