問97-101~110 解説一覧


問101

日本薬局方に収載されているエフェドリン((1R,2S )-2-methylamino-1-phenylpropan-1-ol) の正しい構造はどれか。

1つ選べ。




RとSの判別問題です。
まず、フェニル基の付いた炭素が1位の炭素となることがポイントです。

1位の炭素に付いている4つの置換基は、OH、H、Ph(C6H5)、C(2位)です。
ここで原子番号はHが1、Cが6、Nが7、Oが8なので、
最も優先順位が高いのがOHであり、低いのがHとなります。
残りの2つはともにC原子ですが、さらに隣を見ると、
Phのほうは3つのCであり(二重結合は、Cが2つ付いているとみなします)、
2位のCはN、C、Hです。
それぞれの最も優先順位の高い原子を比較すると C < N なので、
結果として優先順位は OH > C(2位) > Ph > H となります。

ところで、この問題の選択肢はFischer投影式であり、RかSかを判断する際は置換基の入れ替えを行うことで、
十字の上側に最も優先順位の低い置換基を置きます。
置換基はひと組入れ替えると立体が逆転してしますので、2組入れ替えなければいけません。
選択肢1の場合、以下のような入れ替えを行います。

    

上記は一例であり、入れ替えの組み合わせは他にもあります。
とにかく、優先順位の最も低いHが上にくるようにしてください。
すると、残る優先順位1~3の置換基を1, 2, 3の順に見ると、左回り(反時計回り)に並んでいることがわかります。
左回り(反時計回り)の場合、その立体配座はSとなります。
逆に右回り(時計回り)の場合、立体配座はRです。
よって、選択肢1の場合は、1位の炭素の立体配座はSであるとわかります。

2位の炭素についても同様に考えます。
ここに付く4つの置換基は、優先順位の高いほうから N > C(隣にO) >C(隣にH) > H です。
よって、選択肢1で十字の上側にHがくるよう置換基の入れ替えをおこなうと、以下のようになります。

    

1, 2, 3の順に廻すと左回り(反時計回り)なので、2位の炭素の立体配座はSです。

以上から、選択肢1は(1S, 2S)ということがわかります。
問いでは(1R, 2S)を聞いているので、1位が選択肢1とは逆で、2位がそのままである選択肢3が正解ということになります。







問102

l-メントールに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 l-メントールは不斉炭素原子を4つ持つ。

 2 AはBのエナンチオマーである。

 3 BはCのジアステレオマーである。

 4 CはAの環を反転させたものである。

 5 l-メントールの最も安定な配座はCである。





選択肢1について、不斉炭素は下図で矢印で示した3つの炭素なので4つではありません。
よって、選択肢1は誤りです。

    


選択肢2についてはまずそれぞれ不斉炭素の立体配座がSかRかを考えます。
Aの図を少し書き換えると以下のようになります。

    

それぞれの部分を上図の矢印の向きから見る(Hを奥側にして見る)と、
残る3つの置換基を優先順位1,2,3の順番で回転させることで、その立体配座がわかります。

つまり、メチル基の付いたところは優先順位の並びが左回り(反時計回り)なので、Sです。
ヒドロキシル基の付いたところも左回り(反時計回り)なので、Sです。
イソプロピル基の付いたところは右回り(時計回り)で、Rです。

一方、Bの図でも同じように考えると、メチル基のところがR、ヒドロキシル基もR、イソプロピル基がSとわかります。

以上から、AとBは立体配座がまったく逆になっていますので、エナンチオマーの関係です。
よって、選択肢2が正解となります。

選択肢3について、Bは上述の通り、メチル基のところがR、ヒドロキシル基もR、イソプロピル基がSです。
Cについても同じように見ていくと、メチル基のところがR、ヒドロキシル基もR、イソプロピル基がSだとわかります。
つまり、BもCも全く同じ立体であり、同一の構造であることがわかります。
これはジアステレオマーではないので選択肢3は誤りです(もちろんエナンチオマーでもありません)。

選択肢4について、環を反転させるというのは、

の形を

の形に変えることです(もちろん逆も可)。

反転させたところで立体配座のSやRは変わりませんので、化合物としての種類が変わるわけではありません。
AとCはともに環が前者の形をしているので、これは反転とはいわず、選択肢4は誤りです。
BとCは選択肢3の通り同一の化合物であり、かつ環が反転しているため、
選択肢が「CはBの環を反転させたものである。」であれば正解でした。

選択肢5について、Cは3つの置換基がすべてアキシアル位にあります。
これは1,3-ジアキシアル相互作用により立体反発が起こりますので、不安定な配座です。
よって、選択肢5は誤りです。





問103

含窒素複素環化合物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 1 水溶性は、ピリジンよりキノリンの方が高い。

 2 塩基性は、ピロリジンよりピロールの方が弱い。

 3 重クロロホルム中で測定した1H-NMRのうち、炭素原子に結合した水素のシグナルは、ピリジンよりピペリジンの方が高磁場に観測される。

 4 芳香族求電子置換反応は、ピロールよりピリジンの方が速い。





この問題では多くの含窒素化合物が出てきます。これらの構造は紛らわしいのですが、どれも大事な化合物ですので、その構造を正確に覚えておく必要があります。

まず、選択肢 1 のピリジンとキノリンの構造を見てください。

    

構造を見るとピリジンには3つの二重結合があり、つまり6つのπ電子を持っています。
キノリンには5つの二重結合、つまり10のπ電子を持っています。
これはともにHückel則(π電子が4n+2個)を満たしているため、ピリジンもキノリンも芳香族性を有しています。
芳香族化合物は概して有機溶媒に溶けやすいのですが、ここでは水溶性の大小が問われています。
キノリンはピリジンに比べて分子量が大きい上、水に溶けにくいベンゼン環が追加された構造をしているので、より水に溶けにくくなります。

選択肢 2 のピロリジンとピロールの構造は以下のとおりです。

    

上図のとおり、ピロリジンはN原子上に非共有電子対を持っているため、塩基性を示します。
一方、ピロールは2つの二重結合と、N原子上の非共有電子対の計6つのπ電子により芳香族性を保っています。
仮にピロールが塩基として働くと、この非共有電子対を失うことになり、芳香族性が崩れてしまいます。
よって、実際にはピロールの塩基性は弱く、この選択肢 2 は正解です。

選択肢3のピリジン、ピペリジンは次のような構造をしています。

    

ピリジンは芳香族化合物であり、ピペリジンは違います。
芳香環を成す炭素に結合している水素の1H-NMRのシグナルは、7~9 ppm前後に現れます。
よってピリジンではかなり低磁場側(数字が大きいほど低磁場です)にシグナルが見られます。
一方のピペリジンもN原子の隣の炭素に結合した水素はやや低磁場側にシフトしますが、それでも3 ppm程度です。
それ以外の水素に関しては1~2 ppm前後となるため、選択肢3も正しい内容です。

選択肢 4 について、ピロールとピリジンの構造は上記のとおりです。
どちらも芳香族化合物ですが、最大の違いはN原子上の非共有電子対がπ電子系に含まれるか否かです。
ピロールは非共有電子対を合わせて6π電子であり、ピペリジンは二重結合だけで6π電子になっています。
その違いにより、両化合物の共鳴構造は以下のように異なってきます。

    

    

ピロールの場合、上図上側のように非共有電子対が炭素側にも流れてゆき、炭素側の電子密度が高くなります。
その結果、電子豊富となるため、求電子置換反応も起こりやすくなります。

一方、ピリジンの場合、非共有電子対は共鳴には寄与しません。
上図下側のように、むしろ炭素側の電子を引き寄せて、炭素側の電子密度が低くなっています。
結果として、炭素側の電子が不足している状態なので求電子置換反応は起こりづらくなります。

よって、選択肢 4 はその記述が逆なので、誤りです。

以上より、正解は選択肢 2, 3 となります。






問104

反応後、水で後処理すると、エタノール以外のアルコール化合物を生成するのはどれか。2つ選べ。




選択肢 1 はグリニャール反応なので、MgBrにくっついているブチル基が、カルボニル基に導入されます。
その後、水による後処理で、カルボニル基がOHになります。
つまり、生成物は、エタノールではないアルコールです。
よって、選択肢1は正解です。

    


選択肢 2 はフリーデル・クラフツ反応なので、CH3COが、ベンゼン環に導入され、アセトフェノンが生成されます。
水で後処理しても、アセトフェノンはそのままです。
よって、選択肢2は誤りです。

    

選択肢 3 はアルドール付加反応で、塩基触媒(NaOCH2CH3)が加えられているので
エノラートアニオンが生成し、カルボニル基に求核付加して、水による後処理でアルコールになります。
つまり、生成物は、エタノールではないアルコールです。
よって、選択肢 3 は正解です。

    

選択肢 4 はクライゼン縮合反応なので、β-ケトエステルが生成されます。
もう一つの生成物として、エタノールも生成されます。
つまり、エタノール以外のアルコールは生成されませんので、選択肢 4 は誤りです。

    

以上より、選択肢1と3が正解となります。






問105

医薬品ア〜ウについて、正しい記述はどれか。2つ選べ。

 1 アの環内の窒素はsp混成である。

 2 イは、(S) -プロリン(L-プロリン)のN−置換体である。

 3 ウは、炎色反応試験で赤色を呈する。

 4 アが最も水に溶けやすい。





医薬品アは、イミプラミン(三環系抗うつ剤)
医薬品イは、カプトプリル(ACE阻害剤)
医薬品ウは、インドメタシン(インドール酢酸誘導体)
です(これを知らなければ解けないというものではないのですが、参考までに載せておきます)。

まず最初の選択肢ですが、医薬品アの窒素には3個の原子と非共有電子対が結合しているため、sp3混成です。
よって、選択肢 1 は誤りです。

また、プロリンの構造は以下のようなものです。
20種類のアミノ酸については全ての構造が書けるようになるといいと思います(特に国試を受ける方は)。


    


上図を見ると、医薬品イはプロリンのN-置換体であることがわかります。
選択肢 2 は正解です。

次に、炎色反応は金属原子及びハロゲンの存在を確認している、と読みかえると理解しやすいです。
金属原子の炎色反応は「Li 赤、Na 黄、K 紫、Cu 緑、Ca 橙、Sr 紅、Ba 緑」です。
ハロゲンの炎色反応は、緑~青色となります(ただしフッ素は炎色反応が起こりません)。

選択肢 3 のように、炎色反応試験で赤色を呈するということは、Liを含むということです。
医薬品ウはLiを含まないため、これは誤りです。
ちなみに、医薬品ウはCl を含むので、炎色反応では緑色を呈します。

選択肢 4 は水溶性についての問題ですが、アの医薬品(イミプラミン)のみ、・HClがあります。
これは塩酸塩であることを表しているので、水に溶けやすいと考えられます。
塩酸塩に限らず、塩を形成していれば基本的に水溶性であるといえます。
よって選択肢 4 は正解です。


以上より、正解は 2,4 です。


問106

以下の記述は、日本薬局方に収載されているアスピリンの確認試験である。

[  ]に入れるべき化合物の名称はどれか。1つ選べ。

 本品0.5 gに炭酸ナトリウム試液10 mLを加えて5分間煮沸し、希硫酸10 mLを加えるとき、酢酸のにおいを発し、白色の沈殿を生じる。また、この沈殿をろ過して除き、ろ液にエタノール (95) 3 mL及び硫酸3 mLを加えて加熱するとき、[  ]のにおいを発する。

 1 酢酸

 2 酢酸エチル

 3 ギ酸

 4 メタノール

 5 フェノール





アスピリンに炭酸ナトリウムを加えて煮沸すると、エステルの加水分解が起こり、サリチル酸ナトリウムと酢酸ナトリウムが生成します。

次に希硫酸を加えることで
サリチル酸ナトリウムはサリチル酸に変わり(これが白い沈殿)、
酢酸ナトリウムは酢酸になります。
ともに、ある塩に対して強酸を加えたことで、弱酸(正確には、希硫酸より弱い酸)が遊離するという反応です。
よって、問題文にもあるとおり、この段階で酢酸のにおいがします。

続いて沈殿物であるサリチル酸はろ過で除き、残る酢酸にエタノールと硫酸を加えます。
カルボン酸(酢酸)+アルコール(エタノール)+酸触媒(硫酸)といえば、エステル合成の有名な反応です。
つまり、酢酸とエタノールのエステルである酢酸エチルが生成します。
よって、選択肢 2 が正解です。

問107

2つの5員環化合物 (A、B) から図に示す反応を以下の操作手順で行った。

この反応に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。



実験操作

 100 mLの丸底フラスコにB (60 mmol) を入れ、無水ベンゼン (50 mL) に溶かす。これを約5℃に冷却し、A (66 mmol) の無水ベンゼン (5 mL) 溶液を5分間で滴下する。室温で10分間撹拌後、さらに10分間加熱還流させると、化合物CとDの生成を確認した。

 放冷後、石油エーテル(約30 mL)をゆっくりと加え、冷却すると、生成物Cが析出した。


 1 この反応はディールス・アルダー反応とよばれる。

 2 この反応はエンド則に従い、主にCを生じる。

 3 Aからヒドリドがとれて生じる化合物は芳香族性を示す。

 4 Bの名称は無水フタル酸である。

 5 Cを単離するには、ひだつきろ紙を用いて吸引ろ過するのが最も適している。





設問の反応は、共役ジエンにアルケンが付加して不飽和6員環構造を形成する、[4+2]付加環化反応です。
このような反応のことをDiels-Alder(ディールス・アルダー)反応といいます有機化学まとめました 2-2 7)参照
よって、選択肢1は正解です。

また、この反応はendo(エンド)則という速度論的支配で反応が進む性質があるので、選択肢2も正解です。
endo則により化合物Cが生成しますが、その構造を見てもわかるとおり、置換基がaxial位にあるので熱力学的には不利です。

化合物Aからヒドリド(H)がとれると、次のような構造になります。

    

これはπ電子が4つしかなく、Hückel則(π電子が4n+2個)を満たしません。
芳香族性を示すためにはHückel則を満たす必要があるので、選択肢3は誤りです。

化合物Bは無水フタル酸ではなく、無水マレイン酸です。

    

よって、選択肢4も誤りです。

選択肢5はひだつきろ紙で吸引ろ過とありますが、ろ紙とろ過の組み合わせが不適切です。
吸引ろ過は水やポンプの力で引圧を作り、ろ過速度を高めるようなろ過の方法です。

普通はグラスフィルターにろ紙を載せ、その上から試料を流し込みます。
ひだつきろ紙のような隙間だらけのろ紙を使うと
吸引しても隙間から空気がすーすー入り込んでしまって、うまく引圧を作ることができません。

もしひだつきろ紙を用いるなら、吸引しないそのままのろ過(自然ろ過)をおこないます。
よって、選択肢5は誤りです。


以上から、正解は1, 2になります。





問108

図は日本薬局方医薬品イブプロフェン(ラセミ体)の1H-NMRスペクトル(500 MHz, CDCl3)と部分拡大図である。ピークhはCDCl3に含まれる残留CHCl3で、これを7.26 ppmとして化学シフトを示している。次の記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 拡大図中のピークaは、アとクがそれぞれシングレット(3H分)のシグナルとして観測されたものである。

 2 拡大図中のピークbはコのシグナルで、隣接メチンプロトンである ケ とのカップリングによりダブレットとして観測されている。

 3 拡大図中のピークcに対応するプロトンは イ である。

 4 拡大図中のピークeに対応するプロトンは ケ である。

 5 拡大図中のピークf、gは、ウ、エ、オ、力 のシグナルである。





選択肢 1 ではピーク a がアとクとありますが、これはクとコです。
クとコはその構造上、完全に等価なメチル基であるので、そのピークも重なって現れるはずです(ダブレット)。
また、アについては、隣接炭素に水素(イ)が付いているため、アはダブレットになります。
ダブレットで3Hのものはピーク b のみなので、これがアということになります。
(ピークbは3Hと明記してありませんが、他のダブレットには2Hと書いてあるのでそこから判断できます。)
アに隣接する炭素にCOOHが結合しているため、アのピーク b がやや低磁場側にシフトしています。

選択肢 2 ではピーク b がコとありますが、上述のとおりピーク b はアで、ピークaがコ(+ク)です。
後半部分の「ケとのカップリングによりダブレットになる」という記述は正しいです。
ちなみに、「メチンプロトン」という言葉は聞きなれないかもしれませんが、これは第三級炭素に付いた水素のことです。
-CH2-の構造を「メチレン」と呼んだりしますが、これが第三級になると「メチン」になります。

選択肢 3 ではピーク c がイとありますが、ピーク c はケ、ピーク e がイです。
ケは隣接炭素に付いた水素(クとコ)が計6つあるので、セプテット(七重線)のピークcにあたります。
イは隣接炭素に付いた水素(ア)が3つなので、カルテット(四重線)のピーク e となります。
イ(ピーク e )は結合炭素の隣に芳香環と COOH があるので、だいぶ低磁場側にシフトしています。

選択肢4ではピーク e がケとありますが、ピーク e はイで、ピーク c がケです。
これは選択肢 3 の説明のとおりです。

残る選択肢 5 はピーク f、g がウ、エ、オ、カとのことですが、これが正解です。
ウ、エ、オ、カは芳香環上の水素なので、7~8ppm あたりのかなり低磁場にピークが現れます。
また、ウとオ、エとカがそれぞれ等価な水素であるため、2Hのピークが2つできます。


以上より、正解は5です。






問109

チロシン由来のアルカロイドはどれか。2つ選べ。



モルヒネがチロシン由来であるというのは有名ですので、ぜひ覚えておいてください。
とはいえ、この問題はそのことを知らなくても差し支えなく解くことができます。

まず、チロシンの構造は以下のとおりです。
20種類のアミノ酸の構造はすべて書けるようにしておくと、薬剤師国試に臨む際には便利です。

    

これと選択肢の構造を見比べることで答えを見つけられます。

まず、特徴的なベンゼン環を有していない選択肢 2 は除外して良さそうです。
次に、チロシンはフェノール性水酸基を有しています。
フェノール性水酸基は強いo,p配向性を示し、反応性に富んでいますが、-OH自身が置換することはありません。
よって、ベンゼン環に酸素が結合していない選択肢 4, 5 についてもチロシン由来とはいえません。
また、選択肢 3 もフェノール性水酸基がありませんが、ヒドロキシル基がメトキシ基に変わる反応はあります。
つまり、ベンゼン上の炭素と酸素の間の結合はめったに切れませんが、水酸基の酸素と水素の間の結合は切ることができます。
よって正解は選択肢1, 3となります。

これで正解であるという確信をより得たいのであれば、窒素原子に注目すると良いかもしれません。
チロシンはフェノール性水酸基のp位に置換基があり、窒素は 2 位の炭素に結合しています。
選択肢 1 も 3 も、数えてみるとチロシンと同じく 2 位の炭素に窒素が結合していることがわかります。
選択肢 2, 4, 5 については、そのような説明ができません。
よって、やはりチロシン由来であるのは選択肢 1, 3 ということになります。





問110

基原植物に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 オウレンとオウバクの基原植物はミカン科に属し、主要成分としてインドールアルカロイドを含む。

 2 ゲンチアナとリュウタンの基原植物はリンドウ科に属し、主要成分としてセコイリドイド配糖体を含む。

 3 ダイオウとセンナの基原植物はマメ科に属し、主要成分としてビアントロン類を含む。

 4 トウキとセンキュウの基原植物はセリ科に属し、主要成分としてリグナン類を含む。

 5 オンジとセネガの基原植物はユリ科に属し、主要成分としてステロイドサポニンを含む。


オウレンの基原植物は、オウレン(キンポウゲ科)です。
主成分はベルベリンです。
オウバクの基原植物は、キハダ(ミカン科)です。 主成分はベルベリンです。

よって、選択肢 1 は誤りです。


ゲンチアナの基原植物は、ゲンチアナ(リンドウ科)です。 
リュウタンの基原植物はトウリンドウ(リンドウ科)です。
これらの主成分は、セコイリドイド配糖体です。

よって、選択肢 2 は正解です。


ダイオウの基原植物は、ダイオウ(タデ科)です。
主成分は、センノサイド類、アントラキノン類です。
センノサイド類は、より大きな区分として
アントラキノンが2つ重合した骨格を持つビアントロン類と呼ばれることもあります。
センナの基原植物は、センナ(マメ科)です。
主成分はセンノサイド類です。

よって、選択肢 3 は誤りです。


トウキの基原植物は、トウキ(セリ科)
センキュウの基原植物は、センキュウ(セリ科)
これらの主要成分はフタリド類が主成分である精油です。
ちなみに、リグナン類は、フェニルプロパノイドの中で
C6-C3単位が、2~4個縮合して生成する化合物群のことです。

よって、選択肢 4 は誤りです。


オンジの基原植物は、ヒメハギ(ヒメハギ科)です。
セネガの基原植物は、セネガ(ヒメハギ科)です。
これらの主要成分は、主成分は、トリテルペノイドサポニンです。
サポニン含有なので、生薬粉末に水を加えて激しく振ると発泡します。

よって、選択肢 5 は誤りです。