問96-39 解説



問39

タンパク質の翻訳後修飾に関する記述のうち
正しいものの組合せはどれか。

a リン酸化タンパク質では、セリン、トレオニン、又はトリプトファン残基にリン酸基が結合する。

b N結合型糖鎖の付加は、一般にグルタミン残基に起こる。

c ヒストンのリシン残基のアセチル化は、ヒストンとDNAの結合親和性を低下させる。

d γ-カルボキシグルタミン酸残基は、血液凝固因子に含まれる。

1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 
4(b、c) 5(b、d) 6(c、d)



記述 a ですが
リン酸基は、セリン、トレオニン、チロシンの OH 基に結合します。
トリプトファンでは、ありません。

参考)
アミノ酸の構造 生化まとめました(2) 1-3 1)



よって、記述 a は誤りです。



記述 b ですが
糖鎖の付加は、大きく N-グリコシル化と
O-グリコシル化に分類されます。


N-グリコシル化とは
アスパラギンのアミノ側鎖に糖が結合することです。

O-グリコシル化とは
セリン、トレオニン残基の OH 基に糖が結合することです。

N 結合型糖鎖の付加は
一般にグルタミン残基に起こるわけではありません。


よって、記述 b は誤りです。



記述 c,d はその通りの記述です。


ヒストンは
塩基性タンパク質(主にリシン)を多く含むタンパク質で
正に偏って荷電しています。

DNA中のリン酸基の負電荷と
ヒストンが引きつけ合って、安定性が保たれています。


リシン残基がアセチル化されてしまうと
正電荷が中和されてしまい
DNAとの結合親和性が低下します。



γ-カルボキシグルタミン酸残基は
プロトロンビン、血液凝固因子IX、X などに
含まれています。



以上より、正しいものの組み合わせは
(c , d)です。


正解は 6
です。



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