問97-97 解説


問97

クロマトグラフィーに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 1 ろ紙クロマトグラフィーは、ろ紙に含まれる水を固定相とする
分配クロマトグラフィーである。

 2 固定相としてオクタデシルシリル化したシリカゲルを用いる
逆相分配クロマトグラフィーでは、極性の高い溶質が先に溶出する。

 3 アミノ酸分析に用いられる陽イオン交換クロマトグラフィーでは
塩基性の強いアミノ酸から順に溶出される。

 4 サイズ排除(ゲルろ過)クロマトグラフィーでは
分子量の小さな溶質から順に溶出される。




ろ紙クロマトグラフィーは、ペーパークロマトグラフィーとも呼ばれます。
下図のようなイメージのクロマトグラフィーです。




よって、固定相はろ紙(より詳しくいうと、ろ紙に含まれる水分)で
移動相は例えばアセトンのような溶媒です。

選択肢 1 は正しい記述です。

(以下:つぶやき
ちなみに僕は、ろ紙が固定層と思っていたため、この選択肢は間違いだと思っていました。。。
但し、選択肢、3、4が明らかに違うので、正解を選ぶことはできるのですが
原理をしっかり理解する大切さを実感した問題でした。。。
更に、ろ紙の構成分子(おそらくセルロース)との相互作用や、ろ紙の網目をくぐり抜ける際の
分子ふるい効果なども、実際には影響しているんだろうなぁ。という連想に至るきっかけとなった選択肢です。
:つぶやき終わり)


逆相分配クロマトグラフィーとは
移動相の極性が高く、固定層の極性が低いような場合のクロマトグラフィーです。

僕は「逆相して、移動していくのは、水!(ここは丸暗記)
→水は極性が高い
→固定層は逆に極性が低い」
と覚えることで思い出しやすくなりました。
参考になればと思います。

ちなみに、シリカゲルとは、SiOH2 ・n H2O という構造で表されます。
すなわち、極性が高いものです。
これをオクタデシルシリル(C18H37Si)で表面を修飾し、極性がほぼなくなっているのが
オクタデシル化シリカゲルです。

固定相が極性が低く、移動相が水のような極性が高いものなので
極性の高い溶質が先に溶出します。

よって、選択肢 2 は正解です。


陽イオン交換クロマトグラフィーは、担体として陰イオンがあり、試料を流すことで
試料のうち、陽イオン性の物質はキャッチされ、それ以外は素通りします。
次に、陰イオン性の溶液を、徐々に濃度を上げて流すことで、陽イオン性の
低いものから(担体との結合が弱い方から)、溶出していくことで物質を分離します。
イメージは下図になります。





「◯イオン交換」→「◯イオンをキャッチするようなカラムを使うクロマトグラフィー」
→「担体に待ち構えているのは、◯イオンとは逆のイオン!」と毎回確認することで
思い出しやすくなりました。これも参考になればと思います。


塩基性の強いアミノ酸とは、NH2基が多いアミノ酸です。
塩基なので、周囲の溶媒と、酸塩基反応を介してHを受け取り
NH3(つまり陽イオン)となります。
つまり、カラムの担体が、しっかりキャッチします。
よって、塩基性の強いアミノ酸が溶出されるのは後です。

選択肢 3 は誤りです。


サイズ排除クロマトグラフィーとは
サイズ(分子量)が小さいものほど、通過する層の細かい迂回路を通過するように設計されたクロマトグラフィーです。
つまり、サイズが小さいものほど、溶出に時間がかかるようなクロマトグラフィーです。

よって、選択肢 4 は誤りです。 



以上より、正解は 1,2 です。