問97-121~97-140 解説一覧


問121

栄養素の消化・吸収に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 糖質の膜消化では、単糖と二糖が生じる。

 2 ラクトースを構成する2種の単糖の吸収は、同じトランスポーターによって行われる。

 3 カルシウムの吸収は、フィチン酸によって促進される。

 4 ヘム鉄の吸収は、ビタミンCによって促進される。

 5 中鎖脂肪酸の吸収は、胆汁酸を必要としない。


膜消化とは、小腸の粘膜で行われる消化であり、消化の最終段階のことです。
これにより、糖質は単糖にまで分解されます。
よって、二糖は生じないため、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 はその通りの記述です。
ラクトースを構成する2種の単糖とは、グルコースとガラクトースです。
共にSGLT1により、輸送されます。


フィチン酸とは、イノシトールの6リン酸エステルです。
ミネラルに対して強いキレート作用を示すため、ミネラルの吸収を阻害する成分として知られています。
カルシウムの吸収を促進するのではなく、吸収を阻害するため、選択肢 3 は誤りです。


食物に含まれる鉄には、ヘムと結合した鉄であるヘム鉄と、そうではない非ヘム鉄の2種類があります。
ヘム鉄の方が数倍、小腸からの吸収がよいことが知られています。
非ヘム鉄は、ビタミンCなどの還元物質により、ヘム鉄となることで、吸収がよくなります。
よって、ヘム鉄の吸収が、ビタミンCによって促進されるわけではないので、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。
胆汁酸塩によってミセル化されるのは、長鎖脂肪酸です。


以上より、正解は 2,5 です。





問122

正味タンパク質利用率はタンパク質の栄養価を表す指標の1つで、生物価と並んで広く用いられている。ある食品中の正味タンパク質利用率を知るために、無タンパク質食で一定期間飼育したラットに被検食品を与えて調べたところ、次の結果が得られた。被検食品の正味タンパク質利用率として、最も適切な値はどれか。1つ選べ。


正味タンパク質利用率 =( 体内保留窒素量 / 摂取窒素量 )× 100


被検食品を介した摂取窒素量 = 500 mg

被検食品摂取時の糞中窒素量 = 120 mg

無タンパク質食摂取時の糞中窒素量 = 20 mg

被検食品摂取時の尿中窒素量 = 50 mg

無タンパク質食摂取時の尿中窒素量 = 10 mg


 1 48  2 56  3 64  4 72  5 84





しばらく無タンパク質→被検食品 という実験です。
無タンパク質接種時も、尿中、及び糞中に窒素がそれぞれ含まれており、これが30mgあることが読み取れます。
この 30mg は、食品とは関係なく排出される窒素です。

そして、被験食品を介して 500mg  とって、尿中および糞中に窒素が 170mg あることが読み取れます。
よって、被験食品を食べて、さきほどの 30mg を除いた 140mg が尿中および糞中に排出され
残りの 360mg が体内に取り込まれたと考えられます。

よって、(360 ÷ 500) × 100 = 72 
なので、正解は 4 となる。





問123

食品添加物のうち、保存料として使用が許可されているのはどれか。2つ選べ。




選択肢 1 の化合物は、アセスルファムカリウムです。
甘味料として用いられる食品添加物です。


選択肢 2 の化合物は、プロピオン酸です。
酸型保存料とよばれ、保存料として用いられる食品添加物です。


選択肢 3 の化合物は、チアベンダゾールです。
チアゾール環を有することが特徴であり、防かび剤として用いられます。


選択肢 4 の化合物は、パラオキシ安息香酸エステルの一種です。
保存料として用いられます。
パラオキシ安息香酸は、パラペンと総称されます。
エステルの炭素鎖部分の長さによって、メチルパラペン、エチルパラベンなどの名称で呼ばれます。
本選択肢の化合物は、ブチルパラベンです。
炭素数の多いものほど、効力が大きいです。


選択肢 5 の化合物は、キシリトールです。
甘味料として用いられる食品添加物です。


以上より、正解は 2,4 です。






問124

食品における農薬の残留基準に関する記述の[  ]に入れるべき語句の正しい組合せはどれか。1つ選べ。


 食品衛生法の改正により、食品中の残留農薬については[ a ]制度が施行された。多くの農薬について食品中の残留基準が定められ、残留基準のない農薬等については、食品衛生法に基づき「人の健康を損なうおそれのない量」として一律基準[ b ]ppmが設定された。


       a       b

 1 ネガティブリスト   0.01

 2 ネガティブリスト   0.1

 3 ネガティブリスト    1

 4 ポジティブリスト   0.01

 5 ポジティブリスト   0.1

 6 ポジティブリスト    1





法改正前は、危険なものを規制し、それ以外は自由であるという規制でした。
すなわち、使ってはいけないもの=ネガティブなもの をあげることによる規制でした。

法改正後は、基準が設定されていない農薬に関しても、一定量以上含まれる食品の流通は
原則禁止するという規制の形になりました。
これを、ポジティブリスト制度と呼びます。
ポジティブリスト制度では、一律基準として、0.01ppmが制定されています。


以上より、正解は 4 です。





問125

保健統計に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 粗死亡率は、年齢構成の影響を受けるため、年齢構成の異なる集団の比較には適していない。

 2 PMI (50歳以上死亡割合)は、人口や年齢構成がわからなくても算出できるため、国際的に健康水準を測る指標として利用される。

 3 年齢3区分別人口における老年人口は、75歳以上の人ロである。

 4 ある年齢における平均余命は、その年の平均寿命から年齢を差し引くことで算出される。

 5 国勢調査は、人口の規模、構造などの特徴を明らかにするための人口動態調査である。





選択肢 1 はその通りの記述です。
粗死亡率とは、1年間の死亡数をその年の人口で割った値のことです。
よって、高齢者の多い集団ではより高くなる傾向にあります。
いいかえると、連齢構成の影響を受ける指標です。


選択肢 2 はその通りの記述です。
PMI (Proportional Mortality Indicator) とは、死亡者総数に占める、50歳以上の死亡者数の割合のことです。
この指標を求めるために必要な情報は、死亡者総数と、死亡者の年齢であり
人口や、年齢構成は必要ありません。


年齢 3 区分別人口とは、年少人口と、生産年齢人口と、老年人口の 
3 区分に分類した人口のことです。

年少人口とは15歳未満の人口のことです。
生産年齢人口とは、15~64歳未満の人口のことです。
老年人口とは、65歳以上の人口のことです。
よって、老年人口が75歳以上の人口ではないので、選択肢 3 は誤りです。


平均寿命とは、その年に生まれた0歳児が、平均して後何年生きることができるかという指標です。
そのため、ある年齢における平均余命は、その年の平均寿命からは、算出することはできません。
(ある年齢における平均余命は、『ある年齢分前の年の、平均寿命』
すなわち、今ある年齢の人が0歳だった時の平均寿命から
今の年齢を引けば算出することができると考えられます。)
よって、選択肢 4 は誤りです。


国勢調査とは、5年ごとに行われる、人口と世帯の実態を明らかにすることを目的としたアンケート調査です。
日本国内に住んでいるすべての人・世帯を対象として行われます。
外国人も、国籍に関係なく調査の対象となります。
このような、ある特定時点の人口の統計は、人口静態統計と呼ばれます。
よって、人口動態調査ではないため、選択肢 5 は誤りです。






問126

ある集団を対象に生活習慣と癌の罹患状況をある一時点で同時に調査し、喫煙者では喉頭癌の有病率が高いという結果を得た。[  ]に入れるべき語句の正しい組合せはどれか。1つ選べ。


 この研究は[ a ]であり、その結果からは、[ b ]。

     a          b

 1 横断的研究  喫煙は喉頭癌の危険因子であることがわかる

 2 横断的研究  喉頭癌患者は喫煙を好むことがわかる

 3 横断的研究  喫煙と喉頭癌の因果関係は不明である

 4 縦断的研究  喫煙は喉頭癌の危険因子であることがわかる

 5 縦断的研究  喉頭癌患者は喫煙を好むことがわかる

 6 縦断的研究  喫煙と喉頭癌の因果関係は不明である


ある一時点において、複数の対象を比較調査するのが、横断的研究です。
よって、この調査は横断的研究です。
ちなみに、縦断的研究とは、時間経過による変化を調査する研究のことです。

又、この調査では、喫煙をしなかった人の咽頭癌の有病率がわかっていません。
すると、本当に喫煙が危険因子であるかはわかりません。
又、喫煙を好むかどうかというのは、この調査とは関係がありません。
よって、選択肢 1,2 は誤りです。


以上より、正解は 3 です。






問127

[  ]内の研究に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1883年、遠洋航海に出ていた練習船の乗員376名のうち169名が脚気に罹るという事態が発生した。海軍医務局長の高木兼寛は、脚気の原因が食事の質であると考え、特に食事中の炭素:窒素比の値が15を大きく超えると発生することに注目した。1884年、季節、乗組員、航路などの条件を一致させ、白米主体の食事から麦飯や洋食に変えただけで航海を実施したところ、脚気はほとんど発生せず、全員無事に帰国した。鈴木梅太郎が脚気の予防因子を米糠から抽出するのに成功したのは、その25年以上も後のことである。


 1 この研究は、疫学の症例対照研究に相当する。

 2 この研究では、脚気の予防に有効な因子は炭水化物である可能性が示唆される。

 3 この研究では、白米に脚気の原因物質が含まれている可能性が排除できない。

 4 鈴木梅太郎が得た抽出物の有効成分は、のちにビタミンB1であることがわかった。




症例対照研究とは、ある疾病をもつ患者群ともたない患者群に対して
特定の要因への暴露状況を調査・比較することで、要因と疾病の関連を評価する研究手法のことです。
別名後ろ向き研究とも呼ばれます。


この研究は、白米主体の食事という要因に暴露した集団と、していない集団を一定期間追跡し
脚気にかかる率に差がでるかどうかを調べた研究です。
このような研究は、要因・対象研究と呼ばれます。
よって、選択肢 1 は誤りです。


又、炭水化物は、白米にも麦飯にも含まれており、脚気の予防に有効な因子とは
考えられません。よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3,4 はその通りの記述です。



以上より、正解は 3,4 です。







問128

労働衛生に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 すべての事業所に対して、安全衛生管理のため、衛生管理者を置くことが義務づけられている。

 2 作業環境管理や健康管理は、職業病予防の基本的な労働衛生管理である。

 3 作業管理は、暴露濃度を指標として実施する。

 4 薬剤師には、業務内容にかかわらず、特殊健康診断が義務づけられている。




衛生管理者とは、衛生に関する技術的事項を管理する者のことです。

第一種免許と第二種免許があります。

一種は、全ての業種の事業上において衛生管理者となることができます。

二種は、有害業務と関連の薄い業種の事業上においてのみ、衛生管理者となることができます。

衛生に関する実務がある程度あることが、試験の受験要件となっています。


衛生管理者は、50人以上の従業員がいる事業者に、最低1人以上配置することが

義務づけられています。

よって、すべての事業所で義務づけられてはいないので、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 はその通りの選択肢です。

職業病予防の基本的な労働衛生管理として、作業環境、作業条件、健康管理などが挙げられます。


選択肢 3 はその通りの選択肢です。

作業管理の状態の管理は、暴露測定で確認します。

作業管理とは、作業方法を工夫して、有害な因子をできるだけ取り込まないようにすることです。


特殊健康診断とは、有害物質を取り扱ったり、リスクの高い作業を行ったりする人に対する

健康診断のことです。

そのため、有害物質を取り扱ったりといった、条件に該当しない薬剤師は

特殊健康診断を受ける義務はありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。


以上より、正解は 2,3 です。




問129

感染性疾患と、主な感染源の組合せのうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

    <疾患>          <感染源>

 1 ジフテリア  -------------  気道由来の飛沫

 2 成人T細胞白血病 -------  母乳

 3 エキノコックス症  -----  ノミ

 4 E型肝炎    ------------   血液





選択肢 1 はその通りの組合わせです。

ジフテリアは、ジフテリア菌(グラム陽性 桿菌)を病原体とする
ジフテリア毒素により起こる疾患です。

上気道の粘膜感染症です。皮膚や目に感染することもあります。
高い熱、はげしい咳、嘔吐などの症状が見られます。


選択肢 2 はその通りの組合せです。

成人T細胞白血病(ALT:Adult T-cell leukemia)は、白血病もしくは悪性リンパ腫の一種です。
HTLV-1(Human T-lymphotropic Virus - 1)というレトロウイルス(RNAウイルスの中で、逆転写酵素を持つウイルス)
の一種が原因ウイルスの一つです。

ウイルスの保有者の、生涯発症危険率は10%未満とされています。
主な感染経路は、授乳の他、性交、輸血があげられます。
授乳による感染は、人工栄養(母乳以外のこと)に切り替えることでほぼ防ぐことができます。


エキノコックス症とは、寄生虫エキノコックスにより引き起こされる感染症のひとつです。
人畜共通感染症の一つです。
狐などが感染していることがあります。

肝臓に病巣ができ、胆管を閉塞し、黄疸などが生じます。
又、肺が侵されると、咳、胸痛などの症状が見られます。

したがって、ノミが感染経路ではないので、選択肢 3 は誤りです。



E型肝炎とは、ウイルス性肝炎の一種です。
E型肝炎ウイルスにより引き起こされます。

主な感染経路は、経口感染です。
すなわち、E型肝炎ウイルスに汚染された食物、水等の摂取により
感染します。

ウイルスに感染しても、特に若年者は症状が明らかにならないことが多いとされています。
妊婦が、妊娠晩期に感染すると、劇症化しやすいという報告がなされています。

したがって、主な感染源は血液ではないので、選択肢 4 は誤りです。





問130

次の性行為感染症のうち、病原体がウイルスであるのはどれか。2つ選べ。


 1 梅毒

 2 軟性下疳

 3 淋病

 4 尖圭コンジローマ

 5 B型肝炎





梅毒とは、スピロヘータの一種である、梅毒トレポネーマによって発生する感染症です。
スピロヘータとは、らせん状の形態をした、グラム陰性の細菌の一種です。
よって、病原体がウイルスではないので、選択肢 1 は誤りです。


軟性下疳(なんせいげかん)とは、軟性下疳菌を原因とする性行為感染症です。
よって、病原体がウイルスではないので、選択肢 2 は誤りです。


淋病は、淋菌の感染により起こる感染症です。
病原体がウイルスではないので、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4,5 は正解です。
尖形コンジローマは、ヒトパピローマウイルスというDNAウイルスの感染による感染症です。
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスにより発症する感染症です。


以上より、正解は 4,5 です。



問131

暴露により尿中の馬尿酸濃度が上昇するのはどれか。2つ選べ。


 1 アニリン

 2 ニトロベンゼン

 3 トルエン

 4 フェノール

 5 ベンジルアルコール





馬尿酸は、芳香族性炭化水素化合物の代謝により生成され、尿中排泄されます。

代表的な馬尿酸の生成経路としては、トルエンが体内へ取り込まれた時に

CYPによって、ベンジルアルコールがまず生成され

ベンジルアルコールがアルコールデヒドロゲナーゼによる酸化を受けて安息香酸が生成し

安息香酸がグリシン抱合を受けて馬尿酸が生成されるという経路が知られています。

(下図のような経路です。)


よって、トルエン及び、ベンジルアルコールの暴露により
それらが代謝された最終生成物である、馬尿酸の尿中濃度が上昇すると考えられます。
よって、正解は 3,5 です。


参考)
ちなみに、アニリンを暴露すると、代謝物として、フェニルヒドロキシルアミンが生成されるようです。
又、ニトロベンゼンを暴露すると、p-ニトロフェノールやp-アミノフェノールが
尿中代謝物として検出されることが報告されています。
フェノールは、主としてグルクロン酸および硫酸と結合して代謝されるようです。
(化学物質評価研究機構による)






問133

アスベストに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 ケイ素を含む有機化合物である。

 2 酸やアルカリに耐性である。

 3 Ames試験で陽性を示す。

 4 大気汚染防止法では、特定粉じんに指定されている。




アスベストとは、ケイ酸塩を主成分とする、繊維状の鉱物です。

鉱物なので、無機物です。

そのため、有機化合物ではないので、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 はその通りです。

安定性の高い化合物で、加工もしやすい物質であったため、建材、パイプなどに

多く用いられてきました。


Ames試験とは、物質の変異原性を評価するための試験です。

言い換えると、突然変異を起こさせるような物質であるかどうかを試す試験です。

アスベストは、発がん性はあるのですが、変異原性はありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 はその通りです。

アスベストは、人の健康に被害を生じるおそれのある粉じんとして

特定粉じんに指定されています。

今の所、アスベスト以外の粉じんは、一般ふんじんと定められています。

(2012年時点)


以上より、正解は 2,4 です。



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問134

「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」(平成21年改正)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 対象となる化学物質の中には、環境中で分解されやすいものも含まれる。

 2 ポリ塩化ジベンゾ−p−ジオキシン (PCDD) は、第一種特定化学物質に指定されている。

 3 監視化学物質の設定は、化学物質の環境への放出量を把握することを目的としている。

 4 第二種特定化学物質は、高蓄積性を有し、ヒトヘの長期毒性又は高次捕食動物への毒性を有する。

 5 優先的に安全性評価を行う必要がある化学物質として、優先評価化学物質が設定されている。





選択肢 1 はその通りの記述です。
化審法の対象となる物質の中には、難分解性でなくても対象となる化学物質が含まれます。
一定数量以上の化学物質の製造・輸入を行った事業者に対して
分解性によらず報告が求められ、規制の対象となっています。


PCDDとは、ダイオキシン類の一種です。
ダイオキシンは、化審法の規制対象となりません。
つまり、PCDDは、第一種特定化学物質には指定されていません。
よって、選択肢 2 は誤りです。


監視化学物質とは、難分解性・高蓄積性があり、人や環境へのリスクがはっきりと十分低いとはいえない物質です。
こういった物質を監視化学物質に指定し、取扱状況の報告を要求したり、有害性の調査を指示させ
毒性があると判明したら、第一種特定化学物質へと指定することを目的としています。
よって、環境への放出量の把握が目的ではないので、選択肢 3 は誤りです。


第二種特定化学物資とは、高濃縮性は有さないが、難分解性で、人や生活環境動植物への長期毒性を持つ化学物質のことです。
よって、高蓄積性を有するという表現は、微妙な表現です。
又、高次捕食動物への毒性ではなく、生活環境動植物への長期毒性を有する化学物質のことです。
よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 1,5 です。






問135

メタノール中毒患者に対する治療方法として、誤っているのはどれか。1つ選べ。


 1 エタノール投与

 2 活性炭投与

 3 炭酸水素ナトリウム投与

 4 葉酸投与

 5 血液透析




メタノールより、エタノールの方がアルコール脱水素酵素に対する親和性が高いことから

エタノール投与により、メタノールの代謝を抑制することにより、治療効果が期待されます。


また、アシドーシスの存在により、メタノールの代謝物であるギ酸の毒性が増加すると言われています。

よって、炭酸水素ナトリウムによる血液pHの補正は有効です。


さらに、ギ酸の代謝を促進する狙いで、葉酸投与が行われます。


メタノール及びギ酸は、血液透析により効率よく血中から除去されます。


メタノールは活性炭にほとんど吸着しないため、治療方法として有効ではありません。




以上より、誤っている選択肢は 2 です。






問136

フロン類について、数値が0であるのはどれか。2つ選べ。


 1 特定フロン分子内の水素原子数

 2 代替フロン分子内のフッ素原子数

 3 我が国で工業的製造が許可されている特定フロン種の数

 4 パーフルオロカーボンの地球温暖化係数






フロン類とは、炭素、水素に加え、ハロゲンを多く含む化合物の総称です。


選択肢 1 は正解です。
特定フロンとは、クロロフルオロカーボンのことです。
クロロフルオロカーボンとは、Cl,F及びCのみからなる物質のことです。
化学的に安定で、オゾン層破壊、温室効果作用などの影響を環境に与えます。
よって、特定フロン分子内の水素原子数は、0です。


選択肢 2 は誤りです。
代替フロンとは、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC:hydrochlorofluorocarbon H、Cl、F、Cからなる化合物)類
及びハイドロフルオロカーボン(HFC:hydrofluorocarbon H、F、Cからなる化合物)類のことです。
よって、フッ素を含むので、代替フロン分子内のフッ素原子数は 0 ではありません。


選択肢 3 は正解です。
特定フロンの生産は、1995年をもって全廃されました。
よって、我が国で工業的製造が許可されている特定フロン種の数は 0 です。


選択肢 4 は誤りです。
地球温暖化係数とは、温室効果ガスの地球温暖化に対する効果を
CO2 と比較した時の、相対的指標です。
パーフルオロカーボンは、地球温暖化係数が非常に高い物質として知られています。
よって、パーフルオロカーボンの地球温暖化係数は 0 ではありません。



以上より、正解は 1,3 です。






問137

生物濃縮に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 環境汚染物質だけでなく、栄養物質にも見られることがある。

 2 生物濃縮の程度は、化学物質の性質のうち蓄積性よりも難分解性に依存する。

 3 1-オクタノール/水 間の分配係数は、濃縮係数と正の相関を示す。

 4 濃縮係数は、化学物質の環境中濃度に対する生体内濃度の百分率で表される。





選択肢 1 はその通りの記述です。
例としては、海産の藻類における臭素やヨウ素が挙げられます。


生物濃縮の程度は、蓄積性にも、難分解性にも依存します。
又、どちらの方がより依存するかというのは、いいきることはできません。
よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 はその通りの記述です。
1-オクタノール/水 間の分配係数は、高ければ高いほど、脂溶性が高い物質です。
そして、脂溶性が高い物質ほど、生物の脂肪などに溶けて濃縮されやすいため
濃縮係数と正の相関が見られます。


濃縮係数は、物質の生体内濃度÷物質の環境中濃度のことです。
割合で表され、百分率では表されないので、選択肢 4 は誤りです。






問138

水道原水に塩素を注入すると、塩素注入量と残留塩素濃度について図のような関係がみられた。これに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 aの塩素量を塩素要求量という。

 2 (b − a) の塩素量を塩素消費量という。

 3 純水の場合には、この原水に比べて、塩素消費量と塩素要求量が大きい。

 4 aとcの間で主に検出される残留塩素は結合残留塩素である。

 5 我が国の水道水消毒では、b以上の塩素量を注入する方法が用いられている。






グラフの各点、及び補足解説をまず初めに行います。

aは塩素消費量
cは不連続点 と、それぞれ呼ばれます。
また、c は塩素要求量と呼ばれます。

a-b間は結合残留塩素
b-c間では、結合残留塩素+塩素による、結合残留塩素の分解がおきています。
c以降は、遊離残留塩素のみが増加していきます。

そもそも、清浄な水では、c以降のみのグラフになります。
塩素を消費する成分があると、初めのうち、まったくグラフが上がりません。
アンモニア成分がある時に、結合塩素が出てくるので、いったん山になります。

以下、各選択肢を検討します。


aの塩素量は、塩素消費量と呼ばれます。
よって、選択肢 1,2 は誤りです。
塩素注入量が 0 ~ a では、塩素を消費する成分(鉄分など。)に対する塩素消毒が行われています。
塩素が消費されるので、残留塩素は増えません。


純水の場合は、塩素を消費する成分が含まれないため、塩素消費量は 0 です。
よって、選択肢 3 は誤りです。

ちなみに、塩素要求量とは c の値のことです。
純水であれば、塩素要求量も 0 です。


選択肢 4 はその通りの記述です。
この部分は、アンモニア性の窒素が含まれる時に現れます。
結合残留塩素とは、クロラミンのことです。
クロラミンとは、NH2Cl、NHCl、NCl3の総称です。

結合残留塩素は、遊離残留塩素より消毒能力は弱いのですが、消毒能力はあります。
ある程度すると塩素濃度が下がるのは、注入される塩素と、結合残留塩素が反応されていくからです。


我が国の水道水消毒では、蛇口において、遊離残留塩素を0.1mg/L, 結合残留塩素の場合は0.4mg/L以上
保持するよう規定されています。
よって、塩素注入量に関しての規定はありません。
よって b 以上の塩素量を注入すると決まっているわけではないので、選択肢 5 は誤りです。






問139

活性汚泥法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 活性汚泥法は、生物膜法の一種である。

 2 活性汚泥中には、原生動物は存在しない。

 3 曝気槽では、微生物による有機物の酸化分解反応が起こる。

 4 余剰汚泥は、消化槽で好気的に処理される。

 5 フロックの沈降性が低下すると、有機物の除去効率は下がる。






下水・汚水処理法は大きく2種類に分類されます。
すなわち、浮遊生物法と、生物膜法です。

活性汚泥法とは、浮遊生物法の一種です。
よって、生物膜法の一種ではないので、選択肢 1 は誤りです。


活性汚泥法とは、下水や汚水に活性汚泥を加え、空気を注入しながら
好気性微生物による生物学的浄化を行う処理法です。

好気性微生物は、細菌や原生動物が主体です。
よって、原生動物が存在するため、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 はその通りの記述です。
曝気槽において、有機物が除去されます。


余剰汚泥は、消化槽において、嫌気的に処理されます。
この処理は、生成物としてメタンなどが排出され、メタン発酵法と呼ばれます。
汚泥の一部は再利用されます。
よって、好気的には処理されないので、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。
沈降性のよいフロック(ふわふわの塊状の、有機物のこと)が形成されると
除去効率は高くなります。


以上より、正解は 3,5 です。






問140

PRTR制度に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 産業廃棄物の不法投棄を防止するためのものである。

 2 PRTR法で定められている第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質は、ともにPRTR制度の対象である。

 3 対象化学物質の届出排出先として、事業所における埋立処分の割合が最も大きい。

 4 国際的な対応として、バーゼル条約が発効している。

 5 対象化学物質のうち、届出排出量・移動量が最も多い化学物質はトルエンである。







PRTR制度とは、有害性が疑われる化学物質の流通、環境への排出量などを把握し、集計・公表する仕組みです。
よって、産業廃棄物の不法投棄を防止するためのもの、という制度とはいえないので、選択肢 1 は誤りです。


PRTR制度の対象製品の要件は、対象化学物質(第一種指定化学物質)を一定割合以上含有する製品です。
よって、第二種指定化学物質はPRTR制度の対象ではありません。
よって、選択肢 2 は誤りです。


対象化学物質の排出先としては、大気、及び事業所外への移動が大きな割合を占めています。
事業所における埋め立て処分は小さな割合しか占めていません。
よって、埋め立て処分の割合が最も大きくはないので、選択肢 3 は誤りです。


バーゼル条約とは、有害廃棄物の国際移動を規制する条約のことです。
PRTR制度は、規制を行う制度ではありません。
よって、国際的な対応として、バーゼル条約が発行しているとはいえません。
よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。
ちなみに上位2物質は トルエン、キシレンです。
例年この2物質は変動が見られません。(平成22年時点)

参考)
PRTRデータに関しては、環境省がまとめています。
上の、PRTRデータというテキストに貼られたリンク先を参照下さい。