問97-246~97-265 解説一覧



問246

34歳女性。統合失調症が疑われて入院した。
幻覚、妄想は処方1により軽減したが、乳汁分泌が生じた。
血液検査の結果を確認した薬剤師の提案により処方2に変更となった。

 (処方1)

   リスペリドン内用液 1 mg/mL  1回2 mL(1日4 mL)

                   1日2回 朝夕食後

 (処方2)

   オランザピン 10 mg錠     1回1錠(1日1錠)

                   1日1回 夕食後



(実務)

 処方変更の根拠となった血液検査項目はどれか。1つ選べ。


 1 プロラクチン     2 コルチゾール     3 エストラジオール

 4 テストステロン    5 アルドステロン





統合失調症薬の使用において、乳汁分泌を伴う副作用は、高プロラクチン血症です。
プロラクチンとは、脳の下垂体前葉から放出されるペプチドホルモンの1種です。

プロラクチンの分泌は、ドパミンによって抑制されます。
統合失調症薬は、このドパミン受容体を遮断するため
プロラクチン分泌抑制作用が弱まることがあります。
そのため、高プロラクチン血症がおきることがあります。


以上より、正解は 1 です。






問247

34歳女性。統合失調症が疑われて入院した。
幻覚、妄想は処方1により軽減したが、乳汁分泌が生じた。
血液検査の結果を確認した薬剤師の提案により処方2に変更となった。

 (処方1)

   リスペリドン内用液 1 mg/mL  1回2 mL(1日4 mL)

                   1日2回 朝夕食後

 (処方2)

   オランザピン 10 mg錠     1回1錠(1日1錠)

                   1日1回 夕食後



 処方1でリスペリドンが乳汁分泌を引き起こす作用機序として、正しいのはどれか。

1つ選べ。


 1 ヒスタミンH1受容体遮断      2 セロトニン5-HT1A受容体遮断

 3 アセチルコリンM2受容体刺激    4 ドパミンD2受容体遮断

 5 アドレナリンα1受容体刺激






問246の解説と重複しますが
プロラクチンの分泌は、ドパミンによって抑制されます。
統合失調症薬は、このドパミン受容体を遮断するため
プロラクチン分泌抑制作用が弱まることがあります。

よって、作用機序は、ドパミン受容体遮断です。



つまり、正解は 4 です。







248

67歳男性。

災害時、救護所に本人のお薬手帳を持参し、医師に処方を求めた。

お薬手帳を確認したところ、エナラプリルマレイン酸塩錠を服用していたことが判明した。

救護所にはエナラプリルマレイン酸塩錠が置いていなかった。


 エナラプリルマレイン酸塩錠の代替薬として、以下の在庫品目のうち

薬剤師が医師に提案する最も適切な薬剤はどれか。

1つ選べ。


 1 トラネキサム酸カプセル

 2 バルサルタン錠

 3 デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物錠

 4 ニトログリセリン舌下錠

 5 セフジニルカプセル






エナラプリルマレイン酸は、ACE阻害剤です。
降圧薬の一種です。

トラネキサム酸(トランサミン)は、止血作用、抗炎症作用を持ち、出血傾向や、口内炎などに
幅広く用いられる、比較的副作用の少ない薬です。
降圧薬の代替薬としては不適切と考えられるため、選択肢 1 は誤りです。


バルサルタン錠(ディオバン)は、AT II 受容体拮抗薬(ARB)です。
作用としてはACE阻害薬に近い降圧薬です。


デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物錠(メジコン)は、咳中枢を抑制することによる
鎮咳薬です。
降圧薬の代替薬としては不適切と考えられるため、選択肢 3 は誤りです。


ニトログリセリン舌下錠は、狭心症の発作に対して用いられる硝酸薬です。
降圧薬の代替薬としては不適切と考えられるため、選択肢 4 は誤りです。


セフジニルカプセル(セフゾン)は、セフェム系の抗生物質です。
抗菌薬です。
降圧薬の代替薬としては不適切と考えられるため、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2 です。







問249

67歳男性。

災害時、救護所に本人のお薬手帳を持参し、医師に処方を求めた。

お薬手帳を確認したところ、エナラプリルマレイン酸塩錠を服用していたことが判明した。

救護所にはエナラプリルマレイン酸塩錠が置いていなかった。


エナラプリルの薬理作用の機序として、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 アンギオテンシン変換酵素を阻害して、アンギオテンシン II の生成を抑制する。

 2 アンギオテンシン II 受容体を遮断して、アンギオテンシン II による血管収縮を抑制する。

 3 キニナーゼ II を阻害して、ブラジキニン量を増加させる。

 4 一酸化窒素合成酵素を阻害して、一酸化窒素の生成を抑制する。

 5 ホスホリパーゼ Aを阻害して、プロスタグランジンの生成を抑制する。






エナラプリルは、ACE 阻害剤です。
すなわち、アンギオテンシン変換酵素を阻害することで、アンギオテンシン II の生成を阻害します。

又、アンギオテンシン変換酵素と、キニナーゼ II は同等の酵素です。
共に ACE 阻害剤によって阻害されます。
キニナーゼ II は、ブラジキニンという9個のアミノ酸からなるペプチドオータコイドを分解する酵素です。
※オータコイドとは、体内で産生され、微量で生理活性を示す、ホルモン及び神経伝達物質以外の総称です。

ACE 阻害剤は、キニナーゼ II を阻害することにより、ブラジキニン量を増加させます。
ブラジキニンは、血圧降下作用を持ちます。


以上より、正解は 1,3 です。






問250

61歳女性。気管支ぜん息で以下の薬剤が処方された。

 (処方1)

   フルチカゾンプロピオン酸エステルドライパウダーインヘラー

   100 μg  ロタディスク

      1回1吸入(1日2吸入)1日2回 朝夕食後

 (処方2)

   プロカテロール塩酸塩水和物エアゾール  10 μg

      1回2吸入 発作時


(実務)

 この患者に対する薬剤師の服薬指導として、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 処方1及び2について、吸入療法の手技を定期的に確認した。

 2 処方1について、気管支ぜん息の症状が軽減したらすぐに休薬するよう指導した。

 3 処方1について、発作の状況により自己判断で吸入回数を調節するよう指導した。

 4 処方1について、吸入後は副作用防止のために必ずうがいをするよう指導した。

 5 処方2について、副作用を防止するために、息苦しい程度では使用しないよう指導した。







吸入薬の服薬指導においては、定期的に吸入手技を確認し、適切な薬の使用ができているかを
確認します。


フルチカゾンプロピオン酸エステルドライパウダーインヘラー(フルタイド)は、吸入ステロイド喘息治療薬です。
予防に用いられるため、症状の無い時にも、毎日規則正しく使用することが望まれます。
よって、選択肢 2,3 は誤りです。


吸入後に、口腔内カンジダや嗄声の予防のため、かならずうがいをするよう指導する必要があります。


プロカテロール塩酸塩水和物エアゾール(メプチンエアー)は、β2受容体刺激薬です。
気管支を拡張させることで、呼吸をラクにしてくれる薬です。
発作がでた時にすぐ使う薬です。がまんをする必要はありません。
よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,4 です。







問251

61歳女性。気管支ぜん息で以下の薬剤が処方された。


 (処方1)

   フルチカゾンプロピオン酸エステルドライパウダーインヘラー

   100 μg  ロタディスク

      1回1吸入(1日2吸入)1日2回 朝夕食後

 (処方2)

   プロカテロール塩酸塩水和物エアゾール  10 μg

      1回2吸入 発作時


 処方1及び処方2に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 フルチカゾンプロピオン酸エステルは、トロンボキサンA2受容体を遮断し、気道過敏性を抑制する。

 2 フルチカゾンプロピオン酸エステルは、サイトカインの産生抑制作用や好酸球の浸潤抑制作用により気道の炎症を抑制する。

 3 プロカテロールは、アドレナリンβ2受容体を刺激し、気管支平滑筋を弛緩させる。

 4 プロカテロールは、ホスホジエステラーゼを阻害してサイクリックAMP(cAMP)濃度を高め、気管支平滑筋を弛緩させる。






フルチカゾンプロピオン酸エステルは、吸入ステロイド喘息治療薬です。
糖質コルチコイド受容体に特異的に作用して、サイトカインの産生抑制作用や
好酸球の浸潤抑制作用により気道の炎症を抑制します。


プロカテロールは、β2刺激薬です。
気管支平滑筋を弛緩させ、気道をひろげます。



以上より、正解は 2,3 です。







問252

85歳女性。ひとり暮らし。交付された処方せんを、保険薬局に持参した。

 (処方)

   アトルバスタチンカルシウム水和物錠 10 mg  1回1錠(1日1錠)

   フロセミド錠 20 mg             1回1錠(1日1錠)

   アムロジピンベシル酸塩錠 5 mg        1回1錠(1日1錠)

                          1日1回 朝食後 14日分


 処方せん受付時に患者から、最近、薬の飲み忘れと飲み間違いが多いとの訴えがあった。

なお、このことは医師に話していないということであった。

薬剤師の対応として、適切なのはどれか。

2つ選べ。


 1 お薬カレンダーを利用するなど、飲み忘れを防ぐ方法を指導した。

 2 処方医には問い合わせず、アトルバスタチンカルシウム水和物とアムロジピンベシル酸塩の配合剤で調剤した。

 3 飲み忘れた時は、翌日に2回分を飲むよう指導した。

 4 処方医に上記の件を報告し、一包化を提案した。







選択肢 1 は、対応として適切であるといえます。
お薬カレンダーとは、毎日の薬を曜日ごと、朝、昼、夜、寝る前と整理して収納できる
カレンダーです。一目でどの薬を飲めばよいかがわかります。


問い合わせなく、合剤に変更することはできないので、選択肢 2 は誤りです。


飲み忘れた時は、1回分を翌日に飲めばよく、2回分を飲むよう指導するのは不適切です。
よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は、対応として適切であるといえます。
飲み忘れや飲み間違いに、一包化は有効な対応です。



以上より、正解は 1,4 です。







問253

85歳女性。ひとり暮らし。

交付された処方せんを、保険薬局に持参した。


 (処方)

   アトルバスタチンカルシウム水和物錠 10 mg  1回1錠(1日1錠)

   フロセミド錠 20 mg             1回1錠(1日1錠)

   アムロジピンベシル酸塩錠 5 mg        1回1錠(1日1錠)

                          1日1回 朝食後 14日分


(薬理)

 この処方により経過を見たところ、低K+血症が認められた。

その原因となった薬剤の作用機序はどれか。

1つ選べ。


 1 上皮性Na+チャネル遮断

 2 炭酸脱水酵素阻害

 3 腎集合管における水の再吸収抑制

 4 Na+-K+交換系抑制

 5 Na+-K+-2Cl共輸送系抑制







アトルバスタチン(リピトール)は、スタチン系のコレステロール低下薬です。
HMG-CoA還元酵素を阻害することにより、コレステロール合成経路の律速段階である
メバロン酸合成を阻害します。
代表的な副作用は、横紋筋融解症です。


フロセミド(ラシックス)は、ループ利尿薬です。
Na+-K+-2Cl共輸送系抑制することで、速効性かつ強力な利尿作用を示します。
代表的な副作用は、低K血症です。


アムロジピンベシル酸塩(ノルバスク、アムロジン)は、Ca拮抗薬です。
副作用の少ない薬として広く使われています。
まれに顔面紅潮、浮腫、歯肉増生などが見られます。


低K+血症は、フロセミドの副作用ではないかと考えられます。




よって、正解は 5 です。






問254

45歳女性。婦人科外来にて、以下の薬剤が処方された。

 (処方)

   リュープロレリン酢酸塩注射用 3.75 mg/バイアル 1バイアル


この処方の適応となる疾患又は症状として、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 子宮内膜症

 2 卵巣癌

 3 閉経前乳癌

 4 更年期障害

 5 骨粗しよう症







リュープロレリンは、脳の視床下部から放出される LH - RH (性腺刺激ホルモン放出ホルモン)
の類似構造を持った薬です。
LH-RHの働きを抑制します。その結果、性ホルモンの分泌を低下させます。

適応となるのは、子宮内膜症、子宮筋腫、前立腺がん、閉経前乳がんなどです。
代表的な副作用として、エストロゲン(女性ホルモン)低下により、更年期障害様の症状があります。



以上より、正解は 1,3 です。







問255

45歳女性。婦人科外来にて、以下の薬剤が処方された。

 (処方)


   リュープロレリン酢酸塩注射用 3.75 mg/バイアル 1バイアル


(薬理)

 リュープロレリンの薬理作用として、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 アロマターゼ阻害による血中エストラジオールの濃度上昇

 2 下垂体での性腺刺激ホルモンの産生能低下

 3 下垂体の黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)受容体持続刺激による受容体の脱感作

 4 下垂体からのプロラクチンの遊離抑制

 5 卵巣におけるエストラジオールの産生能亢進







リュープロレリンは、LH-RHホルモン誘導体です。
一時的な性腺刺激作用を示した後に、LH-RHホルモン受容体の脱感作を引き起こします。
その結果、下垂体での性腺刺激ホルモンの産生・放出を抑制する。




以上より、正解は 2,3 です。







問256

75歳女性。

脊椎椎体骨折と診断された。

投薬に際して、以下の服薬指導が行われた。


 起床時にコップー杯の水とともに服用して下さい。水以外の飲食を避け、他の薬剤の服用も避けて下さい。服用後少なくとも30分経ってから食事をとり、食事を終えるまで横にならないで下さい。また、歯科を受診する場合には、必ずこの薬を服用していることを医師に伝えて下さい。


 上記の服薬指導が行われた薬剤はどれか。

1つ選べ。


 1 アレンドロン酸ナトリウム水和物錠    2 ラロキシフェン塩酸塩錠   

 3 メナテトレノンカプセル         4 乳酸カルシウム水和物錠

 5 アルファカルシドール錠







本問のような服薬指導が行われるのは、ビスホスホネート剤です。
選択肢の中で、ビスホスホネート剤は、アレンドロン酸ナトリウム水和物錠です。


以上より、正解は 1 です。



ちなみに、ラロキシフェン(エビスタ)は、SERM(selective estrogen receptor modulator)です。
SERMは、骨には女性ホルモン様に作用しますが、子宮や乳においては抗女性ホルモン作用を示します。
そのため、乳がんや子宮がんのリスクが小さい骨粗しょう症薬として、広く用いられています。


メナテトレノンは、ビタミンK2です。
骨形成促進作用があります。凝固系促進薬でもあります。


乳酸カルシウムは、カルシウムを補給する薬です。
他の骨粗しょう症薬と併用することがあります。


アルファカルシドール(ワンアルファ、アルファロール)は、活性型ビタミンD3製剤です。
骨粗しょう症薬です。







問257

75歳女性。

脊椎椎体骨折と診断された。

投薬に際して、以下の服薬指導が行われた。


 起床時にコップー杯の水とともに服用して下さい。水以外の飲食を避け、他の薬剤の服用も避けて下さい。服用後少なくとも30分経ってから食事をとり、食事を終えるまで横にならないで下さい。また、歯科を受診する場合には、必ずこの薬を服用していることを医師に伝えて下さい。


 問256(第97回)に記載された薬剤の有効成分の作用機序に関する記述のうち、正しいのはどれか。

1つ選べ。


 1 アレンドロン酸は、活性型ビタミンD存在下にオステオカルシンの生成を促進し、骨形成を促進する。

 2 ラロキシフェンは、骨の上皮小体ホルモン (PTH) 受容体にアゴニストとして作用し、骨吸収を抑制する。

 3 メナテトレノンは、カルシトニンの分泌を促進し、骨芽細胞の機能を亢進して骨形成を促進する。

 4 乳酸カルシウムは、ヒドロキシアパタイトの結晶形成を促進し、破骨細胞による骨吸収を抑制する。

 5 アルファカルシドールは、腸管でのCa2+吸収を促進し、血清カルシウム値を上昇させる。






アレンドロン酸は、破骨細胞に特異的に作用し、骨吸収を抑制して作用します。

選択肢 1 の記述は、メナテトレノンについてのものです。

よって、選択肢 1 は誤りです。



ラロキシフェンは、骨のエストロゲン受容体に選択的に作用します。

よって、上皮小体ホルモン受容体に作用するわけではないので、選択肢 2 は誤りです。



メナテトレノンは、活性型ビタミンD存在下にオステオカルシンの生成を促進し、骨形成を促進します。

よって、カルシトニンの分泌を促進するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。



乳酸カルシウムは、カルシウムの補充薬です。

破骨細胞による骨吸収を抑制するといった作用はありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。



アルファカルシドールは、活性型VD3製剤です。

腸管からのCa吸収を促進し、血清Ca値を上昇させます。



以上より、正解は 5 です。



問258

65歳男性。

自宅トイレで転倒し、救急搬送された。

右中大脳動脈閉塞による脳梗塞と診断され、以下の薬剤が投与された。


 (処方)

   アルテプラーゼ(遺伝子組換え)静注用 34.8万国際単位/kg

    総量の10%は急速投与、残りは1時間かけて投与


この治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 虚血部位の血流が再開し、出血性梗塞が現れることがある。

 2 再投与によりアナフィラキシーショックが起こる可能性があるので、観察を十分に行う。

 3 発症6時間後でも投与開始可能である。

 4 血液凝固阻止作用を有する薬剤あるいは血小板凝集抑制作用を有する薬剤との併用が推奨されている。







アルテプラーゼは、血栓溶解剤です。
血栓に特異的に吸着し、プラスミノーゲンをプラスミンに変えます。
プラスミンは、フィブリンを分解することにより、血栓を溶解します。

選択肢 1,2 はその通りの記述です。


この薬は、急性心筋梗塞や虚血性脳血管障害急性期に投与されます。
発症後 6 時間以内に投与する薬です。
よって、選択肢 3 は誤りです。


使用上の注意として、血液凝固阻止作用を有する薬剤や、血小板凝集抑制作用を有する薬剤は
出血傾向が助長されることがあるため、慎重投与となっています。
よって、選択肢 4 は誤りです。



以上より、正解は 1,2 です。







問259

65歳男性。

自宅トイレで転倒し、救急搬送された。

右中大脳動脈閉塞による脳梗塞と診断され、以下の薬剤が投与された。


 (処方)

   アルテプラーゼ(遺伝子組換え)静注用 34.8万国際単位/kg

    総量の10%は急速投与、残りは1時間かけて投与


 アルテプラーゼに関する記述のうち、正しいのはどれか。

1つ選べ。


 1 セリンプロテアーゼを阻害して、血栓形成を抑制する。

 2 フィブリノーゲンを分解することにより、血栓を溶解する。

 3 フィブリンに対する親和性が高く、血栓上でプラスミノーゲンをプラスミンに転化させる。

 4 α2プラスミンインヒビターによる不活性化を受けやすい。

 5 投与後の出血症状には、プロタミンが奏効する。






アルテプラーゼは、血栓溶解剤です。
フィブリン親和性が高く、血栓に特異的に吸着し
プラスミノーゲンをプラスミンに変えます。
プラスミンは、フィブリンを分解することにより、血栓を溶解します。



以上より、正解は 3 です。







問260

63歳女性。

関節リウマチと診断され、処方1で治療を行った。


 (処方1)

   サラゾスルファピリジン腸溶錠 500 mg  1回1錠(1日2錠)

                        1日2回 朝夕食後

   プレドニゾロン錠 5 mg         1回2錠(1日2錠)

                        1日1回 朝食後


 サラゾスルファピリジンに関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 T細胞及びマクロファージでのサイトカイン産生を抑制する。

 2 IgMのS−S結合切断作用を示す。

 3 おとりのヒト型可溶性腫瘍壊死因子 (TNF) 受容体として働き、TNF-αの作用を抑制する。

 4 ピリミジン合成を阻害し、細胞増殖を抑制する。

 5 関節リウマチ以外に潰瘍性大腸炎に用いられる。







サラゾスルファピリジン(アザルフィジン)は、腸の炎症をしずめる薬です。
抗炎症作用は、大腸で分解されるサリチル酸による作用です。
潰瘍性大腸炎などに用いられます。

サラゾスルファピリジンは、体内に吸収され、T細胞やマクロファージに作用することで
これらの細胞からのサイトカイン産生を抑制することで、抗リウマチ薬としても機能します。


以上より、正解は 1,5 です。


ちなみに、選択肢 2 は、DMARDs(疾患修飾性抗リウマチ薬)の一つである
ブシラミン(リマチル)についての記述であると考えられます。


選択肢 3 は、エタネルセプト(エンブレル)についての記述であると考えられます。
完全ヒト型由来の抗体医薬品で、抗リウマチ薬です。


選択肢 4 は、メトトレキサートについての記述であると考えられます。
ピリミジン代謝におけるDHFレダクターゼを阻害することで、テトラヒドロ葉酸の合成を抑えて
免疫を抑制する、抗リウマチ薬です。







問261

63歳女性。

関節リウマチと診断され、処方1で治療を行った。


 (処方1)

   サラゾスルファピリジン腸溶錠 500 mg  1回1錠(1日2錠)

                            1日2回 朝夕食後

   プレドニゾロン錠 5 mg           1回2錠(1日2錠)

                            1日1回 朝食後


(実務)

 処方1で治療を行ったが、10週間後も効果がなく、処方2への変更が検討されている。

処方2の服薬指導として、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


 (処方2)

   メトトレキサートカプセル 2 mg 1回1カプセル

         1週間3回 土曜目の朝夕食後、日曜日の朝食後


 1 1週間のうちの特定の日に服用することを強調して、誤用、過量投与を防止する。

 2 効果発現までには時間がかかることを説明する。

 3 間質性肺炎を発症することがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難などの症状があらわれた場合には、直ちに連絡するように説明する。

 4 口内炎があらわれた場合には、直ちに連絡するように説明する。

 5 関節リウマチの治療において、他剤が無効の場合にのみ使用すると説明する。







メトトレキサートは、関節リウマチの世界的な標準薬です。
効果の発現には、1~2ヶ月かかります。
リウマチによる関節破壊を阻止する目的で、発症早期から用いられる薬です。
よって、選択肢 5 は誤りです。

1週間単位の服用量が、通常6mgです。
6mgを、1回又は2~3回に分けて服用します。分割する際は、12時間毎に服用します。
副作用防止のために、メトトレキサート服用の1~2日後に、葉酸(フォリアミン)と併用することがよくあります。

効果が高い分、副作用もでやすい薬です。
間質性肺炎も、まれに発症することがあります。
又、重篤な血液成分の異常も、まれに発症することがあるので、口内炎などがあらわれた場合、白血球減少が
疑われるため、直ちに医師に連絡することが必要です。



以上より、正解は 5 です。







問262

56歳男性。

骨髄内臍帯血移植が行われた。

移植後、真菌感染症が疑われ、以下の処方について主治医から医薬品情報管理室に相談があった。


 (処方)

   注射用アムホテリシンBリポソーム製剤 50 mg/バイアル 3バイアル

   注射用蒸留水 36 mL

   ブドウ糖注射液5% 250 mL

          1回 昼 4時間かけて点滴静注


 主治医からの相談に対する医薬品情報管理室の薬剤師の対応として、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


 1 添付文書によりアムホテリシンBリポソーム製剤の用法・用量を確認した。

 2 アムホテリシンBリポソーム製剤の調製法と注意点を伝えた。

 3 医薬品適正使用のために、真菌感染症の診断が確定した後で処方するように提案した。

 4 投与中に発熱、悪寒、悪心などが発現した場合、点滴を一時中断し、患者の様子を見るように伝えた。

 5 副作用防止のため、腎機能、肝機能、血清電解質の検査を定期的に行うように提案した。






注射用アムホテリシンBリポソーム製剤(アムビゾーム)は、抗真菌薬として古くから使われる

ポリエン系抗生物質の一つであるアムホテリシンBの副作用を軽減するために開発されたリポソーム製剤です。

とはいえ、様々な副作用が報告されており、定期的血液検査が推奨されています。


この薬は、体重 1 kg 当り、アムホテリシンBとして 2.5mg (力価)を、1日1回、1~2時間以上かけて点滴静注します。

適応により、最大量や、投与スケジュールが異なります。


注射液の調製は、バイアルごとに、注射用水12mLを加え、直ちに激しく振り混ぜます。

そして、フィルターろ過させた液を、5%ブドウ糖注射液に加え、静注用希釈液とします。

希釈には、電解質溶液を使用しないよう、注意が必要です。(濁る場合があるためです)


本注射剤の適応は、幅広い真菌感染症及び、真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症です。

真菌感染症の診断が確定した後で処方する必要があるとはいえません。

よって、選択肢 3 は誤りです。



以上より、正解は 3 です。




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問263

56歳男性。

骨髄内臍帯血移植が行われた。

移植後、真菌感染症が疑われ、以下の処方について主治医から医薬品情報管理室に相談があった。


 (処方)

   注射用アムホテリシンBリポソーム製剤 50 mg/バイアル 3バイアル

   注射用蒸留水 36 mL

   ブドウ糖注射液5% 250 mL

          1回 昼 4時間かけて点滴静注


 アムホテリシンBに関する記述のうち、正しいのはどれか。

1つ選べ。


 1 エルゴステロール生合成を阻害し、真菌細胞膜合成を抑制する。

 2 真菌細胞膜のエルゴステロールに結合し、真菌細胞膜を障害する。

 3 真菌細胞壁を構成するβ−グルカン生合成を阻害する。

 4 真菌細胞内でフルオロウラシルに変換され、真菌のDNA及びRNA合成を阻害する。

 5 スクアレンエポキシダーゼを活性化し、エルゴステロールの分解を促進させ、真菌細胞膜を障害する。





アムホテリシンBは、ポリエン系抗生物質の1つです。
真菌の細胞膜の構成成分であるエルゴステロールと結合し、膜障害を起こし、殺菌的に作用します。


以上より、正解は 2 です。



ちなみに、エルゴステロール生合成を阻害するのは、アゾール系抗真菌薬です。


β-グルカン生合成を阻害するのは、キャンディン系抗真菌薬です。


真菌細胞内でフルオロウラシルに変換されるのは、フルシトシンです。


スクアレンエポキシダーゼを「阻害」するのは、テルビナフィンや、ブテナフィンです。







問264

36歳女性。

術後の病理検査により卵巣癌 Ic 期と診断され、パクリタキセルとカルボプラチンの併用療法が予定されている。

処方 1 及び 2 は、この化学療法に対する支持療法である。


 (処方1)

   グラニセトロン塩酸塩注射液 3 mg/バイアル 1バイアル

   デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液 6.6 mg/バイアル 3バイアル

     化学療法第1日目 パクリタキセルとカルボプラチンの投与前、点滴静注


 (処方2)

   デキサメタゾン錠 0.5 mg 1回8錠(1日16錠)

     化学療法第2日目及び3日目 1日2回 朝昼食後


 処方2のデキサメタゾン錠の投与目的として、正しいのはどれか。

1つ選べ。


 1 化学療法に伴う骨髄抑制の軽減

 2 化学療法に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)の軽減

 3 化学療法に伴う感染症の予防

 4 抗炎症作用による化学療法の効果の増強

 5 化学療法に伴う血栓形成の予防






抗がん剤による治療に伴う副作用を軽減する目的で行われるのが、支持療法です。

オンダンセトロンは、5 - HT3 受容体拮抗薬です。
又、デキサメタゾンはステロイドです。

支持療法として、特に消化器症状(悪心・嘔吐)の軽減を目的として
5 - HT3 受容体拮抗薬や、ステロイドが使用されます。

よって、本処方は、化学療法に伴う消化器症状(悪心・嘔吐)の軽減を目的としていると考えられます。



以上より、正解は 2 です。







問265

36歳女性。

術後の病理検査により卵巣癌 Ic 期と診断され、パクリタキセルとカルボプラチンの併用療法が予定されている。

処方 1 及び 2 は、この化学療法に対する支持療法である。


 (処方1)

   グラニセトロン塩酸塩注射液 3 mg/バイアル 1バイアル

   デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液 6.6 mg/バイアル 3バイアル

     化学療法第1日目 パクリタキセルとカルボプラチンの投与前、点滴静注


 (処方2)

   デキサメタゾン錠 0.5 mg 1回8錠(1日16錠)

     化学療法第2日目及び3日目 1日2回 朝昼食後


 この患者に使用が予定されている薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 パクリタキセルは、微小管の安定化を引き起こし、有糸分裂を阻害する。

 2 カルボプラチンは、癌細胞のDNAを架橋し、増殖を抑制する。

 3 グラニセトロンは、ドパミンD2受容体を遮断し、消化管運動を調整する。  

 4 デキサメタゾンは、タンパク同化作用と鉱質コルチコイド作用が共に強力である。






パクリタキセル(タキソール)は、タキサン系抗がん剤です。
微小管に結合して安定化させ、脱重合を阻害することにより、腫瘍細胞の分裂を阻害します。


カルボプラチンは、プラチナ製剤です。アルキル化剤の一つです。
すなわち、DNAと結合して架橋を生成することにより、がん細胞の増殖を抑制します。
シスプラチンの抗がん活性を弱めることなく、腎毒性などの副作用を回避することを目的として
開発された抗がん剤です。


グラニセトロンは、5 - HT3 受容体拮抗薬です。
化学療法の支持療法に、制吐目的で用いられます。
ドパミンD2受容体を遮断するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。


デキサメタゾンは、鉱質コルチコイド作用が極めて少ないことが特徴です。
よって、選択肢 4 は誤りです。



以上より、正解は 1,2 です。