問98-26~98-40 解説一覧



問26

インスリン受容体はどれに分類されるか。
1つ選べ。

1 Gq タンパク質共役型受容体
2 Gi タンパク質共役型受容体
3 イオンチャネル内蔵型受容体
4 酵素内蔵型受容体
5 核内受容体



インスリン受容体は、細胞表面に存在します。
ほとんどの細胞に発現していますが、その数は、組織により様々です。

インスリン受容体は4量体タンパク質です。
インスリンが受容体α-サブユニットに結合すると、膜貫通領域の構造が変化します。
すなわち、細胞内β-サブユニットにおけるチロシンキナーゼが活性化され、受容体の一部のチロシン残基をリン酸化します。
その結果、細胞内において、IRS(insulin receptor substrate)タンパクなどのチロシン残基がリン酸化され
それを認識する、SH2ドメインを持つPI-3キナーゼ等のタンパク質が結合し、情報伝達が様々な経路を通じて下流へと
伝わると考えられています。
その結果として、糖の取り込みの促進などが引き起こされます。

このような受容体は、酵素内蔵型受容体と呼ばれます。


以上より、正解は 4 です。





問27

プロプラノロールは、気管支ぜん息患者において気管支狭窄を起こすことがある。
の作用機序はどれか。
1つ選べ。

1 ムスカリン性アセチルコリン受容体遮断
2 アドレナリンα1 受容体遮断
3 アドレナリンβ2 受容体遮断
4 ヒスタミン H1 受容体遮断
5 ロイコトリエン受容体遮断



プロプラノロールは、β遮断薬です。
β遮断薬の、それぞれの代表的な臓器への作用は以下の通りです。

眼→縮瞳
心臓→収縮力低下 無理をさせない効果がある。狭心症に薬として用いられる。
気管支平滑筋→収縮 喘息患者には、禁忌です。
泌尿器→尿道を引き締める 尿を溜める方に作用します。

以上より、正解は 3 です。


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問28

コリンエステラーゼを可逆的に阻害するのはどれか。
1つ選べ。

1 アトロピン
2 カルバコール
3 エドロホニウム
4 ブチルスコポラミン
5 プラリドキシム(PAM)



アトロピンは、抗コリン薬です。
ムスカリン受容体に結合することで、受容体を遮断する薬です。
コリンエステラーゼには作用しません。


カルバコールは、コリン作動薬の一つです。
コリンエステラーゼに分解されにくいという特徴があります。


エドロホニウムは、持続時間の短い、コリンエステラーゼ阻害薬です。
重症筋無力症の診断に使用されます。


ブチルスコポラミン(ブスコパン)は、4級アンモニウム塩である、抗コリン薬です。
4級アンモニウム化することにより、血液脳関門の透過性を低め、中枢性の副作用を軽減した薬物です。
胃腸など、内蔵のけいれん性の痛みをとるお薬です。


プラリドキシムは、コリンエステラーゼ賦活薬です。
コリンエステラーゼ阻害薬による中毒の、特異的解毒剤として用いられます。


以上より、正解は 3 です。


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問29

リドカインの局所麻酔作用発現に関わる作用点はどれか。
1つ選べ。

1 ヒスタミン H1 受容体
2 セロトニン 5-HT 3 受容体
3 電位依存性 Na+ チャネル
4 アデニル酸シクラーゼ
5 GABAB 受容体



リドカインは、局所麻酔薬として用いられます。
又、抗不整脈薬としても用いられます。

作用機序は、Na+チャネル遮断です。
神経細胞の興奮を妨げます。


以上より、正解は 3 です。


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問30

ムスカリン性アセチルコリン受容体遮断により
抗パーキンソン病作用を示すのはどれか。
1つ選べ。

1 アマンタジン
2 トリへキシフェニジル
3 セレギリン
4 エンタカポン
5 ブロモクリプチン



アマンタジンは、ドパミン放出を促進することで作用し
パーキンソン病の症状改善に用いられます。
又、A型インフルエンザ治療薬としても用いられます。


トリヘキシフェニジルは、抗コリン薬です。
ドパミン作動性神経と、コリン作動性神経のバランスを整えることで
抗パーキンソン病作用を示します。


セレギリンは、MAO-B阻害薬です。
ドパミン代謝酵素であるMAO-Bを阻害することにより作用し
パーキンソン病の症状改善に用いられます。


エンタカポンは、COMT阻害薬です。
パーキンソン病治療薬であるレボドパと併用されます。
レボドパの抹消における代謝を阻害することで、中枢移行を助けることで
間接的な、パーキンソン病の症状改善に用いられます。


ブロモクリプチンは、麦角アルカロイドです。
ドパミン作動薬です。パーキンソン病治療薬として用いられます。


以上より、正解は 2 です。


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問31

選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害により
抗うつ作用を示すのはどれか。
1つ選べ。

1 パロキセチン
2 ミアンセリン
3 アモキサピン
4 トラゾドン
5 ミルナシプラン




パロキセチン(パキシル)は、SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)です。
SSRIとしては、他に、フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)、セルトラリン(ジェイゾロフト)
などがあります。
セロトニンの再取り込みを選択的に阻害することにより、抗うつ作用を示します。

よく効いてくるまでに2~3週間以上かかることがあります。
又、飲み始めに吐き気がおきることがあります。この吐き気は、たいてい2週間ほどで軽くなってきます。
自己判断で服用を中止しないようによく指導する必要があります。


ミアンセリン(テトラミド)は、四環系抗うつ薬です。
四環系抗うつ薬としては、他に、マプロチリン(ルジオミール)、セチプチリン(テシプール)
などがあります。
三環系抗うつ剤と比べて、抗コリン作用が弱いことが特徴です。


アモキサピン(アモキサン)は、三環系抗うつ剤です。
三環系抗うつ剤としては、他に、イミプラミン(トフラニール)、クロミプラミン(アナフラニール)
アミトリプチリン(トリプタノール)などがあります。
抗コリン作用が強いことが特徴です。


トラゾドン(デジレル)は、非三環系抗うつ剤です。
セロトニン受容体の拮抗作用に加え、弱い取り込み阻害作用を示します。


ミルナシプラン(トレドミン)は、SNRIです。
セロトニン、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害します。



以上より、正解は 5 です。


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問32

ジゴキシンの強心作用の機序はどれか。1 つ選べ。

1 アドレナリンβ1 受容体刺激
2 Na+-K+-2Cl-共輸送系阻害
3 Na+,K+-ATPase 阻害
4 ホスホジエステラーゼⅢ阻害
5 アデニル酸シクラーゼ活性化




ジゴキシンは、強心配糖体です。
Na+、K+-ATPase を阻害することにより、心筋収縮力増強作用を持つ心不全薬です。


ちなみに、β1刺激薬は、ドブタミン、デノパミンなどです。
β1受容体を刺激することにより、Gsタンパク質を介してアデニル酸シクラーゼが活性化されます。
それにより、細胞内cAMPが増加することにより、心筋収縮力が増強されます。


Na+-K+-2Cl-共輸送系阻害薬は、ループ利尿薬で、フロセミドなどです。
降圧薬として用いられます。


ホスホジエステラーゼIII阻害薬は、ミルリノンなどです。
心筋と血管平滑筋のホスホジエステラーゼIIIという、cAMP分解酵素を
選択的に阻害することで、細胞内cAMPを増加させることで、強心薬として作用します。


アデニル酸シクラーゼ(AC)活性化は、コルホルシンダロパートです。
ACとは、cAMPを合成する酵素です。
AC活性化により、細部内cAMPを増加させることで、心筋収縮力が増強されます。



以上より、正解は 3 です。


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問33

血管平滑筋のアドレナリンα1 受容体の選択的遮断により、降圧作用を示すのはどれか。
1 つ選べ。

1 べタキソロール
2 ロサルタン
3 フェントラミン
4 プラゾシン
5 クロニジン



ベタキソロールは、β遮断薬です。
β1選択的遮断薬です。
心臓を休ませる作用があり、高血圧や狭心症などに用いられます。


ロサルタンは、ARBです。
降圧薬です。


フェントラミンは、α受容体拮抗薬です。
非選択的α遮断薬です。
褐色細胞腫の診断に用いられる薬です。

褐色細胞腫とは、副腎髄質などから発生する
カテコラミン産生腫瘍です。
腫瘍細胞において、カテコラミンが過剰産生することで、各種の症状が発症します。
代表的な症状は、高血圧です。


プラゾシンは、α遮断薬です。
α1受容体を選択的に遮断します。
降圧薬、及び前立腺肥大による排尿障害に用いられます。


クロニジンは、α2刺激薬です。
ノルアドレナリンの分泌を抑制することで、降圧薬として作用します。


以上より、正解は 4 です。


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問34

急性膵炎の治療に用いられるタンパク質分解酵素阻害薬はどれか。1 つ選べ。

1 プロパンテリン
2 ウルソデオキシコール酸
3 フロプロピオン
4 ニザチジン
5 ナファモスタット



プロパンテリンは、抗コリン薬です。
胃腸など、内蔵のけいれん性の痛みをとるお薬です。


ウルソデオキシコール酸(ウルソ)は、胆汁の流れをよくする薬です。
又、肝臓の炎症を軽減するなどの、肝機能改善作用もあります。


フロプロピオンは、COMT阻害薬です。
COMTは、カテコラミン分解酵素です。
ノルアドレナリンの分解を防ぎ、β受容体を介して、Oddi括約筋という
十二指腸の下の方における、総胆管及び膵管の出口の筋肉を
弛緩させます。

その結果、胆汁や膵液の十二指腸への排出を促進します。
結果として、胆道や膵臓のけいれん性の痛みをとります。


ニザチジン(アシノン)は、ヒスタミン受容体拮抗薬です。
胃酸の分泌を抑えます。


ナファモスタットは、タンパク質分解酵素阻害薬です。
急性膵炎の治療に用いられます。


以上より、正解は 5 です。


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問35

ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)αを刺激するのはどれか。
1 つ選べ。

1 フルバスタチン
2 エゼチミブ
3 コレスチラミン
4 フェノフィブラート
5 コルヒチン




フルバスタチン(ローコール)は、スタチン、すなわちHMG-CoA還元酵素阻害剤です。
コレステロールの生合成における律速段階である、メバロン酸を合成する酵素を
阻害することにより、コレステロールの合成を抑制します。
脂質異常症に対して用いられます。

横紋筋融解症に注意が必要な薬です。
初めて飲む人には、初期症状である、筋肉痛や、赤みがかった尿がでたら、直ちに
服用を止め、受診することを伝える必要があります。


エゼチミブ(ゼチーア)は、小腸コレステロールトランスポーター(NPC1L1)阻害薬です。
主にコレステロール値を下げますが、中性脂肪の低下作用もあります。

コレスチラミンは、陰イオン交換樹脂です。
胆腸管内で、胆汁酸と結合することにより、胆汁性コレステロールの再吸収をおさえ、排出を促進します。
中性脂肪は下げません。


フェノフィブラート(リピディル)は、フィブラート系高脂血症治療薬です。
核内受容体であるPPARα(peroxisome proliferator - activated receptor)に結合することで
PPARαを活性化し、様々な作用を介して、主に中性脂肪を低下させます。


コルヒチンは、対症療法に用いられる、痛風治療薬です。
微小管タンパクである、チュブリンに結合することで、細胞分裂を抑制させます。
主に好中球に作用し、抗炎症作用を示します。


以上より、正解は 4 です。





問36

トラネキサム酸の止血作用の機序はどれか。1 つ選べ。

1 トロンビン阻害
2 アンチトロンビンⅢ阻害
3 組織因子阻害
4 第Ⅹa 因子阻害
5 プラスミン阻害





トラネキサム酸は、プラスミノーゲンや、プラスミンのリシン結合部位に結合します。
その結果、プラスミンによるフィブリン分解を阻害することで、止血作用を示します。
ちなみに、フィブリンが、止血を担う繊維状タンパク質です。
プラスミンが、フィブリンを分解する酵素です。


以上より、正解は 5 です。






問37

シクロスポリンの免疫抑制作用の機序はどれか。
1 つ選べ。

1 カルシニューリンの阻害
2 ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害
3 ピリミジン合成経路の阻害
4 プリン合成経路の阻害
5 インターロイキン-6(IL-6)受容体の遮断



シクロスポリンは、T細胞細胞質内の FK binding protein(FKBP)に結合し
カルシニューリンの機能を阻害することで
NF-AT(Nuclear factor of activated T-cell)の核内移行を抑制することにより作用します。
NF-ATは、転写因子です。IL-2の分泌を引き起こします。

カルシニューリンの機能阻害とは、より具体的にいうと、Ca2+依存性セリン/トレオニンホスファターゼ活性の阻害です。

以上より、正解は 1 です。





問38

セラトロダストの抗アレルギー作用の機序はどれか。
1 つ選べ。

1 ロイコトリエン受容体遮断
2 トロンボキサンA2 受容体遮断
3 シクロオキシゲナーゼ-2 阻害
4 5-リポキシゲナーゼ阻害
5 ホスホリパーゼA2 阻害



セラトロダスト(ブロニカ)は、トロンボキサンA2 受容体拮抗剤です。
即時型及び遅発型喘息反応並びに、気道過敏性の亢進を抑制します。

以上より、正解は 2 です。

代表的な気管支喘息治療薬については
を参照してください。




問39

核酸合成を阻害し、抗真菌作用を示すのはどれか。
1 つ選べ。

1 ナイスタチン
2 フルシトシン
3 ミカファンギン
4 ミコナゾール
5 テルビナフィン




ナイスタチンは、ポリエン系抗生物質のひとつです。
細胞膜のエルゴステロールと結合し、膜に小孔を作り、殺菌的に作用します。

フルシトシンは、真菌細胞内に取り込まれた後、シトシン脱アミノ酵素により
5-FUとなり、核酸合成の阻害を介して、抗真菌作用を示します。

ミカファンギンは、キャンディン系抗生物質です。
1,3-β-D-グルカンの合成を非競合的に阻害することにより、抗真菌作用を示します。

ミコナゾールは、細胞膜構成成分であるエルゴステロールの合成阻害により
抗真菌作用を示します。

テルビナフィンは、スクアレンエポキシダーゼを選択的に阻害することで
細胞膜構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害し、抗真菌作用を示します。


以上より、正解は 2 です。





問40

閉経後乳がん治療薬レトロゾールの作用機序はどれか。
1 つ選べ。

1 アロマターゼ阻害
2 トポイソメラーゼⅡ阻害
3 ジヒドロ葉酸還元酵素阻害
4 アンドロゲン受容体遮断
5 エストロゲン受容体遮断



レトロゾール(フェマーラ)は、アロマターゼの活性を競合的に阻害することにより
アンドロゲンからエストロゲンの生成を阻害します。
その結果、乳がんの増殖を抑制します。
適応は、閉経後乳がんです。


よって、正解は 1 です。