薬剤 理論2 問題解説まとめ


101回 問171 
薬物Aは、静脈内投与後
肝臓における代謝と腎排泄によってのみ消失し
常時は肝クリアランスが
全身クリアランスの80%であること
腎排泄は糸球体ろ過のみによって
起こることがわかっている。

ある肝疾患患者において
血中アルブミン濃度の低下により
薬物Aの血中タンパク非結合形分率が2倍に上昇し
肝クリアランスは4分の1に低下していた。

この患者に対し
正常時の2分の1の血中濃度
時間曲線下面積(AUC)が得られるようにするには
静脈内投与量を
正常時の何%にすればよいか。1つ選べ。
ただし
薬物Aの体内動態には
いずれの場合にも
線形性が成り立つものとする。

1 30
2 60
3 80
4 100
5 120


CLtot を 100 と仮定します。
CL肝が、80% とのことなので
CL肝=80、CL腎=20 となります。

「血中タンパク非結合率が2倍」 とは
タンパク質がくっついていない薬物の
血中濃度が2倍

→邪魔ものがくっついてなくて
腎臓の糸球体をすり抜けることが
できる薬物が2倍

→腎排泄が、糸球体ろ過のみだから
「腎クリアランス2倍」
と考えることができます。

つまり、肝疾患患者において
CL 腎が 40 です。

また
肝クリアランスは1/4 なので、20 です。


従って
肝疾患患者の全身クリアランスは
40 + 20 = 60 です。


今もし、CL tot が 100 だとしたら
投与量を 50 % にすれば、AUC も半分です。

ところが、 CL tot が 60 なのだから
100 : 50% = 60 : ? (%) を
解けばよいことになります。

従って、投与量は 30 % です。


以上より、正解は 1 です。


100回 問171 
薬物 A をヒトに 60mg 経口投与した後の
血中濃度時間曲線下面積 (AUC) が 600ng・h/mL であった。
薬物Aを8時間毎に経口投与し
定常状態における平均血中濃度を150ng/mL にしたい。
投与量 (mg) として、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。

ただし、薬物Aの体内動態は
線形1-コンパートメントモデルに従うものとする。

1 30 
2 60 
3 90 
4 120 
5 150



AUC = D/CL です。
(これは、覚えておく必要があります!)

D= 60mg = 60,000,000ng の時
AUC が600ng・h/mL なので、CL = 100,000(mL/h) とします。 


頻回投与における平均血中濃度なので
Css = (D/τ) / CL です。 
(これも重要公式なので、覚えておく必要があります。)

これは書きかえると
Css = ( D/CL ) × ( 1/τ ) です。

本問では、τ = 8 (h) です。



従って
150 (ng/mL) = D/100,000 × 1/8 
を満たす D を考えます。

すると、D = 120,000,000 (ng) です。
mg に直すと、120 mg です。


以上より、正解は 4 です。



99回 問171
薬物相互作用の回避方法に関する記述のうち
誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 セフジニルは
鉄イオンとキレートを形成して溶解性が低下するため
鉄剤の併用が必要な場合には
互いの服用時間を2~3時間ずらす。

2 セントジョーンズワー卜は
小腸上皮細胞の CYP 3A4 や P - 糖タンパク質の
現を誘導するので
タクロリムス水和物との併用を避ける。

3 プロベネシドは
アンピシリンの腎尿細管分泌を阻害するので
抗生物質を腎排泄型でないものに変更する。

4 シメチジンは
肝 CYP 3A4 を阻害し
トリアゾラムの作用時間の著しい延長を引き起こすので
睡眠導入薬を非代謝型であるブロチゾラムに変更する。

5 フルルビプロフェンとノルフロキサシンを併用すると
痙れんを起こすことがあるので
フルルビプロフェンをアセトアミノフェンに変更する。



選択肢 4 ですが
ブロチゾラムも、CYP 3A4 代謝です。
非代謝型では、ありません。


ちなみに、CYP 3A4 による代謝の影響を
避ける事ができる睡眠導入薬としては
リルマザホン(リスミー)等が代用として考えられます。

※ インタビューフォーム によれば
リルマザホンは、体内で活性代謝物 M - 1 となり
(リルマザホン → M-1 の過程では、CYP は不関与)
その後 CYP 3A4 による代謝を受けたのち
最終代謝物 M - 4 になるとのことです。

この記述を見ると、CYP の影響を受けるようですが
CYP が障害されても、M - 1 が直接
加水分解されて M-4 へと代謝され排出されることにより
血中濃度の上昇等が見られないとのことです。

(インタビューフォーム は、「リスミー インタビューフォーム」
で検索すると、PDF がダウンロードできるリンクが見つかると思います。
もしくは PMDA 添付文書情報メニュー より


以上より、正解は 4 です。



98回 問171

体内動態が線形1-コンパートメントモデルに従う薬物1,000mg を
ヒトに急速静脈内投与したところ、投与直後と10時間後の血中濃度は
それぞれ100μg/mL及び10μg/mL であった。
この薬物の全身クリアランス(L/h)に最も近い値はどれか。
1つ選べ。
ただし、ln 10= 2.3とする。

1 0.92   2 1.4   3 2.3   4 9.2   5 46





CL =ke×Vd
なので、ke、Vdを求めることを考えます。
keは、半減期 T1/2 により



と近似して表すことができます。

10 時間で 10分の1 の濃度になっているから
大体 3 時間が半減期とみなして
ke は大体 0.7 ÷ 3 ≒ 0.23 (/h) です。

Vd は、1000 (mg) ÷ 100 (μg/mL) なので、単位を μg/mL → mg/L にして計算すれば
10 (L) です。

よって、CL = 10 × 0.23 = 2.3 (L/h)
となります。



以上より、正解は 3 です。



97回 問171

薬物Bの併用が薬物Aの体内動態に及ぼす影響として、正しいのはどれか。

2つ選べ。



薬物A

薬物B

影響

1

リボフラビン

メトクロプラミド

消化管吸収の促進

2

トリアゾラム

エリスロマイシン

肝代謝の阻害

3

サリチル酸

炭酸水素ナトリウム

尿細管再吸収の促進

4

メトトレキサート

プロベネシド

尿細管分泌の阻害


リボフラビンは、別名ビタミンB2 です。
リボフラビンは、十二指腸の限られた領域でゆっくり吸収されます。

そのため、胃内容排出速度(gastric emptying rate : GER)の影響を受けます。
具体的には、GER を増加させるような薬物と併用することで、吸収量が低下します。
※一般的には、GER が増加した場合、薬物の吸収速度は速くなり、吸収量は増加します。

メトクロプラミドは、D2 受容体を遮断することで、胃腸の運動を活発にします。
GER を増加させる薬物です。

よって、影響は、消化管吸収の抑制です。促進ではないため
選択肢 1 は誤りです。


エリスロマイシンは、マクロライド系抗生物質です。
CYP3A4 で代謝されます。

トリアゾラムは、ベンゾジアゼピン(Bz)系の睡眠薬です。
やはりCYP3A4 で代謝されます。

そのため、代謝の競合がおき、肝代謝が阻害されます。
すなわち、睡眠作用が増強されることが知られています。


炭酸水素ナトリウムは、制酸薬です。
服用により、尿の pH はアルカリ側に変化します。
すると、サリチル酸のような酸性物質は、よりイオン形の割合が多くなります。
(参考: Henderson-Hasselbalch の式 製剤学まとめました 1-1 )
これは言い換えると、尿中に溶けやすくなるということです。
よって、尿中排泄が増加します。

よって、影響は、尿細管再吸収の増加ではないので、選択肢 3 は誤りです。


メトトレキサートは、葉酸代謝拮抗薬です。
近位尿細管において、有機アニオン輸送系により、分泌されることが知られています。

又、プロベネシドは、尿酸排泄薬です。
やはり、近位尿細管において、有機アニオン輸送系により、分泌されることが知られています。

併用することで、尿細管分泌が阻害されます。



以上より、正解は 2,4 です。



101回 問172 
薬物A 50mg を、粉末製剤あるいは
液剤として経口投与した後の
血中濃度時間曲線下面積(AUC)は等しく
1,500μg・h/L であった。

一方、血中濃度に関する
1次モーメント時間曲線下面積(AUMC)は
粉末製剤の場合が9,000μg・h2/L
液剤の場合が7,500μg・h2/L であった。

薬物Aの粉末製剤の平均溶出時間(h)に
相当するのはどれか。1 つ選べ。

1 0.2
2 1.0
3 1.2
4 5.0
5 11.0


「平均滞留時間(MRT) 
= AUMC/AUC(公式)」 です。

従って
粉末の場合、滞留時間は
9000/1500 = 6 h です。

同様に
液剤の場合、滞留時間は
7500/1500 = 5h とわかります。


「粉末が溶けたら、液剤」 なので
1hの差が、粉末が溶ける時間と考えられます。

以上より
粉末製剤の平均溶出時間は
6-5=1h です。


以上より、正解は 2 です。



100回 問172 
治療薬物モニタリング(TDM)に活用されている
母集団薬物速度論に関する記述として
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 1点の血中濃度測定値から
その患者の薬物動態パラメータが推定できるの
母集団パラメータを事前情報として用いるからである。

2 母集団薬物速度論は
個体内変動の要因解析に利用されることも多い。

3 母集団薬物速度論は普遍性が高いため
同種同効薬であれば、同じ母集団パラメータを適用できる。

4 母集団薬物速度論を用いても
薬物投与後の血液採取時間に関する情報がなければ
患者の薬物動態パラメータの推定は不可能である。

5 体重や腎機能は個々の患者によって異なるため
母集団薬物速度論モデルに組み込んでも
薬物動態の予測精度は向上しない。



選択肢 1 は、正しい選択肢です。

本来、パラメータの数だけ、血中濃度を測定しないと
変数に対して、式が足りないのですが
母集団パラメータを事前情報として用いることで
採血1回で推定を行うことができ、患者負担を軽減できます。



選択肢 2 ですが
母集団薬物速度論とは
多数の患者のデータを収集した上で
集団における平均的な薬物動態パラメータを元にした
考え方です。

従って、個体内ではなく
集団に関する変動の要因解析に
用いられる方が妥当であると考えられます。


よって、選択肢 2 は誤りであると考えられます。



選択肢 3 ですが
薬が違えば、同種同効薬であったとしても
薬物動態パラメータは異なると考えられます。

(同じCa拮抗薬でも
肝代謝メインだったり、腎代謝メインだったりすることから
推測できると考えられます。)


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、その通りの記述です。

イメージとしては
座標中の1点が与えられれば
グラフが書ける というのが母集団速度論ですが

採取時間が与えられないと、x 座標が不明となり
血中濃度= y 座標 のみでは
1点を指定できないため、パラメータ推定は不可能です。



選択肢 5 ですが
個体間変動をより詳細に予測することが可能になると
考えられます。


具体例を考えると、薬を投与して
1分後の血中濃度が A:10,B:20,C:30 で、平均が20 とします。
2分後の血中濃度が A:9.5、B:18、C:2.5 で、平均が10 とします。

A~C3人の体重がそれぞれ 
200kg, 180kg,50kg であるとします。


この情報を組み込まずに動態を予測すると
1分後の血中濃度が 20 なら
きっと 2 分後 10 だろう となります。

しかし、体重をモデルに組み込んだ上で
サンプルの体重が 50kg で、1分後の血中濃度が20だとすれば
もっと血中濃度が下がっているのではないか と考えられ
予測の精度は向上すると考えられます。


よって、選択肢 5 は誤りであると考えられます。



以上より、正解は 1,4 です。




99回 問172 薬物A、B、C、Dを
同じ投与量で急速静脈内投与したところ
下図のような血漿中濃度推移が得られた。

これらの薬物の体内動態に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。



1 これらの薬物の中で
最も全身クリアランスが大きいのは薬物Aである。

2 薬物Bと薬物Cの直線の傾きは
平行関係にあるので、分布容積が等しい。

3 薬物Bと薬物Dは
縦軸の切片が等しいので、分布容積が等しい。

4 薬物Cは薬物Dと比較して
分布容積は小さいが消失速度定数は大きい。

5 これらの薬物の中で
消失速度定数が最も大きいのは薬物Dである。



急速静脈内投与である点、及び
濃度の対数を縦軸に、時間を横軸にとったら
直線関係になっている点から
1-コンパートメントモデル と評価できます。

すると
ln C = - ke t  +  ln C0
という関係がなりたちます。
つまり、傾きが、-ke (消失速度定数)を表します。


又、クリアランスはCL = ke × Vd
分布容積 Vd = D/C0 です。 

投与量 D が、薬物によらず同じと、問題文にあります。
よって、Vd は、C0、つまりグラフの y 切片が大きいほど
分母が大きくなるため、小さくなります。



これらをふまえて
選択肢 1 ですが
クリアランスは
直接このグラフから読み取ることができません。
そこで、ke 及び、Vd について、それぞれ考えます。

ke 、つまり傾きは、他の薬物と比べ小さいです。
又、y切片が大きいため、Vd も小さいとわかります。

以上より、クリアランスが最も大きいというのは
明らかに誤りです。


よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
傾きが等しいならば、等しいのは
消失速度定数です。
分布容積では、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は、正しい記述です。


選択肢 4 ですが
薬物 C の方が y 切片が小さいです。
つまり、C の方が、分布容積は大きいです。
又、傾きが小さいため
C の方が、消失速度定数は小さいです。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、正しい記述です。


以上より、正解は 3,5 です。



98回 問172

体内動態が線形性を示す薬物Aは、肝代謝と腎排泄によって体内から消失し
正常時における肝代謝クリアランスは全身クリアランスの20%である。
また、腎疾患時に薬物Aの肝代謝クリアランスは変化しないが
腎排泄クリアランスは糸球体ろ過速度(GFR)に比例して変化する。

薬物Aを投与中の患者において、GFR が正常時の25%に低下したとする。
薬物Aの血中濃度時間曲線下面積(AUC)を腎機能正常時と同じにするには
投与量を腎機能正常時の何%に変更すればよいか。
最も近い値を1つ選べ。

1 20%   2 40%   3 80%   4 120%   5 250%



AUC = D/CL
です。

CL(全) = CL(肝)+CL(腎)です。
CL(全)を x とおくと
CL(肝)は 0.2 x 、CL(腎)は 0.8 x  とおくことができます。

今、GFR が正常時の 25% に低下したとすると
CL(腎)が GFR に比例するとのことなので
CL(腎)も 25% に減少します。
よって、CL(腎)= 0.8 x × 0.25 = 0.2 です。

すると、CL(全)=0.2 x + 0.2 x = 0.4 x となり
クリアランスが 40% に減少しています。
AUC を元と同じにするには、投与量 D も 40% にすればよいです。


よって正解は 2 です。



97回 問172
ある薬物100 mgをヒトに静脈内投与したところ
下の片対数グラフに示す血中濃度推移が得られた。
この薬物を50 mg /hの速度で定速静注するとき
投与開始2時間後の血中薬物濃度 (μg/mL) に最も近い値はどれか。
1つ選べ。


 1 1.8  2 3.6  3 7.2  4 14.4  5 28.8




解法1:公式を覚えていて、頑張って計算する方法

片対数グラフで、直線になっていることから、1-コンパートメントモデルと考えることができます。

次に、分布容積(Vd)、半減期(T1/2)、消失速度定数(ke)を読み取ります。
グラフから、時間0の時に、血中濃度が 10 (μg/mL)で
時間 2 の時に、血中濃度が 5 (μg/mL)であるから
半減期が 2h であると読み取ることができます。

又、半減期と消失速度定数は、下の式の関係で求めることができます。



よって、半減期が 2h なので、ke は0.35です。

又、分布容積は Vd = X(投与量)/C0(時間 0 の時の濃度)なので
10Lと計算することができます。

さて、定速静注時の血中濃度は



※ t は時間
※k0は、定速静注の速度

と表わされるので、求める濃度は




ここで、eが出てくる部分を、大雑把に計算すると


なので

よって、e-0.7 を大体 0.5 ぐらいと考えて
求める C は大体 7。

以上より、正解は3です。



解法2:大雑把に計算する方法

100mg 一気に注射すると、Cが最初10、2時間で半分になって5。

次に 2 回に分けて注射したとする。
50mg 注射して、Cの最初は 5 となるはず。
 一時間経ったら、Cはよくわからないけど
又 50mg 注射するから、Cが5上がる。
で、さらに一時間後を考える。

最初に注射した 50mg は2時間経過したので、C として 2.5 はあるはず。
一時間後に注射した 50mg は、1 時間しか経過していないので、C として 2.5 以上あるはず。
よって、Cは 2.5 + 2.5 よりも大きい値→ 5 よりも大きい値。

とすると、一気に注射するよりは、分けて注射した方が、2 時間後の濃度は高い。
又、100mg 一気に注射した時の、初期濃度よりも高くなることはないと考えられる。
つまり、5~10 の間。
よって、正解は 3



101回 問173 
治療薬物モニタリング(TDM)に
関する記述のうち、正しいのはどれか。
2 つ選べ。

1 血清中ジゴキシン濃度を
免疫学的測定法で測定する場合
腎障害患者や妊婦では内因性
交差物質が測定値に影響を及ぼすことがある。

2 アジスロマイシン投与時には
第8脳神経障害の副作用を回避するために
TDM が行われる。

3 テオフィリンの投与量は
患者のクレアチニンクリアランスを
指標に決定される。

4 TDM は、血中薬物濃度と
薬効・副作用との間に相関がない薬物
において有用である。

5 薬物によっては血清分離剤に吸着するため
血清分離剤を含む採血管を使用した場合には
血清中濃度を低く見積もる場合がある。


選択肢 1 は、正しい選択肢です。
高い値が出ることがあります。


選択肢 2 ですが
アジスロマイシンは、マクロライド系です。
第 8 脳神経障害の副作用が特徴なのは
アミノグリコシド系抗菌薬です。

アミノグリコシド系の例は
ストレプトマイシンやカナマイシンです。

よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
テオフィリンは、CYP 1A2 により代謝されます。
つまり、肝代謝の薬です。
クレアチニンクリアランスは、腎機能の指標です。
よって、明らかに誤りです。

ちなみに
小児への投与の時には
体重を基に投与量を計算します。


選択肢 4 ですが
血中濃度と薬効・副作用に相関がなかったら
血中濃度を測っても、副作用の回避などに
活かすことができず、有用ではありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、正しい選択肢です。
カルバマゼピンや
フェニトイン、リドカインなどが
知られています。


以上より、正解は 1,5 です。



100回 問173 
薬物の溶解及び放出に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 結晶多形間で異なる溶解速度を示すのは
各々の固相における化学ポテンシャルが
異なるためである。

2 Higuchi 式において
単位面積当たりの累積薬物放出量の平方根は
時間に比例する。

3 球体である薬物粒子が
形状を維持したまま縮小しながら溶出する時の
溶解速度定数は、Hixson-Crowell 式を用いて算出できる。

4 回転円盤法により
固体薬物の表面積を経時的に変化させて溶解実験を行い
Gibbs 式を用いることで薬物の溶解速度定数を算出できる。



選択肢 1 は、正しい記述です。
化学ポテンシャルが高い多形の方が
溶解速度が速いです。



選択肢 2 ですが
Higuchi の式は、以下のように表されます。


※Q:単位面積当たりの累積薬物放出量
※D:拡散定数
※A:マトリックス中の薬物の全濃度、Cs:溶解度
※t:時間

従って、単位面積当たりの累積薬物放出量が
時間の平方根に比例します。

単位面積当たりの累積薬物放出量の平方根が
時間に比例する わけでは、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい選択肢です。

Hixson - Crowell 式は、以下のように表されます。


※W0:固体粒子の初期質量
※W:時間tにおける固体粒子の質量
※k:みかけの溶解速度定数


選択肢 4 ですが
回転円盤法を用いる理由は
溶解する固体の表面積を一定にするためです。
表面積を経時的に変化させて では、ありません。
また、用いる式は、Noyes - Whitney 式 です。


よって、選択肢 4 は誤りです。



以上より、正解は 1,3 です。



99回 問173
薬物Aの体内動態は
線形1-コンパートメントモデルに従い
血中消失半減期は7時間、分布容積は20Lである。

この薬物10mgを5時間ごとに
繰り返し経口投与したところ
定常状態における平均血中濃度は0.8μg/mLとなった。

薬物Aの
経口投与後のバイオアベイラビリテイとして
最も近い値はどれか。1つ選べ。
だし、ln 2=0.693とする。


1   0.1 
2   0.2 
3   0 . 4 
4   0 . 6 
5   0.8


薬物動態パラメータをまとめると
半減期(T1/2)= 7 (h)。
分布容積(Vd)= 20 (L)。


又、T1/2 = ln2 / ke  です。

これは、ke について解けば
ke = ln2 / T1/2 
であり、ln2 ≒ 0.7 なので
ke = 10 (/h)です。


更に、CL = ke × Vd なので
CL = 10 × 20 = 200 ( L / h )
となります。



ここまでをふまえて、本問では
繰り返し経口投与 がキーワードです。

繰り返し経口投与における
定常状態の平均血中濃度は


※ Fは、バイオアベイラビリティ です。
※ τ は、平均投与間隔 です。

と表されます。(公式として覚えている設定です。)


この式に 
C = 0.8 μg/mL
D = 10 mg = 10000 μg
τ = 5 (h)
CL = 200 (L/h) = 200000 (mL/h)

を代入すると

F = 80 (%)  = 0.8 となります。



よって、正解は 5 です。




98回 問173

固体薬物の溶解速度を回転円盤法で測定し、以下の結果を得た。シンク条件下
のみかけの溶解速度定数(min-1・cm-2)に最も近い値はどれか。
1つ選べ。

ただし、円盤の有効表面積は1cmとし、試験中は変化しないものとする。
た、溶液温度は一定であり、薬物の溶解度は0.5mg/mL とする。


1 0.010   2 0.014   3 0.016   4 0.018   5 0.020



固体薬物の溶解速度は、Noyes-Whitneyの式により




と表されます。

ここで、シンク条件とあることから
Cs >> C なので

表における、時間0~6分までに着目すると
(6分以降は、近似できない程度にCが大きくなっているため
比例関係が崩れているのだと考えられます。)
dC/dt は、1分あたりの溶液の濃度の上昇度合いであり
6分間で、溶液の濃度は 0 から 0.06 になっているので、0.06 ÷ 6 = 0.01 です。
又、S=1です。

よって、0.01 = k × 0.5
なので、k = 0.02 となります。


正解は 5 です。



97回 問173
肝代謝のみで消失する薬物を経口投与する場合において
以下の変化が生じたとする。
血中濃度−時間曲線下面積 (AUC) が2倍に上昇するのはどれか。
2つ選べ。

ただし、この薬物の消化管からの吸収率は100%とし、肝臓での挙動はwell-stirred modelに従うものする。


 1 肝血流速度が1/2に低下した場合

 2 タンパク結合の置換により血中非結合形分率が2倍に上昇した場合

 3 結合タンパク質の増加により血中非結合形分率が1/2に低下した場合

 4 肝代謝酵素の誘導により肝固有クリアランスが2倍に増加した場合

 5 肝代謝酵素の阻害により肝固有クリアランスが1/2に低下した場合






well - stirred model であるということは、肝組織及び、血管中の薬物は
十分混ぜあわせられており、均一であるということである。
イメージは、下図のようになります。




イメージを参考にすると
肝血流速度が1/2になっても、血中の薬物濃度であるCは変化しません。
すると血中濃度-時間曲線下面積も変わらないと考えられます。
よって、選択肢 1 は誤り。


さて、肝代謝のみで消失する薬物を経口投与すると
肝初回通過効果による薬物の消失をまず受けます。
この消失速度は、肝固有クリアランス × 肝組織中の血中濃度で表されます。
モデルから、肝組織中の血中濃度は、Cout × fu(タンパク非結合率)と表されます。
よって、消失速度は
CLint × (Cout ×fu)です。 

消失速度が分かったので、これを時間で積分すれば
「肝初回通過効果による薬物の消失量」がわかります。
Coutを積分すれば、AUCなので

肝初回通過効果による薬物の消失量 = CLint × fu × AUC
と表されます。

投与した薬物の量は、変化していないのだから
肝初回通過効果による薬物の消失量、すなわち、上の等式の左辺は一定です。

よって、CLint が半分になったり、fu が半分になると、AUC が2倍になるとわかります。
ちなみに、選択肢 1 に関しても、この式に肝血流速度が関与しないことから
誤りであると判断することができます。


以上より、正解は 3,5 です。



101回 問174 
医薬品粉体のぬれ及び吸湿に関する記述として
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 ぬれやすいほど粉体に対する
液体の接触角が大きい。

2 水溶性の結晶性粉体では
臨界相対湿度(CRH)未満において
急激な吸湿は起こらない。

3 CRH では、粉体粒子表面を覆う
薬物の飽和水溶液の水蒸気圧と
空気中の水蒸気圧が等しい。

4 粉体は、吸湿により
安息角が減少する。

5 2種類の水溶性の結晶性粉体を
混合して得られた粉体のCRH は
個々の粉体のCRH と比べて高い。


選択肢 1 ですが
ぬれやすいと、接触角は小さくなります。
ぬれて、粉がべちょっとなるから
角度が小さくなります。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。


選択肢 4 ですが
安息角とは、粉をサラサラ落として
積もらせた時の傾斜です。

吸湿すると、泥みたいになって
もっさりと積もるようになります。

つまり、吸湿により
安息角は大きくなります。
減少では、ありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
混合物の CRH は
個々のCRH の積に等しいことが知られています。

そして、CRH とは、湿度なので
100 % 以下 です。
つまり、掛けると値は小さくなります。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2,3 です。



100回 問174 
界面活性剤に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 イオン性界面活性剤において
アルキル鎖が長くなるほどクラフト点は低くなる。

2 親水性親油性バランス(HLB)値が
小さい界面活性剤ほど、疎水性が高い。

3 HLB 値が3.7 の界面活性剤 2g と
HLB 値が11.5 の界面活性剤 1g を混合して得た
界面活性剤のHLB 値は、7.6である。

4 イオン性界面活性剤水溶液のモル電気伝導率は
臨界ミセル濃度以上で急激に減少する。

5 臨界ミセル濃度以上では
界面活性剤分子はミセルを形成するため
単分子として溶解しているものはない。



選択肢 1 ですが
クラフト点は、炭素数が多いほど
つまり、アルキル鎖が長いほど、高くなります。

アルキル鎖が長くなるほど
クラフト点が低くなるわけでは、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は、正しい選択肢です。



選択肢 3 ですが
3.7 × 2/3 + 11.5 × 1/3 
= 6.3 です。

7.6 では、ありません。
(7.6 という数字は、単純に 3.7 と 11.5 の平均を
ひっかけ数字として用いたと思われます。)


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。



選択肢 5 ですが
単分子で溶解しているものも存在すると
考えられます。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,4 です。



99回 問174
pKa = 5.2 の 1 価の弱酸性薬物水溶液に関する記述のうち
正しいのはどれか。1つ選べ。
ただし、イオン形薬物はすべて溶解するものとする。

1 pH5.2の溶液中では
分子形の薬物のみが存在する。

2 pH7.2の溶液中では
イオン形薬物分率は約1%である。

3 pH6.2における溶解度は
pH5.2と比較して約10倍である。

4 pH7.2における溶解度は
pH5.2と比較して約50倍である。

5 pH7.2における溶解度は
pH5.2と比較して約100倍である。




選択肢 1 ですが
ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式


によれば
pH = 5.2、pKa = 5.2 であれば
log の項が 0 つまり、[A-]/[HA] = 1
なので、イオン形と分子形が 1:1 で存在します。
分子形のみが存在するわけでは、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
ヘンダーソン、ハッセルバルヒの式によれば
pH = 7.2、pKa = 5.2 であれば
log の項が 2 つまり、[A-]/[HA] = 100 
なので、イオン形と分子形が 100:1 で存在します。
すると、イオン形が約 99 % です。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3~5 ですが

「総溶解度は、溶解度を s とおくと
s × (1 + 10pH - pKa)」と表すことができます。

すると、pH = 5.2 pKa = 5.2 であれば 2s
pH = 6.2 pKa = 5.2 であれば、大体 10s
pH = 7.2 pKa = 5.2 であれば、大体 100s と表せます。


「 」の公式を知らなかったり、忘れていた場合は
選択肢 1,2 を活用して、以下のように考えることが
期待されていると思われます。



例えば、食塩のように、中性の物質で、溶解度が 30 なら
水100gに食塩入れると、30 g 溶けて、それで終わりです。


ところが、溶かす物質が、弱酸性薬物 HA で
溶解度が 30 だったとします。
すると、水100gに HA が、30 g まず溶けます。
次に、水中で HA は、H+ と A- に解離します。

ここで例えば、pH = PKa であるような場合、つまり
分子形と、イオン形の比率が 1:1 に
なる環境だったとします。

水中における HA の分子形は
固体の HA がたっぷりあるので
溶解度分、つまり 30 だけいつも溶けていると考えられます。

すると 1:1 で、イオン形も、30、水中にあるはずです。
このイオン形は、HA が解離したものなのだから
あわせると 60 HAが、水中に溶けた ということができます。


分子形と、イオン形の比率は
ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式に従うので
pH = 7.2 で、pKa = 5.2 だったら
選択肢 2 より
イオン形の方が 100 倍 存在します。

この例でいえば 
3000 溶けているということになります。

このイオン形は、HA が解離したものなのだから
あわせると 3060 HA が、水中に溶けた 
ということができます。


すると、pH = 7.2 の時は、pH = 5.2 の時の
大体50倍の溶解度といえます。



以上より、正解は 4 です。




98回 問174

乳剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 o/w型の乳剤は、電気伝導性を示さない。
2 合一しても振とうすればもとの分散状態に戻る。
3 w/o/w型やo/w/o型などの多重乳剤がある。
4 分散媒と分散相の密度差を小さくすると、乳剤の分散状態は安定化する。
5 w/o型の乳剤は、メチレンブルーを加えると全体が着色される。



o/w 型の乳剤とは、oil in water なので、基本的には水です。
なので、油よりも電気伝導性が、一般に高いです。
よって、電気伝導性を示さないということはありません。
選択肢 1 は誤りです。


合一とは、液滴同士が付着し、さらに融合することです。
合一が進行すると、再振とうしても、一つ一つの液滴が大きくなっているので
再分散しません。
よって、選択肢 2 は誤りです。
振とうすれば再分散するのは、クリーミング(単に層状に分離した状態のこと)です。


選択肢 3,4 はその通りの記述です。


メチレンブルーにより全体が着色されるのは、o/w 型の乳剤です。
w/o 型の乳剤は、ズダン III によって赤色に染まります。


以上より、正解は 3,4 です。




97回 問174

薬物の溶解及び製剤からの放出に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 ヒグチ (Higuchi) の式において、放出される薬物の累積量は時間の平方根に比例する。

 2 ヒクソン−クロウェル (Hixson−Crowell) の式は、粒度分布を持つ粉体の溶解現象を表す式である。

 3 固体分散体中の薬物は、その薬物結晶に比べて溶解速度が小さい。

 4 安定形の結晶は、準安定形の結晶に比べて溶解速度が大きい。

 5 無水物は、水和物に比べて水中での溶解速度が大きい。






ヒグチ(Higuchi)の式とは、以下で表されるような
マトリックス型製剤における
薬物の放出量と、時間の間に成り立つ関係式です。

イメージとしては、表面から放出されるため、だんだん放出量が少なくなり
放出量が、時間の平方根に比例する(単純に、時間に比例するわけではない)という
関係式です。


※Q:単位面積当たりの累積薬物放出量
※D:拡散定数
※A:マトリックス中の薬物の全濃度、Cs:溶解度
※t:時間

一般に、「固体」の薬物がマトリックス全体に分散している時は
はるかに溶解度よりもAが大きい、すなわち

A>>Cs

なので、近似した、以下の式が用いられます。


ヒクソン-クロウェルの式は、溶解における固体薬物の表面積の減少を
考慮に入れた、溶解現象における質量と時間の関係を表す式です。
式は、以下で表されます。





※W
0:固体粒子の初期質量、W:時間tにおける固体粒子の質量
※k:みかけの溶解速度定数

Hixson-Crowell式では、2つの条件が仮定されています。
すなわち、初期濃度が溶解度よりはるかに小さいこと(シンク条件と呼ばれます)と
粒子径一定の粒子が、球状を保ちつつ溶解するという仮定です。

よって、粒度分布を持つ粉体の溶解現象を表す式ではないので、選択肢 2 は誤りです。


難溶性の物質を、固体分散体とすることで、溶解性が飛躍的に向上することが
知られています。
よって、固体分散体中の薬物の方が溶解速度が一般的に速いので
選択肢 3 は誤りです。


準安定系の方が、安定系よりも溶解速度は大きくなります。
(イメージとしては、準安定系の方が、エネルギー的に不安定であり
溶液に解けた状態というのは、とても安定な状態なので
より速く安定になりたいため、速く解けるイメージです。

就職活動で、何社も落ちている状態の人(準安定系のたとえ)が
どんな所でもいいからとりあえず内定1つもらいたくなる(速く安定したい)心理
と対比すると、記憶しやすいかもしれません。)

よって、選択肢 4 は誤りです。


無水物の方が、水和物に比べて水中での溶解速度が大きいです。
(イメージとしては、準安定系と同様に、無水物の方が、エネルギー的に不安定であり
溶液に解けた状態というのは、とても安定な状態なので
より速く安定になりたいため、速く解けるイメージです。

補足として、なぜ水和物の方が安定かといえば、溶媒に取り囲まれることによる
溶媒和の影響が大きな要因と考えられます。)



以上より、正解は 1,5 です。


101回 問175 
球状の医薬品懸濁粒子は
溶媒中を次式で表される速度で沈降する。
次の記述のうち正しいのはどれか。2 つ選べ。

ただし、設問中のパラメータ以外は
変化しないものとする。

Vs:沈降速度(m/s),r:粒子の半径(m),ρp:粒子密度(kg/m3),
ρf:溶媒の密度(kg/m3),g:重力加速度(m/s2),η:溶媒の粘度(Pa・s)

1 本式は、等加速度沈降
している場合に成立する。

2 粒子径が 1/3 倍になれば
粒子の沈降速度は1/9 倍になる。

3 溶媒の粘度が上昇すれば
粒子の沈降速度は増大する。

4 粒子密度が小さくなれば
粒子の沈降速度は低下する。



選択肢 1 ですが
本問の式は、ストークスの式です。
懸濁粒子の自由沈降において成立します。

この時、球状の粒子が、「等速」で沈降すると
仮定されます。
「等加速度」では、ありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。
v は、r2 に比例しているから
r が 1/3 倍になれば、その二乗 1/9 倍になります。


選択肢 3 ですが
溶媒の粘度(η)は、式の分母にあるので
η が大きくなると v は小さくなります。
従って、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は、正しい選択肢です。
粒子密度ρp は、分子にあるので
ρp が小さくなれば、v は小さくなります。

以上より、正解は 2,4 です。


100回 問175
 高分子及びその溶液に関する記述のうち
正しいのはどれか。 2 つ選べ。

1 線状高分子は
良溶媒中で収縮してコイル形状となる。

2 マクロゴール20000
(分子量20,000のポリエチレングリコール)は
室温で水に不溶である。

3 毛細管粘度計は
非ニュートン流体の粘度測定に適する。

4 高分子溶液の極限粘度から
高分子の平均分子量を求めることができる。

5 Voigt 粘弾性の力学的モデルでは
応力一定のとき、ひずみは時間と共に増大
一定の値に収束する。



選択肢 1 ですが
良溶媒中では、溶媒分子が
ごちゃっとからまっている高分子の間に入り込み
分子をぐいっとひきのばします。(膨潤)
その結果、鎖状となります。

収縮して、コイル形状になるわけではありません。
(貧溶媒中に関する記述であると考えられます。)


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
マクロゴールは、水に可溶です。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
毛細管粘度計は、ニュートン流体にのみ用いられます。
非ニュートン流体の測定には適しません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4,5 は、その通りの記述です。

ちなみに、Voigt (フォークト) モデルとは
ばねとダッシュポットが並列に結合したモデルのことです。



以上より、正解は 4,5 です。



99回 問175
界面活性剤に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ラウリル硫酸ナトリウムは
液体表面に吸着されにくく、負吸着を示す。

2 界面活性剤水溶液の表面張力は
臨界ミセル濃度以上で急激に低下する。

3 イオン性界面活性剤の水への溶解度は
クラフト点以上で急激に上昇する。

4 非イオン性界面活性剤の水への溶解度は
曇点以上で急激に低下する。

5 HLB(hydrophile-lipophile balance)値が
5未満の界面活性剤は
水に極めて溶けやすい。



選択肢 1 ですが
ラウリル硫酸ナトリウムは
陰イオン性界面活性剤の 1 つです。

界面活性剤は
親水基と、疎水基を両方持つ物質です。

疎水基を空気の方に向けて並ぶため
液体表面に 集まってきます。
つまり、液体表面に、正の吸着を示します。
負吸着ではありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
界面活性剤水溶液の表面張力は
臨界ミセル濃度以上で、ほぼ一定となります。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3,4 は、正しい記述です。



選択肢 5 ですが
HLB とは
界面活性剤の水及び油への親和性の程度を表す尺度です。
HLB 値が7より大きいと、親水性です。
5未満だと、水に溶けにくいです。


よって、選択肢 5 は誤りです。

(代表的な界面活性剤の種類と性質)



以上より、正解は 3,4 です。



98回 問175

薬物の物性に関する記述のうち、正しいのはどれか。
1つ選べ。

1 非晶質は、熱力学的に平衡状態にある。
2 共融混合物では、異なる成分どうしが結晶格子を形成している。
3 水和物結晶は、その無水物結晶よりも水に対する溶解度が高い。
4 固溶体中において、薬物は結晶状態で分散している。
5 結晶多形において、準安定形に比べて安定形の方が融点が高い。






非晶質とは、非平衡な準安定状態のことです。
よって、平衡状態ではありません。
選択肢 1 は誤りです。


共融混合物とは、一定の組成である、均一な混合物のことです。
それぞれの要素が均一であれば、仮に異なる成分どうしが結晶格子を
形成しているとすれば、全体として不均一であり、不適切です。
よって、選択肢 2 は誤りであると考えられます。


無水物結晶の方が、水和物結晶よりも、水に対する溶解度は高いです。
よって、選択肢 3 は誤りです。


固溶体とは、2 種類以上の元素が互いに溶け合い、全体が均一の固相と
なっているもののことです。
よって、薬物分子は、その分子のみで結晶を構成しているとすれば
全体が不均一であり、不適切であると考えられます。
よって、選択肢 4 が誤りであると考えられます。


選択肢 5 はその通りの記述です。



以上より、正解は 5 です。



97回 問175

界面活性剤の性質に関する記述のうち、正しいのはどれか。

2つ選べ。


 1 ソルビタンモノステアレートのHLB (hydrophile – lipophile balance) 値は

ソルビタンモノラウレートのHLB値に比べて小さい。

 2 水溶液の当量伝導度(モル伝導率)は、ある濃度以上で急激に上昇する。

 3 アルキル硫酸ナトリウムの直鎖アルキル基 (C10H21 〜 C18H37) の炭素数が増加すると、クラフト点は高くなる。

 4 臨界ミセル濃度以上では、溶液中にミセルとしてのみ存在する。






ソルビタンモノステアレートは、別名スパン 60 と呼ばれます。
HLB値は、約 3.8 です。
又、ソルビタンモノラウレートは、HLB 値は、約 8.6 です。

HLB値とは、界面活性剤の水及び油への親和性の程度を表す尺度です。
7より大きいと親水性です。

実際の試験において、このHLB価はおそらく覚えていないので
ステアレート→ステアリン酸、つまり炭素数 18 の飽和脂肪酸
ラウレート→ラウリル酸、つまり炭素数 12 の飽和脂肪酸
ということを思い出す。
→脂肪酸部分が、炭素数が多い方がより疎水性の性質を持つはず
→ソルビタンモノステアレートの方がHLB値は小さい
と推測するとよいと考えられます。


モル伝導率とは、1mol あたりの電気伝導率です。
原則として、濃度が上がると低下する値です。
界面活性剤においては、臨界ミセル濃度を超えると、急激に低下します。
これは、臨界ミセル濃度を超えることでミセルが形成されることにより
イオンが移動しづらくなり、電気伝導度が下がることが原因であると考えられます。

よって、選択肢 2 は誤りです。


クラフト点とは、イオン性界面活性剤の溶解度が急激に増大する温度のことです。
この温度以上において、ミセル形成が可能になります。
クラフト点は、疎水性部分が大きいほど高いことが知られています。

これは、炭素数が大きいと、小さいものより疎水性が増加し、水に溶けなくなる
→溶けなすぎると、界面が埋まるほど溶けないため、ミセル形成はおきない
→温度を上げると、溶解度が上がるから、溶ける量がある程度(臨界ミセル濃度)を
超えた所でミセル形成がおきる。
→よって、炭素数が大きいほど、ミセル形成ができる量まで溶けるようにするためには
温度をより上げなければならない 
という理由によると考えられます。


臨界ミセル濃度以上では、界面活性剤は、界面にびっしり存在する上に
溶液中にミセルとして存在し、更に単独の分子も存在すると考えられます。

よって、選択肢 4 は誤りです。



以上より、正解は 1,3 です。






前の項目へ      目次へ      次の項目へ