ピリジンに関する記述のうち、正しいものの組合せはどれか。 a 窒素原子上の非共有電子対(孤立電子対)は、芳香族性に関与している。 b ピロリジンより塩基性が弱い。 c ほとんど水に溶けない。 d ベンゼンよりニトロ化されにくい。 1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d) 6(c、d) ピリジンの構造は以下の通りです。 a について、上図を見るとわかる通り、ピリジンには二重結合が3つあります。 すでにこれで芳香族性が成立しているため、非共有電子対は芳香族性に関わってきません。 よって、a は誤りです。 b は、まずピロリジンの構造を見てください。 ピリジンとピロリジンの非共有電子対の環境を考えると、ピリジンはsp2、ピロリジンはsp3混成軌道に含まれます。 s性が多いほど酸性度が高く、p性が多いほど塩基性度が高いので、このケースではピロリジンのほうが塩基性が強いです。 よって、b は正しいです。 c について、ピリジンは芳香族だから水に溶けない、と考えてしまってはいけません。 芳香族性に関与しないところで非共有電子対があるため、これが水分子の水素原子と水素結合を形成します。 よって、ピリジンは水に溶けるので、c は誤りです。 一方、非共有電子対を持つ化合物でもそれが芳香族性を作るのに使われている場合は、水素結合を作れずに疎水性となります。 d について、芳香族のニトロ化は求電子置換反応です。 ポイントは「求電子」というところで、ピリジンは電気陰性度の高いN原子が電子を引っ張っているため、 芳香環側の電子がやや薄くなっています。 すると、求電子反応は起こりづらくなるため、ニトロ化されにくくなります。 よって、これは正しいです。 以上より、正解は 5 です。 |