問97-6~問97-10 解説一覧




問6

以下の反応はどれに分類されるか。1つ選べ。


1 置換反応   2 脱離反応   3 付加反応   4 転位反応


置換反応とは、反応前の物質(これを基質といいます)の一部分が、反応試薬の一部分と置き換わる反応のことを指します。問の反応は、一部分が抜けているので、置換反応ではないと考えれます。

脱離反応とは、分子内から2つの原子(または原子団)が抜けて、そこに結合が形成されるような反応です。
問の反応は、OHとHが抜けていると考えられるので、脱離反応です。

付加反応とは、不飽和結合(二重結合や三重結合)の1つの結合が切れ、そこに新たな原子や置換基が結合するような反応です。問の反応は、基質に不飽和結合がなく、付加反応ではないと考えられます。

転移反応とは、原子や置換基が別のその分子の別の部位に移動するような反応です。
問の反応は、OHやHが移動したわけではないため、転移反応ではないと考えられます。

以上により、正解は 2 です。



問7
ベンゾジアゼピン骨格を持つのはどれか。1つ選べ。



ベンゾジアゼピン骨格とは、N 2 個を含む7員環と、ベンゼン環が結合した部分構造のことです。
よって、正解は 3 です。

ちなみに
選択肢1の化合物はペニシリンGカリウムで、含まれる骨格はβ-ラクタムです。
選択肢2の化合物はインドメタシンで、含まれる骨格はインドールです。
選択肢3の化合物はニトラゼパムです。含まれる骨格はベンゾジアゼピンです。
選択肢4の化合物はクロルプロマジンです。含まれる骨格はフェノチアジンです。
選択肢5の化合物はナロキソンです。含まれる骨格はアルカロイドです。


問8
以下の化合物のうち、光学活性を示さないのはどれか。1つ選べ。
 

不斉炭素があるので、原則として光学活性を示すはずですが、メソ体であれば光学活性がない(アキラル)です。
メソ体かどうかとは、対称面が存在するかで判断します。

すると、選択肢3の化合物は、化合物の真ん中に横切る面を考えると対称であるため、対象面が存在します。
つまりメソ体であり、光学活性を示さないと考えられます。



問9
窒素の酸化数が最も大きいのはどれか。1つ選べ。

 1 一酸化二窒素   2 一酸化窒素   3 二酸化窒素
 4 亜硝酸      5 硝酸

窒素酸化物のまとめを表にして示すと以下のようになります。


又、一般的な酸化数の求め方は、以下のルールに従います。
ルール① 化合物の、各原子の酸化数の和が0
ルール② Oは、原則、酸化数が-2
ルール③ Hは、原則、酸化数が+1

ルールより、亜硝酸(HNO2)において、Nの酸化数は+3です。
又、硝酸(HNO3)において、Nの酸化数は+5です。

以上より、最も窒素の酸化数が多いのは硝酸です。
よって、正解は 5 です。



問10
ヒドロキシ基 (OH基) を持つ3つの化合物について、酸性の強いものから弱いものへ並べた正しい順番はどれか。1つ選べ。

1 A > B > C  2 A > C > B  3 B > A > C
4 B > C > A  5 C > A > B  6 C > B > A



種々の酸を強い順に順番に並べると、スルホン酸(-SO3H) > カルボン酸(-COOH) > 炭酸(H2CO3またはCO2) > フェノール(C6H5OH) となります。
よく語呂合わせとして「スカタンのフェノール」などと言われることがあります(ススルホン酸、カカルボン酸、タン炭酸、フェノールはそのまま)。
この語呂合わせにアルコールは登場しませんが、これはアルコールが酸性ではないためです。
つまり、アルコールは中性の化合物です。

以上を知っていれば、この問題ではカルボン酸であるB(安息香酸)が最も酸性が強く、次いでC(フェノール)、最も酸性の弱いものがアルコールのA(ベンジルアルコール)ということになります。
よって、選択肢 4 が正解です。

もちろん、この序列を暗記していないとしても、この問題を解くことはできます。
定義にもよりますが、一般的に、酸はプロトンを与える性質を持ちます。
この性質が強ければ強い酸といえます。
別の言い方をすれば、電離度の大きい酸は強い酸であるということです。
ここで、例として問題にある化合物A,B,Cのそれぞれが電離した時の状態を考えてください。




まず上図のAを見ると、プロトンを放出した形が特に共鳴構造を持つわけでも誘起効果があるわけでもないことがわかります。
よって、このイオンはあまり安定とはいえず、Aのベンジルアルコールは電離しにくい(=酸性が弱い)化合物であると判断できます。

次にBとCを見ると、脱プロトン化体が共鳴安定化していることがわかります。
よって、Aよりは強い酸であることがわかります。
ここで、「BよりもCのほうが共鳴構造が多いから、より安定である。」と考えてしまうのは誤りです。
よく見ると、Bのほうは電気陰性度が高い酸素原子が負電荷が持つ共鳴構造が2つあります。
一方のCは、共鳴構造の数は多いものの、1つ以外は炭素原子上に負電荷があります。
炭素は酸素よりも電気陰性度が低いため、そこに負電荷があってもあまり安定ではありません。
以上のことから、Bの安息香酸はCのフェノールよりも強い酸であるといえます。
よって正解は選択肢 4 と判断できます。