問97-16~問97-25 解説一覧




問16

過剰に摂取すると、悪心、嘔吐、頭痛などを主症状とする急性中毒を起こすのはどれか。1つ選べ。

 1 ビタミンA    2 ビタミンB12    3 ビタミンD   
 4 ビタミンE    5 ビタミンK

ビタミンAの過剰症は、中枢症状(めまい、吐き気)、催奇形性(←このため、妊婦への投与は禁忌です)です。

ビタミンB12の過剰症は、あまり見られません。

ビタミンDの過剰症は、高Ca血症、腎障害です。

ビタミンEの過剰症は、あまり見られません。

ビタミンKの過剰症は、あまりありませんが、大量摂取で貧血や血圧低下などが見られます。

以上より、正解は 1 です。



問17
2005年以降の年齢階級別死亡率において、20歳〜29歳の死因の第1位はどれか。1つ選べ。

 1 悪性新生物     2 心疾患     3 脳血管疾患
 4 自殺        5 不慮の事故


現在(2012年現在)の日本の年齢別死因第1位は1~14歳が不慮の事故、15~39歳は自殺、40~89歳では悪性新生物です。

よって、正解は 4 です。


問18
疾病の二次予防に該当するのはどれか。1つ選べ。

 1 健康教室
 2 予防接種
 3 集団検診
 4 在宅機能訓練
 5 職場環境の改善


二次予防とは、疾病がまだ発症前期であり、重症化していない時に、早期に発見・処置する行為のことです。具体例としては、早期発見には健康診断などが挙げられます。早期治療には、早めの手術などが挙げられます。

よって、正解は 3 です。


ちなみに、一次予防とは、健康な段階で行う予防のことです。具体的には、栄養改善、環境保全や、予防接種などが挙げられます。

健康教室、予防接種、職場環境の改善は、一次予防です。

又、三次予防とは、重篤化した疾患から社会復帰するための行為のことです。具体例としては骨折した後のリハビリテーションや、がんの再発防止のための食生活習慣の改善などが挙げられます。

在宅機能訓練は、三次予防です。


問19
VDT (visual display terminal) 作業従事者に多くみられる健康障害はどれか。1つ選べ。

 1 熱中症
 2 職業性レイノー症候群
 3 頸肩腕症侯群
 4 難聴
 5 潜函病


特定の職業に従事することにより、罹患する確率が他と比べて高くなる病気の総称を職業病と呼びます
VDT作業に従事する労働者の、代表的な職業病は頸肩腕症候群です。
頸肩腕症候群とは、首筋から肩・腕にかけての痛みやしびれ感といった症状を訴える全ての症例の中で、検査などで病因が確定できないもののことです。

以上より、正解は 3 です。


ちなみに
熱中症は、金属精錬や金属溶融作業従事者の職業病として知られています。
※熱中症は、屋内、屋外問わず、高温や多湿の環境においておきる身体適応障害による症状の総称です。

職業性レイノー症候群は、振動する工具を使用する作業従事者の職業病として知られています。
白ろう病とも呼ばれます。
手指の血管収縮に伴い、血行不全となり、手指が蒼白になるといった症状がおきます。

難聴は、ブルドーザの運転手など、大きな音の中で働く作業従事者の職業病として知られています。
高い方の音から、耳の聞こえが悪くなっていきます。
悪化防止には、耳栓使用がかなり効果的です。
(参考: 耳栓の遮音性能をわかりやすく数値で表したものが NRR:Noise Reduction Rating です。
どれくらいの dB(デシベル。音の大きさの単位)を遮音するかを示します。 )

潜函病(せんかんびょう)は、水中など、高圧環境での作業者の職業病として知られています。
高圧環境での作業後、水上や地上に急に戻った時、血液に溶け込んだ窒素が気泡化して、組織の各所を圧迫したり血行を妨げたりする、ガス塞栓病のことです。
筋肉痛や知覚障害などが生じます。
ケーソン病、潜水病、減圧症とも呼ばれます。


問20
異物代謝において、メルカプツール酸生成に関与する酵素はどれか。1つ選べ。

 1 カテコールO-メチルトランスフェラーゼ
 2 グルタチオンS-トランスフェラーゼ
 3 スルホトランスフェラーゼ
 4 ロダネーゼ
 5 UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ

メルカプツール酸とは、以下の構造を持つ化合物の総称です。



メルカプツール酸は、代謝の第II相反応において、基質(異物)がグルタチオン抱合をうけた後、更にグルタチオン抱合体が代謝を受けてできる物質です。尿中に主に排泄される物質です。
よって、生成に関与する酵素は、グルタチオン抱合に関与する酵素である、グルタチオンS-トランスフェラーゼです。

以上より、正解は 2 です。


ちなみに、カテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT(コムト):catechol-O-methyltransferase)は、ドパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンなどのカテコラミンを分解する酵素です。

スルホトランスフェラーゼは、硫酸抱合に関与する酵素です。

ロダネーゼとは、硫黄転移酵素です。シアンの解毒に関わっている酵素です。

UDP(Uridine diphosphate glucuronic acid)-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT:UDP-Glucuronosyltransferase)は、グルクロン酸抱合に関与する酵素です。


問21
癌抑制遺伝子はどれか。1つ選べ。

 1 src    2 fos    3 kit    4 H-ras    5 p53

正常細胞のがん化を引き起こす遺伝子をがん遺伝子、がん化を抑えている遺伝子をがん抑制遺伝子と呼びます。

代表的ながん遺伝子としては、erbB1,src,H-ras が挙げられます。
代表的ながん抑制遺伝子としては、RB,p53,APCなどが挙げられます。

以上より、正解は 5 です。

ちなみに、fosはがん遺伝子です。


問22
メタロチオネインの構成アミノ酸のうち、約1/3を占めるのはどれか。1つ選べ。

 1 グリシン   2 メチオニン   3 トリプトファン
 4 システイン  5 アルギニン

重金属や活性酸素による障害を防ぐための代表的な生体防御因子の1つがメタロチオネインです。

メタロチオネインは金属結合性タンパク質です。
構成アミノ酸は61個であり、その約1/3がシステインです。

よって、正解は 4 です。


問23
ジエチル-p-フェニレンジアミン (DPD) 法による水道水中の残留塩素の測定において、DPDと速やかに反応して赤色を呈するのはどれか。1つ選べ。

 1 HClO  2 NH2Cl  3 NHCl2  4 NCl3  5 CHCl3


残留塩素とは、遊離残留塩素及び結合残留塩素のことです。
遊離残留塩素とは、HClO(次亜塩素酸)、ClO(次亜塩素酸イオン)のことです。
結合残留塩素とは、クロラミン(アンモニアの水素原子を、塩素原子でおきかえた化合物のこと。NH2Cl,NHCl2,NCl3)のことです。

残留塩素が少なすぎると殺菌効果が低く、高すぎると嫌な臭いや味がします。

測定法はDPD(dietyl-p-phenylendiamine :ジエチル-p-フェニレンジアミン)法です。
速やかに反応するのは、遊離残留塩素です。
すなわち、HClO、ClOです。

よって正解は 1 です。 


問24
大気汚染に係る環境基準の項目として、設定されていないのはどれか。1つ選べ。

 1 一酸化炭素    2 二酸化硫黄    3 浮遊粒子状物質
 4 二酸化窒素    5 二酸化炭素


大気汚染に関わる環境基準の項目は、環境基本法により定められています。
大気汚染に関する環境基準が定められている物質には、SO2、CO、NO2、光化学オキシダント、浮遊粒子状物質(SPM:Suspended Particulate Matter)、微小粒子状物質、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、ダイオキシンがあります。
※CO2は、ここに含まれません。

よって、正解は 5 です。


問25
医療機関より廃棄される“血液の付着したガーゼ(未滅菌)”が該当する区分として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 1 産業廃棄物       2 特別管理産業廃棄物    3 事業系一般廃棄物
 4 家庭系一般廃棄物    5 特別管理一般廃棄物

廃棄物の分類は、以下のようになります。


医療廃棄物は、内容物により、一般廃棄物か産業廃棄物かに分類されます。
包帯、ガーゼなどに関しては一般廃棄物です。
廃油、ゴム手袋、注射針、ガラスなどは産業廃棄物です。

又、血液が付着していて未滅菌であることから、感染性があります。

以上より、該当区分としては特別管理一般廃棄物となります。

よって、正解は 5 です。