病態・薬物治療 必須1 問題解説まとめ




※ 第100回 問56、第99回 問56、、、第100回 問57、第99回 問57、、、
という順番で並んでいます。


問56

肝障害により

血清 AST 値が上昇する機構として

正しいのはどれか。

1つ選べ。



1 AST の胆汁排泄が低下する。

2 肝臓における AST の代謝が低下する。

3 AST の肝細胞への取り込みが低下する。

4 肝細胞内の AST が血中に放出される。

5 肝臓における AST の生合成が亢進する。



.

AST は肝細胞などに多く存在しています。


肝障害により血清 AST 値が上昇するのは

肝障害により、肝細胞が破壊され

細胞内に存在していた AST が血中に漏れ出すためです。


以上より、正解は 4 です。



ちなみに

本来細胞内に存在する酵素が

血中に流出したものを、逸脱酵素と呼びます。



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問56 鉄欠乏性貧血において、上昇する検査値はどれか。

1つ選べ。


1 フェリチン  2 血清鉄  3 ヘマトクリット

4 ヘモグロビン  5 総鉄結合能



.

選択肢 1 ですが

フェリチンとは、主に肝臓に蓄えている貯蔵鉄です。

鉄欠乏性貧血においては、貯蔵鉄は消費されるため

減少します。

よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが

鉄欠乏性貧血では、血清鉄が減少しています。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが

ヘマトクリット (Ht) 値とは

血液中に占める血球の体積(ほぼ赤血球の体積)の割合を調べる検査です。

貧血では赤血球が減少するためヘマトクリット値も減少します。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが

ヘモグロビンは、赤血球にある血色素です。酸素運搬を担っています。

貧血では、赤血球と共にヘモグロビンが不足するためヘモグロビン値は減少します。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は正しいです。

総鉄結合能とは

血清中のトランスフェリンと結合できる鉄の総量です。

トランスフェリンとは血中において鉄を輸送しているタンパク質です。



貧血状態では、トランスフェリンと結合している鉄を

どんどん離して、組織へと供給するため

血清中の、鉄と結合していないフリーのトランスフェリンは増加します。

よって、総鉄結合能は増加します。


以上より、正解は 5 です。

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問56


以下の心電図第誘導で、QT 間隔に相当するのはどれか。

1つ選べ。







1 a-c 間  2 b-d 間  3 c-d 間

4 a-d 間  5 a-e 間



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心電図のイメージは、以下のようなものです。



QT間隔とは、Q波の始めから、T波の終わりまでの間隔です。


よって、正解は 5 です。




ちなみに、QT間隔は、心室筋の活動電位持続時間の平均的な長さを表します。

QT間隔が延長するような状態は、トルサード・ド・ポアントのような重篤な

心室性心不全を誘発する可能性があるため、QT間隔は臨床において重要な意義を持ちます。



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問56

肝細胞癌の腫瘍マーカーとして、最も適切なのはどれか。1つ選べ。


 1 AFP (α-fetoprotein)

 2 CA 19-9 (carbohydrate antigen 19-9)

 3 PSA (prostate specific antigen)

 4 CYFRA 21-1 (cytokeratin 19 fragment)

 5 SCC (squamous cell carcinoma related antigen)




.

AFP は、肝臓がんになると増加する腫瘍マーカーです。

よって、正解は 1 です。



ちなみにCA 19-9 は、消化器がん、とくに膵臓がんに特異性の高い腫瘍マーカーです。

又、肺がん、乳がん、卵巣がんなどでも高値を示します。



PSA は、前立腺がん、前立腺肥大症により増加する腫瘍マーカーです。



CYFRA 21-1 は、非小細胞肺がん(特に扁平上皮がん)により増加する腫瘍マーカーです。



SCC は、CYFRA 21-1 と同じく、扁平上皮がんにより増加する腫瘍マーカーです。



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問57

高度な徐脈を認める高血圧症患者

(但し、他に合併症、臓器障害を有さない)

に対して

使用すべきでない降圧薬はどれか。

1つ選べ。



1 リシノプリル水和物

2 アムロジピンベシル酸塩

3 アテノロール

4 トリクロルメチアジド

5 オルメサルタンメドキソミル


.


選択肢 1 ですが

リシノプリルは、ACE 阻害薬です。

咳や浮腫が主な副作用です。妊婦禁忌の薬です。

徐脈を認める高血圧患者に対し使用すべきでないとは、いえないと考えられます。

選択肢 1 は、誤りです。



選択肢 2 ですが

アムロジピンは、ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬です。

顔面紅潮、歯肉増生などが主な副作用です。

ジルチアゼムなどの非ジヒドロピリジン系 に分類される

Ca 拮抗薬では心抑制のため、高度の徐脈に対して禁忌です。


しかし、アムロジピンなどのジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬は血管選択性が高く

むしろ強力な降圧に伴う、頻脈傾向が見られることがしばしばあります。

以上より、徐脈を認める高血圧患者に対し使用すべきでないとは、いえないと考えられます。

選択肢 2 は、誤りです。



選択肢 3 は、正しい記述です。

アテノロールは、β 遮断薬です。主な副作用は徐脈、喘息発作、心不全の増悪 などです。

高度な徐脈がさらに悪化するおそれがあり使用すべきでは、ありません。



選択肢 4 ですが

トリクロルメチアジドは、サイアザイド系利尿薬です。

低 Na ,低 K 血症 などが、主な副作用です。

徐脈を認める高血圧患者に対し使用すべきでないとは、いえないと考えられます。

選択肢 4 は、誤りです。



選択肢 5 ですが

オルメサルタンは、AT1 受容体拮抗薬です。比較的副作用の少ない薬です。

徐脈を認める高血圧患者に対し使用すべきでないとは、いえないと考えられます。

選択肢 5 は誤りです。以上より、正解は 3 です。

参考)薬理学まとめました 2-4 4) (代表的な高血圧治療薬)




問57 弁膜症を合併しない心房細動の症例において

抗凝固療法の必要性を判断する上で

重要度が低い合併症はどれか。1つ選べ。


1 高血圧  2 心不全  3 糖尿病

4 貧血  5 脳梗塞の既往



.

心房細動とは、不整脈の一種です。

血液循環が滞ることで、血栓ができやすくなり

できた血栓が血流に乗って脳梗塞などへと

つながる恐れがあります。



心房細動において、抗凝固療法を開始するかどうか

CHADSスコアという指標がよく用いられます。


CHADSとは、脳梗塞の危険因子の頭文字です。

心不全、高血圧、年齢、糖尿病、脳梗塞や一過性脳虚血発作

が、脳梗塞の危険因子です。

貧血は、重要度が低い合併症であるといえます。




以上より、正解は 4 です。



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問57


以下の胃潰瘍治療薬のうち、高プロラクチン血症を起こす危険性のある薬物はどれか。

1つ選べ。


1 ミソプロストール

2 プログルミド

3 スルピリド

4 ピレンゼピン塩酸塩水和物

5 スクラルファート水和物


.

プロラクチンとは、下垂体前葉から分泌されるホルモンです。

199個のアミノ酸からなります。

乳汁分泌に関連しているホルモンです。

乳腺刺激ホルモンとも呼ばれます。



プロラクチンは、ドパミンにより、分泌が抑制されます。

そのため、抑制物質であるドパミンを抑制するような薬、すなわち

抗ドパミン作用を持つ薬は、高プロラクチン血症を副作用としておこすことがあります。



ミソプロストールは、プロスタグランジン製剤です。

PGE1 誘導体です。

胃の粘膜を丈夫にするお薬です。



プログルミドは、抗ガストリン薬です。

胃粘膜保護作用を持ちます。



スルピリド(ドグマチール)は、D2 受容体遮断薬です。

胃の働きをよくする薬です。また、気分の改善作用もあります。



ピレンゼピンは、M1 受容体遮断薬です。

胃酸の分泌を抑える薬です。



スクラルファートは、胃粘膜保護作用を持つ薬です。

胃の粘膜を保護する薬です。



この中で、抗ドパミン作用を持つ薬は、D 受容体遮断薬である

スルピリドです。

よって、正解は 3 です。


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問57

高LDLコレステロール血症に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 食事直後に血清LDLコレステロール値が上昇する。

 2 血清がクリーム状である。

 3 LDL受容体機能不全が原因となる。

 4 冠動脈疾患の危険因子とはならない。

 5 甲状腺機能亢進症に合併する。



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コレステロールの吸収を大まかにまとめると、以下の図のようになります。






※TG=中性脂肪 C=コレステロール




コレステロールは、肝臓に運ばれるまではあくまでもリポタンパク質として運ばれるため

血清LDLコレステロール値は食事直後であってもほぼ変化しません。



又、コレステロールだけが高い人の血清は、透明です。

いわゆるドロドロの、クリーム状の血清となるのは、中性脂肪が高い人の血清です。



LDLコレステロール値が高いと、冠動脈疾患のリスクが高くなります。



甲状腺機能亢進症において、コレステロール値は低くなります。

これは、甲状腺ホルモンの増加に伴い、代謝が活性化される

つまり、コレステロールの消費が速くなるためです。


以上より、正解は 3 です。




問58

クロルフェニラミンマレイン酸塩を含有する

一般用医薬品の添付文書に記載されている

「突然の高熱、さむけ、のどの痛み等があらわれる」

に該当する重篤な副作用はどれか。

1つ選べ。


1 無顆粒球症

2 肝機能障害

3 間質性肺炎

4 うっ血性心不全

5 ショック(アナフィラキシー)


.


選択肢 1 は、正しい記述です。


白血球数が激減し細菌に対する抵抗力が弱くなるために

感染症にかかりやすくなるためこのような症状が見られます。



選択肢 2 ですが

肝障害の初期症状としては「倦怠感」、「食欲不振」、「発熱」、「黄疸」などがあります。

突然の高熱、さむけ、のどの痛み等では、ありません。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが

間質性肺炎の初期症状としては

「少し無理をすると息切れ」、「空咳」、「発熱」などがあります。

突然の高熱、さむけ、のどの痛み等では、ありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが

うっ血性心不全の初期症状としては

「動くと息苦しい」、「足がむくむ」、「急に体重増」「咳とピンク色の痰」などがあります。

突然の高熱、さむけ、のどの痛み等では、ありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが

ショック(アナフィラキシー)の初期症状としては

「皮膚のかゆみ」、「じんましん」、「のどのかゆみ」「息苦しさ」などがあります。

突然の高熱、さむけ、のどの痛み等では、ありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

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問58 急性前骨髄球性白血病について

正しいのはどれか。1つ選べ。


1 フィラデルフィア染色体が形成される

2 CD 20 抗原が認められる

3 転座染色体 t (8:22) が認められる

4 PML-RARα 融合遺伝子が認められる

5 BRCA1 遺伝子に変異が認められる


.

選択肢 1 ですが

フィラデルフィア染色体が見られるのは

慢性骨髄性白血病及び、急性リンパ性白血病です。

よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが

CD 20 抗原は、B細胞性の悪性リンパ腫の多くに存在しています。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが

急性前骨髄球性白血病で見られるのは15番染色体と、17番染色体の転座です。

つまり t(15:17) です。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 はその通りの記述です。

15番染色体と、17番染色体の転座によりPML / RARα 融合遺伝子が作られます。



選択肢 5 ですが

BRCA1遺伝子とは、がん抑制遺伝子の1つです。

この遺伝子は、乳がんや卵巣がんの発症と関連していることがわかっています。

急性前骨髄性白血病で変異が見られるということはありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 4 です。

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問58


ネフローゼ症候群に関する記述のうち、正しいのはどれか。

1つ選べ。


1 すべての場合に、高血圧を呈する。

2 すべての場合に、低アルブミン血症を呈する。

3 高コレステロール血症になることはまれである。

4 浮腫を伴うことはまれである。

5 小児での発症はまれである。


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ネフローゼ症候群とは、高度のタンパク尿と

それに伴う血中低タンパク症(主にアルブミン濃度の低下)のことです。

腎臓の機能低下が原因です。


腎臓の機能が正常である時は、アルブミンは糸球体を通過しません。

すなわち、尿中へと排出されません。


これは、糸球体の基底膜がマイナスの電気を帯びた状態にあり

アルブミンもマイナスの電気を帯びているため、チャージバリアによって通過を妨げられるからです。

尿中にタンパク質(アルブミン)が見られるということは

この基底膜の障害、すなわち糸球体における障害を示唆します。


よって、ネフローゼ症候群ならば、低アルブミン血症であるといえます。



以上より、正解は 2 です。




ちなみに、多くのネフローゼ症候群の患者において、浮腫(むくみ)がみられます。

これは、血中タンパク質の濃度低下に伴い、浸透圧が減少し

血管から周囲の組織へと水分が移行するためです。



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問58

インフルエンザの薬物治療に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 ザナミビル水和物は、B型の患者に有効である。

 2 アスピリンは、小児の解熱薬として推奨される。

 3 アマンタジン塩酸塩は、B型の患者に有効である。

 4 ニューキノロン系抗菌薬が第一選択薬である。

 5 オセルタミビルリン酸塩は、症状発現直後の使用では有効性がない。

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ザナミビル(商品名:リレンザ)は、ノイラミニダーゼ阻害薬です。

A型及びB型インフルエンザウイルスに有効です。


よって、正解は 1 です。



ちなみにアスピリンは

15歳未満の小児のインフルエンザによる発熱に対して、原則禁忌です。



アマンタジンは、B型インフルエンザウイルスに対して無効です。



ニューキノロン系抗菌薬は、抗菌薬であり、抗ウイルス薬ではありません。



オセルタミビルリン酸塩は

症状の発現から2日以内に飲み始める必要がある薬です。



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問59

子宮体がんに関する記述のうち

正しいのはどれか。1つ選べ。


1 子宮筋層に発生する。

2 ヒトパピローマウイルスが原因である。

3 若年者に高頻度に発症する。

4 発症にエストロゲンが関与している。

5 不正性器出血はまれである。


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選択肢 1 ですが

子宮体がんは、腺がんの一種です。

子宮内膜から発生します。子宮筋層では、ありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが

ヒトパピローマウイルスが原因であるのは

子宮頸がんです。子宮体がんでは、ありません。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが

子宮体がんのピークは、5~60代です。若年者に高頻度では、ありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい記述です。



選択肢 5 ですが

子宮体がんの初期症状として

不正性器出血が高頻度で見られます。まれでは、ありません。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 4 です。

参考)病態・薬物治療学まとめました 3-2 3)

(前立腺癌、異常妊娠、異常分娩、不妊、子宮癌、子宮内膜症の概説)



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問59 心不全の患者に使用が禁忌である薬物は

どれか。1つ選べ。


1 ボグリボース  2 グリベンクラミド  3 ナテグリニド

4 ピオグリタゾン塩酸塩  5 グリメピリド


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心不全に禁忌は、ピオグリタゾンです。

イエローレターが出ています。

(H12年10月)



よって、正解は 4 です。



補足)

ちなみに、ピオグリタゾンは

チアゾリジン誘導体と呼ばれる

グループの薬です。



これらの薬は、腎臓の近位尿細管における

ナトリウム再吸収(つまり尿の再吸収)を亢進させることにより

浮腫などを引き起こします。


浮腫=体液量の増加

→心臓が負担増加で

心不全のリスクが高まることになります。



又、この浮腫の副作用は

女性に多くおこることが知られています。

さらに、インスリン併用時はリスクが向上します。


補足 終わり


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問59


尿路結石に関する記述のうち、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


1 腎結石、尿管結石、膀胱結石及び尿道結石に分類される。

2 主症状は、疼痛と血尿である。

3 結石が膀胱に落下すると、痛みは消失する。

4 自然排石は、まれである。

5 超音波検査により診断できる。


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尿路結石とは

尿路、すなわち、腎杯、腎盂、尿管、膀胱、尿道にできた石のことです。

尿管までを、上部尿路、尿管以降、すなわち、膀胱、尿道をまとめて、下部尿路と呼びます。

多いのは、上部尿路結石です。


半数以上の尿路結石は、自然排石、すなわち排尿時に石が出てきます。

膀胱まで石が落ちると、痛みは消失します。


これは、痛みの原因が、石自体によるものではなく、石の存在により尿の流れが悪くなり

腎に過大な圧力がかかることによるためです。

そのため、石が膀胱まで落ちれば、痛みが消失します。


(イメージとしては、食べ物をずっと食べ続けていて

ある時のどにもちが詰まった状態です。もちが、石のたとえです。

食べ続けている食べ物は、腎臓にろ過される血液のたとえです。

もちが詰まるせいで、すごく苦しいけれど、胃の方に落ちてくれると、急にすっきりするのと

同じようなイメージでよいと思います。)


よって、自然排石はまれであるという、選択肢 4 は誤りです。



以上より、正解は 4 です。

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問59

アルツハイマー病の病態として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。


 1 急激に発症する。

 2 安静時振戦が現れる。

 3 まだら認知症を呈する。

 4 幻視がみられる。

 5 初期には短期記憶が障害される。

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アルツハイマー病は、進行性の記憶障害です。

新しいことを覚えることができない(短期記憶障害)が初期に見られます。



よって、正解は 5 です。



ちなみに、安静時振戦が特徴的な症状として現れるのは、パーキンソン病です。



まだら認知症とは、時間帯によって症状がひどかったり、記憶がかなり失われているのに、判断力や理解力がかなり保たれているといった認知症のことです。脳血管性認知症の特徴です。



幻視は、必ずみられるというわけではありません。




.問60

慢性閉塞性肺疾患に関する記述のうち

誤っているのはどれか。

1つ選べ。


1 喫煙が主な原因である。


2 右心不全によって悪化する。


3 病期・重症度は、肺活量により評価する。


4 増悪予防のため

インフルエンザワクチンの接種が推奨される。


5 抗コリン薬の吸入が有効である。


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慢性閉塞性肺疾患

(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)とは

肺気腫及び慢性気管支炎の総称です。



選択肢 1,2,4,5 は、その通りの記述です。



選択肢 2 について、以下で補足します。

COPDにより、酸素が十分に肺に送られなくなると

ガス交換効率の悪い肺胞への血流の低下が

見られます。


肺への血流が悪化すると

フォローしなきゃということで

肺へ血液を送り出している

心臓、右側の、心室 が負担増となります。


したがって

右心不全が起きる ということになります。


心不全が起きると

呼吸困難が進行したりと、症状が悪化します。



選択肢 3 ですが

肺活量ではなく、1秒率で評価します。


1秒率(FEV 1%)とは

1秒量(1秒で吐き出せる息の量)を

努力肺活量(時間を気にせず、思いっきり吸って、吐いた息の量)

で割った値のことです。


以上より、正解は 3 です。




問60 統合失調症の陰性症状として正しいのはどれか。

1つ選べ。


1 妄想  2 幻覚  3 失見当識  4 食欲亢進  5 意欲欠如


.


統合失調症は

ドパミン及びセロトニンの過剰による

種々の症状と考えられています。

症状は大きく陽性症状と陰性症状に分類されます。



陽性症状とは、幻覚や幻聴などです。

主にドパミン関与と考えられています。




陰性症状とは、自発性減退、感情の平坦化などです。

主にセロトニン関与と考えられています。



自発性減退というのは、意欲欠如ともいえるので

正解は 5 です。




参考) 薬理学まとめました 2-1 5)

(中枢神経系に作用する薬 へ)



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問60


正常妊娠に関する記述のうち、正しいのはどれか。

1つ選べ。


1 受精直後から、尿妊娠反応検査が陽性となる。

2 妊娠の経過とともに、母体のクレアチニンクリアランスが低下する。

3 妊娠の経過とともに、母体の血清アルブミン値が上昇する。

4 妊娠の経過とともに、薬物の催奇形性に対する感受性が高くなる。

5 妊娠の経過とともに、母体は鉄欠乏性貧血を起こしやすい。


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尿妊娠反応検査とは、尿中に排泄されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(いわゆる妊娠ホルモン)

を測定する検査です。

妊娠ホルモンは、受精卵が着床してから作られ始め、検査が陽性になるまでには

受精から約2週間程度の期間が必要です。


よって、選択肢 1 は誤りです。



妊娠により、血しょう量が増加し、腎臓のはたらきが増大します。

つまり、多くの血しょうをろ過します。


一般に、クレアチニンクリアランスは妊娠により、上昇傾向を示します。

クレアチニンは、ほぼ完全に糸球体ろ過で通過し、再吸収をうけない物質です。

そのため、糸球体ろ過量が増えれば、クレアチニンクリアランスも増加するためです。


よって、選択肢 2 は誤りです。



糸球体ろ過量が増える結果、血中タンパク質の排泄が亢進するため

一般に、血清アルブミン値は、減少します。


よって、選択肢 3 は誤りです。



又、血しょう量が増加すると共に、赤血球も増加していきます。

この際、赤血球合成において必要な、鉄分の消費量が亢進する上に

血しょうの量が増えているため、見かけ上の貧血が認められることがよくあります。


妊娠の経過に伴い、催奇形性に対する感受性は低くなっていきます。

これは、受精卵の分化が、妊娠の経過に伴い進んでいくためです。

催奇形性に対して最も過敏な時期は、妊娠4~7週です。

絶対過敏期と呼ばれます。


よって、選択肢 4 は誤りです。


以上より、正解は 5 です。



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問60

次の抗うつ薬のうち、緑内障を合併している患者に使用できるのはどれか。

1つ選べ。


 1 イミプラミン塩酸塩        2 アミトリプチリン塩酸塩

 3 フルボキサミンマレイン酸塩    4 アモキサピン

 5 マプロチリン塩酸塩


.


緑内障を合併していることから

抗コリン作用を持つ薬は使用できません。



イミプラミン、アミトリプチリン、アモキサピンは、三環系抗うつ薬です。

抗コリン作用があります。



マブロチリンは四環系抗うつ薬です。

三環系に比べれば軽いのですが、やはり抗コリン作用があり、緑内障患者に使用できません。




フルボキサミンマレイン酸塩は、SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)です。

セロトニンの再取り込みを選択的に阻害する薬です。

抗コリン作用による副作用がないため、緑内障患者にも使用することができます。



以上より、正解は 3 です。