問97-151 解説


問151

細胞膜受容体の情報伝達系に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 平滑筋のGsタンパク質共役型受容体が刺激されると、小胞体からのCa2+遊離が促進される。

 2 心筋のGiタンパク質共役型受容体が刺激されると、K+の細胞外流出が抑制される。

 3 血管内皮細胞のアセチルコリンM3受容体が刺激されると、Gqタンパク質を介して一酸化窒素合成酵素が阻害される。

 4 腎臓のナトリウム利尿ペプチド受容体が刺激されると、チロシンキナーゼの活性化による自己リン酸化が起こる。

 5 脊髄のグリシン受容体が刺激されると、Clの透過性が亢進する。





Gs タンパク質共役型受容体が刺激されると、AC(adenylate cyclase:アデニル酸シクラーゼ)が活性化されます。
AC 活性化により、細胞内 cAMP (cyclic AMP:サイクリックAMP)が増加します。
よって、Ca2+遊離が促進されるわけではないので、選択肢 1 は誤りです。
Gs ではなく、Gq タンパク質ならば、この記述は正しいです。


※※※ 2016.12.23 修正 ※※※
心筋においては 
G タンパク質制御 K+ チャネルがあり
これが、アセチルコリンで活性化される
=開口するチャネルであり
K+の細胞外流出が「促進」されます。
これにより、心臓の徐脈を引き起こします。 
よって、選択肢 2 は誤りです。


この知識は多少細かいと思うので
知らなかった場合は
心筋における電位における 
K イオンの役割から考えるのが
試験本番では、現実的であると思います。

すなわち
G「i」 タンパク質共役の受容体なので
「刺激されると、心臓にとって抑制的な作用」
を引き起こすはずです。

「K+ が細胞外に流出される」 とは
細胞内をマイナスに保つことです。
これは、心筋細胞が
「興奮しない方向の作用」です。

すると 「Kの細胞外流出が抑制される」と
細胞内の K+ イオンが相対的に多くなります。
→心筋細胞内の電位は、より+に偏ります。
→興奮状態になりやすくなるといえます。

従って
Gi タンパク質共役の受容体が刺激されて
もしも K+ イオンの流出入に変化がおきるとすれば

「K+ の細胞外流出が促進する」 のが妥当であり
「K+ の細胞外流出が抑制される」 はおかしい
判断するのがよいかと思われます。
※※※ 2016.12.23 補足終了 ※※※


M3 受容体が刺激されると、Gq タンパク質を介してNO (一酸化窒素)産生が促進されます。
よって、合成酵素が阻害されるわけではないので、選択肢 3 は誤りです。


ナトリウム利尿ペプチド受容体が刺激されると、細胞内 cGMP (cyclic GMP:サイクリックGMP)の増加が見られます。
この時、チロシンキナーゼの活性化による自己リン酸化はおきないので、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。
グリシン受容体は、抑制系の受容体です。
Cl-の透過性が亢進することで、静止電位が下がり、興奮しづらくなります。


以上より、正解は 5 です。