※ 第100回 問36、第99回 問36、、、第100回 問37、第99回 問37、、、 という順番で並んでいます。 問36 グルカゴン様ペプチド - 1 (GLP-1) 受容体を刺激する 糖尿病治療薬はどれか。 1つ選べ。 1 アカルボース 2 グリベンクラミド 3 ピオグリタゾン 4 メトホルミン 5 リラグルチド . 選択肢 1 ですが アカルボースは、α-GI です。 GLP - 1 作動薬では、ありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。 選択肢 2 ですが グリベンクラミドは、SU 剤です。 GLP - 1 作動薬では、ありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。 選択肢 3 ですが ピオグリタゾンは、インスリン抵抗性改善薬です。 作用点は、PPAR - γ です。 GLP - 1 作動薬では、ありません。 よって、選択肢 3 は誤りです。 選択肢 4 ですが メトホルミンは、ビグアナイド薬です。 GLP - 1 作動薬では、ありません。 よって、選択肢 4 は誤りです。 選択肢 5 は、正しい選択肢です。 以上より、正解は 5 です。 (糖尿病治療薬) . 問36 尿酸合成に関わる酵素を 選択的に阻害する薬物はどれか。 1 コルヒチン 2 ブコローム 3 プロベネシド 4 フェブキソスタット 5 ラスプリカーゼ . 選択肢 1 ですが コルヒチンは 微小管タンパク質(チュブリン)と結合することで 微小管の形成を阻害する薬です。 これにより、関節炎症部位への好中球の遊走を抑制することで痛風発作を緩解します。 尿酸合成に関わる酵素を選択的に阻害する薬物ではありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。 選択肢 2 ですが ブコロームは尿酸排出促進作用のある NSAIDs です。 抗炎症作用、抗リウマチ作用もあります。 尿酸合成に関わる酵素を選択的に阻害する薬物ではありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。 選択肢 3 ですが プロベネシドは、尿酸排出促進薬です。合成酵素阻害薬ではありません。 よって、選択肢 3 は誤りです。 選択肢 4 ですが フェブキソスタット(フェブリク)は非プリン型キサンチンオキシダーゼ阻害薬です。 キサンチンオキシダーゼという尿酸合成に関わる酵素を選択的に阻害します。 選択肢 4 は正しいです。 選択肢 5 ですが ラスプリカーゼは遺伝子組換え尿酸オキシダーゼです。点滴静注薬です。 がん化学療法に伴う、高尿酸血症の治療に用います。合成酵素阻害薬ではありません。 よって、選択肢 5 は誤りです。 以上より、正解は 4 です。 . 問36 トラネキサム酸の止血作用の機序はどれか。1 つ選べ。 1 トロンビン阻害 2 アンチトロンビンⅢ阻害 3 組織因子阻害 4 第Ⅹa 因子阻害 5 プラスミン阻害 . トラネキサム酸は、プラスミノーゲンや、プラスミンのリシン結合部位に結合します。 その結果、プラスミンによるフィブリン分解を阻害することで、止血作用を示します。 ちなみに、フィブリンが、止血を担う繊維状タンパク質です。 プラスミンが、フィブリンを分解する酵素です。 以上より、正解は 5 です。 . 問36 ヒスタミン H2 受容体遮断作用を示すのはどれか。 1つ選べ。 1 メトクロプラミド 2 ファモチジン 3 モサプリド 4 スルピリド 5 プログルミド . H2 受容体とは、ヒスタミンの受容体の一種です。 ヒスタミン受容体を遮断することで、胃酸分泌が抑制されます。 代表的な H2 受容体遮断薬は シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、ロキサチジン酢酸エステルです。 よって、正解は 2 です。 ちなみに、メトクロプラミドは、D2 受容体遮断薬です。 消化管運動を促進させることにより、悪心、吐き気、食欲不振に用いられます。 モサプリドは、5-HT4刺激薬です。 胃腸運動を促進させる働きがあります。 慢性胃炎に伴う消化器症状に用いられます。 スルピリドは、D2 受容体遮断薬です。 D2 受容体遮断により、アセチルコリンの遊離促進→胃運動の促進を特に促します。 これにより、胃内容物の停滞を改善し 潰瘍面と胃酸などの攻撃因子の接触時間を短縮して治癒を促進します。 プログルミドは、抗ガストリン薬です。 胃酸を生成する壁細胞などのガストリン受容体を遮断することで、胃酸分泌を抑制します。 参考) 薬理学まとめました 3-2 1) 胃・十二指腸潰瘍治療薬 参考) 薬理学まとめました 3-2 2) その他の消化性潰瘍治療薬 . 問37 小腸コレステロール トランスポーター阻害薬はどれか。 1つ選べ。 1 イコサペント酸エチル 2 エゼチミブ 3 コレスチミド 4 シンバスタチン 5 フェノフィブラート . 選択肢 1 ですが イコサペント酸エチルは、EPA 製剤です。 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬では、ありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。 選択肢 2 は、正しい選択肢です。 選択肢 3 ですが コレスチラミドは、陰イオン交換樹脂です。 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬では、ありません。 よって、選択肢 3 は誤りです。 選択肢 4 ですが シンバスタチンは HMG-CoA 還元酵素阻害薬です。 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬では、ありません。 よって、選択肢 4 は誤りです。 選択肢 5 ですが フェノフィブラートは、フィブラート系薬です。 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬では、ありません。 よって、選択肢 5 は誤りです。 以上より、正解は 2 です。 (高脂血症治療薬) . 問37 アンチトロンビン非依存的にトロンビンを 直接阻害する薬物はどれか。1つ選べ。 1 フォンダパリヌクス 2 アルガトロバン 3 ダルテバリン 4 ダナパロイド 5 パルナパリン . 選択肢 1 ですが フォンダパリヌクス(アリクストラ)は 選択的 Xa 因子阻害薬です。 トロンビン直接阻害薬では、ありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。 選択肢 2 ですが アルガトロバンは直接トロンビン阻害剤です。 ヘパリン類とは異なり アンチトロンビンに依存することなく直接阻害します。 選択肢 2 は正しいです。 選択肢 3 ですが ダルテバリンは、ヘパリン類似薬です。 アンチトロンビン III の作用を増強し セリンプロテアーゼ(トロンビンや、第Xa因子)の活性を抑制します。 トロンビン直接阻害薬では、ありません。 よって、選択肢 3 は誤りです。 選択肢 4 ですが ダナパロイドは、ヘパリン類似薬です。 選択肢 3 と同様の理由で、誤りです。 選択肢 5 ですが パルナパリンは、ヘパリン類似物質です。 選択肢 3 と同様の理由で、誤りです。 以上より、正解は 2 です。 . 問37 シクロスポリンの免疫抑制作用の機序はどれか。 1 つ選べ。 1 カルシニューリンの阻害 2 ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害 3 ピリミジン合成経路の阻害 4 プリン合成経路の阻害 5 インターロイキン-6(IL-6)受容体の遮断 . シクロスポリンは、T 細胞細胞質内の FK binding protein(FKBP)に結合し カルシニューリンの機能を阻害することで NF-AT(Nuclear factor of activated T-cell)の核内移行を抑制することにより作用します。 NF-ATは、転写因子です。IL-2の分泌を引き起こします。 カルシニューリンの機能阻害とは、より具体的にいうと Ca2+依存性セリン/トレオニンホスファターゼ活性の阻害です。 以上より、正解は 1 です。 . 問37 甲状腺ホルモン産生阻害作用を示すのはどれか。1つ選べ。 1 チアマゾール 2 オキシトシン 3 プロチレリン 4 クロミフェン 5 ソマトレリン . 甲状腺ホルモンを産生する酵素は、ペルオキシダーゼです。 ペルオキシダーゼは、ヨウ素を活性化ヨウ素へと変換する、体内の酸化過程を担う酵素です。 ペルオキシダーゼを阻害することにより、T3 ,T4 ホルモンが合成されないようにします。 ペルオキシダーゼを阻害する代表的な薬は、チアマゾール、プロピルチオウラシルです。 よって、正解は 1 です。 ちなみに、オキシトシンは、脳下垂体後葉から分泌されるホルモンです。 子宮収縮の誘発などを引き起こすホルモンです。 プロチレリンは、甲状腺刺激ホルモン(TSH:thyroid stimulating hormone)及び プロラクチン分泌を促進します。 それらのホルモン分泌機能の検査に用いられます。 クロミフェンは、抗エストロゲン薬です。 クロミフェンは、結果的には、フィードバック作用を介して エストロゲン放出が増加します。 不妊症の排卵誘発剤として用いられます。 ソマトレリンは、成長ホルモン(GH:growth hormone)の分泌を促進する薬です。 下垂体の成長ホルモンの分泌機能の検査に用いられます。 参考) 薬理学まとめました 3-1 1) ホルモンの分泌異常に用いられる代表的な治療薬 . 問38 ダルテバリンの凝固因子阻害活性について 正しいのはどれか。 1つ選べ。 1 トロンビン(第Ⅱa 因子)のみを阻害する。 2 第 Xa 因子よりも第Ⅱa 因子を強く阻害する。 3 第Ⅱa 因子と第 Xa 因子を同等に阻害する。 4 第Ⅱa 因子よりも第 Xa 因子を強く阻害する。 5 第 Xa 因子のみを阻害する。 . ダルテパリンは、ヘパリン類似薬です。 「アンチトロンビンⅢを介した抗 Xa 因子作用を十分有するが アンチトロンビンⅢを介した抗トロンビン作用がそれほど強くない」 という特徴を有する薬です。 いいかえると トロンビン(第Ⅱa 因子)よりも 第 Xa 因子をより阻害する といえます。 以上より、正解は 4 です。 (抗血栓薬) . 問38 ヒスタミン H1 受容体遮断作用を有する 抗アレルギー薬はどれか。1つ選べ。 1 ザフィルルカスト 2 トラニラスト 3 フェキソフェナジン 4 セラトロダスト 5 ラマトロバン . 選択肢 1 ですが ザフィルルカストは、ロイコトリエン受容体遮断薬です。 ヒスタミン H1 受容体遮断作用はありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。 選択肢 2 ですが トラニラストは、ケミカルメディエーター遊離抑制薬です。 ヒスタミン H1 受容体遮断作用はありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。 選択肢 3 ですが フェキソフェナジンは、非鎮静性 H1 受容体遮断薬です。 眠気があまりでないように改良された H1 受容体遮断薬です。 選択肢 3 は正しいです。 選択肢 4 ですが セラトロダストは、TXA2 受容体遮断薬です。 ヒスタミン H1 受容体遮断作用はありません。 よって、選択肢 4 は誤りです。 選択肢 5 ですが ラマトロバンは、TXA2 受容体遮断薬です。 ヒスタミン H1 受容体遮断作用はありません。 よって、選択肢 5 は誤りです。 以上より、正解は 3 です。 参考) 薬理学まとめました 3-6 3) (アレルギー治療薬へ) . 問38 セラトロダストの抗アレルギー作用の機序はどれか。 1 つ選べ。 1 ロイコトリエン受容体遮断 2 トロンボキサンA2 受容体遮断 3 シクロオキシゲナーゼ-2 阻害 4 5-リポキシゲナーゼ阻害 5 ホスホリパーゼA2 阻害 . セラトロダスト(ブロニカ)は、トロンボキサンA2 受容体拮抗剤です。 即時型及び遅発型喘息反応並びに、気道過敏性の亢進を抑制します。 以上より、正解は 2 です。 代表的な気管支喘息治療薬については を参照してください。 . 問38 ヒスタミン H1 受容体遮断作用を持たない ケミカルメディエータ一遊離抑制薬はどれか。 1つ選べ。 1 クロルフェニラミン 2 プロメタジン 3 クロモグリク酸 4 ジフェンヒドラミン 5 ケトチフェン . 代表的なケミカルメディエーター遊離抑制薬は クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、ペミロラストカリウムです。 よって、正解は 3 です。 ちなみに、クロルフェニラミン、プロメタジン、ジフェンヒドラミンは 第一世代 H1 受容体遮断薬です。 ケトチフェンは、抗アレルギ-性 H1 受容体遮断薬です。 H1 遮断作用に加え、ケミカルメディエーター遊離抑制作用もあります。 . 問39 モンテルカストの抗アレルギー作用の機序はどれか。 1つ選べ。 1 トロンボキサン A2 受容体 (プロスタノイド TP 受容体)遮断 2 トロンボキサン合成酵素阻害 3 ヒスタミン H1 受容体遮断 4 5 - リポキシゲナーゼ阻害 5 ロイコトリエン受容体遮断 . モンテルカストはロイコトリエン受容体遮断薬 です。 従って、正解は 5 です。 ちなみに 選択肢1~4の代表的な薬としては 1:セラトロダスト、ラマトロバン 2:オザグレル 3:ケトチフェン、セチリジン、フェキソフェナジン 4:オキサトミド (※オキサトミドの主な作用機序は H1 拮抗作用とされている。 5-リポキシゲナーゼ阻害作用を併せ持つと 知られている。) などがあげられます。 (アレルギー治療薬) . 問39 ノイラミニダーゼを阻害する抗ウイルス薬はどれか。 1つ選べ。 1 アシクロビル 2 アマンタジン 3 オセルタミビル 4 リトナビル 5 ガンシクロビル . 選択肢 1 ですが アシクロビルは、DNAポリメラーゼ阻害薬です。 ノイラミニダーゼを阻害するウイルス薬ではありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。 選択肢 2 ですが アマンタジンは、インフルエンザウイルスの M2 タンパク阻害薬です。 ノイラミニダーゼを阻害するウイルス薬ではありません。 よって、選択肢 2 は誤りです。 選択肢 3 は正しいです。 選択肢 4 ですが リトナビルは、プロテアーゼ阻害薬です。 抗 HIV 薬です。 ノイラミニダーゼを阻害するウイルス薬ではありません。 よって、選択肢 4 は誤りです。 選択肢 5 ですが ガンシクロビルは、アシクロビルと同様に DNA ポリメラーゼ阻害薬です。 ノイラミニダーゼを阻害するウイルス薬ではありません。 よって、選択肢 5 は誤りです。 以上より、正解は 3 です。 . 問39 核酸合成を阻害し、抗真菌作用を示すのはどれか。 1 つ選べ。 1 ナイスタチン 2 フルシトシン 3 ミカファンギン 4 ミコナゾール 5 テルビナフィン . ナイスタチンは、ポリエン系抗生物質のひとつです。 細胞膜のエルゴステロールと結合し、膜に小孔を作り、殺菌的に作用します。 フルシトシンは、真菌細胞内に取り込まれた後、シトシン脱アミノ酵素により 5-FU となり、核酸合成の阻害を介して、抗真菌作用を示します。 ミカファンギンは、キャンディン系抗生物質です。 1,3- β - D-グルカンの合成を非競合的に阻害することにより、抗真菌作用を示します。 ミコナゾールは、細胞膜構成成分であるエルゴステロールの合成阻害により 抗真菌作用を示します。 テルビナフィンは、スクアレンエポキシダーゼを選択的に阻害することで 細胞膜構成成分であるエルゴステロールの生合成を阻害し、抗真菌作用を示します。 以上より、正解は 2 です。 . 問39 セファゾリンの抗菌作用の機序はどれか。1つ選べ。 1 RNA合成阻害 2 DNA複製阻害 3 タンパク質合成阻害 4 細胞膜合成阻害 5 細胞壁合成阻害 . セファゾリンは、第一世代セフェム系抗菌薬です。 セフェム系抗菌薬とは、β-ラクタム系抗菌薬の一種です。 β-ラクタム系抗菌薬は、細胞壁合成阻害薬です。 以上より、正解は 5 です。 ちなみに、RNA 合成阻害薬といえば 代表例は、抗真菌薬のフルシトシンです。 DNA 複製阻害薬といえば 代表例は、DNA ジャイレースに作用する、キノロン系抗生物質です。 ◯◯フロキサシン(レボフロキサシン、ノルフロキサシンなど)が代表例です。 タンパク質合成阻害薬といえば 代表例は、アミノグリコシド系抗生物質や、マクロライド系抗生物質です。 アミノグリコシド系の代表例は、ゲンタマイシンやカナマイシンです。 マクロライド系の代表例は、クラリスロマイシンやエリスロマイシンです。 細胞膜合成阻害薬といえば、代表例は、抗真菌薬のポリミキシン B です。 . 問40 抗真菌薬ブテナフィンが阻害するのはどれか。 1つ選べ。 1 シトシン透過酵素 2 ラノステロール C-14 脱メチル化酵素 3 DNA トポイソメラーゼ Ⅱ 4 トランスペプチダーゼ 5 スクアレンエポキシダーゼ . ブテナフィンが阻害するのは スクアレンエポキシダーゼです。 従って、正解は 5 です。 ちなみに 選択肢 1 ~ 4 に関しての補足ですが 1:シトシン透過酵素に関連する 代表的な薬は、フルシトシンです。 フルシトシンは、この酵素を介して 真菌細胞内に取り込まれた後 代謝されて、5 -FUとなり 抗真菌作用を示すことが知られています。 2:ラノステロール C-14 脱メチルに関連する 代表的な薬は、アゾール系抗真菌薬 (イトラコナゾールなど)です。 3:DNAトポイソメラーゼ Ⅱ に関連する 代表的な薬は、エトポシドです。 トポイソメラーゼⅡ阻害薬です。 抗がん剤として用いられます。 4:トランスペプチダーゼに関連する 代表的な薬は、β-ラクタム系抗生物質 (ペニシリン等)です。 . 問40 Bcr-Abl チロシンキナーゼを阻害し 抗悪性腫瘍作用を示す薬物はどれか。1つ選べ。 1 メトトレキサート 2 イマチニブ 3 ブレオマイシン 4 ゲフィチニブ 5 イリノテカン . 選択肢 1 ですが メトトレキサートは、免疫抑制剤です。 チロシンキナーゼ阻害薬では、ありません。 よって、選択肢 1 は誤りです。 選択肢 2 ですが イマチニブはBcr-Abl チロシンキナーゼ阻害薬です。 選択肢 2 は正しいです。 選択肢 3 ですが ブレオマイシンは抗腫瘍抗生物質です。 金属イオンを補因子としてキレートし 分子状酸素を活性化することでフリーラジカルを作って DNAを損傷すると考えられています。 チロシンキナーゼ阻害薬では、ありません。 よって、選択肢 3 は誤りです。 選択肢 4 ですが ゲフィチニブ(商品名イレッサ)は 上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼを 選択的に阻害する低分子抗がん剤です。 非小細胞肺がんに対する治療薬として使用されます。 チロシンキナーゼ阻害薬では、ありません。 よって、選択肢 4 は誤りです。 選択肢 5 ですが イリノテカンはDNAトポイソメラーゼ I を阻害して 抗悪性腫瘍作用を示す抗腫瘍植物アルカロイドの一種です。 チロシンキナーゼ阻害薬では、ありません。 よって、選択肢 5 は誤りです。 以上より、正解は 2 です。 . 問40 閉経後乳がん治療薬レトロゾールの作用機序はどれか。 1 つ選べ。 1 アロマターゼ阻害 2 トポイソメラーゼⅡ阻害 3 ジヒドロ葉酸還元酵素阻害 4 アンドロゲン受容体遮断 5 エストロゲン受容体遮断 . レトロゾール(フェマーラ)は、アロマターゼの活性を競合的に阻害することにより アンドロゲンからエストロゲンの生成を阻害します。 その結果、乳がんの増殖を抑制します。 適応は、閉経後乳がんです。 よって、正解は 1 です。 . 問40 DNA トポイソメラーゼIを阻害して抗悪性腫瘍作用を示すのはどれか。 1つ選べ。 1 ネダプラチン 2 ブレオマイシン 3 メルカプトプリン 4 イリノテカン 5 マイトマイシンC トポイソメラーゼ阻害薬は、抗腫瘍植物アルカロイドの一種です。 代表例としては、トポイソメラーゼIを阻害するイリノテカンが挙げられます。 以上より、正解は 4 です。 . ちなみに、ネダブラチンは、白金製剤です。 DNA に架橋を形成することで DNA 複製や RNA 合成を抑制します。 ブレオマイシンは、抗腫瘍抗生物質です。 金属イオンを補因子としてキレートし 分子状酸素を活性化することでフリーラジカルを作って DNAを損傷すると考えられています。 (ちなみに、「フリーラジカルを介して DNA 損傷」という機構がすごく乱暴に感じたので 「頭にブ」がつく抗ガン剤は「無礼者→フリーラジカル」と、僕は覚えていました。 覚えるきっかけになると幸いです。) メルカプトプリンは、代謝拮抗薬です。 プリン環を保つヌクレオシド(アデニン、グアニン)類似物質です。 DNA,RNA の生合成を阻害します。 マイトマイシンは、抗腫瘍抗生物質です。 DNA 間に架橋を形成し、DNA 複製を阻害します。 |