薬理 理論1 問題解説まとめ





問151
受容体刺激薬と遮断薬に
関する記述のうち、正しいのはどれか。
2 つ選べ。

1 刺激薬の pD値が大きいほど
効力が小さい。

2 pA2値は
競合的遮断薬の効力を示す。

3 受容体に結合した競合的遮断薬は
高濃度の刺激薬を共存させても
受容体から解離しない。

4 遮断薬のうち
アロステリック部位に結合するものを
競合的遮断薬という。

5 部分刺激薬は
完全刺激薬により生じる最大反応を
減弱させる。


選択肢 1 ですが
pD2 とは、-log(ED50) で定義される値です。
「値が大きいほど、少量でよく効く」ことを意味します。
効力が小さいわけでは、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。



選択肢 3 ですが
競合的遮断薬の存在下で
刺激薬の濃度を十分高めると
薬の効果が十分に得られます。

仮に、受容体から競合的遮断薬が
受容体から解離しないとすれば
刺激薬の濃度を上げても、薬効は変わらないと
考えられます。

従って、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
アロステリック部位とは、活性部位とは別の調節部位のことです。

アロステリック部位に結合する遮断薬は
非競合的遮断薬と呼ばれます。
競合的遮断薬では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 2,5 です。



問151
生体内情報伝達をつかさどる
受容体に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 細胞膜受容体には
Gタンパク質共役型、イオンチャネル内蔵型及び
1回膜貫通型がある。

2 神経筋接合部に存在する
ニコチン性アセチルコリン受容体は
Gタンパク質共役型である。

3 血管内皮増殖因子(VEGF)受容体は
1回膜貫通型である。

4 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)受容体は
イオンチャネル内蔵型である。

5 サイトカイン受容体は、核内に存在する。


選択肢 1 は、正しい記述です。
1回膜貫通型とは、チロシンキナーゼ関連受容体など
のことです。



選択肢 2 ですが
ニコチン性 アセチルコリン受容体(N 受容体)は
イオンチャネル型受容体です。
Gタンパク質 共役型では、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、その通りの記述です。



選択肢 4 ですが
ANP 受容体は、1回膜貫通型です。
イオンチャネル内蔵型では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
サイトカイン受容体は、核内受容体ではありません。
細胞表面に存在します。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,3 です。




問151

グラフは、摘出平滑筋の収縮に対する薬物Aと薬物Bの濃度-反応曲線を示している。
この実験結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

ただし、これらの薬物は同一の受容体結合部位にのみ作用し
また、受容体への結合は可逆的で速やかに起こるものとする。


1 薬物 A は部分刺激薬(partial agonist)である。
2 薬物 A の pD2 値は約 6 である。
3 薬物 B は完全刺激薬(full agonist)であり、その内活性(intrinsic activity)
は 100 である。
4 10-5M  の薬物 B による収縮は、10-6M  の薬物 A により抑制されると推定でき
る。


薬物 A は、濃度を上げていっても、最大反応の約 50 %しか収縮が見られません。
よって、部分刺激薬であると考えられます。

pD2 値とは、-log ED 50 です。
薬物 A の ED 50は、約10-5.5と読み取ることができます。
よって、約 5.5 です。
選択肢 2 は誤りです。


内活性は、0~1の間の値をとります。
よって、内活性は100ではありません。
選択肢 3 は誤りです。


部分刺激薬である薬物Aによって、薬物Bとの競合的拮抗がおき
薬物Bによる収縮は抑制されると推定されます。


以上より、正解は 1,4 です。




問151

細胞膜受容体の情報伝達系に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 平滑筋のGsタンパク質共役型受容体が刺激されると、小胞体からのCa2+遊離が促進される。

 2 心筋のGiタンパク質共役型受容体が刺激されると、K+の細胞外流出が抑制される。

 3 血管内皮細胞のアセチルコリンM3受容体が刺激されると、Gqタンパク質を介して一酸化窒素合成酵素が阻害される。

 4 腎臓のナトリウム利尿ペプチド受容体が刺激されると、チロシンキナーゼの活性化による自己リン酸化が起こる。

 5 脊髄のグリシン受容体が刺激されると、Clの透過性が亢進する。


Gs タンパク質共役型受容体が刺激されると、AC(adenylate cyclase:アデニル酸シクラーゼ)が活性化されます。
AC 活性化により、細胞内 cAMP (cyclic AMP:サイクリックAMP)が増加します。
よって、Ca2+遊離が促進されるわけではないので、選択肢 1 は誤りです。
Gs ではなく、Gq タンパク質ならば、この記述は正しいです。


受容体が刺激されると、イオンの移動がおきるのは、イオンチャネル内蔵型受容体です。
しかし、Gi タンパク質は、イオンチャネル内蔵型受容体ではないので、選択肢 2 は誤りです。


M3 受容体が刺激されると、Gq タンパク質を介してNO (一酸化窒素)産生が促進されます。
よって、合成酵素が阻害されるわけではないので、選択肢 3 は誤りです。


ナトリウム利尿ペプチド受容体が刺激されると、細胞内 cGMP (cyclic GMP:サイクリックGMP)の増加が見られます。
この時、チロシンキナーゼの活性化による自己リン酸化はおきないので、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。
グリシン受容体は、抑制系の受容体です。
Cl-の透過性が亢進することで、静止電位が下がり、興奮しづらくなります。


以上より、正解は 5 です。




問152
レニン-アンギオテンシン系に
作用する薬物に関する記述のうち
正しいのはどれか。
2つ選べ。


1 アドレナリン β受容体遮断薬は
レニン分泌量を減少させる。

2 アルドステロン受容体遮断薬は
レニン分泌量を減少させる。

3 アンギオテンシンⅡ AT1 受容体遮断薬は
アルドステロン分泌量を増加させる。

4 レニン阻害薬は
血中のアンギオテンシン Ⅰ と
アンギオテンシンⅡの量を
減少させる。

5 アンギオテンシン変換酵素阻害薬は
血中のブラジキニン量を減少させる。


選択肢 1 は、正しい選択肢です。


関連事項としては
β1 受容体は、主に心臓に分布していますが
他に、腎臓にも分布しています。

そして、レニンは
腎臓で産生されるホルモンであり
β1受容体が刺激されると
レニン分泌が促進されることが知られています。

よって、β1 受容体が遮断されると
レニン分泌は抑制されます。



選択肢 2 ですが
レニンは、アンギオテンシノーゲンから
アンギオテンシンⅠを作る酵素です。

レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系は
血圧を上げる系です。


アルドステロン受容体を遮断すると
尿量は上昇し、血圧は降下します。

すると、血圧を上げようとするから
アンギオテンシンいっぱい欲しい となるので
アンギオテンシンを産生する酵素であるレニンも
たくさん作られる という流れになります。

以上より、アルドステロン遮断は
レニン分泌量の減少を引き起こすわけではありません。



選択肢 3 ですが
アンギオテンシンⅡAT1 受容体遮断による
降圧作用のメカニズムは、大きく2つあります。


1つめは、血管拡張作用です。
血管収縮させるのが、アンギオテンシンⅡなので
受容体遮断により、血管が拡張されて血圧が下がります。


2つめは、アルドステロン分泌抑制です。

アンギオテンシンⅡが受容体に作用すると
アルドステロン分泌が促進されます。

その結果
Na 再吸収が亢進し、循環血液量が増加することで
血圧が上がります。


遮断薬により、受容体が遮断されると
アルドステロン分泌が抑制されて、降圧作用を示します。


以上より
アンギオテンシンⅡAT1受容体遮断薬が
アルドステロン分泌量を増加させるわけでは、ありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。

アンギオテンシノーゲンから
アンギオテンシンⅠの産生が阻害されることで
まず、アンギオテンシンⅠの量が減少します。

そして、アンギオテンシンⅡの原料が、アンギオテンシンⅠなので
アンギオテンシンⅡの量も減少します。



選択肢 5 ですが
ブラジキニンは、痛みや空咳を引き起こすペプチドです。
アンギオテンシン変換酵素(ACE)は
ブラジキニンを不活化する酵素です。

ACEを阻害すると
ブラジキニンを不活化する酵素が阻害されるので
ブラジキニンの量は、増加します。減少では、ありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,4 です。



問152
アドレナリン作動薬の基本骨格に関する記述のうち
誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 基本骨格はフェニルエチルアミンである。

2 芳香環とアミノ基の間に炭素原子が3個存在する場合に
最も強いアドレナリン受容体刺激作用を示す。

3 アミノ基に結合しているアルキル置換基が大きいほど
アドレナリンβ受容体刺激作用が強い。

4 芳香環の3,4位にヒドロキシ基がつくことで
アドレナリンα及びβ受容体刺激作用は最大となる。

5 芳香環のヒドロキシ基がなくなると
中枢作用が強くなる。


選択肢 1 は、正しい記述です。
アドレナリン作動薬の基本骨格は
β-フェニルエチルアミン です。



選択肢 2 ですが
芳香環とアミノ基の間の炭素原子が 2 個の場合が
最も強いアドレナリン受容体刺激作用を示します。
3個では、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい記述です。
アルキル置換基が大きいほど
アドレナリン β 作用が上がります。



選択肢 4 ですが、正しい記述です。
3,4 位の OH は、α 及び β 作用を増強します。



選択肢 5 は、正しい記述です。
ベンゼン環に置換基がない場合
COMT という代謝酵素の作用を受けず
中枢移行しやすくなることがわかっています。
つまり、中枢作用が強くなります。



以上より、正解は 2 です。



問152

薬物依存に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 テトラヒドロカンナビノールは、身体的依存を生じるが、精神的依存は生じない。
2 エタノールは、身体的依存及び精神的依存を生じる。
3 休薬により退薬症状を生じる状態を、身体的依存と呼ぶ。
4 依存性薬物は、脳内報酬系におけるドパミン作動性神経を抑制する。


テトラヒドロカンナビノールは、大麻の主成分です。
幻覚作用があります。
精神依存性、耐性は弱く、身体依存性はありません。
よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2,3 はその通りの記述です。


依存性薬物は、脳内報酬系におけるドパミン作動性神経を興奮させます。
よって、選択肢 4 は誤りです。


以上より、正解は 2,3 です。




問152

交感神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。


 1 ナファゾリンは、アドレナリンβ2受容体を刺激し、鼻粘膜血管を拡張させる。

 2 エフェドリンは、アドレナリンβ受容体刺激作用及び交感神経節後線維終末からのノルアドレナリン遊離促進作用を示す。

 3 クロニジンは、交感神経節後線維終末のアドレナリンα2受容体を刺激し、ノルアドレナリン遊離を促進する。

 4 ラベタロールは、アドレナリンβ1受容体を選択的に遮断し、血圧を低下させる。

 5 ブナゾシンは、アドレナリンα1受容体を選択的に遮断し、眼圧を低下させる。



ナファゾリンは、α1 受容体刺激薬です。
血管収縮薬として点鼻で用いられ、鼻づまりの改善に用いられます。


選択肢 2 はその通りの記述です。
エフェドリンは、生薬であるマオウに含まれる有効成分です。
医薬品としては、風邪やぜん息の治療薬に添加されます。
又、覚せい剤原料物質です。


クロニジンは、選択的 α2 受容体アゴニストです。
α2 受容体を刺激し、ノルアドレナリンの分泌を抑制します。
よって、遊離を促進するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。
血圧を下げる薬として用いられてきた薬です。
最近は処方されることが少なくなってきています。(2012年時点)


ラベタロールは、α、β遮断薬です。
よって、β1 受容体を選択的に遮断させるわけではないので
選択肢 4 は誤りです。
血圧を下げる薬として用いられます。


選択肢 5 はその通りの記述です。
点眼で用いられ、緑内障治療に用いられます。


以上より、正解は 2,5 です。




問153 
交感神経系に作用する
薬物に関する記述のうち
正しいのはどれか。
2 つ選べ。

1 フェニレフリンは
アドレナリン α1 受容体を選択的に刺激して
血管を収縮させる。

2 フェントラミンは
非競合的にアドレナリン α1 受容体を遮断して
血圧を下降させる。

3 ラベタロールは
アドレナリン β1 受容体遮断作用があるため
反射性頻脈を引き起こす。

4 ミドドリンは
アドレナリン β2 受容体を刺激することで
子宮平滑筋を弛緩させる。

5 チラミンは
短時間内に反復的に静脈内投与されると
その昇圧作用が次第に弱くなる。


選択肢 1 は、正しい選択肢です。



選択肢 2 ですが
フェントラミンは、非選択的 α 遮断薬です。
非競合的に、α1 受容体のみを遮断するわけでは
ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
ラベタロールは、α、β 遮断薬です。

α 遮断で、血管拡張→血圧低下→反射的に脈が多くなる
というのが、反射性頻脈です。

ラベタロール使用時は
β遮断により、心機能も抑制されるため
この反射的に脈が多くなるということが
起きにくいという特徴があります。

従って、β1 受容体遮断作用があるため
反射性頻脈を引き起こすわけでは、ありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
ミドドリンは、α1 受容体刺激薬です。
β 2 受容体刺激薬では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。
チラミンは、間接型アドレナリン作動薬です。
薬剤の反復投与により、急速に効果を失います。
この現象を、タキフィラキシーと呼びます。


(交感神経系に作用する薬)




問153
眼に作用する薬物に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 ラニビズマブは
血管内皮増殖因子(VEGF)の働きを抑制し
脈絡膜の血管新生を抑制する。

2 イソプロピルウノブロストンは
アドレナリン α1 受容体を選択的に遮断し、
眼房水流出を促進する。

3 アプラクロニジンは
アドレナリン α2 受容体を刺激し、眼圧を低下させる。

4 ピロカルピンは
コリンエステラーゼを阻害し、瞳孔括約筋を収縮させる。

5 トロピカミドは
毛様体の炭酸脱水酵素を阻害し、眼圧を低下させる。


選択肢 1 は、正しい記述です。



選択肢 2 ですが
イソプロピルウノプロストン (レスキュラ)は
プロスタグランジン製剤です。

眼房水流出を促進させ、眼圧を低下させます。
BK(Maxi-K)チャネル作動薬です。
α1 選択的遮断薬では、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい記述です。



選択肢 4 ですが
ピロカルピンは、コリン作動薬です。
コリンエステラーゼ阻害剤では、ありません。

ちなみに、コリンエステラーゼ阻害剤は
ネオスチグミンなどです。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
トロピカミド(ミドリン)は
抗コリン薬です。
炭酸脱水酵素阻害薬では、ありません。

ちなみに、炭酸脱水酵素阻害薬は
アセタゾラミドなどです。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,3 です。



問153

交感神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 アテノロールは、アドレナリンα受容体を遮断し、脳血管平滑筋を弛緩させる。
2 ドブタミンは、アドレナリンα受容体を刺激し、鼻粘膜の血管を収縮させる。
3 メトキサミンは、アドレナリンα受容体を刺激し、末梢血管を収縮させる。
4 プロカテロールは、アドレナリンβ受容体を刺激し、気管支平滑筋を弛緩させる。
5 エフェドリンは、交感神経終末でのノルアドレナリンの再取り込みを促進し、気管支平滑筋を弛緩させる。


アテノロールは、β選択的遮断薬です。
α受容体を遮断するわけではないので、選択肢 1 は誤りです。


ドブタミンは、β選択的刺激薬です。
よって、α受容体を刺激するわけではないので、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3,4 はその通りの記述です。


エフェドリンは、混合型アドレナリン作用薬です。
受容体を刺激する上、神経伝達物質の遊離も促進します。
しかし、交感神経終末でのノルアドレナリンの再取り込みを促進は、しません。
よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 3,4 です。




問153

副交感神経系に作用する薬物に関する記述のうち、誤っているのはどれか。

1つ選べ。


 1 ジスチグミンは、シュレム管を開放し、眼房水の流出を促進する。

 2 ベタネコールは、ムスカリン様作用を示し、腸管の蠕動運動を促進する。

 3 カルバコールは、真性及び偽性コリンエステラーゼのいずれによっても分解されにくい。

 4 プロパンテリンは、前立腺肥大による排尿障害を改善する。

 5 ピロカルピンは、瞳孔括約筋を収縮させ、縮瞳を引き起こす。


ジスチグミンは、間接型コリン作動薬(可逆的コリンエステラーゼ阻害薬)です。
アセチルコリンは、シュレム管を開く方向に作用し、それにより眼房水の流出は促進されます。
これにより、眼圧低下が期待されます。


ベタネコールは、直接型コリン作動薬です。
M受容体に作用し、消化器の活動を促進させます。


カルバコールは、直接型コリン作動薬です。
コリンエステラーゼにより分解されにくいという特徴があります。


プロパンテリンは、抗コリン薬です。
抗コリン薬の有名な副作用として、排尿困難があります。
これは、排尿筋の収縮(尿を出そうとする動き)を抑制するためです。
よって、選択肢 4 は誤りです。


ピロカルピンは直接型コリン作動薬です。
瞳に対する作用としては、縮瞳を引き起こします。
収縮させる筋肉は瞳孔括約筋です。


以上より、誤っている選択肢は 4 です。




問154 
副交感神経系に作用する
薬物に関する記述のうち
正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 アセチルコリンは
血管内皮細胞において
一酸化窒素合成酵素(NOS)活性を
低下させる。

2 アセチルコリンのアセチル基を
カルパモイル基に置換すると
コリンエステラーゼによる分解を
受けにくくなる。

3 コリンエステラーゼ阻害薬は
ニコチン様作用のみを示す。

4 ブチルスコポラミンは
ムスカリン性アセチルコリン受容体を
非競合的に遮断する。

5 プロパンテリンは
第四級アンモニウム化合物で
末梢の
ムスカリン性アセチルコリン受容体を遮断して
鎮痙作用を示す。


選択肢 1 ですが
アセチルコリンは
血管内皮細胞において
NOS を活性化させます。
(その結果 NO 合成が促進
→血管拡張作用を示します。)


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は、正しい記述です。
(アセチル基を
カルバモイル基にすることで
コリンエステラーゼによる
分解を受けにくくした薬として
ベタネコールやカルバコールがあります。)


選択肢 3 ですが
コリンエステラーゼ阻害薬は
間接的に
ムスカリン様作用もニコチン様作用も
示します。
ニコチン様作用のみでは、ありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
ブチルスコポラミンは
ムスカリン性アセチルコリン受容体の
競合的拮抗薬です。
非競合的拮抗薬では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 2,5 です。



問154
運動神経を付けたまま摘出した
ラット神経一骨格筋標本を用いた実験におい
終板の膜電位変化と筋の張力変化を同時に記録した。

下図は、運動神経の電気刺激で発生する
終板の活動電位(図中 A)と
筋の張力変化(図中 B)を示したものである。

次の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。



1 A型ボツリヌス毒素は、A に影響せず、B を抑制する。
2 ベクロニウムは、A 及び B を抑制する。
3 スキサメトニウムは、A に影響せず、B を抑制する。
4 ダントロレンは、A に影響せず、B を抑制する。


選択肢 1 ですが
ボツリヌス毒素は、神経終末からの
アセチルコリン( Ach ) 放出を抑制します。

Ach は、神経伝達物質であり
「神経-筋」の間の情報伝達がなくなります。
この部分の情報伝達とは、図でいう膜電位の上昇(A)に
対応します。

つまり、Ach 放出が抑制されると
A に影響を及ぼすということになります。
A に影響せず、B を抑制するわけではありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は、その通りの記述です。
ベクロニウムは、競合的 Nm 受容体遮断薬です。
A が抑制され、その結果、B も抑制されます。



選択肢 3 ですが
スキサメトニウムは、脱分極性筋弛緩薬です。
すなわち、膜電位を、分極しっぱなしにします。
つまり、A に影響を及ぼします。
Aに影響せず、B を抑制するわけではありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい記述です。
ダントロレンは、筋肉の
興奮-収縮連関を抑制します。

つまり、図でいう A(興奮) には影響を及ぼさず
図でいう B(収縮)を抑制するということです。




以上より、正解は 2,4 です。




問154

中枢性及び末梢性筋弛緩薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 ベクロニウムは、筋小胞体のリアノジン受容体を遮断する。
2 ダントロレンは、骨格筋のニコチン性アセチルコリン受容体を遮断する。
3 チザニジンは、アドレナリンα受容体を刺激し、脊髄多シナプス反射を抑制する。
4 スキサメトニウムは、血漿中のコリンエステラーゼにより加水分解を受けて活性体を生じる。
5 A型ボツリヌス毒素は、運動神経終末からのアセチルコリン遊離を抑制する。


ベクロニウムは、競合的 Nm 受容体遮断薬です。
リアノジン受容体を遮断するわけではないので、選択肢 1 は誤りです。


ダントロレンナトリウムは、筋肉の興奮-収縮連関を抑制します。
作用点は、リアノジン受容体です。
よって、骨格筋のニコチン性アセチルコリン受容体を遮断するわけではないので
選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 はその通りの記述です。


スキサメトニウムは、脱分極性筋弛緩薬です。
血しょうのコリンエステラーゼにより、速やかに分解されるため
作用時間が短いという特徴があります。
よって、加水分解を受けて活性体を生じるわけではないので
選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 はその通りの記述です。


以上より、正解は 3,5 です。




問154

知覚神経系に作用する薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 コカインは、血管拡張作用を持つため、局所麻酔作用の持続時間が短い。

 2 プロカインは、皮膚・粘膜浸透力が強いエステル型局所麻酔薬で、表面麻酔に用いられる。

 3 テトラカインは、非イオン型が神経細胞膜の内側から作用し、電位依存性Na+チャネルを遮断する。

 4 オキセサゼインは、強酸性下でも局所麻酔作用を示し、胃潰瘍に伴う疼痛を緩和する。

 5 リドカインは、血中エステラーゼによる代謝物がアレルギー反応を起こしやすい。


コカインは、アルカロイド局所麻酔薬です。
ノルアドレナリンの再取り込みを阻止することで、間接的にノルアドレナリンの濃度を上昇させ
血管収縮作用を示します。

よって、血管拡張ではないので、選択肢 1 は誤りです。


プロカインは、エステル型の局所麻酔薬です。
組織浸透性が低いという特徴があり、表面麻酔には用いられません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


テトラカインは、エステル型の局所麻酔薬です。
神経細胞の中でイオン型になり、電位依存性Na+チャネルを内側から遮断します。

よって、非イオン型が作用するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 はその通りの記述です。
オキセサゼインは、強酸性下でも局所麻酔薬作用を示します。


リドカインは、アミド型の局所麻酔薬です。
エステラーゼでは分解されません。

よって、選択肢 5 は誤りです。




問155 
催眠・鎮静作用を示す
薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2 つ選べ。

1 フルニトラゼパムは
少量でrapid eye movement (REM) 睡眠を
強く抑制する。

2 レボメプロマジンは
γ-アミノ酪酸 GABAA 受容体の GABA 結合部位に作用する。

3 ジフェンヒドラミンは
中枢のヒスタミン H1 受容体を遮断する。

4 トリアゾラムは
細胞内へのCl- 流入を促進することで
神経の興奮を抑制する。

5 フェノバルビタールは
グルタミン酸 NMDA 受容体を刺激する。


選択肢 1 ですが
フルニトラゼパムは
ベンゾジアゼピン系の薬物です。

ベンゾジアゼピン系は 
REM 睡眠 の抑制が少ないことが
一つの特徴とされています。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
レボメプロマジンは、フェノチアジン系の薬物です。
D2 受容体遮断 に加え
α 受容体遮断作用などを有します。

作用機序は
完全に明らかにはされていませんが
GABAA 受容体に対する作用は知られておらず
正しいとはいえません。


よって、選択肢 2 は誤りであると考えられます。



選択肢 3,4 は、正しい選択肢です。

ちなみに
選択肢 4 のトリアゾラムも
選択肢 1 のフルニトラゼパムと同様に
ベンゾジアゼピン系の薬物です。



選択肢 5 ですが
フェノバルビタールは
GABA
A 受容体の
バルビツール酸誘導体結合部位に結合し
GABA 神経系の活動性を高めることで
抗てんかん作用を示します。

グルタミン酸 NMDA 受容体を刺激するわけでは
ありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3,4 です。




問155
痛みの治療に用いられる薬物に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 トラマドールは
Ca 2+ チャネルを直接遮断して
グルタミン酸の過剰放出を抑制する。

2 フェンタニルは
ノルアドレナリンの再取り込みを促進して
下行性の痛覚抑制系を活性化する。

3 プレガバリンは
オピオイドμ受容体を刺激して
上行性の痛覚伝導系を抑制する。

4 メキシレチンは
Na + チャネルを遮断して
知覚神経軸索における興奮伝導を抑制する。

5 ゾルミトリプタンは
セロトニン 5-HT1B 及び 5-HT1D 受容体を刺激して
血管を収縮させる。



選択肢 1 ですが
トラマドール(トラムセット)は
μ 受容体刺激 及び
セロトニン・ノルアドレナリン 再取り込み阻害作用を
併せ持つ、コデイン類似の化合物です。
Ca2+ チャネルを直接遮断する薬ではありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
フェンタニルは
μ 受容体作動薬です。
ノルアドレナリンの再取り込み促進は
知られていません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
プレガバリン(リリカ)は
Ca チャネル α2σリガンド に分類される
GABA 誘導体です。
μ受容体を刺激する薬ではありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4,5 は正しい記述です。



以上より、正解は 4,5 です。




問155

催眠薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

1 ゾルピデムは、ベンゾジアゼピンω受容体に選択性の高い催眠薬で、筋弛緩
作用に基づく副作用は少ない。
2 ラメルテオンは、メラトニン受容体を刺激し、睡眠覚醒リズムを調節する。
3 エスタゾラムは、中枢のヒスタミンH受容体を遮断し、睡眠を導入する。
4 フェノバルビタールは、抗痙れん作用が現れる用量以下で鎮静・催眠を引き起こす。



選択肢 1,2 はその通りの記述です。


エスタゾラム(ユーロジン)は、中時間型 Bz (ベンゾジアゼピン)系催眠薬です。
GABA受容体における Bz 結合部位に結合して作用します。
よって、H1 受容体を遮断するわけではないので、選択肢 3 は誤りです。


フェノバルビタールは、抗けいれん、鎮静、催眠作用を持つ薬です。
用法・用量は
不眠症以外の場合、1日30~200 mg を1~4回に分けて経口投与
不眠症の場合は、1回30~200 mg を、就寝前に経口投与
となっています。(2013.4月時点、添付文書)

よって、抗けいれん作用が現れる用量以下で鎮静・催眠を引き起こすという記述は
適切ではありません。
選択肢 4 は誤りです。



以上より、正解は 1,2 です。



問155

全身麻酔薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。


 1 亜酸化窒素は、最小肺胞内濃度 (MAC) が大きく、酸素欠乏症を起こしやすい。

 2 エンフルランは、ハロタンに比べ、カテコールアミンによる心室性不整脈を誘発しやすい。

 3 プロポフォールは、GABAB受容体を刺激し、速やかな麻酔作用を示す。 

 4 チオペンタールは、代謝及び排泄が速やかなため、作用が短時間で消失する。

 5 ケタミンは、グルタミン酸NMDA受容体を刺激し、意識の解離をもたらす。


最小肺胞内濃度とは、対象の半数を不動化させるのに必要な肺胞内における麻酔薬の濃度です。
EC50や、LD50の、吸入麻酔版と考えるとよいです。
値が小さい方が、少量でよく効きます。

亜酸化窒素(N2O:笑気とも呼ばれる)は、単独では完全に麻酔できないほど
MACが高い麻酔です。

又、血液/ガス分配係数が小さいため、血液がすぐに麻酔ガスで飽和します。
言い換えると、血液に溶けきれないガスが、肺胞内に充満しやすいです。
そのため、他の麻酔ガスと比べ、肺胞内の酸素を追い出しやすいという特徴があります。
よって、酸素欠乏症を起こしやすい麻酔です。

実際の使用においては、麻酔ガスの吸入中止後に、100%酸素を投与します。
最近では、ほぼ使用されなくなってきています。


ハロタンは、不整脈誘発をおこしやすい麻酔薬です。
この点を改良したのがエンフルランなどの◯◯フルランという名前の麻酔薬です。

よって、選択肢 2 は誤りです。


プロポフォールは、静脈麻酔薬の1つです。
特徴は、非ベンゾジアゼピン系であることです。
又、作用時間が超短時間です。これは、速やかに肝代謝を受けるからです。
GABAA受容体機能亢進により、麻酔作用を示します。

よって、GABAB受容体の刺激ではないので、選択肢 3 は誤りです。


チオペンタールは、静脈麻酔薬の1つです。
ヒスタミン遊離作用があるため、喘息患者に禁忌です。
又、脂肪組織に速やかに再配分されるため、作用時間が短いという特徴があります。

よって、代謝および排泄が速やかであるためではないので、選択肢 4 は誤りです。


ケタミンは、静脈麻酔薬の1つです。
NMDA受容体拮抗薬です。
意識を残した麻酔に用いられます。

よって、NMDA受容体を刺激はしないので、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1 です。