※ 第100回 問51、第99回 問51、、、第100回 問52、第99回 問52、、、 という順番で並んでいます。 問51 粉体の流動性を表す指標として 最も適切なのはどれか。 1つ選べ。 1 真密度 2 安息角 3 比表面積 4 形状係数 5 接触角 . 選択肢 1 ですが 真密度とは、密度を求める際の体積として 『まさにその固体自身が占める体積のみ』を用いて計算する密度です。 粉体を、容器に入れると隙間ができるのですがこの隙間を体積として認めない ということです。 流動性を表す指標としては適切では、ありません。 選択肢 2 は、正しい記述です。 ちなみに安息角とは粉体を静かに落下させた時に 円すい形に堆積した時の円すいの母線と、水平面のなす角です。 流動性、つまりさらさらしている度合いで こんもり積もるか、ぺしゃっと積もるかが変わるので安息角もそれに伴い変化します。 選択肢 3 ですが 比表面積とは単位質量あたりの表面積、又は 単位体積あたりの表面積です。 流動性を表す指標としては適切では、ありません。 選択肢 4 ですが 形状係数とは、粒子の形を円や球などと比べた時どれくらい複雑かを表す指標のことです。 流動性を表す指標としては適切では、ありません。 選択肢 5 ですが 接触角とは、下図のθのことです。地面のように表されているのが、粉末のイメージです。 ぺしゃっと乗っているのは、液体のイメージです。 粉末の上に、液体を垂らした時に液体がどのくらい広がるか(ぬれ具合)を表す指標です。 流動性を表す指標としては適切では、ありません。 以上より、正解は 2 です。 参考)製剤学まとめました 1-2 1) (界面の性質) . 問51 薬物の胃内における分解の回避を目的とした剤形はどれか。 1つ選べ。 1 糖衣錠 2 腸溶錠 3 トローチ剤 4 シロップ剤 5 チュアブル錠 . 胃内での分解回避が目的の剤形は 腸溶錠です。 胃で溶けず、腸で溶けるようにすることで 胃障害を避けたり、作用時間の調節することが 目的の錠剤です。 酸性条件下で溶解せず、中性付近で解けるように ヒプロメロースフタル酸エステルなどで コーティングをしています。 正解は 2 です。 . 問51 日本薬局方製剤総則で、口腔内に適用する製剤に分類されるのはどれか。 1つ選べ。 1 分散錠 2 チュアブル錠 3 口腔内崩壊錠 4 付着錠 5 発泡錠 . 分散錠は、水に入れて、分散させて飲む錠剤のことです。 チュアブル錠は、噛み砕いて飲む錠剤のことです。 口腔内崩壊錠は、口の中で速やかに溶ける錠剤のことです。 付着錠とは、口腔粘膜の患部に付着させて覆うように使う錠剤のことです。 発泡錠は、水中で急速に発泡する錠剤のことです。 口腔内に適用するのは、付着錠です。 正解は 4 です。 . 問51 直接打錠用の結合剤はどれか。1つ選べ。 1 結晶セルロース 2 ヒプロメロース 3 ショ糖 4 ポビドン 5 ヒプロメロースフタル酸エステル . 結合剤として用いられるのは、結晶セルロース、及びヒプロメロースです。 そして、直接打錠用の結合剤とは、結晶セルロースのことです。 以上より、正解は 1 です。 (脇道の話です。 1962年に結晶セルロースがアメリカンビスコース社の研究者によって報告されたのだが 当初は用途が解らず、ダイエタリー・フード素材等の用途探索をしていたそうです。 そこで、丁度スミスクライン社の研究者が直接打錠の研究をしており 試してみたところ、直接打錠用素材として素晴らしい機能を持つことがわかり 日本にも輸入され、発達したという歴史があるそうです。 参考)医薬品製剤化方略と新技術 より ※google books により、本文が読めます。) 選択肢の中で、他に添加剤として用いられるのは ボビドンと、ヒプロメロースフタル酸エステルです。 ボビドンは、ポリビニルピロリドンの略称です。 水やアルコールに溶解し、湿式で顆粒を調製する場合の結合剤として用いられます。 また、懸濁化剤としても用いられます。 ヒプロメロースフタル酸エステルは、代表的な腸溶性コーティング剤です。 問52 ニュートン流体のせん断速度を縦軸に せん断応力を横軸になるよう 図を作成した。 得られた図に関する記述のうち 正しいのはどれか。1つ選べ。 . 選択肢 1 ですが せん断応力(S) は、ニュートン流体であれば粘度に比例します。 つまり、同じせん断速度に対して(例えば、y = 10) 粘度が大きくなれば、せん断応力は大きくなります。(例えば、 x = 10 → x = 20 へと変化) そうすると、直線の傾きは小さくなります。 よって、選択肢 1 は誤りです。 選択肢 2 ですが 降伏値、つまり「力を加えていって初めて動き出す時の力の大きさ」が存在するのは 非ニュートン流体の一種である塑性流体においてです。 よって、選択肢 2 は誤りです。 選択肢 3 ですが チキソトロピーとは、かき混ぜたりすることで粘度が下がり しかも時間経過に伴い粘度が元に戻る という現象のことです。 ニュートン流体において図は原点を通る直線となり チキソトロピーを表す曲線ではありません。 よって、選択肢 3 は誤りです。 選択肢 4 ですが ニュートン流体において図は原点を通る直線となります。 下に凸の曲線では、ありません。よって、選択肢 4 は誤りです。 選択肢 5 は、正しい記述です。 以上より、正解は 5 です。 (流動と変形(レオロジー)の概念) . 問52 無菌製剤と規定されているのはどれか。 1つ選べ。 1 含嗽剤(がんそうざい) 2 吸入液剤 3 注腸剤 4 眼軟膏剤 5 軟膏剤 . 代表的な無菌製剤は 注射剤、点眼剤、眼軟膏剤です。 よって、正解は 4 です。 参考) 製剤学まとめました 2-1 5) (代表的な無菌製剤の種類と性質) . 問52 曇点を有する界面活性剤はどれか。 1つ選べ。 1 ステアリン酸ナトリウム 2 ベンザルコニウム塩化物 3 ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル 4 レシチン 5 ラウリル硫酸ナトリウム . 解なし 選択肢 3 のポリオキシソルビタン脂肪酸エステルは存在しないため。 . 問52 空気で吹き上げた原料粉体に結合剤溶液を噴霧して造粒する方法はどれか。1つ選べ。 1 噴霧乾燥造粒法 2 撹拌造粒法 3 流動層造粒法 4 押出し造粒法 5 乾式造粒法 . 造粒法は大きく乾式造粒法と湿式造粒法に分類されます。 結合剤溶液を加えていることから、本問題における造粒法は、湿式造粒法です。 選択肢 1 と、5 の、噴霧乾燥造粒法と乾式造粒法は、乾式造粒法の一種です。 又、結合剤を噴霧する造粒法は、転動造粒法もしくは流動層造粒法です。 以上より、正解は 3 です。 . 問53 カールフィッシャー法を用いて測定するのはどれか。 1つ選べ。 1 沈降速度 2 表面張力 3 水分 4 電気伝導率 5 密度 . カールフィッシャー法は水分の測定方法です。 反応式は、以下のようになります。 H20+I2+SO2+CH3OH+3RN → 2RN・HI+RN・HSO4CH3 以上より、正解は 3 です。 (電気滴定) . 問53 図のように錠剤の上部が剥離する打錠障害はどれか。 1つ選べ。 1 キャッピング 2 スティッキング 3 スラッギング 4 バインディング 5 ケーキング . 錠剤の上部が剥離するのは キャッピングです。 よって、正解は 1 です。 ちなみに スティッキングは、錠剤の上面が傷つく現象です。 スラッギングは、乾式造粒の一形式です。 そもそも打錠障害ではありません。 バインディングは、錠剤の側面が傷つく現象です。 ケーキングは、吸湿した結果、固結する現象です。 そもそも打錠障害では、ありません。 (製剤化の単位操作 及び 汎用される製剤機械) . 問53 薬物の結晶多形を検出できる方法はどれか。 1つ選べ。 1 空気透過法 2 X 線回折法 3 旋光度法 4 粘度測定法 5 気体吸着法 . 結晶多形を測定することができるのは 粉末X線回析法などです。 空気透過法によって測定できる主なパラメータは、比表面積です。 旋光度法によって測定できる主なパラメータは、旋光度です。 粘度測定法によって測定できる主なパラメータは、粘度です。 気体吸着法によって測定できる主なパラメータは、比表面積です。 以上より、正解は 2 です。 . 問53 点眼剤に適用される日本薬局方一般試験法はどれか。1つ選べ。 1 アルコール数測定法 2 製剤均一性試験法 3 エンドトキシン試験法 4 発熱性物質試験法 5 無菌試験法 . 点眼剤に適用される日本薬局方一般試験法は 鉱油試験法、不溶性微粒子試験法、不溶性異物検査法、無菌試験法です。 よって、正解は 5 です。 ちなみに、アルコール数測定法は チンキ剤又は、その他のエタノールを含む製剤について行われます。 製剤均一性試験法は 質量偏差試験法と、含量均一性試験法をあわせたものです。 錠剤やカプセル剤などについて行われます。 エンドトキシン試験法は カブトガニの血球抽出成分より調製されたライセート試薬を用いて グラム陰性菌由来のエンドトキシンを検出又は定量する方法です。 注射剤などについて行われます。 発熱性物質試験法は 健康なウサギに試料溶液を静脈注射し 投与後 3 時間にわたり体温を測定し、異常な体温上昇を示さないことを確認する試験法です。 エンドトキシン試験法が適用できない注射剤などについて行われます。 .問54 以下の添加剤のうち、崩壊剤として 用いられるのはどれか。 1つ選べ。 1 カルメロースカルシウム 2 ヒプロメロースフタル酸エステル 3 乳酸・グリコール酸共重合体 4 エチルセルロース 5 ステアリン酸マグネシウム . 選択肢 1 は、正しい記述です。 選択肢 2 ですが ヒプロメロースフタル酸エステルは代表的なコーティング剤です。 胃酸で溶けない錠剤を作るといった目的で用いられます。崩壊剤としては、用いられません。 よって、選択肢 2 は誤りです。 選択肢 3 ですが 乳酸・グリコール酸共重合体は皮下注入型の放出制御製剤において 薬剤の分散に用いられます。崩壊剤としては、用いられません。 よって、選択肢 3 は誤りです。 選択肢 4 ですが エチルセルロースは徐放性コーティングに用いられます。 崩壊剤としては、用いられません。 よって、選択肢 4 は誤りです。 選択肢 5 ですが ステアリン酸マグネシウムは代表的な滑沢剤です。 粉をさらさらにするために添加されます。崩壊剤としては、用いられません。 よって、選択肢 5 は誤りです。 以上より、正解は 1 です。 製剤学まとめました 1-3 3) (製剤分野で汎用される高分子の物性) 2-1 7) (代表的な製剤添加物の種類と性質) 3-2 2) (代表的な放出制御型製剤) 3-2 4) (徐放性製剤に用いられる製剤材料の種類と性質) . 問54 同一化学組成の化合物 a と b の粉末 X 線回析パターンが 下図のようになった。この図から推定される化合物 a と b の関係はどれか。 1つ選べ。 1 同一の結晶形である。 2 非晶質と結晶である。 3 結晶多形である。 4 粒子径が異なる。 5 真密度が等しい。 . 選択肢 1 ですが 同一の結晶形であれば X線によるパターンは同一のはずです。 よって、選択肢 1 は誤りです。 選択肢 2 ですが 非晶質であれば、もっとピークがブロードです。 よって、選択肢 2 は誤りです。 選択肢 3 は、正しい記述です。 結晶多形では、本問の図のように 粉末X線回折パターンに違いがみられます。 選択肢 4、5 ですが X線回折のパターンが異なることから 結晶の配列の仕方が異なることは分かりますが 粒子系や真密度については 判断できません。 よって、選択肢 4,5 は誤りです。 以上より、正解は 3 です。 . 問54 水中油型の乳剤性基剤はどれか。 1つ選べ。 1 マクロゴール 2 白色ワセリン 3 精製ラノリン 4 流動パラフィン 5 親水クリーム . o/w 型の乳剤性基剤の代表例は、親水軟膏(親水クリーム)や、バニシングクリームです。 ちなみに、マクロゴールは、水溶性基剤の代表例です。 白色ワセリンは、油脂性基剤の代表例です。 精製ラノリンは、水相を欠く、w/o型の代表例です。 流動パラフィンは、油脂性基剤の代表例です。 以上より、正解は 5 です。 . 問54 薬物の経口徐放性製剤化の目的として、誤っているのはどれか。1つ選べ。 1 薬効の持続 2 コンプライアンスの改善 3 副作用の軽減 4 肝初回通過効果の回避 5 血中濃度の急激な上昇の回避 . 薬物の経口徐放性製剤化により、血中濃度を有効域で、長時間保つことができます。 これにより、1日数回だった服用を、1日1回といった服用にすることが可能になります。 これは薬効の持続及び、服薬コンプライアンスの改善を可能にします。 さらに、血中濃度の急激な上昇を、徐放化によって避けることで 副作用の軽減を図ることもできます。 しかし、経口投与である以上、肝初回通過効果は不可避です。 以上により、正解は 4 です。 . 問55 生体に投与後、長時間 0 次放出を示す 製剤はどれか。1つ選べ。 1 腸溶性高分子コーティング顆粒 2 胃溶性高分子コーティング顆粒 3 腸溶性高分子固体分散体顆粒 4 ワックスマトリックス型錠剤 5 浸透圧ポンプ型錠剤 . 0次 である、ということは 例えば1時間に濃度が 2 ずつ濃度に関係なく減っていくということです。 つまり、投与後、ずっと一定の速度で薬剤が放出されるような製剤であるといえます。 選択肢1~3は 「腸溶」や、「胃溶」という言葉を含んでいるため 胃でどぱっと溶けたり胃では溶けず、腸でどぱっと溶けたりするので 投与後ずっと一定とは考えられません。 選択肢 4 ですが マトリックス型製剤では表面から徐々に薬物が放出されていきます。 そのため、薬物の拡散距離が時間とともに段々長くなっていきます。 (Higuchi の式 が知られています。) つまり、時間がたつと、薬物の放出量が減少していきます。 投与後、ずっと一定の速度で薬物が放出されるわけでは、ありません。 よって、選択肢 4 は誤りです。 選択肢 5 は、正しい記述です。 ちなみに、浸透圧ポンプ型製剤においては錠剤内への水の侵入に伴い、薬物が溶出します。 以上より、正解は 5 です。 . 問55 消化管障害の軽減を目的としたプロドラッグはどれか。 1つ選べ。 1 テモカプリル塩酸塩 2 ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム 3 アセメタシン 4 カンデサルタンシレキセチル 5 エリスロマイシンステアリン酸 . 選択肢 1 ですが テモカプリル塩酸塩は吸収の向上が目的のプロドラッグです。 消化管障害の軽減ではありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。 選択肢 2 ですが ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムは 水溶性の増大が目的のプロドラッグです。消化管障害軽減では、ありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。 アセメタシンは インドメタシンの消化管障害を軽減する事が目的のプロドラッグです。 選択肢 3 は正しいです。 選択肢 4 ですが カンデサルタンシレキセチルは 吸収改善が目的のプロドラッグです。消化管障害軽減では、ありません。 よって、選択肢 4 は誤りです。 選択肢 5 ですが エリスロマイシンステアリン酸は 胃酸による薬物の分解を避けることが目的です。消化管障害軽減では、ありません。 よって、選択肢 5 は誤りです。 以上より、正解は 3 です。 . 問55 日本薬局方で散剤に対して規定されている試験法はどれか。 1つ選べ。 1 エンドトキシン試験法 2 不溶性微粒子試験法 3 微生物限度試験法 4 重金属試験法 5 溶出試験法 . エンドトキシン試験法は、注射剤などに対して規定されている試験です。 散剤に対しては行いません。 不溶性微粒子試験法は、注射剤などの対して規定されている試験です。 散剤に対しては行いません。 微生物限度試験法は、液剤や、造影剤などに対して規定されている試験です。 散剤に対しては行いません。 重金属試験法は、エキス剤などに対して規定されている試験です。 散剤に対しては行いません。 正解は 5 です。 . 問55 脂質二分子膜から成る微粒子はどれか。1つ選べ。 1 リピッドマイクロスフェア 2 リポソーム 3 高分子ミセル 4 デンドリマー 5 シクロデキストリン . リピッドマイクロスフィアとは、大豆油をレシチンで乳化した o/w 型のエマルションである脂肪微粒子のことです。 リポソームとは、脂質二重膜構造の小胞のことです。 高分子ミセルとは、親水性のポリマーと、疎水性のポリマーのブロック共重合体 (Aを親水性、Bを疎水性のモノマーとした時に、A-A-A-A-B-B-B-Bのような分子) によるミセルのことです。 デンドリマーとは、中心から規則的に枝分かれした構造を持つ、枝状高分子のことです。 シクロデキストリンとは、環状オリゴ糖のことです。糖の分子がいくつか連なって環状になった分子のことです。 以上より、正解は 2 です。 |