問98-246~98-265 解説一覧



問246

47歳女性。眼科外来にて、以下の薬剤が処方された。

(処方1)
ラタノプロスト点眼液 0.005% (2.5mL/本) 1回1滴
1日1回 夕 左眼点眼 全1本

(処方2)
ブリンゾラミド懸濁性点眼液1% (5mL/本) 1回1滴
1日2回 朝夕 左眼点眼 全1本


処方1及び処方2で期待される薬理作用として、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 アドレナリンα1受容体を遮断して、ブドウ膜強膜流出経路からの眼房水の流出を促進する。
2 炭酸脱水酵素を阻害して、眼房水の産生を抑制する。
3 アドレナリンβ2受容体を遮断して、眼房水の産生を抑制する。
4 コリンエステラーゼを阻害して毛様体筋を収縮させ、シュレム管からの眼房水の流出を促進する。
5 プロスタグランジンF2α受容体を刺激して、ブドウ膜強膜流出経路からの眼房水の流出を促進する。






ラタノプロスト(キサラタン)は、プロスタグランジン関連薬です。
プロスタグランジンF2α受容体(FP受容体とも呼ばれます)を刺激して
ブドウ膜強膜流出経路からの眼房水の流出を促進し、眼圧を低下させます。

ブリンゾラミド(エイゾプト)は、炭酸脱水酵素阻害薬です。
眼房水の産生を抑制することにより、眼圧を低下させます。


以上より、正解は 2,5 です。






問247

47歳女性。眼科外来にて、以下の薬剤が処方された。

(処方1)
ラタノプロスト点眼液 0.005% (2.5mL/本) 1回1滴
1日1回 夕 左眼点眼 全1本

(処方2)
ブリンゾラミド懸濁性点眼液1% (5mL/本) 1回1滴
1日2回 朝夕 左眼点眼 全1本


これらの処方薬を使用するにあたって薬剤師が患者に行うべき指導として
適切なのはどれか。
2つ選べ。








点眼剤を用いる際は、まず使用前に手を洗い、容器の先が目につかないように使用します。

又、複数の点眼剤を用いる時は、先に使用した薬剤があふれてしまう事を防ぐために
最低5分間は、間隔を空けて使用します。

点眼後は、まぶたを閉じ(眼に薬液を保持し、あふれて皮膚へと流出することを防ぐ)
更に涙嚢部を指で軽くおさえることで、薬液が局所的に吸収されるように使用するとよいです。
そうすることで、全身性の副作用を軽減することができます。


以上より、正解は 1,5 です。



問248

70歳男性。泌尿器科外来にて、以下の薬剤が処方された。

(処方)
ハルナールOD 錠(注)  0.2mg  1回1錠 (1日1錠)
1日1回 朝食後 90日分
(注:タムスロシン塩酸塩の徐放性粒を含有する口腔内崩壊錠)


この処方で期待されるタムスロシンの薬理作用として、正しいのはどれか。
1つ選べ。


1 アセチルコリンM受容体を遮断し、膀胱平滑筋を弛緩させる。
2 アドレナリンβ受容体を刺激し、膀胱平滑筋を弛緩させる。
3 コリンエステラーゼを阻害し、膀胱平滑筋を収縮させる。
4 アドレナリンα受容体を遮断し、前立腺平滑筋や尿道括約筋を弛緩させる。
5 テストステロンの産生を抑制し、前立腺を縮小させる。






タムスロシンは、α1受容体遮断薬です。
前立腺平滑筋や、尿道括約筋を弛緩させ
前立腺肥大症に伴う排尿障害に用いられる薬です。

よって、正解は 4 です。


ちなみに
M3受容体を遮断すると、膀胱平滑筋は弛緩します。つまり、蓄尿の方向に作用します。
β2受容体を刺激すると、暴行平滑筋は弛緩します。つまり、蓄尿の方向に作用します。
コリンエステラーゼを阻害すると、アセチルコリンの量が増加します。その結果、排尿の方向に作用します。
又、テストステロンの産生を抑制すると、前立腺は縮小します。






問249

70歳男性。泌尿器科外来にて、以下の薬剤が処方された。

(処方)
ハルナールOD 錠(注)  0.2mg  1回1錠 (1日1錠)
1日1回 朝食後 90日分
(注:タムスロシン塩酸塩の徐放性粒を含有する口腔内崩壊錠)

この処方薬について薬剤師が患者に説明すべき基本的注意のうち、適切でないはどれか。
1つ選べ。


1 めまい等が現れることがあるので高所作業
自動車運転等危険を伴う作業に従事する場合は注意してください。
2 起床時に血圧が上昇することがあるので、注意してください。
3 唾液又は水で服用してください。
4 かみ砕かずに服用してください。
5 寝たままの状態では、水なしで服用しないでください。







α1遮断薬は、血管平滑筋に作用して、降圧薬としての作用も示します。
よって、薬の服用に伴う副作用として、めまいやふらつきが知られています。

OD錠は、水なしでも、水で服用してもかまわない剤形です。
服用の仕方としては、舌の上にのせ唾液を湿潤させ、舌で軽くつぶし、崩壊後唾液のみで服用するか
水での服用を行います。
寝たままの状態では、水なしでは服用させないこととなっています。(誤嚥を防ぐため)

以上より、起床時に血圧が上がるわけではないので
適切でないのは、選択肢 2 です。



正解は 2 です。






問250

69歳女性。近医より紹介され、不整脈の精密検査目的で入院することになり、以下の処方薬を持参した。
クレアチニンクリアランスは60mL/minであり、AST及びALTはそれぞれ30、35 IU / L であった。

(処方1)
カルベジロール錠2.5mg 1回2錠 (1日2錠)
1日1回 朝食後

(処方2)
シベンゾリンコハク酸塩錠100mg 1回1錠 (1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後

(処方3)
ワルファリンカリウム錠0.5mg 1回3錠 (1日3錠)
1日1回 昼食後

(処方4)
ラベプラゾールナトリウム錠10mg 1回1錠 (1日1錠)
ベプリジル塩酸塩水和物錠50mg 1回1錠 (1日1錠)
1日1回 朝食後

(処方5)
トリアゾラム錠0.125mg 1回1錠 (1日1錠)
1日1回 就寝前


持参薬を確認した薬剤師が担当医に提案すべき内容として、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。

1 トリアゾラム錠には重大な薬剤性不整脈が知られているため中止する。
2 肝機能が低下しているので、カルベジロール錠をプロプラノロール塩酸塩錠に変更する。
3 肝機能が低下しているので、ラベプラゾールナトリウムを減量する。
4 腎機能が低下しているので、ワルファリンカリウムを減量する。
5 腎機能が低下しているので、シベンゾリンコハク酸を減量する。









トリアゾラムには、特に重大な薬剤性不整脈は知られていません。
よって、選択肢 1 は誤りです。

クレアチニンクリアランスが 60 mL/min (基準値は 100 前後)なので、腎機能の低下が
うかがわれます。

AST,ALTはほぼ基準値であることから、肝機能は正常であると考えられます。
よって、選択肢 2,3 は誤りです。

ワルファリンカリウムは、CYPによる代謝を受ける、主に肝代謝の薬です。
よって、選択肢 4 は誤りです。

ジベンゾリンコハク酸塩(シベノール)は、クラス Ia 群に属する抗不整脈薬です。
主に尿中排泄される薬です。



以上より、正解は 5 です。






問251 

69歳女性。近医より紹介され、不整脈の精密検査目的で入院することになり、以下の処方薬を持参した。
クレアチニンクリアランスは60mL/minであり、AST及びALTはそれぞれ30、35 IU / L であった。

(処方1)
カルベジロール錠2.5mg 1回2錠 (1日2錠)
1日1回 朝食後

(処方2)
シベンゾリンコハク酸塩錠100mg 1回1錠 (1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後

(処方3)
ワルファリンカリウム錠0.5mg 1回3錠 (1日3錠)
1日1回 昼食後

(処方4)
ラベプラゾールナトリウム錠10mg 1回1錠 (1日1錠)
ベプリジル塩酸塩水和物錠50mg 1回1錠 (1日1錠)
1日1回 朝食後

(処方5)
トリアゾラム錠0.125mg 1回1錠 (1日1錠)
1日1回 就寝前


処方された個々の薬剤の薬理作用として、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 カルベジロールは、アドレナリンβ受容体遮断作用に加え、アドレナリンα1受容体遮断作用も有する。
2 カルベジロールは、プロプラノロールと異なり、内因性交感神経刺激作用 (ISA) を有する。
3 シベンゾリンは、心筋のNa+チャネル遮断作用とK+チャネル開口作用を有し、活動電位の持続時間を短縮する。
4 ベプリジルは、電位依存性L型Ca2+チャネルを遮断し、房室結節の有効不応期を延長する。
5 ワルファリンは、アンチトロンビン III の作用を増強し、抗凝固作用を示す。










選択肢 1 はその通りの記述です。


カルベジロール(アーチスト)は、β遮断作用に加え
α1受容体遮断作用を主とした血管拡張作用も有する薬です。
又、ISA:すなわち、内因性の交感神経刺激作用がありません。
そのため、心臓に対する負荷が、ISA+の薬物よりも少ないといえます。
よって、選択肢 2 は誤りです。


シベンゾリンは、クラス Ia 群に分類される抗不整脈薬です。
Na+チャネル遮断作用を有し、活動電位持続時間を延長させます。
よって、短縮するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。
ちなみに、K+チャネルに対して、クラスIa群は抑制をする方向に働きます。


選択肢 4 はその通りの記述です。


ワルファリンは、ビタミンK依存性血液凝固因子の産生を抑制することで
抗凝固作用を示します。
アンチトロンビンIIIは、凝固阻害因子です。
この作用を増強して抗凝固作用を示すのは、ヘパリンです。
よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,4 です。






問252

糖尿病患者が以下の処方せんを持って保険薬局に来局した。なお、この薬局には初めての来局である。

(処方1)
ボグリボース錠 0.2mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食直前 30日分

(処方2)
シタグリプチン酸塩水和物錠 50mg 1回1錠 (1日1回)
1日1回 朝食前 30日分


処方されたこれらの薬剤の作用機序として、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 α-アミラーゼを競合的に阻害し、食後高血糖を抑制する。
2 ATP感受性K+チャネルを遮断し、膵β細胞を脱分極させる。
3 ジペプチジルペプチダーゼ-4 (DPP-4)を阻害し、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の分解を抑制する。
4 GLP-1受容体を直接刺激し、血糖値を低下させる。
5 グルカゴンの分泌を抑制し、血糖値の上昇を抑制する。



ボグリボースは、α-グルコシダーゼ阻害薬です。
腸管における、二糖類から単糖への分解を阻害することで、糖質の消化・吸収を遅延させて
食後過血糖を改善します。

阻害するのは、α-アミラーゼではありません。
α-アミラーゼとは、デンプン中のアミロースやアミロペクチンを、単糖類や二糖類に変換する酵素群のことです。
つまり、α-アミラーゼは、多糖類→二糖類や単糖類への分解を担う酵素なのですが
α-グルコシダーゼは、二糖類→単糖類に分解する酵素であるという違いです。
よって、選択肢 1 は誤りです。


ATP感受性K+チャネル遮断による糖尿病薬は、SU薬です。代表例はグリメピリドです。
よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 はその通りの記述です。
シタグリプチンが、DPP-4阻害薬です。


GLP-1受容体を直接刺激するのは、リラグルチドや、エキセナチドです。
よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。
DPP-4阻害薬は、GLP-1の分解を抑制します。
それにより、GLP-1の作用である、グルカゴン分泌抑制を促進します。
つまり、グルカゴンの分泌が抑制されます。
グルカゴンは、血糖を上昇させるようなホルモンであるため
グルカゴンの分泌が抑制されることにより、血糖値の上昇が抑制されます。


以上より、正解は 3,5 です。





問253

糖尿病患者が以下の処方せんを持って保険薬局に来局した。なお、この薬局には初めての来局である。

(処方1)
ボグリボース錠 0.2mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食直前 30日分

(処方2)
シタグリプチン酸塩水和物錠 50mg 1回1錠 (1日1回)
1日1回 朝食前 30日分

この患者への服薬指導時の対応として、適切でないのはどれか。
2つ選べ。

1 ボグリボースは、インスリンの分泌を促進すると説明する。
2 ボグリボースの副作用として、腹部膨満、放屁が増加することを説明する。
3 シタグリプチンは、血糖値をコントロールするホルモンであるインクレチンの作用を増強し、血糖値を下げると説明する。
4 低血糖の症状が現れた場合、砂糖水を飲むように説明する。
5 腎臓の働きが悪いと言われたことがあるかどうか確認する。




ボグリボースは、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)です。
インスリンの分泌を促進するわけではないので、選択肢 1 は誤りです。


ボグリボースの副作用として、腸内ガス等の増加による腹部膨満、放屁増加等があります。
よって、選択肢 2 は適切です。


シタグリプチンは、DPP-4阻害薬です。
DPP-4とは、GLP-1(インクレチン)というホルモンを分解する酵素です。
インクレチンとは、グルカゴン分泌抑制ホルモンです。
DPP-4が阻害されることで、インクレチンが分解されにくくなり、その結果
グルカゴンの分泌が抑制されることで血糖値を減少させます。
よって、選択肢 3 は適切です。


低血糖の症状が現れた時には、ブドウ糖を摂取するように説明します。
砂糖水ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
α-GIを服用しているため、砂糖水に含まれる糖質が、単糖まで分解されず
砂糖水を服用しても、低血糖症状が改善されません。


シタグリプチンは、重度腎機能障害のある患者には、血中濃度上昇することがあり、禁忌となっています。
そのため、選択肢 5 は適切です。


以上より、正解は 1,4 です。






問254

70歳男性。経皮的冠動脈形成術 (PCI) が適用される急性冠症候群 (不安定狭心症、非ST上昇心筋症) の患者に以下の薬剤が処方された。

(処方)
クロピドグレル硫酸塩錠75mg 1回1錠 (1日1錠)
1日1回 朝食後 30日分

薬剤師として処方医に情報提供すべき内容として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

1 アスピリンと併用する必要がある。
2 投与開始日にはローディングドーズを必要とする。
3 重大な副作用として血栓性血小板減少性紫斑症(TTP)が発生することがあるので、投与開始後2ヶ月間は2週間に1回程度の血液検査を考慮する。
4 クロピドグレルの用量調節には、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の測定が必要である。
5 本剤による血小板凝集抑制が問題となるような手術の場合には、14日以上前に投与を中止することが望ましい。



クロピドグレル硫酸塩錠は、経口投与後、肝臓で代謝を受けて活性代謝物となり
ADP受容体と結合することにより、ADP刺激による血小板の活性化を抑制することで
血小板凝集を抑制します。

経皮的冠動脈形成術が適用される虚血性心疾患の場合は、アスピリンとの併用が必要です。
よって、選択肢 1 はその通りの記述です。


目標とする血中濃度に速やかに到達させるための、初回量のことを、負荷投与量、もしくは
ローディングドーズと呼びます。
プラビックスは、初日に 300mg を投与し、以降は75mg 1日1錠で服用します。
よって、選択肢 2 は適切な記述です。


選択肢 3 はその通りの記述です。


APTTを指標に投与量を調節するのはヘパリンです。
よって、選択肢 4 は誤りです。


本剤による血小板凝集抑制が問題となるような手術の場合は、14日以上前に投与を中止することが
望ましいとされています。よって、選択肢 5 はその通りの記述です。


以上より、正解は 4 です。






問255

70歳男性。経皮的冠動脈形成術 (PCI) が適用される急性冠症候群 (不安定狭心症、非ST上昇心筋症) の患者に以下の薬剤が処方された。

(処方)
クロピドグレル硫酸塩錠75mg 1回1錠 (1日1錠)
1日1回 朝食後 30日分


1 肝臓で活性代謝物に変換され、抗血小板活性を示す。
2 ADP受容体サブタイプP2Y12受容体を刺激する。
3 血小板のアデニル酸シクラーゼ活性を増強する。
4 血小板のシクロオキシゲナーゼを阻害する。
5 抗凝固薬と併用しても、出血傾向は増強されない。




クロピドグレル硫酸塩錠は、経口投与後、肝臓で代謝を受けて活性代謝物となり
不可逆的にADP受容体サブタイプP2Y12と結合することにより、ADPの結合を抑制します。
これにより、ADP刺激による血小板の活性化を抑制することで血小板凝集を抑制します。

ADP刺激による血小板の活性化は、アデニル酸シクラーゼ活性を抑制し、cAMP濃度を低下させることにより
行われます。
このADP刺激を、クロピドグレル硫酸塩錠は抑制するため、アデニル酸シクラーゼ活性は、増強されます。

以上より、正解は 1,3 です。

血小板のシクロオキシゲナーゼを阻害するのは、アスピリンです。
ちなみに、抗凝固薬と併用すると、出血傾向は増強されるので、注意が必要です。






問256

63歳男性。腎不全で透析施行中の入院患者に以下の薬剤が追加で処方された。

(処方1)
ナテグリニド錠90mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食直前 7日分

(処方2)
ロスバスタチンカルシウム錠2.5mg 1回1錠 (1日1錠)
1日1回 夕食後 隔日投与 4日分


この患者の治療に関する記述として、適切でないのはどれか。
2つ選べ。

1 ロスバスタチンカルシウム錠は、透析患者に対して禁忌である。
2 ナテグリニド錠は、透析患者に対して禁忌である。
3 服薬指導時に、食事中のタンパク質量が制限されていることを確認する。
4 服薬指導時に、患者の手足のむくみを確認する。



ロスバスタチン(クレストール)は、透析患者に対して禁忌ではありません。
よって、選択肢 1 は誤りです。
※肝機能が低下していると考えられる、急性肝炎、慢性肝炎の急性憎悪、肝硬変などの患者に対して
禁忌の薬です。


選択肢 2 はその通りの記述です。


透析施工中であれば、透析によるタンパク質原料のアミノ酸欠乏を補充するために
一定量の適切なタンパク質摂取が必要になります。
すなわち、食事中のタンパク質量が制限されていることを確認する必要はないと
考えられます。
よって、選択肢 3 は適切であるとはいえません。


患者の手足のむくみを確認することにより、糖尿病性腎症の進行具合を推測することができます。
服薬指導時の確認により、血糖コントロールが適切に行われているかを判断する
一つの情報源となりうると考えられます。


以上より、正解は 2,4 です。



問257

63歳男性。腎不全で透析施行中の入院患者に以下の薬剤が追加で処方された。

(処方1)
ナテグリニド錠90mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食直前 7日分

(処方2)
ロスバスタチンカルシウム錠2.5mg 1回1錠 (1日1錠)
1日1回 夕食後 隔日投与 4日分


その後、患者に貧血症状が出たため、エポエチンアルファが処方された。
この処方薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 トロンボポエチン受容体を刺激する。
2 赤芽球前駆細胞に直接作用して、赤血球への分化・増殖を促進する。
3 血漿中の鉄と結合して造血組織に移行し、ヘモグロビン合成系への鉄の供給を促進する。
4 赤血球増多により、副作用として血栓塞栓症を起こすことがある。




エポエチンアルファは、赤血球前駆細胞に直接作用し、造血作用を発揮します。
よって、トロンボポエチン受容体を刺激するわけではありません。
選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 はその通りの記述です。


エポエチンアルファは、血漿中の鉄と結合して造血組織へ移行するということはありません。
トランスフェリンについての記述であると考えられます。
選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 はその通りの記述です。


以上より、正解は 2,4 です。





問258

45歳女性。関節リウマチの治療を受けていたが、既存治療では効果不十分であったため
処方変更となり以下の処方せんを持って薬局を訪れた。

(処方)
エタネルセプト (遺伝子組換え) 皮下注 (25mg/シリンジ) 1回 25mg
月曜日 皮下注射 (自己注射) 4本


患者に対する薬剤師の対応として、適切でないのはどれか。
1つ選べ。

1 今回の処方変更の前に胸部レントゲン検査やツベルクリン反応などを受け、結核に感染していないことを患者に確認した。
2 本剤により免疫が抑制されるため、持続的な発熱やせきが出ても心配ないことを説明し、患者の不安を和らげた。
3 患者が事前に自己注射の十分な教育訓練を受け、自らが確実に自己注射できるかどうかを確認した。
4 紅斑、発赤、疼痛、腫脹、そう痒などの注射部位反応が報告されているので、投与毎に注射部位を変えるように指導した。
5 多発性硬化症などの脱髄疾患やうっ血性心不全の既往歴の有無を確認した。




エタネルセプト(エンブレル)は、ヒトTNF可溶性受容体と、IgGを結合させた組み換えタンパク質です。
分子標的治療薬の一つで、関節リウマチなどの治療薬です。

重篤な副作用として、感染症や結核が知られています。そのため、投与に先立ち、胸部レントゲン検査
及びツベルクリン反応検査などを行い、結核感染の有無を確認するよう警告が出ています。

免疫の抑制を引き起こす薬であるため、副作用として感染症があります。
そのため、初期症状として、発熱やせきが出た時には、すぐに主治医に連絡をするように注意する必要があります。
よって、選択肢 2 は適切ではありません。

選択肢 3 ~ 5 はその通りの記述です。


以上より、正解は 2 です。





問259

45歳女性。関節リウマチの治療を受けていたが、既存治療では効果不十分であったため
処方変更となり以下の処方せんを持って薬局を訪れた。

(処方)
エタネルセプト (遺伝子組換え) 皮下注 (25mg/シリンジ) 1回 25mg
月曜日 皮下注射 (自己注射) 4本


エタネルセプトの作用として正しいのはどれか。
1つ選べ。

1 腫瘍壊死因子-α(TNF-α)に対するキメラ型モノクローナル抗体で、TNF-α と受容体の結合を選択的に阻害する。
2 TNF 受容体に対する完全ヒト型モノクローナル抗体で、TNF-α と受容体の結合を選択的に阻害する。
3 ヒト型可溶性  TNF 受容体-Fc 融合タンパク質で、TNF-α と細胞表面 TNF 受容体の結合量を選択的に抑制する。
4 インターロイキン-6(IL-6) 受容体に対するヒト型モノクローナル抗体であり、IL-6 と受容体の結合を阻害する。
5 抗原掲示細胞膜の CD80/CD86 に結合し、CD28 を介した共刺激シグナルを阻害する。



エタネルセプト(エンブレル)は、ヒト型可溶性 TNF 受容体-Fc 融合タンパク質です。
TNF-α と、細胞表面 TNF 受容体の結合を、選択的に阻害します。

よって、正解は 3 です。


ちなみに、キメラ型の TNF-α モノクローナル抗体は、インフリキシマブ(レミケード)です。
TNF-αに対するヒト型モノクローナル抗体は、アダリムマブ(ヒュミラ)です。
IL-6 受容体抗体は、トシリズマブ(アクテムラ)です。
CD80/86 に結合するのは、アバタセプトです。





問260

65歳女性。アレルギー疾患で初めて外来にかかり、以下の漢方薬が処方された。
お薬手帳を確認したところ他院の処方薬に併用注意の薬剤があり、医師に問合わせを行った。

(処方)
マオウ3.0g、 シャクヤク3.0g、 カンキョウ3.0g、 カンゾウ3.0g
ケイヒ3.0g、 サイシン3.0g、 ゴミシ3.0g、ハンゲ6.0g
以上を1日分1包とし、水約500mLを加えて、半量ぐらいまで煎じつめ、煎液を3回に分けて服用
1日3回 朝昼夕食後 14日分


以下の薬剤がお薬手帳に記載されていた。併用に注意すべき薬剤はどれか。
1つ選べ。

1 フロセミド錠
2 スピロノラクトン錠
3 エチゾラム錠
4 ファモチジン錠
5 ロキソプロフェンナトリウム水和物錠



処方は小青竜湯です。
併用注意の薬剤として、ループ利尿薬や、チアジド系利尿剤があります。
これらの薬による低カリウム血症が問題となります。
よって、併用に注意すべきは薬剤はフロセミドです。

正解は 1 です。





問261

65歳女性。アレルギー疾患で初めて外来にかかり、以下の漢方薬が処方された。
お薬手帳を確認したところ他院の処方薬に併用注意の薬剤があり、医師に問合わせを行った。

(処方)
マオウ3.0g、 シャクヤク3.0g、 カンキョウ3.0g、 カンゾウ3.0g
ケイヒ3.0g、 サイシン3.0g、 ゴミシ3.0g、ハンゲ6.0g
以上を1日分1包とし、水約500mLを加えて、半量ぐらいまで煎じつめ、煎液を3回に分けて服用
1日3回 朝昼夕食後 14日分


前問の薬剤が併用注意となる理由として、最も留意すべきものはどれか。
1つ選べ。

1 カンゾウが併用薬のカリウム排泄作用を増強する。
2 カンゾウが併用薬のナトリウム再吸収作用を阻害する。
3 カンゾウが併用薬のシクロオキシゲナーゼ阻害作用を抑制する。
4 マオウが併用薬のベンゾジアゼピン受容体への親和性を増大させる。
5 マオウが併用薬の胃内 pH 上昇作用を阻害する。



小青竜湯に含まれているカンゾウは、偽アルドステロン症をおこすことがあります。
アルドステロンは、カリウムの排泄を促すホルモンです。
よって、正解は 1 です。





問262

80歳男性。喀痰よりMRSAが検出され、以下の薬剤が処方された。

(処方)
点滴静注
アルベカシン硫酸塩注射液 (200mg/バイアル 1本) 200mg
生理食塩水 100mL
1日1回 2時間かけて投与


この患者の薬物療法において、薬剤師が考慮すべき検査項目はどれか。
2つ選べ。

1 最小発育阻止濃度 (MIC)
2 QT間隔
3 フィブリノーゲン
4 尿中ミクログロブリン
5 血中テストステロン



MIC(minimum inhibitory concentration)とは、最小発育阻止濃度のことです。
MRSA に対する抗菌薬による治療であるため、MIC は、考慮すべき検査項目であると
考えられます。


QT間隔とは、心電図におけるQ波とT波の間隔のことです。
特に不整脈などは関係ないので、この患者の薬物療法において、考慮すべき検査項目であるとは
いえないと考えられます。


フィブリノーゲンは、血液凝固因子の一つです。
特に血液系は関係がないので、この患者の薬物療法において、考慮すべき検査項目であるとは
いえないと考えられます。


アルベカシンは、使用にあたり、腎機能異常及び、聴力障害等の副作用に留意する必要があります。
主に腎排泄型の薬剤です。
又、尿中ミクログロブリンは、血症タンパクの一種です。腎機能に関する指標の一つです。
よって、アルベカシン使用時は、尿中ミクログロブリン値は、考慮すべき検査項目であると
考えられます。


血中テストステロンは、血中のテストステロンというホルモンの濃度のことです。
特にホルモンは関係がないので、この患者の薬物療法において、考慮すべき検査項目であるとは
いえないと考えられます。


以上より、正解は 1,4 です。





問263

80歳男性。喀痰よりMRSAが検出され、以下の薬剤が処方された。

(処方)
点滴静注
アルベカシン硫酸塩注射液 (200mg/バイアル 1本) 200mg
生理食塩水 100mL
1日1回 2時間かけて投与


MRSAに対するアルベカシンの抗菌作用機序として、正しいのはどれか。
1つ選べ。

1 細菌のDNA依存性RNAポリメラーゼを阻害し、転写を抑制する。
2 細菌のエルゴステロール生合成を阻害し、細胞膜の透過性を高める。
3 細胞壁前駆体である直鎖状ペプチドグリカン末端のD-アラニル-D-アラニンと結合し
細胞壁の合成を阻害する。
4 細菌のリボソーム30Sサブユニットに結合し、タンパク質の合成を阻害する。
5 細菌の微小管に結合し、有糸分裂を阻害する。



アルベカシンは、アミノグリコシド系抗生物質の一つです。
細菌のタンパク合成を阻害することにより、殺菌的に作用します。

タンパク合成であることから、正解は 4 です。


ちなみに
DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害する抗菌薬は、リファンピシンです。
抗結核薬です。

エルゴステロール生合成を阻害するのは、ポリエン系などの抗真菌薬です。

D-アラニン-D-アラニンと結合し、細胞壁合成を阻害するのは、グリコペプチド系抗菌薬などです。

微小管に結合して、細胞分裂を阻害するのは、パクリタキセルなどの抗がん剤です。






問264

55歳男性。体重60kg。クレアチニンクリアランス40mL/min。
ヘルペス脳炎のため、以下の処方が出された。

(処方)
点滴静注
アシクロビル点滴静注用(250mg/バイアル 3本) 600mg
生理食塩水 250mL
1日3回 1時間以上かけて投与
7日間連日実施


アシクロビルに関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 抗ウイルス作用発現には、感染細胞内でのウイルス由来のチミジンキナーゼによるリン酸化が必要である。
2 生体内でパラシクロビルに変換され、抗ウイルス活性を示す。
3 単純ヘルペスウイルス(HSV)1型の増殖を抑制するが、HSV2型の増殖は抑制しない。
4 活性化体に変換されてdGTPと競合し、ウイルスのDNA合成を阻害する。




アシクロビルは、ウイルスに感染した細胞内で
ウイルス由来のチミジンキナーゼによりリン酸化された後に
ヒト由来のキナーゼにより、更なるリン酸化をうけて、アシクロビル三リン酸となります。
そして、DNAポリメラーゼを阻害して作用します。

よって、選択肢 1 はその通りの記述です。
又、生体内でパラシクロビルになるわけではないので
選択肢 2 は誤りです。


又、単純ヘルペスウイルス 1 型及び 2 型の増殖を抑制します。
よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 はその通りの記述です。


以上より、正解は 1,4 です。





問265

55歳男性。体重60kg。クレアチニンクリアランス40mL/min。
ヘルペス脳炎のため、以下の処方が出された。

(処方)
点滴静注
アシクロビル点滴静注用(250mg/バイアル 3本) 600mg
生理食塩水 250mL
1日3回 1時間以上かけて投与
7日間連日実施

医療スタッフに対する薬剤の情報提供として、適切でないのはどれか。
1つ選べ。

1 アナフィラキシーショックが現れる場合がある。
2 減量や投与間隔の延長を考慮する必要はない。
3 意識障害(昏睡)、せん妄などの精神神経症状が現れる場合がある。
4 汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、播種性血管内凝固症候群が現れる場合がある。
5 HSVの増殖を抑制するため、速やかに投与を開始することが重要である。



クレアチニンクリアランスが 40mL/min とかなり低いことに加え
アシクロビルは、腎障害のある患者や、腎機能の低下している患者には
副作用があらわれやすいため、特にクレアチニンクリアランスによる用法の目安が
設定されている薬剤です。

よって、選択肢 2 は誤りです。
その他の選択肢は、その通りの記述です。


正解は 2 です。