問97-102 解説


問102

l-メントールに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 1 l-メントールは不斉炭素原子を4つ持つ。

 2 AはBのエナンチオマーである。

 3 BはCのジアステレオマーである。

 4 CはAの環を反転させたものである。

 5 l-メントールの最も安定な配座はCである。





選択肢1について、不斉炭素は下図で矢印で示した3つの炭素なので4つではありません。
よって、選択肢1は誤りです。

    

選択肢2についてはまずそれぞれ不斉炭素の立体配座がSかRかを考えます。
Aの図を少し書き換えると以下のようになります。

    

それぞれの部分を上図の矢印の向きから見る(Hを奥側にして見る)と、
残る3つの置換基を優先順位1,2,3の順番で回転させることで、その立体配座がわかります。

つまり、メチル基の付いたところは優先順位の並びが左回り(反時計回り)なので、Sです。
ヒドロキシル基の付いたところも左回り(反時計回り)なので、Sです。
イソプロピル基の付いたところは右回り(時計回り)で、Rです。

一方、Bの図でも同じように考えると、メチル基のところがR、ヒドロキシル基もR、イソプロピル基がSとわかります。

以上から、AとBは立体配座がまったく逆になっていますので、エナンチオマーの関係です。
よって、選択肢2が正解となります。

選択肢3について、Bは上述の通り、メチル基のところがR、ヒドロキシル基もR、イソプロピル基がSです。
Cについても同じように見ていくと、メチル基のところがR、ヒドロキシル基もR、イソプロピル基がSだとわかります。
つまり、BもCも全く同じ立体であり、同一の構造であることがわかります。
これはジアステレオマーではないので選択肢3は誤りです(もちろんエナンチオマーでもありません)。

選択肢4について、環を反転させるというのは、
の形を

の形に変えることです(もちろん逆も可)。

反転させたところで立体配座のSやRは変わりませんので、化合物としての種類が変わるわけではありません。
AとCはともに環が前者の形をしているので、これは反転とはいわず、選択肢4は誤りです。
BとCは選択肢3の通り同一の化合物であり、かつ環が反転しているため、
選択肢が「CはBの環を反転させたものである。」であれば正解でした。

選択肢5について、Cは3つの置換基がすべてアキシアル位にあります。
これは1,3-ジアキシアル相互作用により立体反発が起こりますので、不安定な配座です。
よって、選択肢5は誤りです。