問304-305 25歳女性。 急性骨髄性白血病に対して 同種造血幹細胞移植術が施行された。 ある時期から 38℃以上の発熱が10日間以上続き 肺右下葉の気管支肺胞洗浄液の 所見に基づいて 侵襲性肺アスペルギルス症と診断された。 なお、この診断がなされた時点での 患者のクレアチニンクリアランス値は 20.5 mL / min であった。 問304 (病態@薬物治療) 肺アスペルギルス症に関する記述として 正しいのはどれか。2 つ選べ。 1 好中球減少症患者で 発症しやすい。 2 温泉や24時間入浴機器の使用が 感染源となりやすい。 3 空調機器等を介した院内感染に 注意が必要である。 4 グラム陰性桿菌の 感染症である。 5 血中(1,3)-β-D-グルカン濃度が 低下する。 問304 解説 選択肢 1 は、正しい選択肢です。 肺アスペルギルス症は、日和見感染症の一種です。 健康な人では、まず発症しません。 選択肢 2 ですが この記述は、レジオネラ菌に関するものと考えられます。 肺アスペルギルス症の感染源であるアスペルギルスは ほこりの中など、どこにでもいます。 特に温泉などが感染源となりやすい、ということはありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。 選択肢 3 は、正しい選択肢です。 選択肢 4 ですが 真菌細胞は、グラム陽性に染まります。 アスペルギルスは、真菌(カビの一種)です。 従って、グラム陰性ではありません。 よって、選択肢 4 は誤りです。 選択肢 5 ですが (1,3) - β - D - グルカン は、真菌細胞の 主要構成成分です。 感染により、濃度が増加します。低下では、ありません。 よって、選択肢 5 は誤りです。 以上より、正解は 1,3 です。 問305 (実務) この患者に対して イトラコナゾール注射剤は使用できないと 病棟薬剤師は判断した。 その理由として、正しいのはどれか。 1つ選べ。 なお、イトラコナゾール注射剤には 1% イトラコナゾールの他に 添加剤として ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン ブロピレングリコール、塩酸を含む。 1 イトラコナゾールが アスペルギルス症に対して無効であるため 2 イトラコナゾールが 腎排世型薬物であるため 3 イトラコナゾールが 肺に移行しないため 4 添加物が 腎機能を低下させるため 5 添加物が 造血幹細胞の増殖を抑制するため 6 添加物に催奇形性があるため 添付文書によれば 添加剤である、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンが 腎機能を低下させるためです。 ちなみに、この添加剤は、可溶化のために加えられています。 従って、正解は 4 です。 |