問97-151~97-165 解説一覧


問151

細胞膜受容体の情報伝達系に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 平滑筋のGsタンパク質共役型受容体が刺激されると、小胞体からのCa2+遊離が促進される。

 2 心筋のGiタンパク質共役型受容体が刺激されると、K+の細胞外流出が抑制される。

 3 血管内皮細胞のアセチルコリンM3受容体が刺激されると、Gqタンパク質を介して一酸化窒素合成酵素が阻害される。

 4 腎臓のナトリウム利尿ペプチド受容体が刺激されると、チロシンキナーゼの活性化による自己リン酸化が起こる。

 5 脊髄のグリシン受容体が刺激されると、Clの透過性が亢進する。





Gs タンパク質共役型受容体が刺激されると、AC(adenylate cyclase:アデニル酸シクラーゼ)が活性化されます。
AC 活性化により、細胞内 cAMP (cyclic AMP:サイクリックAMP)が増加します。
よって、Ca2+遊離が促進されるわけではないので、選択肢 1 は誤りです。
Gs ではなく、Gq タンパク質ならば、この記述は正しいです。


※※※ 2016.12.23 修正 ※※※
心筋においては 
G タンパク質制御 K+ チャネルがあり
これが、アセチルコリンで活性化される
=開口するチャネルであり
K+の細胞外流出が「促進」されます。
これにより、心臓の徐脈を引き起こします。 
よって、選択肢 2 は誤りです。


この知識は多少細かいと思うので
知らなかった場合は
心筋における電位における 
K イオンの役割から考えるのが
試験本番では、現実的であると思います。

すなわち
G「i」 タンパク質共役の受容体なので
「刺激されると、心臓にとって抑制的な作用」
を引き起こすはずです。

「K+ が細胞外に流出される」 とは
細胞内をマイナスに保つことです。
これは、心筋細胞が
「興奮しない方向の作用」です。

すると 「Kの細胞外流出が抑制される」と
細胞内の K+ イオンが相対的に多くなります。
→心筋細胞内の電位は、より+に偏ります。
→興奮状態になりやすくなるといえます。

従って
Gi タンパク質共役の受容体が刺激されて
もしも K+ イオンの流出入に変化がおきるとすれば

「K+ の細胞外流出が促進する」 のが妥当であり
「K+ の細胞外流出が抑制される」 はおかしい
判断するのがよいのではないかと思われます。
※※※ 2016.12.23 補足終了 ※※※



M3 受容体が刺激されると、Gq タンパク質を介してNO (一酸化窒素)産生が促進されます。
よって、合成酵素が阻害されるわけではないので、選択肢 3 は誤りです。


ナトリウム利尿ペプチド受容体が刺激されると、細胞内 cGMP (cyclic GMP:サイクリックGMP)の増加が見られます。
この時、チロシンキナーゼの活性化による自己リン酸化はおきないので、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。
グリシン受容体は、抑制系の受容体です。
Cl-の透過性が亢進することで、静止電位が下がり、興奮しづらくなります。


以上より、正解は 5 です。






問152

交感神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 ナファゾリンは、アドレナリンβ2受容体を刺激し、鼻粘膜血管を拡張させる。

 2 エフェドリンは、アドレナリンβ受容体刺激作用及び交感神経節後線維終末からのノルアドレナリン遊離促進作用を示す。

 3 クロニジンは、交感神経節後線維終末のアドレナリンα2受容体を刺激し、ノルアドレナリン遊離を促進する。

 4 ラベタロールは、アドレナリンβ1受容体を選択的に遮断し、血圧を低下させる。

 5 ブナゾシンは、アドレナリンα1受容体を選択的に遮断し、眼圧を低下させる。





ナファゾリンは、α1 受容体刺激薬です。
血管収縮薬として点鼻で用いられ、鼻づまりの改善に用いられます。


選択肢 2 はその通りの記述です。
エフェドリンは、生薬であるマオウに含まれる有効成分です。
医薬品としては、風邪やぜん息の治療薬に添加されます。
又、覚せい剤原料物質です。


クロニジンは、選択的 α2 受容体アゴニストです。
α2 受容体を刺激し、ノルアドレナリンの分泌を抑制します。
よって、遊離を促進するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。
血圧を下げる薬として用いられてきた薬です。
最近は処方されることが少なくなってきています。(2012年時点)


ラベタロールは、α、β遮断薬です。
よって、β1 受容体を選択的に遮断させるわけではないので
選択肢 4 は誤りです。
血圧を下げる薬として用いられます。


選択肢 5 はその通りの記述です。
点眼で用いられ、緑内障治療に用いられます。


以上より、正解は 2,5 です。






問153

副交感神経系に作用する薬物に関する記述のうち、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


 1 ジスチグミンは、シュレム管を開放し、眼房水の流出を促進する。

 2 ベタネコールは、ムスカリン様作用を示し、腸管の蠕動運動を促進する。

 3 カルバコールは、真性及び偽性コリンエステラーゼのいずれによっても分解されにくい。

 4 プロパンテリンは、前立腺肥大による排尿障害を改善する。

 5 ピロカルピンは、瞳孔括約筋を収縮させ、縮瞳を引き起こす。






ジスチグミンは、間接型コリン作動薬(可逆的コリンエステラーゼ阻害薬)です。
アセチルコリンは、シュレム管を開く方向に作用し、それにより眼房水の流出は促進されます。
これにより、眼圧低下が期待されます。


ベタネコールは、直接型コリン作動薬です。
M受容体に作用し、消化器の活動を促進させます。


カルバコールは、直接型コリン作動薬です。
コリンエステラーゼにより分解されにくいという特徴があります。


プロパンテリンは、抗コリン薬です。
抗コリン薬の有名な副作用として、排尿困難があります。
これは、排尿筋の収縮(尿を出そうとする動き)を抑制するためです。
よって、選択肢 4 は誤りです。


ピロカルピンは直接型コリン作動薬です。
瞳に対する作用としては、縮瞳を引き起こします。
収縮させる筋肉は瞳孔括約筋です。


以上より、誤っている選択肢は 4 です。






問154

知覚神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 コカインは、血管拡張作用を持つため、局所麻酔作用の持続時間が短い。

 2 プロカインは、皮膚・粘膜浸透力が強いエステル型局所麻酔薬で、表面麻酔に用いられる。

 3 テトラカインは、非イオン型が神経細胞膜の内側から作用し、電位依存性Na+チャネルを遮断する。

 4 オキセサゼインは、強酸性下でも局所麻酔作用を示し、胃潰瘍に伴う疼痛を緩和する。

 5 リドカインは、血中エステラーゼによる代謝物がアレルギー反応を起こしやすい。






コカインは、アルカロイド局所麻酔薬です。
ノルアドレナリンの再取り込みを阻止することで、間接的にノルアドレナリンの濃度を上昇させ
血管収縮作用を示します。

よって、血管拡張ではないので、選択肢 1 は誤りです。


プロカインは、エステル型の局所麻酔薬です。
組織浸透性が低いという特徴があり、表面麻酔には用いられません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


テトラカインは、エステル型の局所麻酔薬です。
神経細胞の中でイオン型になり、電位依存性Na+チャネルを内側から遮断します。

よって、非イオン型が作用するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 はその通りの記述です。
オキセサゼインは、強酸性下でも局所麻酔薬作用を示します。


リドカインは、アミド型の局所麻酔薬です。
エステラーゼでは分解されません。

よって、選択肢 5 は誤りです。






問155

全身麻酔薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 亜酸化窒素は、最小肺胞内濃度 (MAC) が大きく、酸素欠乏症を起こしやすい。

 2 エンフルランは、ハロタンに比べ、カテコールアミンによる心室性不整脈を誘発しやすい。

 3 プロポフォールは、GABAB受容体を刺激し、速やかな麻酔作用を示す。 

 4 チオペンタールは、代謝及び排泄が速やかなため、作用が短時間で消失する。

 5 ケタミンは、グルタミン酸NMDA受容体を刺激し、意識の解離をもたらす。






最小肺胞内濃度とは、対象の半数を不動化させるのに必要な肺胞内における麻酔薬の濃度です。
EC50や、LD50の、吸入麻酔版と考えるとよいです。
値が小さい方が、少量でよく効きます。

亜酸化窒素(N2O:笑気とも呼ばれる)は、単独では完全に麻酔できないほど
MACが高い麻酔です。

又、血液/ガス分配係数が小さいため、血液がすぐに麻酔ガスで飽和します。
言い換えると、血液に溶けきれないガスが、肺胞内に充満しやすいです。
そのため、他の麻酔ガスと比べ、肺胞内の酸素を追い出しやすいという特徴があります。
よって、酸素欠乏症を起こしやすい麻酔です。

実際の使用においては、麻酔ガスの吸入中止後に、100%酸素を投与します。
最近では、ほぼ使用されなくなってきています。


ハロタンは、不整脈誘発をおこしやすい麻酔薬です。
この点を改良したのがエンフルランなどの◯◯フルランという名前の麻酔薬です。

よって、選択肢 2 は誤りです。


プロポフォールは、静脈麻酔薬の1つです。
特徴は、非ベンゾジアゼピン系であることです。
又、作用時間が超短時間です。これは、速やかに肝代謝を受けるからです。
GABAA受容体機能亢進により、麻酔作用を示します。

よって、GABAB受容体の刺激ではないので、選択肢 3 は誤りです。


チオペンタールは、静脈麻酔薬の1つです。
ヒスタミン遊離作用があるため、喘息患者に禁忌です。
又、脂肪組織に速やかに再配分されるため、作用時間が短いという特徴があります。

よって、代謝および排泄が速やかであるためではないので、選択肢 4 は誤りです。


ケタミンは、静脈麻酔薬の1つです。
NMDA受容体拮抗薬です。
意識を残した麻酔に用いられます。

よって、NMDA受容体を刺激はしないので、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1 です。






問156

中枢神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 ドネペジルは、中枢のアセチルコリンエステラーゼを阻害し、低下したコリン作動性神経伝達を促進する。

 2 セレギリンは、脊髄多シナプス反射を抑制し、痙性麻痺における過剰な筋緊張を緩和する。

 3 炭酸リチウムは、縫線核のセロトニン作動性神経活動を選択的に抑制し、抗躁作用を示す。

 4 エダラボンは、脳虚血障害により発生したフリーラジカルを消去し、神経細胞の酸化的障害を抑制する。

 5 チザニジンは、脊髄のニコチン性アセチルコリン受容体の機能を抑制し、腰痛症の筋緊張を緩和する。






ドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬です。
コリン作動性神経伝達を促進し、アルツハイマー病の進行抑制に用いられます。


セレギリンは、MAOB monoamine oxidases B阻害薬です。
MAOはドパミンの分解酵素です。
MAOを阻害することで、間接的にドパミンの量を増加させ、抗パーキンソン病作用を示します。

よって、選択肢 2 は誤りです。


炭酸リチウムは、抗躁薬です。
PI(ホフファチジルイノシトール)代謝回転の抑制を通じて抗躁作用を示します。

よって、選択肢 3 は誤りです。


エダラボンは、脳保護剤です。
フリーラジカル除去により、酸化的障害を抑制します。


チザニジンは、中枢性筋弛緩薬です。
中枢性α2受容体刺激作用を示します。

よって、アセチルコリン受容体の機能を抑制するわけではなく、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,4 です。






問157

不整脈治療薬の作用機序について正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 ニフェカラントは、心筋のNa+チャネルを選択的に遮断するが、不応期に影響を与えない。

 2 ベラパミルは、房室結節のK+チャネルを選択的に遮断し、房室伝導速度を低下させる。

 3 キニジンは、心筋のNa+チャネルとK+チャネルを遮断し、活動電位持続時間を短縮する。

 4 ソタロールは、心筋のK+チャネル遮断作用とβ受容体遮断作用を示す。

 5 ベプリジルは、心筋のβ受容体遮断作用とCa2+チャネル遮断作用を示す。






ニフェカラントは、クラス III 抗不整脈薬です。
K+チャネルを遮断します。

よって、Na+チャネル遮断ではないため、選択肢 1 は誤りです。


ベラパミルは、クラス IV 抗不整脈薬です。
Ca2+チャネルを遮断します。

よって、K+チャネルではないので、選択肢 2 は誤りです。


キニジンは、クラス Ia 抗不整脈薬です。
Na+を遮断し、活動電位時間を延長させます。

よって、活動電磁持続時間を短縮はさせないので、選択肢 3 は誤りです。


ソタロールは、クラス III 抗不整脈薬です。
K+チャネル遮断作用を示します。
又、β受容体遮断作用も示します。


ベプリジルは、クラス IV 抗不整脈薬です。
又、非特異的に様々なチャネル遮断作用も示します。
しかし、β遮断作用は示しません。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 4 です。






問158

循環器系作用薬に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。


 1 アメジニウムは、交感神経終末へのノルアドレナリン再取り込みと不活性化を阻害し、昇圧作用を示す。

 2 シルデナフィルは、サイクリックGMP (cGMP) の分解を抑制し、勃起障害と肺動脈性肺高血圧症を改善する。

 3 ベラプロストは、末梢血管拡張及び血小板凝集抑制により、末梢循環障害を改善する。

 4 ボセンタンは、エンドセリン受容体を遮断し、肺動脈性肺高血圧症を改善する。

 5 ファスジルは、アドレナリンβ2受容体を活性化し、クモ膜下出血後の脳血管れん縮を抑制する。






アメジニウムは、交感神経終末のノルアドレナリン再取り込み阻害作用や
MAO阻害作用により、交感神経機能を亢進させます。
低血圧に用いられる薬です。


シルデナフィルは、ホスホジエステラーゼ(PDE)5を阻害し、cGMPの分解を抑制することで
勃起障害、及び肺動脈性高血圧症に用いられる薬です。


ベラプロストは、プロスタサイクリン受容体を刺激し、アデニル酸シクラーゼを活性化することで
細胞内cAMP濃度上昇をもたらし、血管拡張作用、血小板凝集抑制作用などを示す薬です。
血行障害の治療に用いられます。


ボセンタンは、エンドセリン受容体拮抗薬です。
肺高血圧症の治療薬として用いられます。


ファスジルは、Rhoキナーゼという酵素を抑制し、血管を広げる作用があります。
くも膜下出血後の脳血管れん縮及び、これに伴う脳虚血症状の改善に用いられます。

よって、β2受容体を活性化するわけではないので、選択肢 5 は誤りです。



以上より、誤っているのは、選択肢 5 です。







問159

消化管に作用する薬物に関する記述のうち、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


 1 カルメロース (カルボキシメチルセルロース) は、腸管内で水分を吸収して膨張し、腸管運動を促進する。

 2 ロペラミドは、腸管のオピオイドμ受容体を刺激し、腸管運動を抑制する。

 3 メペンゾラートは、アセチルコリンM3受容体を遮断し、腸管運動を抑制する。

 4 次硝酸ビスマスは、腸粘膜表面のタンパク質に結合することで被膜を形成し、腸粘膜を保護する。

 5 トリメブチンは、腸管のドパミンD2受容体を遮断し、低下した腸管運動を促進する。






カルメロースは機械性下剤です。
腸で水分を吸収して膨張し、下剤として働きます。


ロペラミドは、止瀉薬です。下痢を止める薬です。
オピオイドμ受容体を刺激することにより、腸の運動を抑制します。


メペンゾラートは、抗コリン作用により、消化管れん縮を抑制する薬です。
下部消化管に選択的に作用するので、過敏性大腸症などに用いられます。


次硝酸ビスマスは、腸粘膜のタンパク質と結合して皮膜を形成し
粘膜の感受性を低下させる止瀉薬です。


トリメブチンは、ロペラミドと同じく、μ受容体刺激による止瀉薬です。
よって、腸管のD2受容体を遮断するのではなく、選択肢 5 は誤りです。



以上より、誤っている選択肢は 5 です。







問160

糖尿病治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 グリベンクラミドは、スルホニル尿素受容体と結合し、膵臓β細胞からのインスリン分泌を促進する。

 2 メトホルミンは、ATP感受性K+チャネルを活性化し、肝臓での糖新生を抑制する。

 3 ピオグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ (PPARγ) を刺激し、アディポネクチンの発現を抑制する。

 4 アカルボースは、多糖類の分解を可逆的に阻害し、腸管からの糖の吸収を遅延させる。

 5 ナテグリニドは、高血糖状態で増加する細胞内ソルビトールの蓄積を抑制し、末梢神経障害を改善する。






グリベンクラミドは、SU(sulfonylurea:スルホニル尿素)薬です。
膵臓のβ細胞膜のSU受容体に結合します。
SU受容体結合の後、ATP依存性K+チャネルが閉じる
膜の脱分極
→膜電位依存性Ca2+チャネルが開く
→細胞内Ca2+濃度が上昇
→インスリン分泌が促進という流れを経ます。


メトホルミンはビグアニド系薬です。
肝臓での糖新生の抑制や、糖利用促進などを介して血糖を低下させます。
インスリン分泌作用がないことが特徴です。

ATP感受性K+チャネルを活性化させるわけではないので、選択肢 2 は誤りです。


ピオグリタゾンは、インスリン抵抗性改善薬です。
PPARγ(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor γ)という核内受容体に作用することで
TNF-α(Tumor Necrosis Factor-α)産生抑制、及び
アディポネクチン産生促進をひきおこします。
その結果として、インスリン抵抗性の改善が行われます。

アディポネクチンの産生を抑制するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。


アカルボースは、α-グルコシダーゼ阻害薬です。
小腸において、α-グルコシダーゼなどの多糖類分解酵素を阻害します。
それにより、単糖類の生成を抑制し、腸管からの糖の吸収を低下させることで
食後過血糖を改善します。


ナテグリニドは、速効性インスリン分泌促進薬です。
SU構造は持ちませんが、SU薬と同様のメカニズムで
すなわち膵臓β細胞のSU受容体に結合して作用します。

細胞内ソルビトールの蓄積を抑制するわけではないので、選択肢 5 は誤りです。
ちなみに、選択肢 5 の記述は、エパルレスタットについての記述です。
エパルレスタットは、アルドース還元酵素阻害薬です。
神経細胞内のソルビトールの蓄積を防止することで、糖尿病性末梢神経障害に
伴う、しびれや痛みを改善します。



以上より、正解は 1,4 です。







問161

脂質異常症治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 コレスチラミンは、末梢脂肪組織からの遊離脂肪酸の動員を抑制し、トリグリセリド合成を低下させる。

 2 エゼチミブは、小腸からのコレステロールの吸収を選択的に阻害する。

 3 プロブコールは、低密度リポタンパク質 (LDL) コレステロールに対する抗酸化作用により抗動脈硬化作用を示す。

 4 クロフィブラートは、脂肪酸のβ酸化を抑制し、トリグリセリド合成を低下させる。

 5 イコサペント酸エチルは、肝臓でのコレステロールから胆汁酸への異化を促進し、LDL受容体を増加させる。






コレスチラミンは、陰イオン交換樹脂です。
腸内で胆汁酸と結合し、大便と共に排泄されることにより、胆汁酸の腸肝循環を妨げます。
胆汁酸の排出により、不足した胆汁酸を合成しようと、コレステロールの使用が促進されます。
そのため、血中からコレステロールを取り込もうと、肝細胞においてLDL受容体発現が促進されます。
その結果、血中コレステロールが減少します。

よって、抹消脂肪組織からの遊離脂肪酸の動員を抑制するわけではないので
選択肢 1 は誤りです。ニコモールや、ニセリトロールについての記述と考えられます。


エゼチミブは、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬です。
小腸壁細胞に存在するタンパク質(NPC1L1=Niemann-Pick C1 like 1)を阻害することで
コレステロールの吸収を選択的に阻害します。


プロブコールは、異化促進薬です。
肝臓におけるコレステロールから胆汁酸への異化排泄を促進することで
血中コレステロールを低下させます。
又、LDLの酸化変性を抑制することによる、抗動脈硬化作用も有します。


クロフィブラートは、フィブラート系薬です。
核内受容体であるPPARαに結合することにより、肝臓での中性脂肪合成を抑制すると共に
リポタンパク質リパーゼを活性化させることで、血中の中性脂肪値を低下させます。

よって、脂肪酸のβ酸化を抑制するわけではないので、選択肢 4 は誤りです。


イコサペンタエン酸エチルは、イコサペンタエン酸(EPA)製剤です。
様々な作用機序を通じて、脂質異常症を改善させます。

記述は、異化促進の部分はプロブコールについてであり、LDL受容体の増加は
HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)や、陰イオン交換樹脂についてと考えられます。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,3 です。






問162

血液に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 アルガトロバンは、プロスタノイドIP受容体を刺激し、血小板凝集を阻害する。

 2 ウロキナーゼは、フィブリノーゲンに強く結合し、フィブリンの生成を抑制する。

 3 ダルテパリンは、アンチトロンビンIIIに結合し、Xa因子の活性を阻害する。

 4 トラネキサム酸は、プラスミンのリシン結合部位に結合し、プラスミンによるフィブリンの分解を阻害する。






アルガトロバンは、抗トロンビン薬です。
タンパク質分解酵素阻害薬で、アンチトロンビン III 非依存的に凝固因子を阻害することにより
抗凝固作用を示します。

よって、プロスタノイド IP 受容体を刺激し
血小板凝集を阻害するわけではないので、選択肢 1 は誤りです。


ウロキナーゼは、血栓を作るタンパク質のフィブリンを分解する抗血栓薬です。
よって、フィブリンの生成を抑制するわけではないので、選択肢 2 は誤りです。


ダルテバリンは、ヘパリン類似物質です。
アンチトロンビン III の作用を増強し
セリンプロテアーゼ(トロンビンや、第Xa因子)の活性を抑制します。


トラネキサム酸は、線溶系抑制薬です。
プラスミノーゲンや、プラスミンのリシン結合部位に結合することで
プラスミンによるフィブリン分解を阻害することにより
止血作用を示します。



以上より、正解は 3,4 です。






問163

非ステロイド性抗炎症薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。

1つ選べ。


 1 メロキシカムは、シクロオキシゲナーゼ2 (COX−2) よりCOX−1に対して強い阻害作用を有し、胃腸障害を起こしやすい。

 2 アスピリンは、COX−2をアセチル化により選択的に阻害するため、胃粘膜刺激作用は弱いが、ぜん息発作を誘発することがある。

 3 ジクロフェナクは、強い抗炎症作用を有するが、中枢性の副作用は極めて弱い。

 4 メフェナム酸は、生体内で活性型に代謝され、COX−2を選択的に阻害する。

 5 セレコキシブは、COX−1とCOX−2に対し強い阻害作用を有し、心血管障害を起こしやすい。






メロキシカムは、COX-2選択的阻害薬です。
胃障害が比較的少ないことが特徴です。
又、半減期が長く1日1回の服用でよいという特徴があります。

よって、胃腸障害を起こしやすいわけではないので選択肢 1 は誤りです。


アスピリンは、サリチル酸系NSAIDsです。
COXをアセチル化することで、不可逆的に阻害します。

よって、COX-2を選択的に阻害するわけではないので、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 1 と 2 は、薬物が逆になっている記述と考えられます。


ジクロフェナクは、インドメタシン類似NSAIDsです。
中枢性副作用が少ないという特徴があります。


メフェナム酸は、フェナム酸系NSAIDsです。
プロドラックではないし、COX-2を選択的に阻害するというわけでもありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。


セレコキシブは、選択的COX-2阻害薬です。
よって、COX-1に対してはほぼ作用しません。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3 です。







問164

抗菌薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。

1つ選べ。


 1 バンコマイシンは、DNAジャイレ一スを阻害し、細菌のRNA合成を抑制する。

 2 テトラサイクリンは、細菌リボソーム30Sサブユニットに結合し、アミノアシルtRNAのリボソームヘの結合を阻害する。

 3 リファンピシンは、細菌リボソーム50Sサブユニットに結合し、タンパク質合成を阻害する。

 4 エリスロマイシンは、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害し、細菌のDNA複製を阻害する。

 5 レボフロキサシンは、細胞壁ペプチドグリカン合成初期段階のUDPサイクルを阻害し、細菌の細胞壁合成を阻害する。






バンコマイシンは、グリコペプチド系抗生物質です。
細胞壁合成酵素の基質である、D-アラニル-D-アラニンに結合し
細胞壁合成酵素を阻害することで、抗菌作用を示します。

よって、DNAジャイレースを阻害するわけではないので、選択肢 1 は誤りです。
DNAジャイレースを阻害するのは、キノロン系抗菌薬です。


テトラサイクリンは、テトラサイクリン系抗生物質です。
リボソーム30Sサブユニットに結合し、リボソームにアミノアシルtRNAが結合するのを阻害することで
微生物の増殖を阻止します。


リファンピシンは、抗生物質の一種です。抗結核薬です。
DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害して、RNA合成を阻害することで
殺菌的に作用します。
又、CYP3A4誘導能があることがよく知られています。

よって、リボソーム50Sサブユニットに結合するわけではないので
選択肢 3 は誤りです。

50Sサブユニットに結合するのは、マクロライド系抗生物質です。


エリスロマイシンは、14員環マクロライド系抗生物質です。
50Sサブユニットに結合し、タンパク質合成を阻害します。
DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害するのは、リファンピシンです。

よって、選択肢 4 は誤りです。


レボフロキサシンは、ニューキノロン系抗菌薬です。
DNAジャイレースを阻害することにより、抗菌作用を示します。
この選択肢は、ホスホマイシンについての記述であると考えられます。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2 です。






問165

抗ウイルス薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。

1つ選べ。


 1 ジドブジンは、細胞内で水酸化を受けて活性化され、ウイルスの増殖に必要なプロテアーゼを阻害する。

 2 リトナビルは、ウイルスの逆転写酵素を競合的に阻害する。

 3 アシクロビルは、細胞内でアシクロビル三リン酸となり、ウイルスのDNAポリメラーゼを阻害する。

 4 ガンシクロビルは、ウイルスのノイラミニダーゼを阻害する。

 5 オセルタミビルは、その活性代謝物がウイルスの脱殻を阻害し、核内へのウイルスの侵入を阻止する。






ジドブジンは、核酸系逆転写酵素阻害薬の一種です。抗HIV薬です。
HIV感染細胞内で、リン酸化され、活性化体となって、逆転写酵素を阻害することで作用します。

よって、細胞内で水酸化を受けるわけではないので、選択肢 1 は誤りです。


リトナビルは、プロテアーゼ阻害薬です。抗HIV薬です。

よって、逆転写酵素を阻害するわけではないので、選択肢 2 は誤りです。


アシクロビルは、ウイルスに感染した細胞において
ウイルス由来の酵素が関与するリン酸化を受けて
アシクロビル三リン酸になります。
アシクロビル三リン酸は、DNAポリメラーゼを阻害することで、ウイルスのDNA合成を阻害します。

参考) アシクロビルは、ガートルード・ベル・エリオンによって開発されました。
この女性科学者は、1988年に、ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
彼女は、6-メルカプトプリン、アザチオプリン、アロプリノール、ピリメタミン
トリメトプリム、アシクロビルと、実に6つもの薬の開発を行いました。


ガンシクロビルは、アシクロビルと同様に、ウイルス由来の酵素が関与するリン酸化を受けて
ガンシクロビル5’-三リン酸になります。
ガンシクロビル5’-三リン酸は、DNAポリメラーゼを阻害し、ウイルスのDNA合成を阻害します。

よって、ウイルスのノイラミニダーゼを阻害するわけではないので、選択肢 4 は誤りです。


オセルタミビルは、ノイラミニダーゼ阻害薬です。

よって、活性代謝物がウイルスの脱殻を阻害するわけではないので、選択肢 5 は誤りです。
脱殻を阻害する抗ウイルス薬といえば、アマンタジンです。



以上より、正解は 3 です。