問97-91 解説


問91
放射線及び放射能に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。


1 娘核種の半減期が親核種の半減期よりも十分長い場合には
放射平衡を利用したミルキングにより娘核種を得ることができる。

2 軌道電子捕獲では、中性子が放出される。

3 Nal (Tl) シンチレーションスペクトロメ一ターは
γ線のエネルギーを測定し、γ線放射核種の推定に利用される。

4 γ転移では、原子番号が1減少するが、質量数は変化しない。

5 γ線は、α線及びβ線に比べ透過性が高い。




ミルキングとは、放射平衡にある系から、娘核種を化学的に分離して採取する操作のことです。

この操作により、娘核種を得るには、親核種の半減期が娘核種に比べて、十分長い必要があります。

そのため、選択肢 1 は誤りです。


軌道電子捕獲とは、陽子が、軌道電子1個をつかまえて、中性子1個になるような壊変のことです。

この壊変では、軌道電子が1個つかまるため、軌道上に空の部分ができます。

その空の部分を埋めるために、軌道電子が移動し、その際X線が放出されるのを観測することができます。

このECに伴って放出されるX線は、特性X線と呼ばれます。

よって、放出されるのは、X線であるため、選択肢 2 は誤りです。



シンチレーションカウンタは、励起作用(=蛍光作用)を利用した測定器の代表例です。

低エネルギーβ線の測定は、液体シンチレーションカウンタが用いられます。

高エネルギーβ線の測定は、GM計数管が用いられます。

γ線の測定は、NaIシンチレーションカウンタが用いられます。

よって、選択肢 3 は正解です。



γ転移とは、励起した状態が、γ線放出を伴い、エネルギーの低い状態へ転移することです。

特に、励起した状態の半減期が長い場合は、核異性体転移と呼ばれます。

この時、原子番号は変化しません。よって、選択肢 4 は誤りです。



γ線は、α線、β線に比べてはるかに透過性が高いです。


α線は、紙一枚で遮蔽でき、β線は、アルミ1枚で遮蔽できますが、γ線は、大体1.5cmの鉛が遮蔽に必要です。


よって、選択肢 5 は正解です。



以上より、正解は3,5です。





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