問97-26~97-40 解説一覧





問26

薬物の安全域の計算式はどれか。1つ選べ。

 1 LD50 − ED50  2  ED50 − LD50  3  LD50 × ED50
 4 ED50 ÷ LD50  5  LD50 ÷ ED50

ED50とLD50の比(LD50/ED50)を安全域といいます。この値が大きいほど、薬の効き目が見られる量と、致死的な作用が出てしまう量との差が大きいです。つまり、安全性の高い薬であるといえます。

よって、正解は 5 です。


問27
競合的アンタゴニストを加えることによりアゴニストの用量−反応曲線が矢印のように変化した。正しいのはどれか。1つ選べ。

競合的アンタゴニストとは、同じ作用点において、アゴニストと受容体を奪い合うような物質の総称です。
競合的アンタゴニスト存在下では、用量-反応曲線は、高濃度側に平行移動します。

よって、正解は 1 です。

ちなみに、競合的アンタゴニストの強さの指標としてはpA2が用いられます。
pA2とは、用量-反応曲線を2倍高濃度に平行移動させるのに要する競合的アンタゴニストのモル濃度の負の対数値のことです。


問28
アトロピンの薬理作用として、正しいのはどれか。1つ選べ。

 1 瞳孔括約筋収縮    2 唾液分泌抑制     3 消化管運動促進
 4 胃酸分泌促進     5 子宮平滑筋収縮


アトロピンは、代表的な抗コリン薬です。
抗コリン薬は、M(ムスカリン)受容体を遮断する薬です。

代表的な副作用として、唾液分泌抑制(口渇)、便秘などがあります。

又、瞳孔括約筋(瞳を縮ませる筋肉)にあるM3受容体を遮断して、瞳をパッチリとさせる効果があります。
更に、胃酸を分泌する胃の壁細胞にあるM3受容体を遮断して、胃酸分泌を抑制する作用があります。
他にも、平滑筋のM受容体を遮断することで、平滑筋を弛緩させる作用があります。

以上により、正解は 2 です。


問29
終板の持続的脱分極により骨格筋弛緩作用を示すのはどれか。1つ選べ。

 1 パンクロニウム     2 ベクロニウム      3 ダントロレン
 4 スキサメトニウム    5 A型ボツリヌス毒素


バンクロニウム、ベクロニウムは、競合的Nm受容体遮断薬です。

ダントロレンは、筋肉の興奮-収縮連関の抑制薬です。

スキサメトニウムは、脱分極性筋弛緩薬です。

A型ボツリヌス毒素は、アセチルコリンの放出を妨げます。

脱分極による骨格筋弛緩作用を示すのは、スキサメトニウムです。
よって、正解は 4 です。



問30
フェンタニルの鎮痛作用発現に関わる作用点はどれか。1つ選べ。

 1 GABAA受容体        2 グルタミン酸NMDA受容体  
 3 オピオイドμ受容体      4 ドパミンD2受容体
 5 電位依存性Na+チャネル


フェンタニルは、μ受容体を刺激することにより鎮痛作用を示します。

よって、正解は 3 です。

ちなみに、GABAA受容体に関連する薬は、バルビツール酸誘導体や、ベンゾジアゼピン系の、抗不安薬や睡眠導入薬です。刺激薬として働きます。

グルタミン酸NMDA受容体に関連する薬は、メマンチン塩酸塩です。これはアルツハイマー型認知症の薬です。拮抗薬として働きます。

D2受容体に関連する薬は、麦角アルカロイドや、統合失調症薬です。麦角アルカロイドは刺激薬、統合失調症薬は遮断薬です。

電位依存性Na+チャネルに関連する薬は、抗てんかん薬や麻酔薬です。遮断薬です。


問31
GABAトランスアミナーゼ阻害作用を有する抗てんかん薬はどれか。1つ選べ。

 1 カルバマゼピン    2 フェニトイン    3 ジアゼパム
 4 エトスクシミド    5 バルプロ酸


抗てんかん薬はその作用機序により、大きく4つに分類されます。
.GABA受容体タイプ
ⅱ.
Na+チャネル遮断タイプ
T型Ca2+チャネル遮断タイプ
GABAトランスアミナーゼ阻害タイプ

GABAトランスアミナーゼ阻害タイプの代表的な薬は、バルプロ酸です。
よって、正解は 5 です。

ちなみに、カルバマゼピン、フェニトインは、Na+チャネル遮断タイプ

ジアゼパムはGABA受容体タイプ

エトスクシミドは、T型Ca2+チャネル遮断タイプです。



問32
ドブタミンの強心作用発現に関わる作用点はどれか。1つ選べ。

 1 アドレナリンβ1受容体     2 アセチルコリンM2受容体
 3 アデニル酸シクラーゼ     4 プロテインキナーゼA
 5 ホスホジエステラーゼ


ドブタミンは、心不全治療薬です。

心不全治療薬は、大きく2つに分類されます。
・ 強心薬
・ 心臓への負担を軽減させる薬

ドブタミンは、心不全治療薬の中の、強心薬です。
作用機序は、β1受容体を刺激することにより、Gsタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼ(AC:adenylate cyclase)が刺激(活性化)されます。

アデニル酸シクラーゼが活性化されると細胞内サイクリックAMP(cAMP:cyclic AMP)が増加します。

細胞内cAMPが増加することで、心筋収縮力が増強されます。

以上より、正解は 1 です。



問33
L型Ca2+チャネルを遮断することにより冠動脈拡張作用を示すのはどれか。1つ選べ。

 1 ニトログリセリン    2 ジピリダモール    3 アルプレノロール
 4 ジルチアゼム      5 硝酸イソソルビド

代表的なCa2+チャネル遮断薬は、◯◯ジピン(アムロジピン、シルニジピン等)、ジルチアゼムです。
血管平滑筋の膜電位依存型L型Ca2+チャネルを遮断することで、動脈を拡張します。動脈が拡張することにより血圧が下がります。

よって、正解は 4 です。

ちなみに、ニトログリセリン、硝酸イソソルビドは、硝酸薬です。体内のNO遊離を介して血管拡張を引き起こす薬です。狭心症薬として用いられます。

ジピリダモールは、アデノシン増強薬です。アデノシンの分解の抑制などを介して、冠動脈に存在するA2受容体へのアデノシン結合量を増加させ、冠血管拡張を引き起こし、それにより心筋への酸素供給量を増加させます。狭心症薬として用いられます。

アルプレノロールは、β遮断薬です。狭心症薬です。




問34
Na+−K+−2Cl共輸送系の抑制により利尿作用を示すのはどれか。1つ選べ。

 1 チアジド系利尿薬    2 ループ利尿薬     3 カリウム保持性利尿薬
 4 浸透圧利尿薬      5 炭酸脱水酵素阻害薬


Na+−K+−2Cl共輸送系の抑制により、利尿作用を示すのは、ループ利尿薬です。
ループ利尿薬の代表例はフロセミド、ブメタニド、アゾセミド、ピレタニドです。

副作用として低K血症があります。
この点を改良し、K保持を実現したのがトラセミドです。

よって、正解は 2 です。

ちなみに、チアジド系利尿薬は、近位尿細管腔に分泌され、遠位尿細管前半部に作用します。Na+-Cl-共輸送系を抑制することにより利尿作用を示します。
チアジド系利尿薬の代表例は、ヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジドです。

カリウム保持性利尿薬は、遠位尿細管に作用し、アルドステロン受容体に結合することにより、Na+-K+交換系を抑制します。
カリウム保持性利尿薬の代表例は、スピロノラクトン、カンレノ酸カリウム、エプレレノン、トリアムテレンです。

浸透圧利尿薬は、血液の浸透圧を上昇させることで、再吸収が抑制され、これらの作用の結果として、利尿作用を示します。
浸透圧性利尿薬の代表例は、D-マンニトール、イソソルビドです。

炭酸脱水酵素阻害薬は、近位尿細管の炭酸脱水酵素(CA:carbonic anhydrase)を阻害します。これにより、Na+-H+交換系が抑制され、Na+の再吸収が抑制されることにより利尿作用を示します。
炭酸脱水酵素阻害薬の代表例は、アセタゾラミドです。



問35
ムコタンパク質のジスルフィド結合 (−S−S−) を切断して低分子化し、喀痰の粘度を低下させるのはどれか。1つ選べ。


 1 アンブロキソール    2 ジヒドロコデイン    3 アセチルシステイン
 4 ジモルホラミン     5 ノスカピン

◯◯システイン(カルボシステインを除く)は、粘液のムコタンパク質のS-S結合を切断することで、粘液の粘度を低下させます。

よって、正解は 3 です。

ちなみに、アンブロキソールは、気道粘膜潤滑薬です。肺表面活性物質(肺サーファクタント)の分泌促進を主な作用として持ちます。痰の排出を容易にします。

ジヒドロコデインは、麻薬性中枢性鎮咳薬です。延髄咳中枢を抑制することにより鎮咳作用を示します。

ジモルホラミンは、中枢性呼吸興奮薬です。過度の呼吸抑制がおきたときに使用される薬物です。

ノスカピンは、非麻薬性中枢性鎮咳薬です。



問36
ヒスタミンH2受容体遮断作用を示すのはどれか。1つ選べ。

 1 メトクロプラミド    2 ファモチジン    3 モサプリド
 4 スルピリド       5 プログルミド


H2受容体とは、ヒスタミンの受容体の一種です。ヒスタミン受容体を遮断することで、胃酸分泌が抑制されます。
代表的なH2受容体遮断薬は、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、ロキサチジン酢酸エステルです。

よって、正解は 2 です。

ちなみに、メトクロプラミドは、D2受容体遮断薬です。消化管運動を促進させることにより、悪心、吐き気、食欲不振に用いられます。

モサプリドは、5-HT4刺激薬です。胃腸運動を促進させる働きがあります。慢性胃炎に伴う消化器症状に用いられます。

スルピリドは、D受容体遮断薬です。D2受容体遮断により、アセチルコリンの遊離促進→胃運動の促進を特に促します。これにより、胃内容物の停滞を改善し、潰瘍面と胃酸などの攻撃因子の接触時間を短縮して治癒を促進します。

プログルミドは、抗ガストリン薬です。胃酸を生成する壁細胞などのガストリン受容体を遮断することで、胃酸分泌を抑制します。



問37
甲状腺ホルモン産生阻害作用を示すのはどれか。1つ選べ。

 1 チアマゾール    2 オキシトシン    3 プロチレリン  
 4 クロミフェン    5 ソマトレリン


甲状腺ホルモンを産生する酵素は、ペルオキシダーゼです。ペルオキシダーゼは、ヨウ素を活性化ヨウ素へと変換する、体内の酸化過程を担う酵素です。ペルオキシダーゼを阻害することにより、T3,T4ホルモンが合成されないようにします。
ペルオキシダーゼを阻害する代表的な薬は、チアマゾール、プロピルチオウラシルです。

よって、正解は 1 です。

ちなみに、オキシトシンは、脳下垂体後葉から分泌されるホルモンです。
子宮収縮の誘発などを引き起こすホルモンです。

プロチレリンは、甲状腺刺激ホルモン(TSH:thyroid stimulating hormone)及びプロラクチン分泌を促進します。それらのホルモン分泌機能の検査に用いられます。

クロミフェンは、抗エストロゲン薬です。クロミフェンは、結果的には、フィードバック作用を介して、エストロゲン放出が増加します。不妊症の排卵誘発剤として用いられます。

ソマトレリンは、成長ホルモン(GH:growth hormone)の分泌を促進する薬です。
下垂体の成長ホルモンの分泌機能の検査に用いられます。



問38
ヒスタミンH1受容体遮断作用を持たないケミカルメディエータ一遊離抑制薬はどれか。1つ選べ。

 1 クロルフェニラミン  2 プロメタジン  3 クロモグリク酸
 4 ジフェンヒドラミン  5 ケトチフェン


代表的なケミカルメディエーター遊離抑制薬は、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、ペミロラストカリウムです。

よって、正解は 3 です。

ちなみに、クロルフェニラミン、プロメタジン、ジフェンヒドラミンは第一世代H1受容体遮断薬です。

ケトチフェンは、抗アレルギ-性H1受容体遮断薬です。H1遮断作用に加え、ケミカルメディエーター遊離抑制作用もあります。




問39
セファゾリンの抗菌作用の機序はどれか。1つ選べ。

 1 RNA合成阻害      2 DNA複製阻害    3 タンパク質合成阻害
 4 細胞膜合成阻害     5 細胞壁合成阻害

セファゾリンは、第一世代セフェム系抗菌薬です。
セフェム系抗菌薬とは、β-ラクタム系抗菌薬の一種です。
β-ラクタム系抗菌薬は、細胞壁合成阻害薬です。

以上より、正解は 5 です。

ちなみに、RNA合成阻害薬といえば、代表例は、抗真菌薬のフルシトシンです。

DNA複製阻害薬といえば、代表例は、DNAジャイレースに作用する、キノロン系抗生物質です。◯◯フロキサシン(レボフロキサシン、ノルフロキサシンなど)が代表例です。

タンパク質合成阻害薬といえば、代表例は、アミノグリコシド系抗生物質や、マクロライド系抗生物質です。
アミノグリコシド系の代表例は、ゲンタマイシンやカナマイシンです。
マクロライド系の代表例は、クラリスロマイシンやエリスロマイシンです。

細胞膜合成阻害薬といえば、代表例は、抗真菌薬のポリミキシンBです。


問40
DNAトポイソメラーゼIを阻害して抗悪性腫瘍作用を示すのはどれか。1つ選べ。

 1 ネダプラチン  2 ブレオマイシン  3 メルカプトプリン
 4 イリノテカン  5 マイトマイシンC

トポイソメラーゼ阻害薬は、抗腫瘍植物アルカロイドの一種です。
代表例としては、トポイソメラーゼIを阻害するイリノテカンが挙げられます。

以上より、正解は 4 です。

ちなみに、ネダブラチンは、白金製剤です。DNAに架橋を形成することでDNA複製やRNA合成を抑制します。

ブレオマイシンは、抗腫瘍抗生物質です。金属イオンを補因子としてキレートし、分子状酸素を活性化することでフリーラジカルを作ってDNAを損傷すると考えられています。
(ちなみに、「フリーラジカルを介してDNA損傷」という機構がすごく乱暴に感じたので
「頭にブ」がつく抗ガン剤は「無礼者→フリーラジカル」と、僕は覚えていました。
覚えるきっかけになると幸いです。)

メルカプトプリンは、代謝拮抗薬です。プリン環を保つヌクレオシド(アデニン、グアニン)類似物質です。DNA,RNAの生合成を阻害します。

マイトマイシンは、抗腫瘍抗生物質です。DNA間に架橋を形成し、DNA複製を阻害します。