問98-111~98-120 解説一覧



問111

皮膚に関する記述のうち、誤っているのはどれか。
2つ選べ。

1 表皮の細胞は、ケラチンを合成している。
2 マイスネル( Meissner )小体は、温覚の受容器である。
3 体性感覚の刺激は、視床下部で中継され、大脳皮質に投射される。
4 交感神経刺激により立毛筋が収縮すると、鳥肌が立つ。
5 皮膚ではビタミン D が合成される。




選択肢 1 は、正しい記述です。


マイスネル小体とは、表皮と真皮の境界部付近にある知覚神経の終末部分です。
触覚を感知します。
よって、温覚の受容器ではないので、選択肢 2 は誤りです。


体性感覚の刺激は、視床で中継され、大脳皮質に投射されます。
視床下部ではないので、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4,5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 2,3 です。






問112

図は、ある内分泌器官の顕微鏡像をスケッチしたものである。この器官に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 A層から分泌されるホルモンは、腎臓に作用してNa+や水の再吸収を促進し、体液を保持する。
2 B層から分泌されるホルモンには、抗炎症作用、免疫抑制作用がある。
3 C層から分泌される主要なホルモンは、ペプチドホルモンである。
4 皮膚の機能が亢進するとアジソン病になる。
5 髄質を支配する交感神経終末からは、ノルアドレナリンが放出される。





スケッチには、髄質、皮質とある事から、組織は副腎であると考えられます。
副腎皮質から分泌されるホルモンは、多数のステロイドホルモンです。
副腎髄質から分泌されるホルモンは、カテコラミンです。

A層は、球状帯
B層は、束状帯
C層は、網状帯
と呼ばれます。

球状帯から分泌されるのは、主に鉱質コルチコイドです。
腎臓に作用して、Na+や水の再吸収を促進し、体液を保持します。

束状帯から分泌されるのは、主に糖質コルチコイドです。
抗炎症作用や、免疫抑制作用があります。

網状帯から分泌されるのは、主にアンドロゲンです。
よって、ステロイドホルモンであり、ペプチドホルモンではありません。
選択肢 3 は誤りです。


アジソン病とは、副腎皮質ホルモンが何らかの原因で、必要な量を分泌できなくなった状態のことです。
副腎皮質機能低下症とも呼ばれます。
よって、選択肢 4 は誤りです。


ふつう、交感神経終末からは、ノルアドレナリンなどにより神経伝達が行われますが
副腎髄質を支配する交感神経は、少し特殊です。
すなわち、副腎髄質を支配する交感神経は
中枢神経から出たのち、神経節でニューロンを乗り換えることなく
直接副腎髄質へと到達しています。
神経終末では、アセチルコリンを放出します。
(つまり、副腎髄質と、神経細胞は
同じようなこと(アセチルコリンを受け取り、アドレナリンやノルアドレナリンを放出)
をやっているということです。)
よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,2 です。






問113

コレステロールに関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 コレステロール生合成に関与する肝臓の3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)還元酵素遺伝子はコレステロールによって発現が抑制される。
2 細胞内のコレステロールの量が増加すると、細胞表面にある低密度リポタンパク質(LDL)受容体の数が増加する。
3 肝臓でコレステロールから生成した胆汁酸は、その大部分が糞便中へ排泄される。
4 細胞膜のコレステロールは、その大部分が脂肪酸とのエステル型として存在する。
5 精巣では、コレステロールからアンドロゲンが生合成される。




選択肢 1 はその通りの記述です。
いわゆる負のフィードバックにより、生合成が制御されています。


細胞内のコレステロール量が増加すると、コレステロールの取り込みを減らすために
細胞表面の LDL 受容体は、減少します。
よって、増加はしないので、選択肢 2 は誤りです。


腸肝循環により、肝臓でコレステロールから生成した胆汁酸は、大部分が
腸肝循環により、肝臓に輸送されます。
腸肝循環を免れた胆汁酸のみ、糞便中に排出されます。
よって、大部分が糞便中へ排出されるわけではありません。
選択肢 3 は誤りです。


細胞膜のコレステロールは、大部分は遊離型として存在しています。
すなわち、エステル型ではありません。
選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。



正解は 1,5 です。






問114

図は、アロステリック酵素として知られるある酵素について、基質Aの濃度と反応初速度の関係を示したものである。
曲線1及び3は、酵素反応系に、それぞれ酵素に結合する物質X及びYを加え、また曲線2は何も加えずに測定した結果である。なお、X及びYは基質Aと構造上の類似性が低い。
この結果に関する考察のうち、誤っているのはどれか。
1つ選べ。



1 X及びYのいずれも存在しないとき、基質Aの濃度を高めていくと、ある濃度以上になると
反応初速度が急に増加する。
2 基質Aの濃度が十分に高いときには、X、Yの存在あるいは非存在にかかわらず、反応初速度はほぼ等しい。
3 Xの存在下では、酵素の基質Aに対する見かけの親和性が低下する。
4 基質Aの濃度が低いときには、Yによって酵素活性が阻害される。
5 X及びYが結合する酵素の部位は、基質Aが結合する部位とは異なると考えられる。





曲線 2 に着目すると、確かに、基質Aの濃度を上げていった時、反応速度が急に増加しています。
(左から3つめの◯から4つめの◯の間)
選択肢 1 はその通りの記述です。


右端において、曲線1~3はどれも同じ程度の反応速度となっています。
よって、選択肢 2 はその通りの記述です。


曲線 1 に着目すると、Xの存在下においては、基質濃度が小さくても、速度がどんどん増加しています。
これは、酵素の基質Aに対する見かけの親和性が増加していると考えられます。
よって、見かけの親和性が低下しているわけではないので、選択肢 3 は誤りです。


曲線 3 に着目すると、Yによって反応速度が下がっており、酵素活性が阻害されていると考えられます。
又、選択肢 2 の記述のように、基質Aの濃度が十分に高い時は、反応速度はほぼ等しくなっています。
よって、選択肢 4 はその通りの記述です。


酵素がアロステリックであるという記述に加え、X及びYは、構造上の類似性が低いとあることから
選択肢 5 はその通りの記述であると考えられます。



以上より、正解は 3 です。






問115

神経伝達物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 グルタミン酸は、オキサロ酢酸にアスパラギン酸のアミノ基が転移し生合成される。
2 グリシンは、中枢神経系ではセリンからセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼの働きで生合成される。
3 γ-アミノ酪酸(GABA)は、アスパラギン酸の脱炭酸により生合成される。
4 セロトニンは、チロシンの水酸化と脱炭酸により生合成される。
5 アドレナリンは、酸化的脱アミノ化とメチル化を受け、体外に排泄される。





グルタミン酸は、2-オキソグルタル酸(α-ケトグルタル酸)が
アミノ基転移をうけて生合成されます。
よって、オキサロ酢酸ではないので、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 はその通りの記述です。


GABAは、グルタミン酸を原料に、脱炭酸によって生合成されます。
よって、アスパラギン酸ではないので、選択肢 3 は誤りです。


セロトニンは、トリプトファンを原料に、水酸化と脱炭酸により合成されます。
よって、チロシンではないので、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。




以上より、正解は 2,5 です。







問116

核酸及び遺伝情報に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 DNAの塩基の構成比率を調べたところ、グアニンとシトシンの和が40%であった。
このDNAはアデニンとチミンをそれぞれ30%含むと推定される。
2 核酸の構成単位であるヌクレオチドは、塩基、ヘキソース及びリン酸から成る。
3 DNAの熱変性は、分子内ホスホジエステル結合の加水分解による。
4 遺伝情報は、DNAからmRNAに転写され、その情報をもとにタンパク質が合成される。
5 64種類のコドンのうち、対応するアミノ酸のないコドンは1つである。





選択肢 1 はその通りの記述です。
GとCは、塩基対をなすので、残りの60%が、それぞれAとTであり
それぞれ30%を含むと考えられます。


ヌクレオチドとは、糖(5炭糖=ペントース)+リン酸+塩基からなります。
よって、ヘキソースではありません。
選択肢 2 は誤りです。


DNAの熱変性は、塩基対を形成する水素結合の切断によるものです。
分子内ホスホジエステル結合の加水分解によるものではありません。
よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 はその通りの記述です。


対応するアミノ酸がないコドンとは、終止コドンのことです。
終止コドンは、UAA、UAG、UGAの3つです。
よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1,4 です。






問117

遺伝子工学に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 ヒト皮膚より作製した cDNA ライブラリーには、ヒトゲノムDNA配列のほとんどすべてが含まれる。
2 制限酵素は、特定のDNA塩基配列を認識し切断するエキソヌクレアーゼである。
3 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、標的とするDNA領域を少量の試料から短時間で増幅することができる。
4 DNAの塩基配列決定法には、ジデオキシリボヌクレオチドを用いる方法がある。
5 ヒトの糖タンパク質をコードする遺伝子を大腸菌で発現させると、ヒトと同一のアミノ酸配列及び糖鎖を有する糖タンパク質が合成される。




cDNAとは、mRNAと相補的な塩基配列を持つ一本鎖DNAのことです。
よって、イントロン部分を含まない、エキソン部分のみが含まれます。
そのため、ヒトゲノムDNAの配列のほとんどすべてが含まれるというわけではありません。
選択肢 1 は誤りです。


制限酵素は、特定のDNA塩基配列を認識し切断する
エンドヌクレアーゼです。
すなわち、核酸の途中で働いて切断します。
エキソヌクレアーゼ、すなわち、鎖の端っこから分解する酵素ではないので
選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3,4 はその通りの記述です。


タンパク質合成後の糖鎖修飾は、種によって異なります。
よって、ヒトの糖タンパク質をコードする遺伝子を大腸菌で発現させると
アミノ酸配列は同じですが、糖鎖は異なる糖タンパク質が合成されると考えられます。
選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3,4 です。







問118

レトロウイルスに関する記述のうち、誤っているのはどれか。
2つ選べ。

1 ゲノムとして2本鎖DNAをもつ。
2 増殖の過程に逆転写酵素が関与する。
3 宿主細胞の表面に存在する受容体に結合したのち、細胞内に侵入する。
4 ウイルスゲノムに由来するDNAが、宿主細胞ゲノムに組込まれプロウイルスとなる。
5 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びB型肝炎ウイルス(HBV)は、いずれもレトロウイルス科に属する。




レトロウイルスとは、RNAウイルス類の中で、逆転写酵素を持つ種類の総称です。
よって、ゲノムは1本鎖RNAです。
選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2,3,4 はその通りの記述です。


B型肝炎ウイルスは、DNAウイルスです
よって、レトロウイルスではありません。
選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,5 です。






問119

細胞傷害性のリンパ球を誘導する実験を (1)~(4)の手順で行った。
この実験に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

(1) 系統が異なる系統A及び系統Bのマウスから脾臓を摘出し細胞を単離した。
(2) 系統Aのマウス由来の脾臓細胞にX線を照射し、細胞の増殖能を失わせた。
(3) (2)でX線照射した脾臓細胞及び無処理の系統Bのマウス由来の脾臓細胞を混合し、5日間培養した。
(4) 新たに、系統Aあるいは系統Bのマウスから単離した組織の細胞を標的細胞として用い、(3)で培養した
脾臓細胞と混合した後、それぞれの標的細胞に対する細胞傷害活性を調べた。


1 系統B由来のマウスを標的細胞として用いたときに細胞障害が観察される。
2 (3)で培養した脾臓細胞からT細胞を除去すると、細胞傷害性が低下する。
3 (3)の培養中に、系統Bのマウス由来のリンパ球の増殖が認められる。
4 系統A及び系統Bのマウスの間で、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の差異が小さい場合には、細胞傷害性が高くなる。




本実験では、系統Aのマウス由来の細胞が、抗原掲示細胞として機能します。
抗原掲示を受けて、系統Bのマウス由来の細胞は、系統Aのマウス由来の細胞を
障害するようなリンパ球を誘導します。

そのため、系統A由来のマウスを標的細胞として用いたときに、細胞障害が
観察されると考えられます。
選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2,3 はその通りの記述です。


系統A及び系統Bのマウスの間で、MHCの差が小さい場合は、あまり抗原掲示による
リンパ球誘導がおきず、細胞傷害性が高くなることはないと考えられます。
よって、選択肢 4 は誤りです。



以上より、正解は 2,3 です。







問120

アレルギー及び自己免疫疾患に関する記述のうち、誤っているのはどれか。
1つ選べ。

1 アナフィラキシーショックは、IgE抗体の関与するI型アレルギーの機序で引き起こされる。
2 接触性皮膚炎は、主に活性化されたT細胞やマクロファージによって引き起こされるIV型アレルギーである。
3 胎児の赤血球抗原により母体が感作され生成する抗体は、IgMクラスであるため、胎盤を通過しやすく新生児溶血性貧血の原因となる。
4 ニコチン性アセチルコリン受容体に対する自己抗体は、重症筋無力症の発症に関与する。
5 バセドウ病は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体に対する自己抗体の作用による甲状腺機能亢進が原因となる。




選択肢 1,2 はその通りの記述です。


赤血球抗原により母体が感作され生成する抗体の中で
IgM は、分子量が大きく胎盤を通過しません。

胎盤を通過し、新生児溶血性貧血の原因となるのは
IgG です。
よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4,5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 3 です。