物理 必須 問題解説まとめ





※ 第100回 問1、第99回 問1、、、第100回 問2、第99回 問2、、、
という順番で並んでいます。



問 1 次に示す単位のうち、SI 基本単位でないのはどれか。1つ選べ。

1 m (メートル)
2 kg (キログラム)
3 J (ジュール)
4 K (ケルビン)
5 s (秒)


SI基本単位は、以下の 7 つです。

m (メートル) 長さ
kg (キログラム) 質量
s (秒) 時間
A (アンペア) 電流 
K (ケルビン) 温度
cd (カンデラ) 光度
mol (モル) 物質量


選択肢 3 の J (ジュール)は
7つの基本単位に入っていません。


以上より、正解は 3 です。




問1

塩化ナトリウム結晶中で働く相互作用にうち
主要なものはどれか。1つ選べ。


1 ロンドン(分散)力 2 水素結合 
3 静電相互作用 
4 疎水性相互作用 5 双極子-双極子相互作用



選択肢 1 ですが
ロンドン(分散)力とは
無極性分子において、電子分布の揺らぎに伴う
一時的な電気双極子間の相互作用により生じる力です。


塩化ナトリウムは、異なる原子同士による分子で
分子の形に対称性も見られず
無極性分子ではありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
水素結合とは
特に強い双極子相互作用のことです。
O-H や、N-H における H と
他の分子における N や O や ハロゲンとの
相互作用のことです。
塩化ナトリウム結晶には、水素結合は働いていません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
静電相互作用とは
電場あるいは磁場から電荷が力を受けるような相互作用のことです。

例としては、イオン結合における 
Na+ と Cl- の相互作用が挙げられます。


選択肢 3 は正しいです。



選択肢 4 ですが
疎水性相互作用とは
疎水性化合物同士や、分子における疎水性領域が
水中に存在する時に周囲の水分子からはじかれた結果
集合体を形成するような相互作用のことです。
弱い結合の代表の1つです。

水中に油を垂らすと
油同士が集まろうとするのが例として挙げられます。


塩化ナトリウムは塩であり、親水性分子です。
そのため、疎水性相互作用は主要ではないと考えられます。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
双極子-双極子相互作用とは
2つの分子間において働く力であり
分極している分子(双極子)間において生じるものです。

例としては
H(δ+)-Cl(δ-) H(δ+)-Cl(δ-)間の
相互作用が挙げられます。


塩化ナトリウム結晶では分子を構成する原子の
電気陰性度の差が大きく、分極ではなく電離して
それぞれの原子はイオン化しています。


そのため、双極子-双極子相互作用は
主要ではないと考えられます。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、
正解は 3 です。



参考項目)
(化学結合のなりたち へ)


問1
双極子モーメントが最も大きい分子はどれか。1つ選べ。

1 HF  2 HCl  3 HBr  4 HI 5 H2

双極子モーメントが大きいということは、より分極しているということです。
H2 は、分極していないため、双極子モーメントは限りなく 0 です。

選択肢 1 ~ 4 はハロゲン化水素です。
ハロゲンは、 F が最も電気陰性度が高く、水素原子の電子を強く引きつけます。
よって、HF が、双極子モーメントが最も大きい分子です。


以上より、正解は 1 です。






問1
希薄溶液の束一的性質でないのはどれか。1つ選べ。

 1 蒸気圧降下  2 凝固点降下  3 沸点上昇
 4 表面張力低下 5 浸透圧





溶液の性質において溶質の種類に依存しない(何が溶けていようが関係ない)性質のことを
束一的性質とよびます。

具体的には、蒸気圧降下、沸点上昇、凝固点降下、浸透圧が挙げられます。
これらは、存在する溶質粒子の数のみに依存します。 
よって、選択肢1,2,3,5は、束一的性質です。


表面張力の低下は、界面活性剤の添加などによりおきる現象です。
表面張力とは、液体の表面で働く力のことです。

界面活性剤のように、親水性の部分と疎水性の部分が共存する分子は
界面に吸着するため、表面張力が低下します。



以上により、正解は 4 です。






問 2 正逆反応とも
一次反応で進行する反応を考える。
k1 = 0.01 min -1、k-1 = 0.02 min -1 のとき
反応物 A と生成物 B の割合は
時間とともにどのように変化するか。 
1つ選べ。

ただし
反応開始時の反応物 A の割合を 1 とする。



一次反応で進行する ということから
A → Bの反応速度は
v = k[A]  つまり
v = 0.01 [A] と表すことができます。

同様に
B → Aの反応速度は
v' = k-1 [B] つまり
v' = 0.02 [B] と表すことができます。


v = v' つまり
0.01 [A] = 0.02 [B] 
となる時、見かけ上反応が止まります。


0.01[A] = 0.02[B] は
両辺を 100倍すれば
[A] = 2[B] です。

つまり
反応が止まった時に
[A] : [B] が 2:1 になっているグラフを
選べばよいということになります。
以下、各選択肢を検討します。



選択肢 1 は
[A]:[B] が4:1なので、誤りです。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。


選択肢 3 は
[A]:[B] が 1:1なので、誤りです。


選択肢 4,5 は
反応が止まった時に
Bの方が濃度が高くなっており、明らかに誤りです。



以上より、正解は 2 です。



問2

下図は、ある反応の平衡定数 K の自然対数を
絶対温度 T (K) の逆数に対してプロットしたものである。


直線の傾きが示す熱力学的パラメータはどれか。
1つ選べ。


1   活性化エネルギー 2 遷移状態エネルギー   3 内部エネルギー変化   
4 標準反応エントロピー変化  5 標準反応エンタルピー変化 


横軸に 1/T 、縦軸に ln K をとったグラフは
van’t hoff 式 のグラフです。

van’t hoff 式 とは


で表される式です。

つまり、傾きが表すのは
ΔH0 つまり、標準反応エンタルピー変化です。


よって、正解は 5 です。



参考)
自由エネルギーと平衡定数の温度依存性-van’t Hoffの式-





問2
コロイド粒子の物性と最も関連性のない現象はどれか。1つ選べ

1 チンダル現象 2 ブラウン運動 3 塩析
4 コンプトン散乱 5 電気二重層の形成


コロイド粒子とは、1nm~1μm の粒子です。
電子顕微鏡、限外顕微鏡により観察することができます。
粒子はブラウン運動と呼ばれる不規則な運動をしています。
ブラウン運動とは、溶媒の分子が粒子に衝突することによる、不規則な運動のことです。

コロイド溶液に共通する光学的性質として、チンダル現象と呼ばれる現象があります。
これは、コロイド溶液に強い光をあてると、光の通路が見えるという現象です。

インスリンや、ミセルなどのコロイド溶液は、大量の電解質を加えると凝集します。
この現象を、塩析と呼びます。

電気二重層とは、界面に正負の荷電粒子が対を形成して層状に並んだものです。
コロイド粒子と、分散媒の界面などで形成されます。

よって、選択肢 1,2,3,5 はコロイド粒子の物性と関連性のある現象です。


ちなみに、コンプトン散乱とは、電磁波を物質にあてた時、散乱してでてくる電磁波の波長が
入射電磁波の波長よりも大きくなるという現象です。
これは、物質との間のエネルギーのやり取りに起因します。
コロイド粒子の物性とは、関係がありません。


以上より、正解は 4 です。





問2
ある化合物の25 ℃における分解が、半減期3日の一次反応に従うとする。
この化合物100 mgを6日間、25 ℃で保存したときの残存量として、正しいのはどれか。
1つ選べ。





一次反応であるということは、半減期は物質の濃度に依存せず一定です。
よって、3日経つと100mg→50mgと半減し、さらに3日経つと50mg→25mgと半減します。


よって正解は 2 です。





問3 
次に示す放射性核種のうち
放出される γ 線が診断に用いられるのはどれか。
1 つ選べ。

3H
14C
32P
90Sr
201Tl


選択肢 1,2,3,4 ですが
3H、14C、32P、90Sr 
β壊変で、e- を放出します。
γ線ではありません。

よって、誤りです。


選択肢 5 は、正しい選択肢です。
201Tl は、γ 線 を放出します。
塩化タリウム の形で 甲状腺腫瘍や
心筋 の測定に用いられる核種です。



以上より、正解は 5 です。




問3

懸濁液における粒子の沈降速度と
比例関係にあるものはどれか。1つ選べ。
ただし、粒子は球状であり
ストークスの法則が成り立つものとする。


1 分散媒の密度 2 粒子の密度 3 分散媒の粘度
4 粒子の半径 
5 粒子の半径の2乗



ストークスの法則とは




※ρは、固体の密度です。
ρ0は、液体の密度です。


※ηは、溶液の粘度です。
ネバネバした液体ほど、沈降は遅いイメージです。


※ g は、重力加速度です。
定数です。


※ dは粒子の直径です。
2乗に比例します。
粒子が大きいほど速く沈むイメージです。



式より、沈降速度は粒子の半径の2乗に比例します。

※ 直径ではないのか、と思うかもしれませんが
直径= 2 × 半径 なので
直径の2乗に比例するのであれば
半径の2乗にも比例するということになります。


よって、正解は 5 です。



参考)
(沈降現象)




問3 

放射性核種のうち、β+線を放出するのはどれか。
1つ選べ。

1 14C 2 18F 3 32P 4 35S 5 60Co






14C:低エネルギーβ線を放出。
半減期が約5700年。放射性炭素年代測定法に用います。


18F:PETに使用。β線を放出。
半減期約2時間。
サイクロトロンで製造。
がん検査に用いられます。


32P:主に分子生物学的実験に使用。β線を放出。
半減期は約2週間。


35S:β-線を放出。
半減期は約2~3ヶ月


60Co:低エネルギー β線 & γ 線を放出。
半減期約5年。
イモの発芽防止の放射線源に使用します。




以上より、正解は 2 です。




問3
Ag2CrOの溶解度が S (mol/L) であるとき
溶解度積 ( Ksp ) と溶解度の関係式として、正しいのはどれか。
1つ選べ。






一般に、難溶性電解質を



とおくと、溶解度積Kspは



と表されます。


溶解度と溶解度積の間には、以下のような関係があります。




今回の問題では、M = Ag, X = CrO4, a = 2,  b = 1であるため
溶解度と溶解度積の間には




という関係が成り立つため
正解は 5 です。







問4 
分析法バリデーションにおいて
分析法で得られる測定値の
偏りの程度を示すパラメータはどれか。

1 真度
2 精度
3 特異性
4 直線性
5 検出限界


バリデーションとは、妥当性確認 と訳されます。
意味は、期待される結果を与えることを
検証し、文書化すること です。


分析法バリデーションとは
日本薬局方によれば
医薬品の試験方法に用いる分析法に関して
分析法の誤差による判定の誤りの確率が
許容できる程度であることの科学的立証である
といえます。

以下、各選択肢を検討します。



選択肢 1 は、正しい選択肢です。


選択肢 2 ですが
精度とは
「均質な検体から採取した複数の試料を
繰り返し分析して得られる一連の測定値が
互いに一致する程度」 のことです。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
特異性とは
「試料中に共存すると考えられる物質の存在下で
分析対象物を正確に測定する能力」 のことです。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
直線性とは
「分析対象物の量又は濃度に対して
直線関係にある測定値を与える
分析法の能力」 のことです。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
検出限界とは
「試料に含まれる分析対象物の
検出可能な最低の量又は濃度」 のことです。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1 です。




問4 「0.0120」で表される数値について
有効数字の桁数はどれか。1つ選べ。


1 1桁 2 2桁 
3 3桁 4 4桁 5 5桁



有効数字の桁数は
「左から数字を見ていって、0じゃない所が1桁目」
です。


0.0 
1 20
本問では、上に赤く示したように
1が、1桁目です。
そして、最後の0までなので
有効数字3桁です。


よって、
正解は 3 です。


ちなみに、この数字(0.0120)は
「0.01195以上、0.01205未満」の範囲を表しています。




問4 最も強い陽イオン交換能を持つ樹脂の交換基はどれか。1つ選べ。

1 2級アミン 2 3級アミン 3 スルホン酸
4 カルボン酸 5 4級アンモニウム


陽イオン交換樹脂とは、陽イオンを交換するような樹脂です。
代表例としては、スルホン酸基(SO42-)や、カルボン酸基(COO)を持つ樹脂があります。
交換能は、イオンの価数が高いほど、高いです。
よって、スルホン酸基の方が、交換能が高くなります。

ちなみに、アミンや4級アンモニウムは、陰イオン交換樹脂の交換基です。


以上より、正解は 3 です。



問4
電気泳動において、イオン性物質の移動速度と比例するのはどれか。
1つ選べ。

 1 イオン性物質の半径   2 イオン性物質の電荷   3 溶液の粘度
 4 溶液のpH        5 電極間の距離





電気泳動において、物質の移動速度に関しては
以下の式で表わされる関係が知られています。




※v:移動速度
※μ:移動度、E:電場
※Q:イオンの電荷、η:溶媒の粘度、r:イオンの半径
※V:電圧、L:電極間の距離



よって、移動速度 v と比例するのは、Q および V です。
選択肢にあるのは、イオン性物質の電荷なので
正解は 2 です。




問5 
0.10 mol/L 塩酸水溶液の pH として
最も近い値はどれか。1つ選べ。
ただし、塩酸は完全に解離するものとする。

1 -0.10
2 0.00
3 0.10
4 1.0
5 2.0


pH = -log10[H+] です。

0.10 mol/L の塩酸 HCl が完全に解離すると
HCl → H+ + Cl- なので
[H+]も 0.10 mol/L となります。


すると、代入して
pH
= -log10(0.10)
= -log10(10-1)
= -(-1)
= 1

つまり、選択肢 4 が正解です。


以上より、正解は 4 です。




問5 次の測定法のうち
最もエネルギーが低い電磁波を用いるのはどれか。
1つ選べ。


1 赤外吸収スペクトル法 
2 核磁気共鳴スペクトル測定法
3 X線回折測定法 4 紫外可視吸光度測定法 5 蛍光光度法



電磁波のエネルギーは
波長の長さと反比例します。

つまり、波長が一番長い電磁波を用いた測定法が

最もエネルギーが低い電磁波を用いる測定法といえます。



代表的な電磁波を、波長が短い方から並べると
γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、ラジオ波 です。



選択肢の測定法で用いられている電磁波は

1 赤外線
2 ラジオ波
3 X線
4 紫外線、可視光線
5 X線

です。


波長が一番長いのは、2のラジオ波です。
よって、正解は 2 です。



参考)
(電磁波の性質および物質との相互作用)




問5 「溶液は赤紫色を呈し、その硫酸酸性溶液に過酸化水素試液を加えるとき、泡立って脱色する」
ことによって確認される化合物はどれか。1つ選べ。

1 過マンガン酸塩 2 臭素酸塩 3 第一鉄塩
4 第二銅塩 5 ヨウ化物


硫酸酸性溶液に、過酸化水素試液を加えるとき、泡立って脱色することから
この化合物は、過マンガン酸塩であると考えられます。

この時におきている反応の化学式は、二酸化マンガンを触媒として
2H2O2 → 2H2O + O2
と考えられます。


以上より、正解は 1 です。




問5
紫外可視吸光度測定法において、吸光度と比例するのはどれか。
1つ選べ。

 1 透過度       2 透過率      3 試料の濃度
 4 比吸光度の対数   5 モル吸光係数の対数





吸光度とは、透過度の逆数の常用対数のことです。
透過度とは、入射光に対する透過光の強さの割合です。


吸光度は、セルの層の長さ、及び試料の濃度に比例します。
これを式で表すと以下のようになります。これはLambert-Beerの法則と呼ばれます。



※A:吸光度
※k:比例定数,c:濃度,l:層長



よって、吸光度は c、すなわち試料の濃度、および層長に比例します。
選択肢にあるのは試料の濃度なので
正解は 3 です。