問97-196~97-225 解説一覧


問196

脂質異常症の患者。スタチン系薬単剤で治療を続けるも低密度リポタンパク質コレステロール (LDL-C) がコントロール不良であり、主治医はコレスチミド錠を処方に追加した。


(実務)

 医師よりコレスチミド錠に関する問い合わせがあった場合に、情報提供として適切なのはどれか。2つ選べ


1 十分量の温水にて服用させるように伝える。

 2 胆道が完全閉塞している患者には禁忌であることを伝える。

 3 腸管からは吸収されないことを説明する。

 4 腎機能が低下した患者には用量調節が必要であることを伝える。

 5 トリグリセリド値も低下させる作用があることを説明する。





コレスチミドは、温水で飲むと、ふくらんで飲み込めない場合があるので
水または冷水で、すぐに飲むように指導する必要がある薬です。

よって、温水にて服用させるように伝えるのは適切ではないため
選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2,3 はその通りの記述です。
コレスチミドは、胆道が完全閉塞している患者には、禁忌です。
又、この薬は、体内に吸収されず、腸管で作用する薬です。


コレスチミドは、体内に吸収されないことから、腎代謝と関係がありません。
よって、腎機能が低下した患者に対して用量調節が必要であると伝えるのは
適切ではないため、選択肢 4 は誤りです。


コレスチミドは、陰イオン交換樹脂です。
コレステロールを低下させます。
中性脂肪は下げません。

よって、トリグリセリド値も低下させる作用があることを説明するのは
適切ではないため、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,3 です。






問197

脂質異常症の患者。スタチン系薬単剤で治療を続けるも低密度リポタンパク質コレステロール (LDL-C) がコントロール不良であり、主治医はコレスチミド錠を処方に追加した。


(物理・化学・生物)

 その後、この患者は、ワルファリンカリウム錠の投与が必要となった。ワルファリンはコレスチミドと併用すると吸収が阻害されることがある。その主な物理化学的要因はどれか。1つ選べ。


 1 共有結合

 2 水素結合

 3 配位結合

 4 疎水結合

 5 イオン結合






コレスチミドは、陰イオン交換樹脂です。
よって、相互作用するとすれば、イオン結合がその主な物理化学的要因であると
考えられます。


以上より、正解は 5 です。






問198

10歳男児。体重30 kg。A群溶連菌咽頭炎の診断を受けた。軽度の腎機能障害あり。ペニシリンアレルギーがあることからエリスロマイシンラクトビオン酸塩注射液が処方された。


(実務)

 医師への情報提供の内容として、不適切なのはどれか。

1つ選べ。


 1 副作用としてQT延長が現れることがある。

 2 初回投与時は、ショックやアナフィラキシー様症状に注意する。

 3 腎機能に基づいて投与量を設定する。

 4 2時間以上かけて点滴静注で投与する。

 5 静脈内投与する場合でも胃腸障害に注意する。






エリスロマイシンは、マクロライド系の抗生物質です。
リボソームの50Sサブユニットに結合することで
細菌のタンパク合成を阻害することによって、静菌的に働きます。

エリスロマイシンは、副作用としての消化器症状に注意が必要です。
ごくまれにですが、ショックやアナフィラキシー様症状、QT延長といった
重篤な副作用がおきることがあります。

静脈注射する時は、血管痛が強く、1時間以上かけてゆっくりと点滴することが
推奨されます。

CYP3A4で代謝されるため、肝代謝であり、相互作用に注意が必要です。


以上より、腎機能に基いて投与量を設定する必要はないので
選択肢 3 は誤りです。



よって、正解は 3 です。






問199

10歳男児。体重30 kg。A群溶連菌咽頭炎の診断を受けた。軽度の腎機能障害あり。ペニシリンアレルギーがあることからエリスロマイシンラクトビオン酸塩注射液が処方された。


(物理・化学・生物)

 エリスロマイシンラクトビオン酸塩注射液の調製に際して、バイアル中の粉末を生理食塩液ではなく、注射用水で溶解させてから使用することになっている。その理由として、正しいのはどれか。

1つ選べ。


 1 食塩存在下では、エリスロマイシンの分解が促進され、力価が低下する。

 2 生理食塩液では塩析が起こるので、エリスロマイシンを溶解させることができない。

 3 生理食塩液は緩衝作用が弱いので、調製液のpHが大きく変動する。

 4 Na+がエリスロマイシンの溶解補助剤と配位結合し、不溶の複合体を形成する。

 5 Clがエリスロマイシンと反応し、力価を低下させる。






エリスロマイシン注射液は、注射用水で 5% 溶液をつくり、これにブドウ糖注射液や
生理食塩液等で希釈します。 

よって、生理食塩液の成分であるNa+やCl-とエリスロマイシンや、溶解補助剤と
反応するわけではありません。

よって、選択肢 1,4,5 は誤りです。


又、3 の前半はその通りですが、注射用水も緩衝作用が強いわけではないので
調製液のpHの変動が理由ではないと考えられます。

よって、選択肢 3 は誤りです。



以上より、正解は選択肢 2 です。






問200

原発開放隅角緑内障の患者が、以下の内容の処方せんを保険薬局に持参した。患者インタビューの結果、ベンゾジアゼピン系薬の服薬歴があることが確認された。

 (処方1)

   ラタノプロスト 0.005 % 点眼液 2.5 mL 1本

      1日1回 両眼 点眼1回1滴

 (処方2)

   カルテオロール塩酸塩 2 % 点眼液 5 mL 1本

      1日2回 両眼 点眼1回1滴

 (処方3)

   アセタゾラミド錠 250 mg 1回1錠(1日2錠)

      1日2回 朝夕食後 14日分


(実務)

 この患者に関する情報収集と服薬指導の内容として、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


 1 ラタノプロスト点眼液の投与により色素沈着が起こる可能性がある。

 2 気管支ぜん息の有無を確認する。

 3 ベンゾジアゼピン系薬の併用は禁忌である。

 4 点眼液の併用時は、5分間以上の間隔をあけて点眼する。

 5 アセタゾラミド錠の服用により、四肢のしびれが生じることがある。





ラタノプロスト(キサラタン)は、緑内障治療薬の目薬です。

成分が皮膚につくことで、皮膚の色素沈着や、まつげの多毛化が副作用として知られています。

このため、入浴前に点眼したり、目薬使用後、すぐに清潔なティッシュやガーゼでよく拭きとるとよいです。



又、動物実験において、一過性の気道抵抗の増加が起きており、気管支喘息の患者には

慎重投与となっています。



緑内障治療薬は、2種類以上の点眼剤が出ることもよくあります。

点眼剤の併用時には、薬があふれてしまわないように、5分間以上間隔をあけて

点眼するよう指導する必要があります。



アセタゾラミドは、炭酸脱水酵素阻害剤です。

房水の産生を抑えることで眼圧を下げます。

比較的多い(25.9%)副作用として、四肢の知覚異常があります。

ただ、これはとくに重大な副作用ではなく、服用を続けるにしたがって

慣れていき、しびれ感が軽減されることも多いようです。



特にベンゾジアゼピン系の薬と併用禁忌である薬はありません。



以上より、正解は 3 です。




問201

原発開放隅角緑内障の患者が、以下の内容の処方せんを保険薬局に持参した。患者インタビューの結果、ベンゾジアゼピン系薬の服薬歴があることが確認された。

 (処方1)

   ラタノプロスト0.005 % 点眼液 2.5 mL 1本

      1日1回 両眼 点眼1回1滴

 (処方2)

   カルテオロール塩酸塩 2 % 点眼液 5 mL 1本

      1日2回 両眼 点眼1回1滴

 (処方3)

   アセタゾラミド錠 250 mg 1回1錠(1日2錠)

      1日2回 朝夕食後 14日分


(物理・化学・生物)

アセタゾラミドは、HCO3− と H2COの濃度バランスを変化させることにより、アシドーシスを引き起こすと考えられている。血漿の pH が 7.4 であるとき、血漿中の HCO3− 濃度は、H2COの濃度の何倍か。

最も近い値を1つ選べ。

 ただし、H2COは、以下の式に従って解離し、その pKa は 6.1 とする。

また、log102 = 0.30、log103= 0.48とする。

 H2CO3 ⇄ H+ + HCO3-


 1 0.05    2 1.3    3 10    4 13    5 20





弱酸の pH , pKa が与えられているので

Henderson-Hasselbalch(ヘンダーソン・ハッセルバルヒ)の式を使います。

式は、以下の通りになります。



与えられた数字を代入すると

なので、[HA] を 1 とすれば [A-] は、101.3であるはずです。

さて、101.3 とは、どれくらいの数字かということを考えます。


101.3 は、10乗すれば、 1013です。

又、明らかに 101.3 は、10よりは大きいと考えられます。

ここで、選択肢を見ると、10より大きいのは 13 か 20 です。


そこで、1310 と2010 を考えます。

計算しやすそうなので、先に 2010 を考えると

2010 = (2×10)10 = 1024 ×1010 ≒ 1000 × 1010 = 1013

なので、20 が正解であると考えられます。



以上より、正解は 5 です。



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問202

55歳男性。血液透析を受けている。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症の治療のため、テイコプラニンの投与が開始された。


(実務)

 テイコプラニンに関する薬剤情報として、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


 1 作用は殺菌的である。

 2 血中濃度モニタリングは、最低血中濃度を指標として行う。

 3 薬剤の効果は時間依存的である。

 4 初回は、急速なワンショット静注で投与する。

 5 腎機能障害患者では、血中半減期が延長する。






テイコプラニンは、グリコペプチド系抗生物質です。
細菌の細胞壁のペプチドグリカン合成を阻害することにより
殺菌的に作用します。
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に対し、優れた抗菌力を示します。


本剤によるショック、及びレッドマン症候群(顔や体の紅斑性充血など)が報告されているので
30分以上かけて、様子を見つつ点滴静注します。


TDMを行うことが望ましい医薬品です。
トラフレベル、すなわち、最低血中濃度を指標とします。
時間依存性作用を持つと言われています。


腎排泄型の薬剤で、腎機能障害者では血中半減期が延長します。
そのため、Ccr に応じた投与法が定められています。



よって、初回に急速なワンショット静注は行わないので
誤っている選択肢は 4 です。







問203

55歳男性。血液透析を受けている。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症の治療のため、テイコプラニンの投与が開始された。


(物理・化学・生物)

 テイコプラニンの血中濃度の測定には、通常、免疫測定法が利用される。

免疫測定法に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 免疫測定法は、多成分の一斉分析に適している。

 2 ELISA (Enzyme–Linked Immunosorbent Assay)とは、酵素に特異的な抗原を検出・定量する方法である。

 3 通常用いられるのは、IgGクラスの抗体である。

 4 モノクローナル抗体を用いる系では、交差反応性は認められない。

 5 均一系免疫測定法は、B (bound) / F (free)分離を必要としない。






免疫測定法とは、抗原と抗体の反応を利用して測定する方法の総称です。

特徴としては、特異性の高い正確な試験を実施することができる点があげられます。
一成分の分析に適しており、多成分の一斉分析に適してはいません。
よって、選択肢 1 は誤りです。


ELISAとは、酵素タンパクと結合させた抗体を利用した、免疫測定法の一種です。
酵素タンパクは、検出のために結合されており、簡単に蛍光を発色するような酵素などを結合させます。
検出することができるのは、抗体に特異的な抗原です。
よって、酵素に特異的な抗原を検出するわけではないので、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は、その通りの記述です。
免疫グロブリンは、大きく5つに分類されます。
IgGは、その中でも、血しょう中に最も多い抗体です。


交差反応とは、抗体が、その免疫原とは異なる、別の抗原と結合することです。
これは、モノクローナル抗体を用いる系でも、類似した抗原決定基が存在する場合において
起こりうるので、交差反応性が認められないわけではありません。
よって、選択肢 4 は誤りです。


B/F分離とは、抗体と結合している抗原と、抗体と結合していない抗原を分ける操作です。
この操作を行わないような免疫反応系を、均一系免疫測定法と呼びます。


以上より、正解は 3,5 です。





問204

60歳男性。以下の薬剤が処方されている。労作性狭心症の診断のため、イオパミドールを用いて造影検査を実施することになった。

 (処方)

   アムロジピンベシル酸塩錠 5 mg 1回1錠(1日1錠)

   メトホルミン塩酸塩錠 250 mg  1回1錠(1日1錠)

                   1日1回 朝食後7日分


(実務)

 この患者に対する情報提供の内容として、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 アムロジピンベシル酸塩は、持続使用により耐性を生じるので定期的に休薬する。

 2 検査の2日前からメトホルミン塩酸塩錠を休薬する。

 3 イオパミドールの投与直後に血圧低下や呼吸困難が現れた場合、すぐに治まるので処置は不要である。

 4 検査の数日後に、遅発性のアレルギー症状が現れることがある。






アムロジピンベシル酸塩は、カルシウム拮抗薬です。
連続投与でも耐性が発言しないことが、各種高血圧病態モデルにおいて認められています。
よって、選択肢 1 は誤りです。


ヨード造影剤を用いて検査を行う患者について、メトホルミンの併用で
乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、メトホルミン投与を一時中止するよう
併用注意とされています。


イオパミドールは、ショック等の重篤な副作用があらわれることがあるとして
警告が出ています。投与直後に血圧低下や呼吸困難が現れた場合、早急に処置が必要です。
よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 はその通りの記述です。



以上より、正解は 2,4 です。






問205

60歳男性。以下の薬剤が処方されている。労作性狭心症の診断のため、イオパミドールを用いて造影検査を実施することになった。

 (処方)

   アムロジピンベシル酸塩錠 5 mg 1回1錠(1日1錠)

   メトホルミン塩酸塩錠 250 mg  1回1錠(1日1錠)

                   1日1回 朝食後7日分


(物理・化学・生物)

 画像診断薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 X線造影剤として硫酸バリウムが利用されるのは、X線のバリウム原子に対する透過性が高いからである。

 2 MRI造影剤として常磁性物質を利用するのは、常磁性物質がプロトンのT及びT 緩和時間を変化させるからである。

 3 超音波診断用の造影剤は、エコー信号を増強させる。

 4 14Cは、PET検査で用いられるポジトロン放出核種である。






X線は、そのままだと通過してしまうため、X線を吸収するバリウムを飲んで撮影します。

よって、X線のバリウム原子に対する透過性は高くないので、選択肢 1 は誤りです。


常磁性物質とは、外部磁場にさらされると磁化するような物質です。

MRI造影剤として常時性物質が用いられるのは、常時性物質がT1、T2 緩和時間を変化させるためです。


ちなみに、MRIの原理は、原子を構成する原子核(特に1H、すなわち、 水、及び脂肪におけるプロトン)

が磁石のような性質を持つことを利用して

1:強磁場をかける→整列させられる

2:照射をやめる→元に戻ろうとする(緩和すると呼ぶ。方向によって、T1緩和、T2緩和と呼ぶ)

この戻り方が、各組織によって異なるので、それを画像化するというものです。


造影剤を使う理由は、診断における情報量を増やすためです。

具体的には、細かい血管の描出のためのコントラスト増加や

脳腫瘍のような造影剤の取り込みが行われる場合に用いられます。

選択肢 3 はその通りの記述です。


14Cは、年代測定法において用いる炭素の放射性同位体です。

PET検査で用いられるのは、11Cです。

よって、選択肢 4 は誤りです。



以上より、正解は 2,3 です。



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問206

64歳男性。高血圧症と診断された。

シュウ酸カルシウム結石による激痛を経験し、再発を恐れている。

 この患者の高血圧を利尿薬で治療するにあたり、医師からの求めに応じて

適切な薬剤の選択と結石の再発予防のための注意点についで情報を提供した。


(実務)

 提供すべき情報のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。


 1 シュウ酸カルシウム結石の予防作用を併せ持つ降圧利尿薬として、アセタゾラミドが適している。

 2 シュウ酸カルシウム結石の予防作用を併せ持つ降圧利尿薬として、ヒドロクロロチアジドが適している。

 3 シュウ酸カルシウム結石の予防薬として、尿中でシュウ酸カルシウムと可溶性の複合体を形成するマグネシウム製剤が有効である。

 4 シュウ酸を多く含む食品の摂取は、シュウ酸カルシウム結石を誘発するので避けるべきである。

 5 カルシウムを多く含む食品は、シュウ酸の吸収を抑えるので摂取してもかまわない。





アセタゾラミドは、炭酸脱水酵素阻害剤です。
シュウ酸カルシウム結石の予防作用は、併せ持ちません。
よって、選択肢 1 は誤りです。


その他の選択肢は、その通りの記述です。


以上より、正解は 1 です。






問207

64歳男性。高血圧症と診断された。シュウ酸カルシウム結石による激痛を経験し、再発を恐れている。

 この患者の高血圧を利尿薬で治療するにあたり、医師からの求めに応じて、適切な薬剤の選択と結石の再発予防のための注意点についで情報を提供した。


(物理・化学・生物)

 尿路結石にはシュウ酸カルシウム結石のほかに、リン酸カルシウム結石、シスチン結石などがある。結石の構成成分の化学的性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 シュウ酸カルシウムを希硫酸に溶解させると、二酸化炭素を発生し分解する。

 2 シュウ酸イオンは2座配位子として金属に配位し、キレートを形成する。 

 3 日本薬局方のpH測定法で規定されるリン酸塩pH標準液のpH値は、シュウ酸塩pH標準液のpH値よりも小さい。

 4 シスチンを酸化するとシステインが生成する。





シュウ酸カルシウムを希硫酸に溶解させると、シュウ酸と、硫酸カルシウムができます。
よって、二酸化炭素は発生しないので、誤りです。
化学式は、以下のようになります。

\mathrm{CaC_2O_4 + H_2SO_4 \longrightarrow H_2C_2O_4 + CaSO_4}


シュウ酸は、2 個のOが電子供与体となる、二座配位子です。
金属に配位し、キレートを形成します。


日本薬局方には、6 種の pH 標準液が記載されています。
pH が低い方から、シュウ酸(pH 1.68 )、フタル酸(pH 4.00)、リン酸(pH 6.88)、ホウ酸(pH 9.22)
炭酸(pH 10.07)、水酸化カルシウム(pH 12.63) 
※温度20℃
です。

よって、リン酸塩 pH 標準液の方が、値が大きいので、選択肢 3 は誤りです。


シスチンとは、2 分子のシステインが、チオール基(-SH 基)の酸化によって
ジスルフィド結合( S - S )を介してつながった構造を持つ化合物です。
シスチンを還元すると、2 分子のシステインが得られます。

よって、シスチンを酸化するとシステインが生成するわけではないので
選択肢 4 は誤りです。



よって、正解は 2 です。







問209

50歳男性。定期健康診断にて脂質異常症を指摘され、スタチン系薬剤による治療を開始することになった。


(物理・化学・生物)

 プラバスタチンナトリウムは、生体内で3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA (HMG−CoA) からメバロン酸が生成する反応を触媒する酵素Aに作用する。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 1 酵素AがHMG−CoAを還元すると、メバロン酸が生成する。

 2 HMG−CoA 及びメバロン酸の矢印で示した不斉炭素原子は、いずれもS配置である。

 3 プラバスタチンナトリウムは、[  ]で囲んだ部分がHMG−CoAとの構造類似性が高いため、酵素Aを競合阻害する。

 4 プラバスタチンナトリウムの環状部位は、親水性を示す。






HMG-CoAとメバロン酸を比較してみると
カルボニル基(C=O)が、ヒドロキシル基(-OH)へと変わっています。
これは還元です。


左側が S 配置、右側が R 配置なので、誤りです。
立体配置をきちんと読み取らなくても、異なる部分に注目すると
優先順位が下がっており、立体配置が HMG-CoA とメバロン酸では
別であると判断すれば、「いずれも S 配置」ではないと考えることができると思われます。
 
よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 はその通りの記述です。
スタチン系薬物は、HMG-CoA還元酵素と、競合的に拮抗します。


環状炭化水素は、炭化水素なので、親水性ではなく、疎水性を示すと考えられます。
よって、選択肢 4 は誤りです。 



以上より、正解は 1,3 です。






問210

53歳男性。進行期パーキンソン病の患者。以下の薬剤が処方されている。


 (処方)

   レボドパ・カルビドパ配合錠 100 mg  1回2錠(1日6錠)

   エンタカポン錠 100 mg        1回2錠(1日6錠)

   ペルゴリドメシル酸塩錠 250 μg    1回1錠(1日3錠)

   アマンタジン塩酸塩錠 50 mg      1回2錠(1日6錠)

                       1日3回 朝昼夕食後

   セレギリン塩酸塩錠 2.5 mg       1回2錠(1日4錠)

                       1日2回 朝昼食後


(実務)

 それぞれの薬剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 カルビドパは、レボドパの消化管吸収を高めるために配合されている。

 2 エンタカポンは、パーキンソン病の症状の日内変動(wearing-off現象)を改善する。

 3 ペルゴリドは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と併用禁忌である。

 4 アマンタジンは、抗A型インフルエンザ薬としても用いられる。

 5 セレギリンの服用中は、必ず定期的に心エコー検査を行う。







カルビドパは、脱炭酸酵素阻害剤です。
抹消におけるレボドパの分解を阻害する目的で配合されています。
よって、レボドパの消化管吸収を高めるためではないので
選択肢 1 は誤りです。


エンタカポン(コムタン)は、COMT(Cathecol-O-methyl transferase)阻害薬のひとつです。
COMT を阻害し、末梢におけるレボドパの分解を阻害することにより、レボドパの
脳内以降を高めます。症状の日内変動の改善が適応です。


ペルゴリドは、ドパミン作動薬です。
麦角系アルカロイドの一種です。
抗パーキンソン薬で、SSRI との併用が禁忌であるものは、セレギリンです。
よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 はその通りの記述です。


セレギリンは、MAO-B(monoamine oxidase B)阻害薬です。
抗パーキンソン薬で、定期的に心エコー検査をする薬は、カベルゴリンなどです。
よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,4 です。







問211

53歳男性。進行期パーキンソン病の患者。以下の薬剤が処方されている。


 (処方)

   レボドパ・カルビドパ配合錠 100 mg  1回2錠(1日6錠)

   エンタカポン錠 100 mg           1回2錠(1日6錠)

   ペルゴリドメシル酸塩錠 250 μg      1回1錠(1日3錠)

   アマンタジン塩酸塩錠 50 mg       1回2錠(1日6錠)

                                    1日3回 朝昼夕食後

   セレギリン塩酸塩錠 2.5 mg         1回2錠(1日4錠)

                                    1日2回 朝昼食後


(物理・化学・生物)

 レボドパとその関連化合物に関する記述のうち、正しいのはどれか。

1つ選べ。



 1 レボドパの名称は (S)−3−(3,4−dihydroxyphenyl) valineである。

 2 レボドパは副腎皮質でトリプトファンから合成される。

 3 レボドパが脱炭酸されると、ドパミンが生じる。

 4 ドパミンのベンジル位がヒドロキシ化されるとアドレナリンが生じる。

 5 ノルアドレナリン及びアドレナリンを含む一部の生体アミンをフェノールアミンとよぶ。






(S)-2-amino-3-(3,4-dihydroxyphenyl) propanoic acid
なので、選択肢 1 は誤りです。

正式な名称がわからなくても、バリンの構造と比較することで
誤りであると判断できるのではないかと考えられます。


レボドパは、L-チロシンから合成されます。
よって、トリプトファンから合成されるわけではないので
選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 はその通りの記述です。


ドパミンのベンジル位がヒドロキシ化されると、ノルアドレナリンが生じます。
よって、アドレナリンが生じるわけではないので、選択肢 4 は誤りです。


ノルアドレナリン及びアドレナリンのように
カテコール(オルト位に、ヒドロキシ基を持ったフェノール)とアミンを持った化合物は
カテコールアミンと総称されます。

よって、フェノールアミンではないので、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3 です。







問212

55歳男性。痛風の治療のため、以下の薬剤が処方されている。

 (処方)

   ベンズブロマロン錠 25 mg  1回1錠(1日3錠)

                  1日3回 朝昼夕食後

   クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合散(1 g/包)

                  1回1包(1日3包)

                  1日3回 朝昼夕食後


(実務)

 痛風治療に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。


 1 プリン体を多く含む食品の摂取は避ける。

 2 プリン体をほとんど含まない蒸留酒の摂取は控えなくてもよい。

 3 ベンズブロマロン投与開始後少なくとも6ヶ月間は必ず定期的に肝機能検査を行う必要がある。

 4 クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム製剤は、酸性尿を改善するために用いられる。

 5 血清尿酸値4〜6 mg/dLを目標とする。






痛風治療においては、プリン体を多く含む食品をできるだけ避けるようにします。

プリン体とは、拡散を構成する成分の一つです。

最終的に体内で分解されて尿酸になります。

レバー、青魚、ビールなどに多く含まれます。



蒸留酒、すなわちウィスキーやブランデー、焼酎には、プリン体はほとんど含まれていません。

しかし、アルコールそのものに、尿酸値を上げる作用があるため、飲み過ぎは控えるべきと考えられます。

よって、選択肢 2 は誤りです。



ベンズブロマロンは、劇症肝炎が主に投与開始6ヶ月以内に発現するので

少なくとも6ヶ月間は必ず定期的に肝機能検査を行うよう、添付文書に警告されています。



選択肢 4,5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 2 です。




問213

55歳男性。痛風の治療のため、以下の薬剤が処方されている。

 (処方)

   ベンズブロマロン錠 25 mg  1回1錠(1日3錠)

                  1日3回 朝昼夕食後

   クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合散(1 g/包)

                  1回1包(1日3包)

                  1日3回 朝昼夕食後


(物理・化学・生物)

 痛風発作の原因となる化合物の構造はどれか。1つ選べ。



痛風発作の原因となるのは、尿酸です。


選択肢 1 の化合物は、尿素です。


選択肢 2 の化合物は、シアヌル酸です。


選択肢 3 の化合物は、尿酸です。


選択肢 4 の化合物は、キサントプリテンです。


選択肢 5 の化合物は、ニコチン酸です。


参考)ちなみに、このような化合物の構造式について検索する時は
CH4N2Oのように、化学式にして検索すると見つかりやすいです。
もっといい方法があるのかもしれませんが。。。



以上より、正解は 3 です。







問214

医師から、感冒の患者に麻黄湯、小青竜湯を処方する際に

どのような点に注意すべきか確認したい旨の問い合わせがあった。


(実務)

医師に伝えるべき注意点として、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 下痢、軟便のある患者の場合、症状を悪化させることがある。

 2 モノアミン酸化酵素阻害剤やカテコールアミン製剤との併用により、神経刺激作用が増強され、不眠や発汗過多になることがある。

 3 炎症性疾患の患者では症状を悪化させることがある。

 4 肝硬変又は肝癌の患者には使用禁忌である。

 5 ループ系利尿薬やチアジド系利尿薬との併用により、低K+血症が増強されることがある。





消化器症状として、食欲不振、悪心などがあらわれることがありますが、下痢、軟便の症状悪化は

知られていません。

選択肢 1 は誤りです。



麻黄湯の有効成分であるエフェドリンとの相互作用によって

モノアミン酸化酵素阻害剤やカテコールアミン製剤との併用により

神経刺激作用が増強され、不眠や発汗過多になることがあります。



麻黄湯、小青竜湯には、抗炎症作用などが認められています。

よって、選択肢 3 は誤りです。



麻黄湯、小青竜湯は、高度の腎障害のある患者に慎重投与となっています。

肝硬変又は肝癌の患者に使用禁忌であるということはありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 2,5 です。



問215

医師から、感冒の患者に麻黄湯、小青竜湯を処方する際に

どのような点に注意すべきか確認したい旨の問い合わせがあった。


(物理・化学・生物)

 問214(第97回)の根拠となる配合生薬中の成分はどれか。

2つ選べ。


 1 グリチルリチン酸

 2 サイコサポニン類

 3 アコニチン

 4 l - エフェドリン

 5 センノシド類






モノアミン酸化酵素阻害剤や、カテコールアミン製剤との併用が問題となるのは
麻黄に含まれるエフェドリンという成分です。

又、低K+血しょうが問題となる成分は、カンゾウに含まれるグリチルリチンです。



以上より、正解は 1,4 です。






問216

40歳女性。高コレステロール血症の改善のため、処方1で治療を行っていたが

治療効果不十分のため、処方2が追加となった。


 (処方1)

   ロスバスタチンカルシウム錠 5 mg   1回1錠(1日1錠)

                       1日1回 夕食後 28日分

 (処方2)

   エゼチミブ錠 10 mg          1回1錠(1日1錠)

                       1日1回 夕食後 28日分


(実務)

 この処方に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 両薬剤の服用時間をずらす必要があるため、医師に疑義照会した。

 2 処方の追加により十分な効果が期待できるため、生活習慣の改善努力は必要ないことを患者に伝えた。

 3 ロスバスタチンカルシウム錠を夕食後に服用することが望ましい理由として、コレステロールの生合成が夜間に亢進するため、より高い効果が期待できることを患者に説明した。

 4 両薬剤とも横紋筋融解症のリスクがあるため、患者に筋肉痛や脱力感などの副作用症状に気をつけるよう伝えた。





ロスバスタチンは、スタチン系のコレステロール低下薬です。

エゼチミブは、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬です。

これらの薬剤の服用時間をずらす必要はありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。



高コレステロール血症においては、運動療法や、生活習慣の改善は

大切です。薬を飲み始めても、不摂生をしては意味がありません。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3,4 はその通りの記述です。



以上より、正解は 3,4 です。




問217

40歳女性。高コレステロール血症の改善のため、処方1で治療を行っていたが

治療効果不十分のため、処方2が追加となった。


 (処方1)

   ロスバスタチンカルシウム錠 5 mg   1回1錠(1日1錠)

                       1日1回 夕食後 28日分

 (処方2)

   エゼチミブ錠 10 mg          1回1錠(1日1錠)

                       1日1回 夕食後 28日分


(物理・化学・生物)

 コレステロール及びリポタンパク質に関する記述のうち、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


 1 健常人の血清中で、総コレステロールの50%以上は低密度リポタンパク質 (LDL) に含まれる。

 2 健常人の血清中では、コレステロールのエステル型は遊離型よりも多く存在する。

 3 血中の大部分のコレステロールエステルは、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラ一ゼ (LCAT) により生成される。

 4 キロミクロンは、主に末梢組織からコレステロールを受け取り肝臓へ運搬する。

 5 肝臓では、主にアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ (ACAT) によりコレステロールエステルが生成される。







総コレステロールの正常値は 130 ~ 200 mg/dl
LDLコレステロールの正常値は 70 ~ 120mg/dl
です。よって、50%以上がLDLに含まれるといってよいと考えられます。


選択肢 2,3 はその通りの記述です。


キロミクロンとは、脂質を取り込むタンパク質です。
小腸粘膜細胞に取り込まれた脂質を取り込み、リンパ管へ送られます。

小腸から組織への輸送を司っており、抹消から肝臓への輸送ではありません。
よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 4 です。






問218

50歳男性。脳梗塞後の再発予防のため、以下の薬剤が処方された。

 (処方)

   シロスタゾール錠 100 mg        1回1錠(1日2錠)

                       1日2回 朝夕食後 7日分


(実務)

 この患者に関する記述のうち、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


 1 脳梗塞の発症には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動、喫煙、多量の飲酒などが危険因子となる。

 2 患者に、通常よりも出血しやすくなることを説明し、異常な出血が認められた場合には医師に連絡するよう注意を促す。

 3 他院(他科)を受診する際には、本剤を服用していることを医師に必ず伝えるよう患者に注意を促す。

 4 プロスタグランジンE1製剤の併用は、出血を助長することがある。

 5 オメプラゾールの併用は、シロスタゾールの作用を減弱することがある。






脳梗塞は、脳を栄養する動脈の閉塞又は狭窄による脳虚血です。
危険因子としては、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、心房細動などが挙げられています。
又、多量の飲酒も、危険因子となります。


シロスタゾール(プレタール)は、ホスホジエステラーゼ阻害により作用する抗血小板薬です。
脳梗塞後の治療に用いられます。
出血を助長するおそれがあるので注意が必要な薬です。
他科受診の際には、服用中であることを伝えるよう指導する必要があります。


選択肢 4 はその通りの記述です。
プロスタグランジンE1 製剤は、抗血小板薬です。
リマプロスト(オパルモン)などが代表的な薬です。


オメプラゾールは、CYP3A4 を阻害するため、作用が増強されることがあります。
よって、作用を減弱するわけではないので、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 5 です。


問219

50歳男性。脳梗塞後の再発予防のため、以下の薬剤が処方された。

 (処方)

   シロスタゾール錠 100 mg        1回1錠(1日2錠)

                       1日2回 朝夕食後 7日分


(物理・化学・生物)

 脳梗塞の発症には、生体の止血機構が関わっている。

止血機構に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 血小板から放出されるトロンボキサンA2により、血管平滑筋が収縮する。

 2 血小板内のサイクリックAMP (cAMP) 量が増加すると、血小板凝集が促進される。

 3 血小板が活性化されると、主な生理活性物質としてヒスタミン及び血小板活性化因子 (PAF) が放出される。

 4 血管内皮細胞で産生されたプロスタグランジンI2の作用により、強固な血小板血栓が形成される。

 5 血小板血栓の周囲でフィブリノーゲンからフィブリンが形成され、血液凝固が進行する。







選択肢 1 はその通りの記述です。


血小板内のcAMP量が増加すると、血小板凝集が抑制されます。
よって、凝集が促進されるわけではないので、選択肢 2 は誤りです。


血小板の活性化によって放出されるのは、ADP やセロトニンです。
よって、ヒスタミンではないので、選択肢 3 は誤りです。

ちなみに、PAF は、血小板を含めた様々な細胞から放出されます。
血しょう中では、速やかに分解されます。


プロスタグランジン(PG) I2 の役割は、血管拡張及び、血小板合成阻害作用です。
血小板凝集作用を示すのはPGD2 、PGH2 などです。
よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 1,5 です。







問220

ヒトの血糖及びその調節に関する以下の問に答えよ。


(物理・化学・生物)

 糖代謝に関する記述のうち、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


 1 血液中のD-グルコースは、脳の活動にとって必須の物質である。

 2 筋肉で生成した乳酸は、肝臓に運ばれてD-グルコースヘと変換される。

 3 グリコーゲンは、UDP-グルコ一スを基質とし、グリコーゲンシンターゼの作用により合成される。

 4 筋肉では、グリコーゲンが分解され、血液中にD-グルコースが放出される。

 5 アドレナリン(エピネフリン)により、肝臓から血液中へのD-グルコースの放出が促進される。







選択肢 1 ~ 3 は、その通りの記述です。

筋肉で生成した乳酸が、肝臓に運ばれ、グルコースへと変換される経路は
コリ回路と呼ばれます。


グリコーゲンの分解によって生じるのは、グルコース-1-リン酸です。
よって、D-グルコースが生成されるわけではないので
血中に放出されるのも、D-グルコースではないと考えられます。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、その通りの記述です。

肝臓は、空腹期間などにおいて、糖新生によりグルコースを供給しています。
一方で、食事の直後はインスリンによって、グリコーゲン分解や糖新生は抑制されます。
つまり、肝臓によるグルコース放出は、各種のホルモンによって調節されます。
グルコース放出を促進する代表的なホルモンは、アドレナリンやグルカゴンです。



以上より、正解は 4 です。






問221

(実務)

 高血糖の患者の症状を悪化させる可能性のある薬物はどれか。

2つ選べ。


 1 メトトレキサート

 2 クエチアピンフマル酸塩

 3 プレドニゾロン

 4 ランソプラゾール

 5 ビルダグリプチン






メトトレキサート(リウマトレックス)は、DMARDs(:疾患修飾性抗リウマチ薬)の一種です。
免疫抑制剤の一種であるため、代表的な副作用としては
白血球減少や間質性肺炎などがあります。

高血糖に対して、症状を悪化させるような報告は、本試験実施現在、ありません。
よって、選択肢 1 は誤りです。


クエチアピン(セロクエル)は、MARTA(multi-acting-receptor-targeted-antipsychotics)です。
統合失調症薬として用いられます。
副作用として高血糖が出ることがよく知られており、糖尿病患者には禁忌となっています。


プレドニゾロン(プレドニン)は、ステロイド薬です。
炎症をしずめたり、免疫系をおさえる作用があります。
アレルギー性の病気や、めまい、耳鳴り、顔面神経麻痺など、広く用いられます。

多様な副作用があり、高血糖も副作用として知られています。


ランソプラゾール(タケプロン)は、PPI(プロトンポンプ阻害薬)です。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎に用いられます。
ヘリコバクター・ピロリ除菌にも用いられます。

高血糖に対して、症状を悪化させるような報告は、本試験実施現在、ありません。
よって、選択肢 4 は誤りです。


ビルダクリプチン(エクア)は、DPP-4阻害薬です。
DPP-4は、GLP-1を分解する酵素です。
血糖依存的にインスリン分泌を促進すると共にグルカゴン分泌を抑制します。

血糖値を下げる薬なので、選択肢 5 は誤りです。




以上より、正解は 2,3 です。







問222

48歳男性。白血病に対する化学療法として、イマチニブメシル酸塩錠の投与が開始された。


(実務)

 イマチニブメシル酸塩錠に関する記述のうち、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


 1 染色体検査又は遺伝子検査により、慢性骨髄性白血病と診断された患者に使用する。

 2 嘔吐のリスクを軽減するため、セロトニン受容体遮断薬を用いる。

 3 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人への投与は禁忌である。

 4 消化管吸収が悪いため、空腹時にコップー杯の水とともに服用する。

 5 CYP3A4による代謝を受けるため、CYP3A4活性を阻害する薬剤と併用する場合、血中濃度が上昇する可能性がある。





イマチニブ(グリベック)は、Bcr-Abl チロシンキナーゼを選択的に阻害する

疾患特異的な分子標的治療薬です。

適応は、染色体検査又は遺伝子検査により診断された慢性骨髄性白血病です。

他にも適応があり、それぞれに応じた検査が必要となります。


イマチニブを服用すると、吐き気が半数以上に副作用として現れます。

がん治療における、制吐両方に関しては、ガイドラインに詳しくまとまっています。

ステロイド、5-HT3(セロトニン)受容体拮抗薬、NK1受容体遮断薬が主に用いられます。


イマチニブは、妊婦への投与が禁忌です。

外国において流産、及び動物実験において催奇形性や着床後死亡率の増加が報告されています。


イマチニブは、消化管刺激作用を最低限に抑えるため、食後に、多めの水で服用します。

よって、空腹時服用ではないので、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。

アゾール系抗真菌剤、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどとの併用に注意する必要があります。



以上より、正解は 4 です。




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問223

48歳男性。白血病に対する化学療法として、イマチニブメシル酸塩錠の投与が開始された。


(物理・化学・生物)

 イマチニブが作用する標的タンパク質に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 染色体転座により生成するキメラタンパク質である

 2 セリン又はトレオニンをリン酸化する活性を有する。

 3 持続的なキナーゼ活性を有する。

 4 Gタンパク質の一種で、細胞増殖を制御する。






イマチニブが作用する標的タンパク質は、bcr - abl チロシンキナーゼです。
このタンパク質は、第 9 番染色体と第 22 番染色体が相互転座し、 abl 遺伝子と bcr 遺伝子が
融合した、abc - bcr 遺伝子から翻訳されます。
そのため、キメラタンパク質と呼ばれます。

abc - bcr 遺伝子を持つ異常染色体は、フィラデルフィア染色体と呼ばれます。
abc - bcr 遺伝子から翻訳されるタンパク質は、恒常的に活性化されたチロシンキナーゼです。
白血病、すなわち血液のガンと呼ばれる疾病を引き起こすことから類推できるように
細胞増殖を促進させます。



以上より、正解は 1,3 です。







問224

72歳女性。肺癌に合併した閉塞性肺炎のため、入院中に抗菌化学療法を受けていた。

高熱と腹痛、頻回の水様下痢などの消化器症状を呈し粘血便が見られたため糞便培養検査を行ったところ

ディフィシル菌 (Clostridium difficil ) 及びその毒素が検出された。


(実務)

上記の症状を起こしやすい化学療法薬はどれか。

2つ選べ。


 1 クリンダマイシンリン酸エステル

 2 アンピシリンナトリウム

 3 ゲンタマイシン硫酸塩

 4 メトロニダゾール





ディフィシル菌はグラム陽性桿菌です。

抗生物質を用いることによる、腸内細菌叢を構成する細菌の構成変化をきっかけに

ディフィシル菌が増殖することにより発症する症状を偽膜性大腸炎と呼びます。

代表的な偽膜性大腸炎の原因としては、アンピシリン、セフェム系抗生物質、クリンダマイシンです。

最近は、他のいくつかの抗生物質でも、同様に偽膜性大腸炎の原因となることがわかってきています。


クリンダマイシンは、リンコマイシン系の抗生物質です。

誤嚥性肺炎などに用いられ、偽膜性腸炎の原因となることが知られています。


アンピシリンナトリウムは、ペニシリン系の抗生物質です。

肺炎などに用いられ、偽膜性大腸炎の原因となることが知られています。


ゲンタマイシンは、アミノグリコシド系抗生物質です。

組織移行性が低く、肺炎にはあまり用いられません。


メトロニダゾールは、ディフィシル菌に対する抗菌薬として用いられる薬です




以上より、正解は 1,2 です。










問225

72歳女性。肺癌に合併した閉塞性肺炎のため、入院中に抗菌化学療法を受けていた。

高熱と腹痛、頻回の水様下痢などの消化器症状を呈し粘血便が見られたため糞便培養検査を行ったところ

ディフィシル菌 (Clostridium difficil ) 及びその毒素が検出された。


(物理・化学・生物)

 上記の症状が誘起された原因として、正しいのはどれか。

1つ選べ。


 1 菌のゲノムDNAに変異が起こった。

 2 腸内の細菌叢が変化した。

 3 菌が芽胞を形成した。

 4 毒素タンパク質の高次構造が変化した。

 5 菌の薬物代謝酵素の発現が誘導された。







本問における症状は、いわゆる抗菌薬関連下痢症/腸炎です。
これは、健全な腸内細菌叢が、抗菌薬投与による環境の変化によって
毒素を出すクロストリジウム・ディフィシルが増えることで、下痢や腸炎がおきる感染症です。
よって、腸内の細菌叢の変化が、症状の原因であるといえます。


以上より、正解は 2 です。



参考)抗菌薬関連下痢症に対して、プロバイオティクス(人体に良い影響を与える微生物)を
投与すべきかという調査に関して
要約しか読めないかもしれませんが、現在も調査、データが集まっている最中であることを
感じることができるのではないかと思い、リンクを貼りました。