糖尿病患者が以下の処方せんを持って保険薬局に来局した。なお、この薬局には初めての来局である。 (処方1) ボグリボース錠 0.2mg 1回1錠(1日3錠) 1日3回 朝昼夕食直前 30日分 (処方2) シタグリプチン酸塩水和物錠 50mg 1回1錠 (1日1回) 1日1回 朝食前 30日分 この患者への服薬指導時の対応として、適切でないのはどれか。 2つ選べ。 1 ボグリボースは、インスリンの分泌を促進すると説明する。 2 ボグリボースの副作用として、腹部膨満、放屁が増加することを説明する。 3 シタグリプチンは、血糖値をコントロールするホルモンであるインクレチンの作用を増強し、血糖値を下げると説明する。 4 低血糖の症状が現れた場合、砂糖水を飲むように説明する。 5 腎臓の働きが悪いと言われたことがあるかどうか確認する。 ボグリボースは、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)です。 インスリンの分泌を促進するわけではないので、選択肢 1 は誤りです。 ボグリボースの副作用として、腸内ガス等の増加による腹部膨満、放屁増加等があります。 よって、選択肢 2 は適切です。 シタグリプチンは、DPP-4阻害薬です。 DPP-4とは、GLP-1(インクレチン)というホルモンを分解する酵素です。 インクレチンとは、グルカゴン分泌抑制ホルモンです。 DPP-4が阻害されることで、インクレチンが分解されにくくなり、その結果 グルカゴンの分泌が抑制されることで血糖値を減少させます。 よって、選択肢 3 は適切です。 低血糖の症状が現れた時には、ブドウ糖を摂取するように説明します。 砂糖水ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。 α-GIを服用しているため、砂糖水に含まれる糖質が、単糖まで分解されず 砂糖水を服用しても、低血糖症状が改善されません。 シタグリプチンは、重度腎機能障害のある患者には、血中濃度上昇することがあり、禁忌となっています。 そのため、選択肢 5 は適切です。 以上より、正解は 1,4 です。 |