問98-286~98-305 解説一覧



問286

経口及び経腸的に栄養摂取不能な体重50kgの男性患者に栄養輸液が処方された。

高カロリー輸液の調製時に、処方に含まれる1日当りの成分量を確認したところ、以下の様であった。
処方医に確認すべき項目はどれか。
1つ選べ。

1 糖質    :250g
2 アミノ酸  :75g
3 脂質    :150g
4 Na+     :100mEq
5 K+     :80mEq



三大栄養素の含む熱量(エネルギー)を推定する時
糖質→4kcal/g
タンパク質→4kcal/g
脂質→9kcal/g
として推定します。

又、1日の必要カロリーは、一般的な成人で約 2000 カロリー です。


糖質  250g → 1000 kcal
アミノ酸 75g → 300 kcal
脂質 150g → 1350 kcal
となります。

すると、1日の必要カロリーの半分以上を脂質からとるというのは
少し比率が大きすぎると考えられます。
もしかしたら、15gを、150gとして処方されたのではないかと考えられます。

よって、処方医に確認すべき項目は、脂質です。


以上より、正解は 3 です。



ちなみに、Na+、K+ の投与量は適切であると考えられます。
輸液投与における電解質の1日必要量としては
Na+ は、 60 ~150 mEq です。
K+ は、 40 ~ 100 mEq
程度です。

特にNaについては
Na+ の mEq を g に変換するには、大体 0.17(0.2 でもいいかも。) を掛けると概算できます。
それと、1日の塩分摂取は、1日 8 ~ 9 g ぐらいであることを覚えておくと
◯◯ mEq と言われた時の、大体のイメージがしやすいと思います。





問287

経口及び経腸的に栄養摂取不能な体重50kgの男性患者に栄養輸液が処方された。

この患者の栄養状態の評価に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 体重が1週間に0.5kgの割合で増加している場合には、水分負荷の過剰を疑う。
2 上腕三頭筋の皮下脂肪厚は、体脂肪量の推定に用いられる。
3 筋タンパク質の推定には、上腕筋囲長が用いられる。
4 中心静脈栄養時は1日摂取熱量が一定なので、血糖値のチェックは不要である。
5 栄養状態の短期的変動を評価するには、血清トランスサイレチン値よりも血清アルブミン値の方が適している。



体重が増加している場合には、カロリー負荷の過剰が疑われます。
よって、水分負荷の過剰ではないので、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2,3 はその通りの記述です。


中心栄養静脈を行うときは、血糖値を始めとしたさまざまな値を、安定するまで
継続的かつ頻繁に測定します。
血糖値に関しては、安定するまで、例えば6時間毎といった頻度で測定されます。
よって、選択肢 4 は誤りです。


血清トランスサイレチンは、プレアルブミンとも呼ばれるタンパク質です。。
栄養管理の評価の時に用いられる RTP:rapid turnover protein 
すなわち、半減期が短く、現在の栄養状態に鋭敏に反応するようなタンパク質の一つです。
栄養状態の短期的変動を評価するさいに、すぐれた指標となるタンパク質です。
よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2,3 です。






問288

68歳女性。体重51kg。副腎皮質ステロイド薬の吸入エアゾール剤で気管支ぜん息の治療を受けていた。
しかし、噴霧と吸気のタイミングを合わせることができず、以下の処方に変更された。

(処方)
パルミコート200μgタービュヘイラー56吸入(注) 1回1吸入
1日2回 朝夕食後 吸入 全1本
(注:ブデソニド1回吸入量200μgのドライパウダー吸入式ステロイド薬)

この薬剤とピークフローメーターに関する指導内容として、適切なのはどれか。
2つ選べ。

1 まず息を吐いてから、薬物を深く吸い上げるように指導した。
2 この薬剤のマウスピースが汚れた場合には、水洗いするように指導した。
3 この薬剤の有効成分は、肺内に到達後、活性体になることを説明した。
4 ピークフローメーターは、最大吸気流量を簡便に測定するものであることを説明した。
5 ピークフロー値は、気道閉塞の状態の客観的な指標なので、毎日測定するように指導した。



パルミコートタービュヘイラーの患者さん用説明書(アストラゼネカ HPより、引用)によれば
薬の吸入時は
右へ「クルッ」、左へ「カチッ」、息を吐き、「スー」っと力強く吸い込みます。
よって、選択肢 1 はその通りの記述です。


又、保管・手入れ・廃棄については、マウスピースが汚れた場合は、乾燥した布などで拭き
水洗いはしないことになっています。
マウスピースの部分が濡れていると、吸入によって粉を吸いづらくなるからであると考えられます。
よって、選択肢 2 は誤りです。


有効成分は、肺に到達後、直接作用します。
よって、特に代謝活性を受けて作用するわけではないので
選択肢 3 は誤りです。


ピークフローメーターとは、ピークフロー値を測定する用具でづ。
ピークフロー値とは、最大呼気流量を、1分当りのL数で表した数値です。
喘息などにより気道が狭くなっていると、値が小さくなります。
この装置で、最大呼気流量を直接測定することはできません。
よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。


以上より、正解は 1,5 です。






問289

68歳女性。体重51kg。副腎皮質ステロイド薬の吸入エアゾール剤で気管支ぜん息の治療を受けていた。
しかし、噴霧と吸気のタイミングを合わせることができず、以下の処方に変更された。

(処方)
パルミコート200μgタービュヘイラー56吸入(注) 1回1吸入
1日2回 朝夕食後 吸入 全1本
(注:ブデソニド1回吸入量200μgのドライパウダー吸入式ステロイド薬)

この症例と治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。
1つ選べ。

1 口腔内カンジダ症の発症に対して注意が必要である。
2 ステロイド薬の投与量から、重症ぜん息症状が持続していると考えられる。
3 ステロイド薬の投与経路を、吸入から内服に変更することにより減量できる。
4 ぜん息発作時には、ロイコトリエン受容体拮抗薬が著効する。
5 インフルエンザの予防のためのワクチン接種は推奨されない。



ブデソニドは、ステロイドです。
吸入により、口腔内に薬剤が残ると、口腔カンジダ症などの副作用がおきうるので
注意が必要です。
具体的には、吸入後のうがいを忘れないように指導する必要があります。


本症例の患者は、処方薬が吸入ステロイドのみであることから、喘息症状はまだ軽度であると考えられます。
更にβ刺激薬などが追加になっている場合は、より重症であると判断します。
よって、選択肢 2 は誤りです。


吸入薬は、直接作用部位に到達するため、少量で有効性を確保できるという長所があります。
よって、吸入から内服に変更することにより減量ができるわけではありません。
選択肢 3 は誤りです。


喘息発作維持に著効するのは、β刺激薬です。
ロイコトリエン受容体拮抗薬は、すでに起こっている喘息発作を寛解する薬剤ではありません。
よって、選択肢 4 は誤りです。


喘息患者は、インフルエンザ重篤化をおこしやすいという統計もあり
インフルエンザワクチンの摂取が推奨されます。
よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1 です。





問290

55歳男性。体重52kg。保険薬局に以下の処方せんを持参した。

(処方)
レボドパ 250mg ・カルビドパ水和物 25mg 配合錠 1回1錠 (1日3錠)
トリヘキシフェニジル塩酸塩錠 2 mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 14日分

この症例の病態と薬物治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 抗コリン約は認知症症状をきたしやすく、高齢者では使用を控える。
2 Wearing-off の症状に対する処方である。
3 Hoehn and Yahr の重症度分類が用いられる。
4 神経変性疾患として、アルツハイマー病より有病率が高い。
5 On-off とはレボドパ製剤の1回服用後の効果持続時間が短縮していく症状である。



アセチルコリンの低下は、認知症と有意な関係があります。
認知症薬として有名な、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬である塩酸ドネペジルを考えると
イメージを持ちやすいかもしれません。)
よって、抗コリン薬は、認知症のある患者および高齢者では、使用を控える方がよいとなっています。


wearing-off とは、パーキンソン病薬による治療を続けていく中で
治療初期には一日中症状が著しく改善していたものが
ある程度の時間がたつと、症状が以前のように戻ったり
以前よりもふるえなどがひどくなったりするようになってくることを示す言葉です。

wearing-off を比較的起こしにくい処方としては、ドパミンアゴニストが知られています。
本処方には、ドパミンアゴニストは含まれていないので、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 はその通りの記述です。
Hoehn and Yahr の重症度分類は、0度から5度までの分類で、数字が増えるほど重症です。


パーキンソン病の有病率は、日本では人口10 万人あたり100 ~ 150 人と推定されています。
難病指定の一つです。
一方、アルツハイマー病は、現在約200万人(10万人あたり、大体 2000 人)と推定されています。
よって、アルツハイマー病の方が、有病率は高く、選択肢 4 は誤りです。


On - off とは、レボドパ製剤によりパーキンソン症状がコントロールされている状態
及び、効果がなくなった状態を示す表現です。
On - off の頻度が多くなっていくこと、すなわち、レボドパ製剤の1回復用後の効果持続時間が
短縮していく症状のことを wearing - off 減少と呼びます。


以上より、正解は 1,3 です。





問291

55歳男性。体重52kg。保険薬局に以下の処方せんを持参した。

(処方)
レボドパ 250mg ・カルビドパ水和物 25mg 配合錠 1回1錠 (1日3錠)
トリヘキシフェニジル塩酸塩錠 2 mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 14日分

この患者に対する服薬指導時の対応として、適切なのはどれか。
2つ選べ。

1 前回の来局から本日までの日数と前回の投与日数を確認した。
2 手のふるえが見られたが、患者に確認することなく PTP シートのまま投薬した。
3 尿が出にくくないか確認した。
4 自動車の運転は差支えないと説明した。




パーキンソン病の治療においては、症状の変化に伴う
服薬の用法・用量や投与日数の変更が頻繁におきます。
そのため、投与日数の確認は、適切であると考えられます。


PTPシートから薬を取り出すのに苦労していたり
それが原因によるコンプライアンスの悪化がないかといった点を
確認するのが適切であると考えられます。
よって、選択肢 2 は誤りです。

ちなみに、そのような困難が確認できた時は、一包化などの対応が
適切であると考えられます。
※一包化をしても、その袋から取り出すのに苦労するといったケースもあるので
服薬に困難を感じていないかの確認は、一包化にしたとしても継続する必要があります。


トリヘキシフェニジルが抗コリン薬であるため
代表的な副作用である排尿障害の確認をすることは適切であると考えられます。


トリヘキシフェニジルが抗コリン薬であるため、眠気などの副作用が起きる可能性があります。
自動車の運転等、危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意する必要があります。
よって、選択肢 4 は誤りです。


以上より、正解は 1,3 です。






問292

関節リウマチ患者 200 人をランダムに割付けし、単盲検の並行群間試験を実施したところ、103人が試験薬投与群、97人が対照群に割付けられた。14週間の試験期間において、試験薬投与群では35人が試験を完了できずに脱落、対照群では6人が脱落した。

[解析1] 脱落者を除き、試験を完了した試験薬投与群68人、対照群91人で治療効果を検討した。
[解析2] 脱落者も試験完了者とともに解析に組み入れた。

この研究結果を解釈するにあたって、適切でないのはどれか。
1つ選べ。

1 単盲検試験では、被験者は割付けの内容を知らない。
2 並行群間試験では、各群に被験薬又は対照薬が投与され、エンドポイントが観察される。
3 評価指標の内容が、真のエンドポイントを反映するかどうかを確認する。
4 関節リウマチの治療を意図したときの有効性をみるには、[解析2]よりも[解析1]の結果を重視する。
5 [解析2]の解析方法は、intention - to - treat analysis と呼ばれる。




単盲検試験とは、医師は治験薬の中身を知っているが
被験者は、治験薬の中身を知らないような試験です。


群間比較試験とは、被験薬群と、対照薬群に被験者を無作為に分類した上で
各群同時並行に試験を実施し、結果をエンドポイントを用いて比較評価する方法です。


選択肢 3 は適切な内容です。
評価指標が、真のエンドポイントを反映するかの確認はとても重要です。
例としては、「腫瘍の縮小」が「5年生存率の増加」に寄与しているかといった確認です。


選択肢 4 は不適切です。
脱落がかなりの割合でる(原因としては、不快感などの強い副作用が治療に伴うなど)
ような薬ならば、治療を意図した時の有効性には、脱落した患者も解析に考慮すべきです。
そうしなければ、「治療をいざ行おうとすると、ほとんどの人が脱落してしまうような薬」
が高い評価されてしまう可能性があるからです。


選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 4 です。






問293

被験者をエントリーするにあたり、関節リウマチの診断を行うための自己抗体の測定を行うこととした。選択基準として用いるのに適切なのはどれか。
1つ選べ。

1 抗二本鎖 DNA 抗体陽性
2 抗 Sm 抗体陽性
3 抗リン脂質抗体陽性
4 抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体陽性
5 抗マイクロゾーム抗体陽性



リウマチ発症の検査として用いられるのは
抗CCP(cyclic citrullinated peptid:環状シトルリン化ペプチド)抗体です。
よって、正解は 4 です。


ちなみに、抗二本鎖DNA抗体は、主に全身性エリテマトーデスで検査されます。

抗Sm抗体は、主に全身性エリテマトーデスで検査されます。補助診断として用いられます。

抗リン脂質抗体は、抗リン脂質抗体症候群の検査に用いられます。陽性だからといって
症状(主なものとして、血栓症、不妊症など)が現れるとは限りません。

抗マイクロゾーム抗体は、バセドウ病や橋本病の検査に用いられます。






問294

35歳男性。体重60kg。庭で作業中、スズメバチに刺された。局所が腫れ上がるとともに、呼吸困難を感じ、さらに全身にじんま疹が出現した。そこで救急外来を受診した。

この患者の病態に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 マスト(肥満)細胞の脱顆粒が起こる。
2 症状のピークは数時間後である。
3 循環血液量が増加し、血圧が上昇する。
4 咽頭や気管の浮腫を伴う。
5 徐脈の合併が多い。




アナフィラキシーショックは、1型アレルギーの一種です。
花粉症などと同じ分類です。
メカニズムは、過剰な免疫応答であり、IgEを介しての肥満細胞の脱顆粒などが引き起こされます。
ハチに刺されて0~30分以内という、即時に、症状が表れます。

症状としては、大雑把に言えば、色んな液や物がどばっと色んな所から出ます。
具体的には、多尿、呼吸困難、流涙、嘔吐、下痢、不安などです。

ミクロなレベルでは、血管拡張と、血流から組織への体液流出、それに伴う浮腫、血流量の低下に伴う低血圧
代償としての頻脈が引き起こされます。



以上より、正解は 1,4 です。




問295

35歳男性。体重60kg。庭で作業中、スズメバチに刺された。局所が腫れ上がるとともに、呼吸困難を感じ、さらに全身にじんま疹が出現した。そこで救急外来を受診した。

その後、入院加療にて改善した。今後、同様の反応を繰り返す危険性があるため、退院時にアドレナリンの自己注射薬が処方された。症状発現時にいつでも自己注射できるよう、薬剤師が「患者向医薬品ガイド」を参考に服薬指導した。「患者向医薬品ガイド」に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 「くすりのしおり」の別称であり、同一のものである。
2 当該医薬品の製造販売業者が作成している。
3 すべての医療用医薬品について作成されている。
4 薬剤の効果に関する内容は記載されていない。
5 医薬品医療機器総合機構が管理している医薬品医療機器情報提供ホームページから入手できる。




患者向医薬品ガイドとは、患者の皆様や家族の方に
重大な副作用の早期発見などに役立てて頂くことを目的とした
添付文書を基にわかりやすく記載をしたガイドのことです。
PMDA のホームページからダウンロードできます。

くすりのしおり とは、くすりの適正使用協議会が開発した、インフォームドコンセントの
実践に利用できる材料です。患者さんに十分理解してもらえるようわかりさすい表現で
必要最小限の情報を盛り込んでいることや、一部が英語訳されていることなどが特徴です。
くすりのしおりホームページで見ることができます。

よって、別物です。
選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 はその通りの記述です。


患者向医薬品ガイドは、全ての医薬品について作られているわけではありません。
重篤な副作用の早期発見等を促すために、特に患者へ注意喚起すべき情報等を
有する医療用医薬品について作成が望まれるものです。
よって、選択肢 3 は誤りです。


患者向け医薬品ガイドには、薬の効果、用法、用量、副作用、保管方法などについて
記載がされています。
よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 2,5 です。






問296

35歳女性。体重52kg。左前胸部の肋骨に沿って帯状にかゆみが発生し、発赤し、数日後に激しく痛み出した。帯状疱疹と診断され、神経ブロックで痛みをとりながら薬物治療を行った。しかし、皮疹が治った後も疼痛は3ヶ月以上続いた。

1 両側性に症状がみられることが多い。
2 抗水痘帯状疱疹ウイルス抗体価が高値でも帯状疱疹に罹患する。
3 帯状疱疹では、その多くにウイルス血症を起こす。
4 ウイルス再感染が原因である。
5 免疫力低下や過労が危険因子である。




帯状疱疹は、主に片側にのみ症状が現れる疾患です。
よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 はその通りの記述です。


ウイルス血症とは、ウイルスが血流に侵入し、全身へと移動する状態のことです。
帯状疱疹では、免疫不全状態にある高齢者や免疫抑制剤を使用している場合などにおいて
おこります。
よって、帯状疱疹の多くにウイルス血症をおこすわけではありません。
選択肢 3 は誤りです。


帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの、再活性化により起こります。
よって、再感染ではありません。
選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 2,5 です。






問297

35歳女性。体重52kg。左前胸部の肋骨に沿って帯状にかゆみが発生し、発赤し、数日後に激しく痛み出した。帯状疱疹と診断され、神経ブロックで痛みをとりながら薬物治療を行った。しかし、皮疹が治った後も疼痛は3ヶ月以上続いた。

疼痛に対してプレガバリンを処方することになり、医師から薬剤師に問い合わせがあった。当該医薬品の医薬品インタビューフォームを情報源とすることが適切でないのはどれか。
1つ選べ。

1 開発時の臨床試験における副作用発現件数
2 日本で承認されている適応症以外の海外における適応症 
3 投薬期間制限の有無
4 生殖発生毒性試験の結果
5 薬価




インタビューフォームとは、添付文書では不十分な情報を補ったり
医薬品を薬剤師が評価するために提供される総合的な医薬品解説書の一つです。
添付文書と同様に、PMDAのホームページから見ることができます。
(まず、具体的な製品名で添付文書を開き、左下、ダウンロードというフレームの所から
リンクをクリックすると見ることができます。)

具体的には、製剤の安定性や、注射剤の溶解後の安定性などについて記載があります。
薬価については、薬価収載時期の記載はありますが、具体的な薬価は記載されていません。
選択肢 5 は適切ではありません。



以上より、正解は 5 です。






問298

既存の降圧薬Xを対照とした新規降圧薬Yの非劣性を検討する治験を実施することになった。

YがXに対して非劣性でると結論づけられるケースとして、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 X と比較して Y の血圧低下幅が、統計的に有意に大きかった。
2 X と Y との間で、血圧低下幅に統計的に有意な差が認められなかった。
3 5 mmHg の差を許容しうる下限同等限界として試験を行った結果、X より Y の方が血圧低下幅が小さかったが、その差は統計的に5 mmHgより有意に小さかった。
4 投与前と比較してXは危険率 5% 未満、Y は危険率 1% 未満でいずれも統計的に有意に血圧を低下させた。
5 X と Y の血圧低下幅の母平均の比が 0.80~1.25 の範囲にあった。





非劣性試験とは、被験薬が、比較薬剤よりも臨床的に劣らないことを示すことが目的であるような試験です。
一般に、マージンと呼ばれる、予め決められた大きさ以上劣ることがないことを証明しようとする試験です。

選択肢 1 は、非劣性であると結論づけてよいです。
なぜなら、そもそもYの方が統計的に有意に血圧を下げているからです。


選択肢 2 は、マージンが定められていないため、非劣性であるかどうかはわかりません。
「統計的に有意な差がない」だけで、非劣性が証明できたとはいえません。
選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は、非劣性であると結論づけてよいです。
マージンが 5 mmHg と決められており、結論が統計的に有意だからです。


選択肢 4,5 は、マージンが定められていないため、非劣性であるかどうかはわかりません。
選択肢 4,5 は誤りです。



以上より、正解は 1,3 です。






問299

既存の降圧薬Xを対照とした新規降圧薬Yの非劣性を検討する治験を実施することになった。

この治験を院内で実施するにあたり以下の対応をした。適切なのはどれか。
2つ選べ。

1 治験審査委員会において、倫理的、科学的観点から治験の実施の適否に関する審査を行った。
2 治験審査委員会における審査を、病院長を含む5名以上に依頼した。
3 治験薬管理者として、治験責任医師を指名した。
4 被験者に対して治験内容の説明を文書で渡すとともに平易な言葉で行い、同意を文書で得た。
5 治験が中止となったので、この治験に関する記録を直ちに廃棄した。




選択肢 1 は適切な選択肢です。


医療機関の長は、治験審査委員会の委員になることはできません。
又、審議及び採決に参加することはできません。
※出席はOKです。

よって、選択肢 2 は誤りです。


治験薬管理者は、実施医療機関の長が指定するものと定められています。
そして原則として、治験薬の管理は薬剤師です。
よって、選択肢 3 は適切であるといいきることはできません。


選択肢 4 は適切な選択肢です。


治験が中止になったからといって、記録を直ちに破棄してはいけません。
治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日までは、少なくとも保存しなければなりません。
(医薬品GCP省令 第41条)
よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,4 です。






問300

42歳女性。体重48kg。喫煙をはじめてから20年になる。
1日20本程度喫煙していた。風邪気味であったため近医を受診した際
医師から禁煙を強く進められ、禁煙補助医薬品を使用することになった。


禁煙補助医薬品のニコチン含有製剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。
1つ選べ。

1 ガム製剤は、処方せん医薬品である。
2 ガム製剤は、ゆっくり噛んで使用する。
3 貼付剤は、妊婦に使用出来る。
4 貼付剤の使用を開始した後、喫煙本数を徐々に減らす。
5 ガム製剤と貼付剤の併用が推奨される。




ニコチンガムは、現在では一般薬として、町の薬局などで自由に購入することができます。
処方せん医薬品ではありません。
選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 はその通りの記述です。


ニコチンの貼付剤(ニコチネル)は、妊婦には使用禁忌です。
よって、選択肢 3 は誤りです。


ニコチンパッチは、禁煙を始めてから使う禁煙補助剤です。
そのため、パッチ使用中の喫煙は、ダメです。
選択肢 4 は誤りです。


ニコチンパッチとガムの併用は、ニコチンの過量摂取になる可能性があり
併用できません。
よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2 です。






問301

42歳女性。体重48kg。喫煙をはじめてから20年になる。
1日20本程度喫煙していた。風邪気味であったため近医を受診した際
医師から禁煙を強く進められ、禁煙補助医薬品を使用することになった。


喫煙が発症のリスクファクターとされていない疾患はどれか。
1つ選べ。

1 食道がん
2 膀胱がん
3 自然気胸
4 潰瘍性大腸炎
5 慢性気管支炎





喫煙は、各種がん、及び各種呼吸器疾患のリスクファクターです。
しかし、潰瘍性大腸炎のリスクファクターとしては、知られていません。
(むしろ、発症予防、病態改善の報告すらあります。
※喫煙が推奨されるわけではありません。)


よって、正解は 4 です。






問302

68歳男性。身長160cm、体重50kg。
2年前に大腸がんの手術を受けたが、再発を認めたため、以下の処方
(FOLFOLI)にて治療を受けることになった。

(処方1)
点滴静注
グラニセトロン塩酸塩注射液 (3mg/バイアル 1本) 3mg
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液 (6.6mg/アンプル 1本) 6.6mg
生理食塩水 100mL
主管より約15分で注入

(処方2)
点滴静注 
レボホリナートカルシウム注射用 (100mg/バイアル 3本) 300mg
5%ブドウ糖注射液 250mL
主管より約120分間で注入

(処方3)
点滴静注
イリノテカン塩酸塩水和物注射液 (100mg/バイアル 2本、40mg/バイアル 1本) 225mg
5%ブドウ糖注射液 250mL
側管より約90分間で注入

(処方4)
点滴静注
フルオロウラシル注射液 (250mg/アンプル 3本) 600mg
生理食塩水 50mL
主管より約5分以内で注入

(処方5)
点滴静注
フルオロウラシル注射液 (1000mg/バイアル 3本、250mg/アンプル 3本) 3,600mg
生理食塩水 158mL
約46時間で注入


この処方に関する記述のうち、適切なのはどれか。
1つ選べ。

1 処方1は、インフュージョンリアクション(infusion reaction)の予防のために使用する。
2 処方2は、処方3の薬剤の効果を高めるために使用する。
3 処方3は、アルコールを含有しているため、アルコールに過敏な患者には使用しない。
4 処方4は、ルアーチップタイプの注射器を用いて混合・調製することが適切である。
5 処方5は、携帯型ディスポーザブル注入ポンプを用いることにより、入院しなくても
実施ができる。




インフュージョンリアクションとは、薬剤投与中~投与開始後 24 時間以内に
現れる症状の総称です。
予防としては、抗ヒスタミン薬や、解熱鎮痛薬を投与します。
よって、処方 1 は、インフュージョンリアクションの予防ではありません。
吐き気止めの予防であると考えられます。
選択肢 1 は誤りです。


レボホリナートカルシウムは、 フルオロウラシル(5 - FU) の効果を高めるために使用します。
よって、イリノテカンの効果を高めるために使用するわけではありません。
選択肢 2 は誤りです。


イリノテカンは、アルコール含有ではありません。
アルコール含有で注意しなければならないのは、ドセタキセルやパクリタキセルです。
無水アルコールを含有するため、アルコールが過敏な患者には使用しません。
よって、選択肢 3 は誤りです。


抗がん剤の調製においては、注射針の脱落を防止するために
ルアーロックタイプの注射器を用いることが適切です。
よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 5 です。






問303

68歳男性。身長160cm、体重50kg。
2年前に大腸がんの手術を受けたが、再発を認めたため、以下の処方
(FOLFOLI)にて治療を受けることになった。

(処方1)
点滴静注
グラニセトロン塩酸塩注射液 (3mg/バイアル 1本) 3mg
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液 (6.6mg/アンプル 1本) 6.6mg
生理食塩水 100mL
主管より約15分で注入

(処方2)
点滴静注 
レボホリナートカルシウム注射用 (100mg/バイアル 3本) 300mg
5%ブドウ糖注射液 250mL
主管より約120分間で注入

(処方3)
点滴静注
イリノテカン塩酸塩水和物注射液 (100mg/バイアル 2本、40mg/バイアル 1本) 225mg
5%ブドウ糖注射液 250mL
側管より約90分間で注入

(処方4)
点滴静注
フルオロウラシル注射液 (250mg/アンプル 3本) 600mg
生理食塩水 50mL
主管より約5分以内で注入

(処方5)
点滴静注
フルオロウラシル注射液 (1000mg/バイアル 3本、250mg/アンプル 3本) 3,600mg
生理食塩水 158mL
約46時間で注入


この患者において、UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)の遺伝子多型検査をした結果
UGT1A1*6 のホモ接合体であったため、FOLFOX6 に処方を変更することにした。
正しいのはどれか。
1つ選べ。

1 グラニセトロン塩酸塩注射液をパロノセトロン塩酸塩注射液に変更
 グラニセトロン塩酸塩注射液をアプレピタントカプセルに変更
3 イリノテカン注射液をオキサリプラチン注射液に変更
4 イリノテカン注射液をエピルビシン塩酸塩注射液に変更
5 フルオロウラシル注射液をシタラビン注射液に変更
6 フルオロウラシル注射液をメトトレキサート注射液に変更





イリノテカンの活性体謝剤であるSN-38を、抱合し解毒する能力が低いとかんがえられるため
イリノテカンをオキサリプラチンに変更することが適切であると考えられます。
ちなみに、エピルビシンは、大腸がんには用いられません。


以上より、正解は 3 です。






問304

1歳6ヶ月男児。身長80cm、体重10kg。
てんかんの治療のためにバルプロ酸ナトリウムを投与することになった。

この患児において、定常状態におけるバルプロ酸の平均血清中濃度が60μg/mL
となるように初期投与量を設定したい。バルプロ酸ナトリウムの1日経口投与量(mg)
として、最も適切な値を1つ選べ。ただし、バルプロ酸ナトリウム投与により求めた
小児における経口クリアランスの代表値は、男児で12.5mL/h/kgとする。

1 18  2 30  3 180  4 300 5 1,800




※Css・・・定常状態の平均血中濃度
※D・・・投与量
※CL・・・全身クリアランス
に代入します。

この子のクリアランスは、体重が 10kg なので
12.5 × 10 = 125 (mL/h)
なので、1日当りでは
125 × 24 = 3000 mL/day です。

又、血中濃度の単位を mg にあわせると
60 μg/mL = 0.06 mg/mL
となります。

投与量を x mg/day とおいて、式に代入すれば


です。左辺も分数に直せば
 

なので、 x = 180 です。


よって、正解は 3 です。





問305

1歳6ヶ月男児。身長80cm、体重10kg。
てんかんの治療のためにバルプロ酸ナトリウムを投与することになった。

この患児に、バルプロ酸ナトリウムシロップ5%が、前問で設定した1日投与量で
1日2回、30日分処方された。
調剤する際に、1回服用量が整数 mL になるように、単シロップを用いて最小限の
賦形を行うことにした。内容液剤容器の容量(mL)として、最も適切な容器を
1つ選べ。
ただし、内容液剤容器の選択は、薬剤の総量を超えた最小の容量のものを選択する。

1 60  2 100  3 200  4 300  5 500





前問において、1日投与量は、180 mg = 0.18 g です。
5 % シロップなので、1日量は x ml とすると
0.05 x = 0.18 なので
x = 3.6 (ml) です。

30日分なので、 3.6 × 30 = 108 ml
で、60 回分なので、 60 の倍数にするために
12 ml 単シロップを加えて賦形します。

すると 120 ml になるので
最小の容器は 選択肢の中では 200 ml です。

(コップに、 1 目盛り 2 ml としてとるのは難しいので
スポイトに印をつけてお渡しすることになると考えられます。)


以上より、正解は 3 です。