問98-231 解説


問231

一部の遺伝子疾患は新生児マススクリーニングにより診断され、早期に適切な治療を行うことができる。
一方、成長後に発症することで明らかになる遺伝子疾患もある。


14歳女児。かつて新生児マススクリーニングで異常は見つからなかった。しか
し、肝機能の異常が認められたため精査した結果、遺伝性疾患であるウイルソン病
と診断され、以下の薬剤が処方された。

(処方1)
ピリドキサールリン酸エステル水和物錠10mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回朝昼夕食後28日分
(処方2)
ペニシラミンカプセル200mg 1回1カプセル(1日3カプセル)
酢酸亜鉛水和物カプセル25mg 1回1カプセル(1日3カプセル)
1日3回朝昼夕食前(1時間前) 28日分


この処方の調剤に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。

1 ペニシラミンと酢酸亜鉛水和物を同時に内服すると、作用が減弱するので疑義照会する。
2 ピリドキサールリン酸エステル水和物は、酢酸亜鉛水和物の副作用を防止する目的で
使用することを患者に説明する。
3 酢酸亜鉛水和物は、ウイルソン病の病態として生じる吸収低下による
亜鉛欠乏の改善を目的として使用することを患者に説明する。
4 貧血の症状が現れた場合、受診するよう患者に説明する。



ウィルソン病とは、体内に銅が蓄積することにより、脳・肝臓・腎臓・眼などが冒される病気です。
治療としては、銅を多く含む食品の摂取を制限するとともに
D-ペニシラミンなどのキレート薬で銅を排出します。
キレート薬と酢酸亜鉛水和物を併用する時は
作用減弱を避けるため、間隔を1時間以上あけて使用します。


ピリドキサールリン酸エステル水和物は、ペニシラミンによるビタミンB6不足の改善目的で使用されます。
よって、酢酸亜鉛水和物の副作用を防止する目的ではないので
選択肢 2 は誤りです。


酢酸亜鉛水和物は、摂取した亜鉛が、腸管粘膜上皮細胞において、金属キレート作用を有するメタロチオネインの生成を誘導することにより作用します。よって、亜鉛欠乏の改善が目的ではありません。
選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 はその通りの記述です。


以上より、正解は 1,4 です。