化学 必須 問題解説まとめ





※ 第100回 問6、第99回 問6、、、第100回 問7、第99回 問7、、、
という順番で並んでいます。


問6 1828 年に、ウェーラー(Wöhler)によって
無機化合物(シアン酸アンモニウム:NH4OCN)から
始めて合成された有機化合物はどれか。
1つ選べ。




始めて無機化合物から合成された有機化合物は
尿素です。


選択肢 1 は、酢酸です。
尿素では、ありません。


選択肢 2 は、ホルムアルデヒドです。
尿素では、ありません。


選択肢 3 は、DMF
(N,N-ジメチルホルムアミド)です。
尿素では、ありません。


選択肢 4 は、尿素です。



選択肢 5 は、アセトンです。
尿素では、ありません。



以上より、正解は 4 です。



問6 1,4 - ジヒドロピリジンはどれか。1つ選べ。






ピリジンの構造は以下の左図の通りです。

    

「1,4-ジヒドロ」なので、左図の1位と4位に水素がつけば良いので、右図の通りになります。
Nの位置が1位で、ちょうど反対側の炭素が4位です。



よって、正解は 3 です。


参考 有機化学まとめました 2-3 1)
(芳香族化合物・芳香族性)



問6

核酸塩基であるアデニンとグアニンに共通する複素骨格はどれか。
1つ選べ。




アデニンの構造は、以下の通りです。

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グアニンの構造は、以下の通りです。

グアニンの構造式

よって、共通しているのは、選択肢 5 の複素骨格(Nなどを含む骨格のこと)です。

正解は 5 です。



問6
以下の反応はどれに分類されるか。
1つ選べ。








1 置換反応   2 脱離反応   3 付加反応   4 転位反応






置換反応とは、反応前の物質(これを基質といいます)の一部分が
反応試薬の一部分と置き換わる反応のことを指します。
問の反応は、一部分が抜けているので、置換反応ではないと考えられます。

よって、選択肢 1 は誤りです。


脱離反応とは、分子内から2つの原子(または原子団)が抜けて
そこに結合が形成されるような反応です。
問の反応は、OH と H が抜けていると考えられるので、脱離反応です。


付加反応とは、不飽和結合(二重結合や三重結合)の1つの結合が切れ
そこに新たな原子や置換基が結合するような反応です。
問の反応は、基質に不飽和結合がなく、付加反応ではないと考えられます。

よって、選択肢 3 は誤りです。


転移反応とは、原子や置換基が別のその分子の別の部位に移動するような反応です。
問の反応は、OHやHが移動したわけではないため、転移反応ではないと考えられます。

よって、選択肢 4 は誤りです。




問7 非共有電子対(孤立電子対)が sp2 混成軌道に収容されているのはどれか。
1つ選べ。




選択肢 1 は、H3C≡N のように、C-N 結合が三重結合になっています。
よって、窒素原子の非共有電子対は sp 混成軌道となります。

選択肢 2 のフランは芳香族化合物です。
芳香族性を持つということは、π電子系に含まれる電子の数が 4n+2 (この問題では6)なので、
2つの二重結合で 4 電子、あとの2つは酸素原子上にある非共有電子対がこれに該当します。
よって、酸素原子上の2対の非共有電子対のうち、1対は sp2 混成軌道となります。

選択肢 3 のベンゼン環部分は sp2 混成軌道となっていますが、非共有電子対のある窒素原子は関係ありません。
よって、窒素原子についている非共有電子対は sp3 混成軌道となります。

選択肢 4 のピロールもフラン同様、芳香族化合物です。
しかし、こちらは窒素原子と水素原子をつなぐ共有電子対が sp2 混成軌道に入っているため、
窒素原子上の非共有電子対は p 軌道に入ることになります。

選択肢 5 は窒素原子に3つの置換基と1対の非共有電子対があるだけなので、これは sp3 混成軌道となります。


以上より、正解は 2 です。



問7 次のうち、求核置換反応でないのはどれか。1つ選べ。







いずれも置換反応ですが、5だけは求核置換反応ではなく求電子置換反応です。
1~4の場合は試薬(反応の矢印の上に書いてあるもの)が求核剤となって基質のδ+の部分を攻撃しますが、
5の場合は試薬である硝酸が硫酸によってニトロニウムイオン( NO2)に変わり、それが電子豊富な基質(ベンゼン)を攻撃します。

    


よって、正解は 5 です。


参考)
(求電子置換反応)




問7
問7 解


この問題では立体配座異性体でないものを聞かれています。
立体配座異性体は回転異性体という呼び方もあるとおり
化合物Aの単結合の回転によって化合物Bになるのであれば、
化合物Aと化合物Bは立体配座異性体となります。


ここで選択肢4をみると、化合物Aを化合物Bに変えるためには、二重結合の部分を回さなければなりません。
しかし、二重結合は回転できないため、これは立体配座異性体ではなくcis-trans異性体ということになります。


そのほかの、選択肢1, 2, 3, 5については単結合の回転によって化合物Aと化合物Bが行き来できます。
特にイメージの湧きづらい選択肢 5 などは、ぜひ分子模型を組んで確認してみてください。


以上より、正解は 4 です。




問7
ベンゾジアゼピン骨格を持つのはどれか。
1つ選べ。







ベンゾジアゼピン骨格とは、N 2 個を含む7員環と、ベンゼン環が結合した部分構造のことです。
よって、正解は 3 です。


ちなみに
選択肢1の化合物はペニシリンGカリウムで、含まれる骨格はβ-ラクタムです。
選択肢2の化合物はインドメタシンで、含まれる骨格はインドールです。
選択肢3の化合物はニトラゼパムです。含まれる骨格はベンゾジアゼピンです。
選択肢4の化合物はクロルプロマジンです。含まれる骨格はフェノチアジンです。
選択肢5の化合物はナロキソンです。含まれる骨格はアルカロイドです。




問8 メソ化合物はどれか。1つ選べ。




メソ化合物とは、不斉中心があるけれどエナンチオマーを持たないアキラルな化合物のことです。
選択肢 3 はそもそも不斉中心がないので除外するとして、他の選択肢のエナンチオマーを考えたとき、
もともとの化合物と全く一緒になってしまったら、それはエナンチオマーとは呼べないので、
このような化合物がメソ化合物に該当します。

選択肢 5 の構造を下図の左側に、そのエナンチオマーを下図の右側に示します。

    


この右側のエナンチオマーを下図のように紙面上に乗せたまま180°回転させると、
上図の左側の化合物と全く一緒になることがわかります。

    
よって、この2つの化合物はエナンチオマーではなく、単一の化合物となります。


以上より、正解は 5 です。



(ラセミ体とメソ化合物)




問8 AとBが互いにジアステレオマーの関係にあるのはどれか。1つ選べ。







立体異性体のうち、全ての立体がちょうど反対ならエナンチオマーで、1つでも同じものがあればジアステレオマーです。
エナンチオマーのほうは、互いに鏡に映した構造をしている化合物という云い方もできます。

1を見ると、これは不斉炭素が1か所のみで、かつ立体が異なるため、エナンチオマーです。

2はよく見ると不斉炭素が3つあります。右下の炭素のほか、架橋構造のふもとに位置する2つの炭素がそうです。
(構造式の図の中で、真ん中の手前にある炭素と、真ん中の奥の炭素です。)
このうち、右下の炭素だけがAとBで立体が逆で、残りは同じ立体なので、これがジアステレオマーです。

3については1か所も不斉炭素がありません。AとBはエナンチオマーでもジアステレオマーでもなく、同一化合物です。

4は不斉炭素が右下の1か所のみです。その部分の立体が反対なので、これはエナンチオマーです。
2の構造に似ていますが、-CH2-がひとつ増えることによって2ではキラルだった炭素がアキラルになる点に注意してください。

5は2つの不斉炭素があり、AとBではそれぞれの不斉炭素が逆の立体なので、これはエナンチオマーです。
Aの化合物に対して表裏をひっくり返して考えると、Bの構造とちょうど鏡合わせになるのがイメージできるかと思います。



以上から、正解は 2 です。


参考)
有機化学まとめました 1-2 3)
(エナンチオマーとジアステレオマー)



問8


解説

付加反応を探す問題なので、反応前後で原子を全く失わず、かつ増えているものを選べばよいです。

選択肢1は、ベンゼン環についた「H」を失って「NO2」に置き換わっています。これは置換反応です。

選択肢2は、「OH」と「H」を失って二重結合が形成されています。H2Oが抜けたので、脱離反応(脱水反応)です。

選択肢3はDiels-Alder反応ですが、これは1つの原子も失わずに化合しているので、付加反応です。
より詳しくいえば、Diels-Alder反応は[4+2]付加環化反応になります。(参考:有機化学まとめました 2-2 7)

選択肢4は、「H」が「CH3」に置き換わっているので、これも置換反応です。


以上より、正解は 3 です。




問8
以下の化合物のうち、光学活性を示さないのはどれか。
1つ選べ。




不斉炭素があるので、原則として光学活性を示すはずですが
メソ体であれば光学活性がない(アキラル)です。
メソ体かどうかとは、対称面が存在するかで判断します。


すると、選択肢3の化合物は、化合物の真ん中に横切る面を考えると対称であるため
対称面が存在します。
つまりメソ体であり、光学活性を示さないと考えられます。


よって正解は 3 です。






問9 不対電子を 1 つもつのはどれか。
1 つ選べ。

1 NO+
2 NO
3 N2O
4 NO3-
5 HNO3



この問題では選択肢のそれぞれについてルイス構造式を書いても良いのですが、
不対電子を持つかどうかがポイントなので、(最外殻)電子の個数が奇数か偶数かを考えればよいです。
偶数であれば不対電子を持たず、奇数であれば不対電子を持つことになります。

N の価数は 5、O の価数は 6、H の価数は 1 なので、

選択肢 1 は、5+6=11 ですが、陽イオンのため電子を1つ除いて、電子は 10 個になります。
よって、偶数なのでこれは不対電子を持ちません。

選択肢 2 は、5+6=11 で奇数なので、不対電子を持っています。

選択肢 3 は、5×2+6=16 で偶数なので、不対電子を持ちません。

選択肢 4 は、5+6×3=23 ですが、陰イオンのため電子を1つ加えて、電子は 24 個になります。
よって、偶数なのでこれは不対電子を持ちません。

選択肢 5 は、1+5+6×3=24 で偶数なので、不対電子を持ちません。


以上より、正解は 2 です。




問9 ルイス酸はどれか。1つ選べ。

1  N(CH3    2 S(CH3)    

3 P(C6H5)3   4  BF3   

5 (下図)





ルイス酸とは、電子対を受け取る物質のことです。
また、電子対を受け取る物質とは
外殻が閉殻構造をとるのに
少なくとも 2 電子不足している化学種のことで、
電子を受け取ることで安定構造となります。

1,2,3,5 では
中心となる原子がそれぞれ N,S,P,O と
いずれも価数の大きい原子であり、電子を豊富に持っています。

一方、4 の B (ホウ素)は 13 族の原子で価数は 3 です。
つまり、BFとして 3 つの F と結合していても
最外殻電子は 6 つなので、8 電子則を満たすのにあと 2 つ足りません。
よって、これがルイス酸です。



以上より、正解は 4 です。


参考)
ルイス酸・ルイス塩基




問9

次亜塩素酸の塩素の酸化数は+1である。
次亜塩素酸の化学式はどれか。1つ選べ。

1 HClO    2 HClO2    3 HClO3    4 HClO   5 ClO2



塩素のオキソ酸に関しては

選択肢 1 から順に
次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、二酸化塩素
です。


以上より、正解は 1 です。




問9
窒素の酸化数が最も大きいのはどれか。1つ選べ。

 1 一酸化二窒素   2 一酸化窒素   3 二酸化窒素
 4 亜硝酸      5 硝酸





窒素酸化物のまとめを表にして示すと以下のようになります。



又、一般的な酸化数の求め方は、以下のルールに従います。
ルール① 化合物の、各原子の酸化数の和が0
ルール② Oは、原則、酸化数が-2
ルール③ Hは、原則、酸化数が+1


ルールより、亜硝酸(HNO2)において、Nの酸化数は+3です。
又、硝酸(HNO3)において、Nの酸化数は+5です。


以上より、最も窒素の酸化数が多いのは硝酸です。
よって、正解は 5 です。








問10  IUPAC の置換命名法において
最も優先順位の高い官能基はどれか。
1つ選べ。

1 ケトン (-CO-)
2 アルコール (-OH)
3 エステル (-COOR
4 アミン (-NH2)
5 チオール (-SH)



本問選択肢の中で
最も優先順位の高い官能基は
エステルです。


よって、正解は 3 です。


ちなみに、エステル以下の順位は
ケトン→アルコール→チオール→アミン
です。


(IUPAC命名法(ヘテロ))




問10

ベンズアミド 1g に 200 mL の有機溶媒を加え、200mL の水とともに分液ロートで
振り混ぜた。静置後に二層となり、ベンズアミドは主に上層に含まれていた。
このとき使用した有機溶媒はどれか。1つ選べ。

1 アセトニトリル  2 メタノール  3 クロロホルム
4 酢酸エチル  5 アセトン





まず、アセトニトリル、メタノール、アセトンの3つは水に溶けるので、分液ロートに入れる溶媒として不適です。
これらを使って分液しようとしても、静置後に二層にならず、いつまでも混和したままになってしまいます。

残るクロロホルムと酢酸エチルはどちらを使っても分液が可能です。
ただし、クロロホルムは比重が重い(比重1.48くらい)ので、二層のうち下層が有機層になります。
ということは、クロロホルムに溶けているベンズアミドも下層に存在することになります。
問題文より、ベンズアミドは上層にあるので、水より軽い酢酸エチル(比重0.90くらい)を使っていると考えられます。


以上から、正解は 4 です。


官能基を利用した分離精製




問10
解説

塩基性を持つためには、その構造に孤立電子対を持っている必要があります。(参考:有機化学まとめました 1-1 8)
N原子は価電子が5であり、3つの原子と結合しても孤立電子対を有するため、アンモニアやアミンは塩基性を示します。

選択肢1はニトロベンゼンであり、以下の図のとおりN原子は孤立電子対を有していません。
よって、これは塩基性ではありません。

    

選択肢2はベンゾニトリルです。
シアノ基(ニトリル基)はN原子がsp混成軌道であり、sp2やsp3に比して電子が原子核に引き寄せられているので塩基性は弱くなります。

選択肢3はピロールです。N原子は非共有電子対を有していますが、
これが芳香性を保つために使われている(=環全体に非局在化されている)ために塩基性ではありません。

選択肢4はアミドです。
アミドは以下に示すように非共有電子対が非局在化しているため、これも塩基性はかなり弱いです。

    

選択肢5がこの5肢の中で唯一、普通のアミン(第二級アミン)です。
これは非共有電子対を有し、はっきりと塩基性なので正解となります。


以上より、正解は 5 です。




問10
ヒドロキシ基 (OH基) を持つ 3 つの化合物について
酸性の強いものから弱いものへ並べた正しい順番はどれか。
1つ選べ。



1 A > B > C  2 A > C > B  3 B > A > C
4 B > C > A  5 C > A > B  6 C > B > A







種々の酸を強い順に順番に並べると
スルホン酸(-SO3H) > カルボン酸(-COOH) > 炭酸(H2CO3またはCO2) > フェノール(C6H5OH)
となります。


よく語呂合わせとして「スカタンのフェノール」などと言われることがあります
(ス→スルホン酸、カ→カルボン酸、タン→炭酸、フェノールはそのまま)。
この語呂合わせにアルコールは登場しませんが、これはアルコールが酸性ではないためです。
つまり、アルコールは中性の化合物です。

以上を知っていれば
この問題ではカルボン酸であるB(安息香酸)が最も酸性が強く
次いでC(フェノール)、最も酸性の弱いものがアルコールのA(ベンジルアルコール)
ということになります。


よって、選択肢 4 が正解です。


もちろん、この序列を暗記していないとしても、この問題を解くことはできます。
定義にもよりますが、一般的に、酸はプロトンを与える性質を持ちます。
この性質が強ければ強い酸といえます。
別の言い方をすれば、電離度の大きい酸は強い酸であるということです。
ここで、例として問題にある化合物A,B,Cのそれぞれが電離した時の状態を考えてください。
    


まず上図の A を見ると
プロトンを放出した形が特に共鳴構造を持つわけでも誘起効果があるわけでもないことがわかります。
よって、このイオンはあまり安定とはいえず
A のベンジルアルコールは電離しにくい(=酸性が弱い)化合物であると判断できます。

次に B と C を見ると、脱プロトン化体が共鳴安定化していることがわかります。
よって、A よりは強い酸であることがわかります。
ここで、「B よりも C のほうが共鳴構造が多いから、より安定である。」と考えてしまうのは誤りです。
よく見ると、B のほうは電気陰性度が高い酸素原子が負電荷が持つ共鳴構造が2つあります。
一方の C は、共鳴構造の数は多いものの、1つ以外は炭素原子上に負電荷があります。


炭素は酸素よりも電気陰性度が低いため、そこに負電荷があってもあまり安定ではありません。
以上のことから、B の安息香酸は C のフェノールよりも強い酸であるといえます。


よって正解は選択肢 4 と判断できます。




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