問98-290 解説



問290

55歳男性。体重52kg。保険薬局に以下の処方せんを持参した。

(処方)
レボドパ 250mg ・カルビドパ水和物 25mg 配合錠 1回1錠 (1日3錠)
トリヘキシフェニジル塩酸塩錠 2 mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後 14日分

この症例の病態と薬物治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 抗コリン約は認知症症状をきたしやすく、高齢者では使用を控える。
2 Wearing-off の症状に対する処方である。
3 Hoehn and Yahr の重症度分類が用いられる。
4 神経変性疾患として、アルツハイマー病より有病率が高い。
5 On-off とはレボドパ製剤の1回服用後の効果持続時間が短縮していく症状である。



アセチルコリンの低下は、認知症と有意な関係があります。
認知症薬として有名な、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬である塩酸ドネペジルを考えると
イメージを持ちやすいかもしれません。)
よって、抗コリン薬は、認知症のある患者および高齢者では、使用を控える方がよいとなっています。


wearing-off とは、パーキンソン病薬による治療を続けていく中で
治療初期には一日中症状が著しく改善していたものが
ある程度の時間がたつと、症状が以前のように戻ったり
以前よりもふるえなどがひどくなったりするようになってくることを示す言葉です。

wearing-off を比較的起こしにくい処方としては、ドパミンアゴニストが知られています。
本処方には、ドパミンアゴニストは含まれていないので、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 はその通りの記述です。
Hoehn and Yahr の重症度分類は、0度から5度までの分類で、数字が増えるほど重症です。


パーキンソン病の有病率は、日本では人口10 万人あたり100 ~ 150 人と推定されています。
難病指定の一つです。
一方、アルツハイマー病は、現在約200万人(10万人あたり、大体 2000 人)と推定されています。
よって、アルツハイマー病の方が、有病率は高く、選択肢 4 は誤りです。


On - off とは、レボドパ製剤によりパーキンソン症状がコントロールされている状態
及び、効果がなくなった状態を示す表現です。
On - off の頻度が多くなっていくこと、すなわち、レボドパ製剤の1回復用後の効果持続時間が
短縮していく症状のことを wearing - off 減少と呼びます。


以上より、正解は 1,3 です。