問98-41~98-55 解説一覧



問41

胃内容排出速度を上昇させる薬物はどれか。
1つ選べ。

1 アトロピン  2 イミプラミン  3 プロパンテリン
4 メトクロプラミド  5 モルヒネ




アトロピン、イミプラミン、プロパンテリン、モルヒネは、抗コリン作用があります。
腸管において、抗コリン薬は、運動低下を引き起こします。
その結果、胃内容排出速度は、低下します。


メトクロプラミド(プリンペラン)は、D2受容体遮断薬です。
脳幹の消化管中枢に作用することで、消化器の運動を改善します。
その結果、胃内容排出速度は、上昇します。


以上より、正解は 4 です。


ちなみに、メトクロプラミドは、吐き気を抑える作用もあります。
つわりの吐き気に対しても有効性が認められています。






問42

アルブミンに最も結合しやすいのはどれか。
1つ選べ。

1 イヌリン  2 ゲンタマイシン  3 ワルファリン
4 クレアチニン  5 リチウム



アルブミンは、血中で最も大きな割合を占めるタンパク質です。
アルブミンには、大きく3つ、薬物結合サイトが存在します。

サイト I は、ワルファリンサイトです。
ここには、ワルファリン、フロセミド、インドメタシン、フェニトイン、トルブタミドなどの
薬物が結合します。

サイト II は、ジアゼパムサイトです。
ここには、ジアゼパム、フルルビプロフェン、イブプロフェンなどの
薬物が結合します。

サイト III は、ジギトキシンサイトです。
ここには、ジギトキシンや、ジゴキシンなどの
薬物が結合します。

これらのサイトに結合する薬物は、比較的、アルブミンとの結合率の高い薬物です。
よって、選択肢の中からこれらのサイトに結合する薬を選ぶと、ワルファリンとなります。

よって、正解は 3 です。






問43

種々のシトクロム P450 分子種の発現を誘導する代表的な薬物はどれか。
1つ選べ。

1 イトラコナゾール  2 エリスロマイシン  3 セファレキシン
4 シメチジン  5 フェノバルビタール




シトクロムP450の発現を誘導する代表的な薬物は
フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシンです。

よって、正解は 5 です。


ちなみに、シトクロムP450を阻害する代表的な薬剤は
シメチジン、アゾール系抗菌薬、マクロライド系抗菌薬などです。






問44

薬物の尿中排泄に重要な働きをする腎小体を
糸球体とともに構成しているのはどれか。
1つ選べ。

1 ヘンレ係蹄  2 ボーマン嚢  3 集合管
4 近位尿細管  5 遠位尿細管



腎臓は、ネフロンと呼ばれる構造的機能単位からなります。
ネフロンは、腎小体と尿細管からなります。
腎小体は、糸球体とボーマンのうからなります。

よって、正解は 2 です。


ちなみに、尿細管は、近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠位尿細管からなります。
それぞれの概略図は、以下になります。



問45

ある薬物が併用薬物の体内動態を変動させる要因のうち
併用薬物の血中濃度を低下させるのはどれか。
1つ選べ。

1 消化管吸収の促進  2 肝代謝酵素の阻害  3 胆汁排泄の阻害
4 腎尿細管再吸収の阻害  5 腎尿細管分泌の阻害




消化管吸収の促進は、一般的に、血中への薬物移行が促進されるということなので
血中濃度は増加します。
よって、選択肢 1 は誤りです。


肝代謝酵素が阻害されれば、併用薬物の代謝が阻害されるので、血中濃度は上昇します。
よって、選択肢 2 は誤りです。


胆汁排泄が阻害されれば、併用薬物が胆汁から排泄される場合、排泄されなくなるので
血中濃度は上昇します。
よって、選択肢 3 は誤りです。


腎尿細管再吸収が阻害されると、血中への再吸収が阻害されるため、より尿中に薬物が排泄されることになります。
よって、血中濃度は低下します。


腎尿細管分泌が阻害されると、尿中への排出は阻害されることになるため
血中濃度は上昇します。
よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 4 です。






問46

薬物動態が線形モデルに従うとき、投与量に比例するパラメータはどれか。
1つ選べ。

1 吸収速度定数  2 血中濃度時間曲線下面積  3 消失半減期
4 全身クリアランス  5 分布容積



吸収速度定数(ke)は、半減期 T1/2 を用いて
と表されます。投与量とは比例しません。
よって、選択肢 1 は誤りです。


血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、クリアランスCLと、投与量Dを用いて


と表されます。よって、投与量Dと比例します。


消失半減期は、定数です。
投与量とは比例しません。
よって、選択肢 3 は誤りです。


全身クリアランスCLは、消失速度定数と、分布容積(Vd)の積で、以下の式のように表されます。


投与量とは比例しません。
よって、選択肢 4 は誤りです。


分布容積は、薬により固有の定数です。
投与量とは比例しません。
よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2 です。






問47

薬物動態に線形性が成り立っているとき
経口投与後の平均吸収時間を算出する式はどれか。
1つ選べ。
ただし、経口投与後と静脈内投与後の平均滞留時間(MRT)を
それぞれMRTpoとMRTivとする。

1 MRTpo+ MRTiv   2 MRTpo- MRTiv   3 MRTiv- MRTpo
4 MRTpo/MRTiv   5 MRTiv/MRTpo




経口投与において、薬物は、吸収過程を経て、分布します。
吸収過程を経た後は、静脈内投与と、薬物の運命は変わりありません。

それをふまえると
経口投与後の平均滞留時間は、「経口投与後の平均吸収時間」+「静脈内投与後の平均滞留時間」となります。
よって、経口投与後の平均吸収時間は、「経口投与後の平均滞留時間 - 静脈内投与後の平均滞留時間
で求めることができます。

以上より、正解は 2 です。






問48

薬物の血中濃度測定に基づいて投与設計を行う条件として
必要性が最も低いのはどれか。
1つ選べ。

1 患者からの採血が可能であること
2 薬物定量法が確立していること
3 薬物の有効血中濃度域が広いこと
4 薬物の有効血中濃度域が既知であること
5 薬物血中濃度と薬理効果の間に相関関係があること




薬物の血中濃度測定に基いて投与設計を行う条件としては

患者からの採血が可能であること
薬物定量法が確立していること
薬物の有効血中濃度が既知であること
薬物血中濃度と、薬理効果の間に相関関係があること
薬物の有効血中濃度と、副作用がおきる血中濃度が近接していること

などがあげられます。


よって、選択肢 3 の、薬物の有効血中濃度域が広いことは
条件として必要でありません。


以上より、正解は 3 です。






問49

フルオロウラシルのプロドラッグはどれか。
1つ選べ。

1 ドキシフルリジン  2 エノシタビン  3 シスプラチン
4 イリノテカン  5 シクロホスファミド



ドキシフルリジンは、フルオロウラシルのプロドラックです。
腫瘍内でフルオロウラシルに代わり、DNA 合成阻害を介して
がん細胞の増殖を抑制します。

エノシタビンは、シタラビンのプロドラックです。
DNA 合成阻害を介してがん細胞の増殖を抑制します。

シスプラチンは、プラチナ製剤です。
アルキル化薬です。
DNA と架橋し、DNA 複製を阻害し
抗がん作用を示します。

イリノテカンは、トポイソメラーゼ I 阻害薬です。
グルクロン酸抱合されて代謝されます。
UGT1A1 の遺伝子多型と、薬物動態や副作用の関連が
よく調査されています。

シクロホスファミドは、アルキル化薬です。
抗がん作用を示します。


正解は 1 です。






問50

弱酸性薬物の水溶液のpH が、その薬物のpKaより2高いとき
水溶液中の薬物の分子形:イオン形の存在比に最も近いのはどれか。
1つ選べ。

分子形:イオン形
1   1:100
2   1:10
3   1:1
4   10:1
5   100:1



pHと、pKa、及び分子形、イオン形の濃度の関係を表した式が
Henderson-Hasselbalch(ヘンダーソン・ハッセルバルヒ)の式です。
以下のような式になります。



※log の底は、10 です。

って、pH の方が、pKa より2高いということは
[A-]が、[HA]の100倍であるということです。
(log 100 → log 102 → 2 なので。)

つまり、分子形 : イオン形は、1 : 100 です。


以上より、正解は 1 です。







問51

日本薬局方製剤総則で、口腔内に適用する製剤に分類されるのはどれか。
1つ選べ。

1 分散錠  2 チュアブル錠  3 口腔内崩壊錠
4 付着錠  5 発泡錠



分散錠は、水に入れて、分散させて飲む錠剤のことです。
チュアブル錠は、噛み砕いて飲む錠剤のことです。
口腔内崩壊錠は、口の中で速やかに溶ける錠剤のことです。
付着錠とは、口腔粘膜の患部に付着させて覆うように使う錠剤のことです。
発泡錠は、水中で急速に発泡する錠剤のことです。

口腔内に適用するのは、付着錠です。
正解は 4 です。






問53

薬物の結晶多形を検出できる方法はどれか。
1つ選べ。

1 空気透過法  2 X 線回折法  3 旋光度法
4 粘度測定法  5 気体吸着法



結晶多形を測定することができるのは
粉末X線回析法などです。

空気透過法によって測定できる主なパラメータは、比表面積です。
旋光度法によって測定できる主なパラメータは、旋光度です。
粘度測定法によって測定できる主なパラメータは、粘度です。
気体吸着法によって測定できる主なパラメータは、比表面積です。


以上より、正解は 2 です。






問54

水中油型の乳剤性基剤はどれか。
1つ選べ。

1 マクロゴール  2 白色ワセリン  3 精製ラノリン
4 流動パラフィン  5 親水クリーム



o/w 型の乳剤性基剤の代表例は、親水軟膏(親水クリーム)や、バニシングクリームです。

ちなみに、マクロゴールは、水溶性基剤の代表例です。
白色ワセリンは、油脂性基剤の代表例です。
精製ラノリンは、水相を欠く、w/o型の代表例です。
流動パラフィンは、油脂性基剤の代表例です。


以上より、正解は 5 です。






問55

日本薬局方で散剤に対して規定されている試験法はどれか。
1つ選べ。

1 エンドトキシン試験法
2 不溶性微粒子試験法
3 微生物限度試験法
4 重金属試験法
5 溶出試験法



エンドトキシン試験法は、注射剤などに対して規定されている試験です。
散剤に対しては行いません。

不溶性微粒子試験法は、注射剤などに対して規定されている試験です。
散剤に対しては行いません。

微生物限度試験法は、液剤や、造影剤などに対して規定されている試験です。
散剤に対しては行いません。

重金属試験法は、エキス剤などに対して規定されている試験です。
散剤に対しては行いません。


正解は 5 です。