問98-181~98-195 解説一覧



問181

大規模地震の被災地に設けられた仮設病院で、透析患者が食後の胃痛を訴えた。
薬剤師は、その患者が胃潰瘍のためゲファルナートカプセル100mg を
1回1カプセル、1日2回で服用していたことを、お薬手帳から把握した。

仮設病院にはゲファルナートカプセル100mg の在庫がない。
医師に代替薬として提案する場合、最も適切な薬剤はどれか。
1つ選べ。

1 スクラルファート水和物細粒
2 ロペラミド塩酸塩カプセル
3 セトラキサート塩酸塩カプセル
4 乾燥水酸化アルミニウムゲル細粒
5 ピコスルファートナトリウム水和物内用液





ゲファルナートは、防御因子増強剤です。
よって、同種同効薬が代替薬としては適切です。

又、剤形は、可能であれば変更しない方が服薬に違和感がなく
適切であると考えられます。

よって、選択肢の中から選ぶなら、セトラキサート塩酸塩カプセルが
同種同効薬であり、剤形も同一であり、最も適切と考えられます。



以上より、正解は 3 です。







問182

57歳男性。5時間前に左前胸部痛が突然出現し、2時間程続いたので近医を受診した。
急性心筋梗塞の疑いがあり、心電図上、心室性期外収縮の頻発を認めたた
緊急措置としてリドカイン塩酸塩の筋肉注射を受けた。
その後、救急病院に転送された。

救急病院入院時の心電図検査で胸部誘導にST 上昇が確認された。
この患者の病態及び治療に関する記述のうち、誤っているのはどれか。
1つ選べ。


1 クレアチンキナーゼ(CK)の総活性は、筋肉注射の影響を受ける。
2 トロポニンTを測定したところ、高値を示した。
3 心エコー図で左心室の動きに、異常は認めなかった。
4 冠動脈内血栓溶解療法(PTCR)の適応も考えた。
5 リドカイン塩酸塩の静脈内投与を開始した。





クレアチンキナーゼは、筋肉中に存在する酵素です。
筋肉注射によっても検査値が上昇することが知られています。


トロポニンTは、心筋梗塞発症早期(3~6時間経過後)から、2~3週間後まで
上昇します。


心室性期外収縮の頻発が認められるとあるから
心エコー図で左心室の動きに以上が認められないのは誤りであると考えられます。
よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4,5 は問題のない記述です。




以上より、正解は 3 です。







問183 

再生不良性貧血に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 発症の原因の1つにウイルス感染症がある。
2 末梢血の血小板数が増加する。
3 末梢血の網状赤血球数は正常である。
4 血清鉄値が低下する。
5 エリスロポエチン産生が亢進する。





選択肢 1 はその通りの記述です。
ウイルス性の肝炎に伴う再生不良性貧血は、二次性再生不良性貧血の原因として
最多のものです。


再生不良性貧血は、骨髄機能低下による貧血です。
末梢血中の全ての系統の血球が減少します。
そのため、末梢血中の血小板数、及び、網状赤血球数は減少します。
よって、選択肢 2,3 は誤りです。


血清中の鉄は、赤血球合成が低下するため、鉄の消費が減少することから
高値をとります。
よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 はその通りの記述です。
赤血球が減少するため、産生を刺激するエリスロポエチンは増加します。



以上より、正解は 1,5 です。






問184 

胆石症に関する記述のうち、誤っているのはどれか。
1つ選べ。

1 脂肪分の多い食事を大量に摂取した数時間後に、疝痛発作を起こしやすい。
2 胆石があっても、自覚症状のない患者が半数以上である。
3 胆石が総胆管に嵌頓(かんとん)するとALP、γ-GTP、総ビリルビン値の上昇が見られる。
4 重篤な疝痛発作のとき、第一選択薬としてモルヒネが用いられる。
5 胆嚢がんでは、胆石を伴うことが多い。





選択肢 1 ~ 3 はその通りの記述です。
ちなみに疝痛とは、お腹の激しいさしこむような痛みのことです。
又、嵌頓(かんとん)とは、何かに嵌り込んで、元に戻らない状態のことです。


重篤な疝痛発作の第一選択薬は、抗コリン薬です。
それでも痛みが収まらない時は、消炎鎮痛坐剤などが用いられます。


選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 4 です。







問185

膵がんとその治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 大多数は、膵内分泌腺から発生する。
2 黄疸を伴うことはない。
3 血糖値の上昇を伴うことがある。
4 化学療法として、ゲムシタビン塩酸塩が用いられる。
5 遠隔転移がある場合でも、5年生存率は80%以上である。






膵がんは、通常膵管上皮から発生します。
よって、分泌腺からではありません。
選択肢 1 は誤りです。


膵頭部でのがんが大きくなり、胆管が圧迫されて胆汁の流れが悪くなるなどの理由で
黄疸を伴う事があります。
よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3,4 はその通りの記述です。


膵がんの5年生存率は、全体で約10~20%ほどです。
(進行度の全てのステージを合計。2013.4月現在)

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3,4 です。






問186

副甲状腺機能亢進症に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 原発性は、骨形成の促進を伴う。
2 二次性は、高カルシウム血症を示す。
3 原発性及び二次性ともに、血清PTH(parathyroid hormone)高値を示す。
4 原発性は、副甲状腺がんに由来するものが多い。
5 維持透析下に発症した症例には、シナカルセト塩酸塩が有効である。





副甲状腺ホルモンは、骨吸収を促進するので、骨密度の低下を伴います。
骨形成の促進ではないので、選択肢 1 は誤りです。


二次性副甲状腺機能亢進症は、低 Ca 血症による副甲状腺の刺激が原因です。
よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 はその通りの記述です。


原発性は、主に腺腫由来です。
腺腫とは、良性腫瘍ともよばれ、癌ではありません。
よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 3,5 です。






問187

50歳男性。徐々に筋力低下及び筋萎縮を認めた。
検査の結果、萎縮は神経原性と判明した。
以下の疾患のうち該当する疾患はどれか。
1つ選べ。

1 多発性筋炎
2 遠位型ミオパチー
3 筋萎縮性側索硬化症
4 筋強直性ジストロフィー
5 進行性筋ジストロフィー





多発性筋炎とは、筋肉の障害により、力が入らなくなったり、痛みを感じる病気です。
膠原病の1つです。
よって、神経原性ではないので、選択肢 1 は誤りです。


遠位型ミオパチーとは、体幹から離れた部分から筋肉が萎縮していく病気です。
遺伝子の異常により発症します。
よって、神経原性ではないので、選択肢 2 は誤りです。


筋萎縮性即索硬化症は、神経原性の筋力低下及び筋萎縮をみとめる疾患です。


筋剛直性ジストロフィーは、遺伝性の筋萎縮症です。
よって、神経原性ではないので、選択肢 4 は誤りです。


進行性筋ジストロフィーは、遺伝性の筋萎縮症です。
よって、神経原性ではないので、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3 です。






問188

アトピー性皮膚炎及びその治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 非免疫学的要因として、皮膚バリアー機能の低下がある。
2 血清IgG 値が増加する。
3 アゼラスチン塩酸塩錠では、眠気を起こさない。
4 タクロリムス水和物軟膏が、使用できる。
5 重症例では、タクロリムス水和物カプセルの内服を行う。





選択肢 1 はその通りの記述です。


アトピー性皮膚炎において上昇するのは、IgE値です。
IgG ではないので、選択肢 2 は誤りです。


アゼラスチンは、第二世代抗ヒスタミン薬です。第一世代と比較して眠気が出にくい薬ですが
眠気を起こさないわけではありません。
よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 はその通りの記述です。
塗り始めに、ヒリヒリ感がかなりの確率でおこりますが、たいてい一時的で、1週間もすれば軽くなります。
そのため、そういった症状が出ることを伝えると共に、薬の使用を継続するよう指導する事が必要です。


タクロリムス水和物カプセルは、移植時の免疫抑制に使用されます。
重症アトピー性皮膚炎には適用がありません。
よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,4 です。







問189

スティーブンス・ジョンソン症候群に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 失明の原因となりうる。
2 中毒性表皮壊死症が重症化した病態である。
3 皮膚粘膜移行部に、粘膜病変が認められる。
4 薬剤性が疑われる場合は、原因薬物同定のために、内服誘発テストを行う。
5 重症例では、副腎皮質ステロイド薬の外用剤が、第一選択薬として用いられる。





選択肢 1 はその通りの記述です。


中毒性表皮壊死症(T.E.N)は、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)と並び、極めて重症な薬疹です。
T.E.Nが重篤化してSJSというわけではありません。
よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 はその通りの記述です。


薬剤性が疑われる時は、原因薬物を直ちに中止します。
よって、選択肢 4 は誤りです。


重症例では、原因薬物中止、熱傷の治療の後、ステロイド内服が行われます。
ステロイド外用ではありません。
よって、選択肢 5 は誤りです。




以上より、正解は 1,3 です。







問190

抗リン脂質抗体症候群に関する記述のうち、誤っているのはどれか。
1つ選べ。

1 基礎疾患として、全身性エリテマトーデス(SLE)が認められることが多い。
2 自己抗体が陽性である。
3 重篤な動静脈血栓症を引き起こしやすい。
4 流産及び胎児死亡などの危険因子である。
5 妊娠時には、ワルファリンカリウムの経口投与が用いられる。





抗リン脂質抗体症候群とは、血中に抗リン脂質抗体が見られ、習慣性に流産を起こしたり
血栓症を起こしたりする疾患です。

選択肢 1 ~ 4 はその通りの記述です。


治療にはワルファリン、アスピリン、ヘパリンなどが用いられます。
妊娠時には、ワルファリンに催奇形性があるため、ワルファリンを避け、アスピリンやヘパリンを使用します。
よって、選択肢 5 は誤りです。




以上より、正解は 5 です。







問191

造血幹細胞移植時における移植片対宿主病(GVHD)に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 移植後1週間以内に好発する。
2 予防として、移植前日から免疫抑制薬注射剤の持続投与を開始する。
3 レシピエントのリンパ球がドナーの造血幹細胞を攻撃して生着不全を起こす反応である。
4 ドナーのリンパ球が、レシピエントの組織を攻撃して起こる疾患である。
5 発症を予防するために、移植する造血幹細胞に対して放射線照射を行う。





造血幹細胞移植時における移植片対宿主病(GVDH:graft versus host disease)は
急性のものは移植後1~2週、遅いものでは、4ヶ月以降に発症します。
よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 はその通りの記述です。


GVDHは、ドナーの免疫システムが、レシピエントの全身を異物として攻撃する疾患です。
よって、選択肢 3 は誤りで、選択肢 4 はその通りの記述です。


発症を予防するために、免疫抑制剤や、ステロイドが使用されます。
放射線照射は行われません。
よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,4 です。



問192

薬物治療の効果判定の統計処理に用いられる Tukey 法に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 すべての群の同時対比較を行う検定方法である。
2 1つの対照群と2つ以上の処理群を比較検定する方法である。
3 分散が等しくないデータの比較検定に適している。
4 正規分布に従わないデータの比較検定に適している。
5 パラメトリックなデータの比較検定に適している。






Turkey法とは、いくつか群がある時、全ての群間の比較を行う方法です。
例として以下のようなデータがあったとして、それぞれの群の平均を比較するとします。


 1群
 2群 3群 4群
 9 12 14 9
 10 10 15 15
 11 8 15 20
 12 10 15 18


その時、1群と2群の平均、1群と3群の平均、1群と4群の平均・・・と
全ての群間の比較を行います。

等分散している、正規分布に従うデータが前提となります。
つまり、パラメトリック法(データが、ある種の分布に基づくと仮定した上で行う統計手法)
の1つです。



よって、正解は 1,5 です。






問193

必要治療数(NNT)に関する記述のうち、正しいのはどれか。
1つ選べ。

1 統計的有意差を検出するために必要な症例数のことである。
2 相対危険度減少率の逆数で示される。
3 絶対危険度減少率が大きくなるほど大きい値となる。
4 必要治療数が大きいほど有効な治療法であると考えられる。
5 プラセボ群での有効率が25%、実薬群での有効率が50%の場合、必要治療数は4である。






NNT (number needed to treat)とは、治療効果を得るのに必要な、治療必要数です。
絶対リスク減少率の逆数で定義されます。

例として、プラセボで60%有効、実薬で80%有効な薬があるとします。
すると20%有効率が改善しています。(20%、絶対リスクが減少)

これは、1人の患者に、プラセボよりも有効になるまで、治療必要数が5人必要ということです。
つまり、NNT は5となります。
(5人にプラセボ→3人に有効、5人に実薬→4人に有効 ということです)


以上より、選択肢 1~4は誤りです。



正解は 5 です。






問194

ジクロフェナクナトリウム錠の内服を開始した患者に対して
POS を利用した薬剤管理指導業務の一環として初期計画をたてた。
計画の分類及び内容が正しいのはどれか。
2選べ。
なお、分類のOP、CP、EPはそれぞれobservational plan、care plan、educational planを表す。

1 OP  血便、黒色便の有無をモニターし、消化管障害によるものか否かを確認する。
2 CP  血便や黒色便の原因が消化管出血であれば、坐剤に変更する。
3 CP  重篤な肝障害の初期症状について患者とその家族に説明し、初期症状が見られたらすぐに連絡するよう指導する。
4 EP  空腹時の服用を避けるよう患者に説明する。
5 EP  過度の体温低下、虚脱、四肢冷感に注意して患者の状態を観察するとともに、処方医にも同様の注意について情報提供する。






OPとは、主観的情報(S)、客観的情報(O)から、薬物治療の副作用および効果などから観察したこと
CPとは、薬物の形態、用法・用量、種類など、薬物治療についての薬剤師の介入内容
EPとは、服薬指導による服薬説明
のことです。

選択肢 1 はその通りの記述です。


選択肢 2 は、分類は正しいです。
しかし、消化管出血であったとすれば、剤形を変えても副作用は避けられず、薬の変更が適切であると
考えられます。
よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 の記述は、EP です。CP ではありません。
よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 はその通りの記述です。


選択肢 5 の記述は、CP です。
よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,4 です。



問195

新生児の特徴に関する記述のうち、誤っているのはどれか。
1つ選べ。

1 糸球体濾過速度が小さい。
2 体重あたり水分量が少ない。
3 血液脳関門が未発達である。
4 グルクロン酸抱合代謝能が未発達である。
5 薬物の血中タンパク質結合能が低い。





新生児の特徴としては、様々な臓器の発達が未成熟であることや、グルクロン酸抱合代謝能が未発達であること
血液脳関門が未発達であること、体重あたりの水分が多いことなどがあげられます。

糸球体ろ過速度は、小さいです。
薬物の血中タンパク質結合能は、低いです。


以上より、誤っている選択肢は 2 です。



よって、正解は 2 です。