100-196~100-225 解説一覧


問196 - 199

慢性動脈閉塞症(バージャー病)の 65 歳男性。
安静時にも疼痛を訴えるため
医師からプロスタグランジン E1 
(アルプロスタジル)注射剤を
投与したいと、朝のカンファレンスにおいて提案があった。

プロスタグランジン E1 製剤とし
αーシクロデキストリンを合む
注射用アルプロスタジルアルファデクスと
ポ化製剤のアルプロスタジル注射液が
院内で採用されている。

医師は、2 つの製剤に関する情報提供を
薬剤師に求めた。



問196 (実務)
注射用アルプロスタジルアルフアデクスは
α-シクロデキストリン及び
乳糖水和物を含む
用時溶解型の凍結乾燥製剤である。

提供する情報として
誤っているのはどれか。1つ選べ。

1 溶解液には、生理食塩液を用いる。
2 溶解後 1 時間経過したものは、廃棄する。
3 静脈及び動脈内に持続的な投与が可能である。
4 本剤による治療は、対症療法に位置づけられる。
5 出血している患者には投与しない。



選択肢 1 は、正しい選択肢です。
注射用アルプロスタジルアルファデクスは
生理食塩液に溶かして用います。


実際の試験では
ピンポイントにこの知識がない可能性が高いです。

そこで、一つの考え方として
生理食塩液を加えた場合の代表的な配合変化といえば
塩析 に基づくもの。
→タンパク質が含有されているかどうか
→本製剤は プロスタグランジン+シクロデキストリン 
→塩析は生じない。 
→この選択肢が誤りではない 
といった考え方があると思います。



選択肢 2 ですが
溶解後、1時間で廃棄する必要はありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



この選択肢も、ずばりこの知識を
試験会場で思い出すのは
期待できないかもしれません。

そこで、一つの考え方としては
「静脈注射を実習で見学した時のこと」 などを参考に
「選択肢 3 と結びつけて推測」するのが
現実的ではないかと思います。

すなわち
「選択肢 2 が正しいと仮定する
→溶かして1時間で廃棄するような注射剤である
→(実習などからのイメージで)
よくある静注は時間をかけて投与していた。
2時間とかざら。
→1時間で廃棄するようなものなら、急速静注だろう。
→選択肢 3 で「持続的な投与」が可能 
としている記述と矛盾する。」 

と考えると
選択肢 2 か 3 が誤りであると考えられます。

これに加えて
アルプロスタジルアルファデクスの特徴として
「用法の一つとして、動脈内投与を行う」注射剤
であることがあげられます。

以上より
誤りの選択肢は 2 である と
判断できるとよいかと思います。



選択肢 3 ~ 5 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 2 です。



問197 (実務)
アルプロスタジル注射液10μgは
以下の組成のリポ化製剤である。

アルプロスタジル 10 μg
精製ダイズ油 200mg
高度精製卵黄レシチン 36mg
オレイン酸 4.8mg
濃グリセリン 44.2mg
pH調整剤


薬剤師が、医師に対して提供する
アルプロスタジル注射液の情報として
正しいのはどれか。2つ選べ。


1 澄明な溶液である。

2 凍結して保存する。

3 5%ブドウ糖注射液に混和して
点滴静注することができる。

4 ポリ塩化ビニル製の輸液セットを用いる必要がある。

5 病変部位に集積する性質をもつ。



選択肢 1 ですが
澄明(ちょうめい)である とは
澄みきっているということです。

脂肪製剤で乳化した薬は
白色など有色で、しかも濁っています。

よって、アルプロスタジル注射液も
澄明とはいえないだろうと考えられます。
(実際、白色 乳濁液 です。)


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
一般に注射液は
凍結を避けて保存します。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい選択肢です。

ちなみに
ブドウ糖注射液との配合変化が問題となるのは
アンピシリンなどです。
(還元されて分解が促進されてしまいます。)



選択肢 4 ですが
特に、脂溶性の高い薬剤使用では
ポリ塩化ビニル製の輸液チューブに使用される
可塑剤である DEHP の溶出が懸念されます。

※ DEHP:フタル酸ビス(2 - エチルヘキシル)
※ 可塑剤:柔軟性や変形しやすさ を与えるため加える物質


よって
DEHP フリーの輸液チューブの使用が
望ましいとされています。

ポリ塩化ビニル製の輸液チューブを
用いる必要があるわけでは、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 3,5 です。




問 198

注射用アルプロスタジルアルファデクス中の 
α -シクロデキストリンは
プロスタグランジン E をモル比 1 : 1 で包接する。

注射用アルプロスタジルアルファデクス(20 μg) を 25 ℃
1 mL 注射用水に溶解した。

この時
65% のプロスタグランジン E
α -シクロデキストリンから解離していた。

プロスタグランジン E
αーシクロデキストリンへの包接化の平衡定数(L・mol -1)として
最も近いのはどれか。1つ選べ。

ただし
この注射用粉末には
ブロスタグランジン E1 が 56.4 nmol
αーシクロデキストリンが 685 nmol 
含まれるとする。

1 8.1 ✕ 102
2 9.0 ✕ 102
3 9.0 ✕ 103
4 8.1 ✕ 104
5 9.0 ✕ 105



この解説では
α - シクロデキストリン を、「α」
プロスタグランジン を、「PG」
包摂体を、「Housetutai」 と、略します。

モル比 1 : 1 で包摂される、という記述から
「α + PE ⇄ Housetutai」 と表せます。

それぞれの濃度を
[α]、[PE]、[Housetutai] とすると

平衡定数 K は
です。


平衡時の、それぞれの物質の濃度を考えると
「65 % の PE が解離していた」という記述から

[PE] が、56.4 × 0.65 = 36.66です。

選択肢をざっと見ると
2 桁目までが重要なので
3 桁目で四捨五入して
[PE] ≒ 37 とします。

解離していた[PE]が 37 だから
包摂体となった分は 56.4 - 37 = 19.4 ≒ 20 
(計算が簡単になるから
ここでは 3 桁目を切り上げました。)


次に、[α] ですが、685 - 20 = 665 です。


最後に、[Housetutai] は
20 です。


以上より、K は

・・・(式1)

です。


正確に計算をしてもいいのですが
本番では思い切って
665→650、37→40 と
近似するとよいのではないかと
思います。

すると約分ができて
1/1300 ≒ 7.8 × 10 -4 です。

分母をかなり大きくしていることを考慮して
(665 × 37 を、650 × 40 としている。)
7.8 → 8 ぐらい と考えると、選択肢から
始めの数字としては、8.1 が近いので
正解は 1 か 4 とわかります。


後は単位合わせです。
分母に単位 nmol/mL が残っているのですが

n mol / mL = μmol / L (分母・分子を 1000倍) です。
μ も 平衡定数の単位には残っていないので
μ は、10-6 になおします。

分母には単位だけが残っているのですが
それでは少しわかりにくいので
「1× u mol/L」 と考えます。
すると、K は 以下のように表すことができます。

(以下の式は
「式1 を計算して、単位を残したもの」 であり
式1 と同じものを違う表現をしていると考えればよいです。)


分母・分子に 106 を掛ける と
8 × 102 なので、最も近いものを選ぶと
正解は 1 です。




問 199
リポ化製剤であるアルプロスタジル注射液は
ダイズ油を分散体の主成分とする
油滴分散体である。

この分散体を球体としたとき、分散体の内圧は、外圧に対して
どの程度高いか。最も近い値はどれか。1つ選べ。

ただし、以下に示すヤング・ラプラスの式が成り立つとし
油滴分散体の直径は、約120nm
分散体の主成分であるダイズ油の注射液界面に対する
界面ギブズエネルギーは、25mJ/m2とする。
ただし、分散体中の界面活性剤の影響はないものとする。

1 8.3 ✕ 104 Pa
2 1.7 ✕ 105 Pa
3 4.2 ✕ 105 Pa
4 8.3 ✕ 105 Pa
5 1.7 ✕ 106 Pa



公式に代入していくのですが
単位に注意します。

※ J = N・m  は
知っている前提となります。

J が仕事の単位であり
仕事は、力 × 距離 であることから
思い出すとよいかもしれません。



界面張力の所には、問題文から
きっと 25 (mJ/m2) を入れるんだろうな、と読みます。

ただし
正解の選択肢に 「m(ミリ)」がないから
m は、10-3 に直しておいて
25 × 10-3 (N・m)/m2  であり

更に m(メートル) が1つ約分できるので
25 × 10-3 N/m として代入します。


液滴の半径は
直径が問題文から 120 nm とあるので
60 nm です。

先ほどと同様に
正解の選択肢に「n」 がないから
n は、10-9 に直しておき
60 nm = 6.0 × 10-8 として代入します。 

すると

となり、計算すると
大体 8.3 × 105 となるので
正解は 4 です。


ちなみに、N/m2 = Pa です。




問200 
組換え医薬品に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 キメラ型の抗体医薬品は
ヒト由来の可変領域と
マウス由来の定常領域を有する。

2 組換え型ワクチン(ウイルス様粒子ワクチン)は
生ワクチンと比較して
ワクチンに由来する感染症への
感染リスクが低い。

3 組換え医薬品には
ステロイドホルモン、血液凝固因子
血小板活性化因子
サイトカイン、モノクローナル抗体などがある。

4 がん治療に用いられる
抗体医薬品の標的には
細胞表面抗原や増殖因子
血管新生に関わる分子などがある。



選択肢 1 ですが
キメラ型の抗体医薬品は
ヒト由来の定常領域 と
マウス由来の可変領域 を有します。

ヒトとマウス、もしくは可変と定常が
逆です。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は、正しい選択肢です。

生ワクチンには
絶対的なリスクの大きさは
とても低いものではありますが
他の種類のワクチンと比べると
高い感染リスクがあります。



選択肢 3 ですが
組み換え医薬品とは
組み換え DNA 技術により
生理活性タンパク質を人工的に製造し
製造した医薬品のことです。

ステロイドホルモンは、低分子化合物であり
タンパク質では、ありません。

従って、組み換え医薬品に
ステロイドホルモンは含まれません。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。

細胞表面抗原としては
CD 20 が代表例です。

増殖因子としては EGFR が
血管新生に関わる分子としては VEGF が
代表例です。


以上より、正解は 2,4 です。




間201 
組換え医薬品に分類される抗体医薬品は
凍結乾燥品であることが多い。
組換え医薬品の凍結乾燥に関する記述の
①、②の組合せとして適切なのはどれか。
1つ選べ。

水に溶けている試料の凍結乾燥品を調製する場合
水の変化を表す主たる現象は(①)である。

また(①)の現象の転移エンタルピーは
(②)のプロットの傾きから求められる。

ただし、相転移温度と蒸気圧との関係は
次に示すクラペイロン・クラウジウスの式
により表される。

選択肢 を見ると、1 に入るのは
「昇華」 か「蒸発」とわかります。


昇華とは、固体-気体間の状態変化です。
蒸発とは、液体→気体 の状態変化です。


凍結乾燥している物体なのだから
固体からの変化なので、1は昇華です。


次に、与えられた式の両辺を
積分した形は、以下のようになります。

相変化に伴う熱の移動 Clausius-Clapeyronの式

 


よって、横軸を 1/T 、縦軸を ln P とした時
傾きが「-ΔH/R」 となり、Rは定数なので
Δ H を計算することができる、ということがわかります。



以上より、正解は 5 です。




問202-203 
43歳男性、体重53kg。

呼吸器内科に通院中
肺炎を繰り返すようにな
気管支アスペルギルス症と診断され
入院となった。

入院時の持参薬は
以下のとおりであり
入院中も継続して服用した。

(持参薬)
メシル酸ガレノキサシン水和物錠 200mg
1回2錠( 1日2錠) 1日1回 朝食後

アンブロキソール塩酸塩錠15mg
1回1錠(1日3錠)
1日3回 朝昼夕食後

コデインリン酸塩散1%
1回2g ( 1日6g)
1 日 3回 朝昼夕食後



注射用ボリコナゾールを初日に600mg
2日目以降は 400mg を1日2回に分けて点滴静注し
投与開始 4 日目と 8 日目に
血中濃度を測定した。

その後、点滴静注から
ボリコナゾール錠 200mg を
1回1錠( 1 日 2 錠) 1 日 2 回の
内用剤に切り換えることになった。


問202
病棟の薬剤師が行うこととして
適切でないのはどれか。1 つ選べ。

1 ボリコナゾール錠は
現在服用中の他の薬剤と一緒に
食後に服用するよう患者に指導した。

2 ボリコナゾールを内用剤に切り換えた後
必要に応じて血中濃度を測定するよう
医師に提案した。

3 肝機能検査値の変化に
注意するようカルテに記載した。

4 咳がおさまったので
持参薬のうちコデインリン酸塩散の中止を
医師に提案した。

5 ボリコナゾール錠を服用し忘れたときは
次回にまとめて2錠を服用しないよ
患者に指導した。


問202 解説

選択肢 1 ですが
ボリコナゾールは、吸収の阻害を避けるため
食間服用です。

飲み忘れの危険性が高まるため
あえて一緒に飲んでもらうということも
考えられますが、薬剤師として推奨する というのは
適切ではない、と考えられます。


よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ~ 5 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 1 です。



ちなみに、ボリコナゾールは
血中濃度トラフ値と肝機能障害の関連性が
報告されています。

高いバイオアベイラビリティを有するため
注射剤から経口への変更を行える薬なのですが
内服への変更に伴い、TDM が推奨されています。


ボリコナゾールに関しては
他にも、「注射・注入時の一過性視力障害」 
について、患者が驚かないように
説明しておく必要があります。

さらに、光線過敏が起きることがあり
日光暴露は避けてもらうよう
指導を行います。




問203
血漿中ボリコナゾール濃度の定量に際し
下記の除タンパク操作を行った。
□ に入る最も適切な試薬はどれか。1つ選べ。



血漿試料に
内標準物質、□、および酢酸エチルを
加えて振とう・混和し

遠心分離を行って
上層の有機層を回収する。

溶媒を留去し
液体クロマトグラフィー用移動相に溶解して
液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)で
析する」

1 希塩酸
2 エタノール
3 エチレンジアミン四酢酸(EDTA)水溶液
4 過酸化水素水
5 飽和炭酸水素ナトリウム水溶液


問203 解説

酢酸エチルを加えて
振とう・混和 した後に遠心分離して
有機層を回収している ことから

ボリコナゾールは、有機層に含まれている
ということがわかります。


ボリコナゾールの構造に注目すると、N が多く
塩基性である、と考えられます。

塩基性の物質は
溶媒の pH が塩基性であれば
分子形の比率が高くなります。 

分子形であれば
有機層により移行するはずです。
(もしもイオン形が多い状態だと、極性が高いので
やはり極性が高い 水層へ分布するはずだから と
考えると、イメージしやすいかもしれません。)


よって
「ボリコナゾールが有機層に含まれている」
→ボリコナゾールは分子形で存在していた
→pH は塩基性 寄り のはず  です。


つまり、本問の操作によって
pH が塩基性寄りになるはずなので

選択肢の中から
pH を塩基に偏らせるものを探すと
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
しかありません。


よって、正解は 5 であると考えられます。




問204-205 
悪性リンパ腫の患者に対し
注射用シクロホスファミド水和物 950 mg を
500 mL の生理食塩液に溶解し
90 分間かけて点滴静注することになった。


問204(実務)
調製を担当する薬剤師が注意することとして
適切でないのはどれか。つ選べ。

1 ガウン、手袋(二重)、マスク、キャップなどで
皮膚を覆った状態で
安全キャビネット内で調製する。

2 バイアルに生理食塩液を加えるときは
予めシリンジで相当する空気を送り込んで
バイアル内を陽圧状態にしておく。

3 溶解操作を行ったときには
必ず目視で完全に溶解したことを確認する。

4 シリンジは、注射針が外れるのを防ぐため
ルアーロック式が望ましい。

5 調製によって生じたゴミは
チャック付のビニール袋等に入れる。



選択肢 1,3,4,5 は、正しい選択肢です。



選択肢 2 の記述ですが
バイアル内が陽圧
つまりバイアル内の圧力が高くなっていると
バイアルを開けた時に、外に向かって
吹き出してくることになります。
これは、暴露につながる危険な状態です。

バイアル内は、陰圧にしておきます。



以上より、正解は 2 です。




問205(物理・化学・生物)
調製作業後、安全キャビネット周辺の
シクロホスファミドの飛散状況を
液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)を
用いて確認することになった。

以下の記述のうち、正しいのはどれか。
2 つ選べ。



1 本薬物は難揮発性物質であるので
トリメチルシリル(TMS)化などの誘導体化が必要である。

2 本薬物は、大気圧イオン化法である
エレクトロスプレーイオン化(ESI)法により
イオン化される。

3 塩素の安定同位体は
整数原子量が 35 と 37 のものが
ほぼ 3:1 で存在するた

本薬物の分子イオンピークをMとすると
質量数がM、M +2、M +4の3本のピークは
強度比 約1:2:1で観測される。

4 本薬物の定量に
重水素標識体を内標準物質として用いる際には
その放射性があるため
使用場所が制限される。

5 本薬物のような低分子の測定では
タンデム型質量分析計を用い
プリカーサーイオン(前駆イオン)と
そこから生成するプロダクトイオンを選択すること
薬物に対する選択性が向上する。



選択肢 1 ですが
シクロホスファミドは、揮発性が高い物質として
知られています。
難揮発性物質では、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。



選択肢 3 ですが
原子量 35 の塩素 を Cl 35 
原子量 37 の塩素 を Cl 37 
と表します。


構造を見ると
シクロホスファミドには、塩素が2ヶ所あります。
それぞれが、Cl 35 である確率は、 75 % 
Cl 37 である確率は 25 % です。

従って
両方の塩素が Cl 35 である確率
→0.75 × 0.75 = 0.5625 (9/16)
両方の塩素が Cl 37 である確率
→ 0.25 × 0.25 = 0.0625 (1/16)
それぞれの塩素が Cl35、Cl37 1つずつである確率
→ 6/16 (1-9/16 - 1/16 で求めました。)
となります。

すると、分子イオンピークは
両方の塩素が Cl 35 である場合であり
この質量数を M とすると

M、M+2、M+4 のピーク比は
9:1:6 であると考えられます。
1:2:1 ではありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
重水素は、放射性物質では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 2,5 です。




問206-207 
43歳男性。胃潰瘍の治療のため
オメプラゾール腸溶錠 20 mg を
1日1回投与されることになった。


問206(実務)
オメプラゾール腸溶錠を
適切に使用するための情報として正しいのはどれか。
2 つ選べ。

1 逆流性食道炎の治療にも用いられる。

2 小腸の管腔内で活性体に変化する。

3 通常、胃潰瘍の治療では
最長8週間まで投薬できる。

4 CYP2D6 の活性が低い場合は
オメプラゾールの血中濃度が上昇しやすい。

5 併用すると
アタザナビル硫酸塩の吸収率が高まる。



選択肢 1 は、正しい選択肢です。



選択肢 2 ですが
胃酸での分解を避けるため、コーティングされており
腸で、オメプラゾールとして吸収されます。
そこで活性体に変化するわけでは、ありません。



選択肢 3 は、正しい選択肢です。
逆に言うと、8週間以上の投与は、保険適用外になります。
これは、作用が強く、治療に必要な時間が速いことが
わかっており、余計な投薬を避けるためです。

仮に、8週間以上症状が続くようであれば
胃潰瘍ではない疾患の疑いがでてきます。



選択肢 4 ですが
オメプラゾールの主な代謝酵素は CYP 2C19 です。
よって、 2D6 の活性が低くとも
血中濃度にほぼ影響はないと考えられます。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
アタザナビルとの併用は禁忌です。

これは、オメプラゾールが
胃酸分泌を抑制することで
アタザナビルの溶解性が低下し
吸収率が下がってしまうためです。

アタザナビルの吸収率が高まるわけでは、ありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1,3 です。




問207(物理・化学・生物)
オメプラゾールの構造及び
その生体内での変化に関して
誤っている記述はどれか。1 つ選べ。




1 オメプラゾールは
イオウ原子上に不斉中心を持つ。

2 Aはオメプラゾールの
分子内置換反応によって生成する。

3 BからCへの変換によって
生成する分子Eは水である。

4 Cは酵素Fの
システイン残基と反応してD になる。

5 オメプラゾールは
酵素Fを不可逆的に阻害する。



選択肢 1,3,4,5 は、正しい選択肢です。



選択肢 1,2,3 は
構造から判断できるとよいと思います。


誤っているのは、選択肢 2 です。
分子内「置換反応」ではなく
分子内「転位反応」です。



選択肢 4,5 に関しては
オメプラゾールの作用機序として
H/K/ATP ase のSH 基に結合し
不可逆的に酵素を阻害する、という点を
しっかりと覚えておくとよいと思います。



以上より、正解は 2 です。




問208-209 
53歳男性。
2型糖尿病のため、以前より
グリベンクラミド錠2.5mg 1錠 
ピオグリタゾン塩酸塩錠15mg 1錠を
1日1回服用していた。

春の定期健康診断で
胃がんが見つかり、手術の適応となった。

手術時には、経口薬が使えないた
以下の処方に切り替えることとなった。

(処方)
カリウム含有維持輸液製剤 500mL
20 % グルコース 40mL
超速効型インスリン 15 単位
よく混和し 50mL/時間で滴下し
1時間ごとに血糖値をチェックすること


問208(実務)
上記の処方により
手術時及び術後に
血糖値のコントロールが必要な理由として
誤っているのはどれか。
1つ選べ。

1 感染症のリスクが高くなる。
2 アルカローシスになりやすい。
3 高浸透圧性昏睡を生じる可能性がある。
4 手術侵襲により高血糖を起こしやすい。
5 創傷治癒の遅延が生じやすい。



手術により
外科的糖尿病と言われる状態が
作り出されるため
血糖コントロールが重要になります。


そして
周術期における高血糖は
・免疫能の低下による感染症のリスク増大
・浸透圧亢進に伴う昏睡の危険
・創傷治癒の遅延などにつながります。


さて、選択肢 2 ですが
高血糖に伴い問題となるのは
アシドーシスです。
アルカローシスでは、ありません。



以上より、正解は 2 です。


問209(物理・化学・生物)
次の化学構造で表される
ヒトインスリンに関する記述のうち
正しいのはどれか。
2つ選べ。



1 A 鎖の C 末端のアミノ酸はグリシンである。

2  ヒトインスリンの
アミノ酸の一部を置換した
超速効型インスリンは
二量体を形成しにくい。

3 3つのジスルフィド結合は
すべて
2本のペプチド鎖を互いに結合させている。

4 ジスルフィド結合は
システイン残基の酸化反応によって形成される。

5 インスリンは肝臓で A 鎖と B 鎖に開裂し
活性を発現する。



選択肢 1 ですが
A 鎖の C 末端
すなわち、フリーのカルボキシル基が
存在する残基は、「-OH」 に注目すれば
Asn つまり アスパラギンです。
グリシンでは、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は、正しい選択肢です。



選択肢 3 ですが
3つのうち1つの S-S 結合は
A 鎖の中で結合を構成しています。
すべての S-S 結合が
2 本のペプチド鎖を互いに結合させている
わけでは、ありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は、正しい選択肢です。



選択肢 5 ですが
インスリンは
A 鎖と B 鎖が結合している形で
活性を有します。
A 鎖と B 鎖に開裂して
活性を発現するわけでは、ありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2,4 です。





問210-211 
74歳女性。
大腸がんを原発とし転移性肺がんとなった。
病棟薬剤師1名が常駐する
緩和ケア病棟に入院となり、下記の薬剤が処方された。

(処方)
モルヒネ硫酸塩徐放錠60mg (12時間持続) 1回1錠(1日2錠)
1日2回朝夕食後7日分

酸化マグネシウム1回0.5g(1日1.5g)
1日3回毎食後7日分


問210(実務)
服用3日後、この患者は亡くなり
病棟から上記の薬剤が担当薬剤師に返却となった。

担当薬剤師の麻薬の廃棄への対応として
適切なのはどれか。2つ選べ。

1 返却された麻薬は
麻薬帳簿または廃棄簿に返却数を記載した。

2 担当薬剤師は返却された麻薬を
回収が困難な方法で、1人で廃棄した。

3 調剤済みの麻薬であったので
廃棄後、廃棄届を提出しなかった。

4 廃棄後、麻薬帳簿または廃棄簿に
廃棄したことを記載した。


問210 解説



選択肢 1 は、正しい記述です。



選択肢 2,3 ですが
返却された麻薬は、管理薬剤師が、他の職員の立会いの下に廃棄し
廃棄後30日以内に「調剤済麻薬 廃棄届」を保健所に提出します。

従って
1人で廃棄しては、いけません。
また、調剤済みで返却された場合であっても
廃棄届 の提出が必要です。


よって、選択肢 2,3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい記述です。



以上より、正解は 1,4 です。



問211(物理・化学・生物) ※不適切問題として削除された。
モルヒネの構造をもとに開発された鎮痛薬はどれか。2つ選べ。


解説なし。不適切問題として削除されたため。





問212-213 
80歳女性。
2年前に軽度アルツハイマー型認知症と診断され
現在ドネペジル塩酸塩錠5mg を服用している。

改訂長谷川式
簡易知能評価スケールを用いて評価した結果
ここ1年で軽度から中等度に悪化した。

そこで、カンファレンスで
治療方針について話し合うことになった。


問212(実務)
薬剤師からの提案事項として
適切なのはどれか。 2 つ選べ。

1 ガランタミン臭化水素酸塩錠を併用する。

2 ビペリデン塩酸塩錠を併用する。

3 ガランタミン臭化水素酸塩錠に変更する。

4 メマンチン塩酸塩錠に変更する。



選択肢 1 と 3 に注目すると
この 2 つが共に正しいことは、ありえません。
(「変更」したら「併用」ではないから、です。)
最低でも、一方が誤りです。


さて、選択肢 1 ですが
ガランタミンは、ドネペジルと同じ
アセチルコリンエステラーゼ(AchE)阻害薬です。

ドネペジルとの違いは、ニコチン性 Ach 受容体の
感受性を高める という点です。
(1日1回ではなく、2回 服用という違いもあります。)


同系統の薬であり、これらの薬の併用は
行いません。提案としては、変更が適当です。


よって、選択肢 1 は誤りです。
そして、選択肢 3 は正しい記述です。



次に、選択肢 2 ですが
ビペリデン(®アネキトン)は
パーキンソニズムに用いられる
抗コリン薬です。
アルツハイマー型認知症には、用いられません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



残った選択肢 4 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 3,4 です。



問213(物理・化学・生物)
以下の各医薬品と
それらが作用する酵素あるいは受容体に対する
内在性の基質あるいはリガンドの組合せとして
正しいのはどれか。2つ選べ。



選択肢 1 ですが
ドネペジルが作用する酵素は、AchE です。
選択肢 1 の基質またはリガンドとしてあげられているのは
グリシン です。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
ビペリデンが作用する受容体は、Ach 受容体です。
選択肢 2 の基質またはリガンドとしてあげられているのは
GABA です。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい選択肢です。
メマンチンが作用する受容体は
NMDA型 グルタミン酸受容体です。

そして、基質またはリガンドとしてあげられているのは
グルタミン酸です。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。
ガランタミンが作用する酵素は、AchE です。
そして、基質またはリガンドとしてあげられているのは
アセチルコリンです。



以上より、正解は 3,4 です。





問214-215 
36歳女性。
常に下腹部が張っていて
排便回数は3~4日に一度であり
排便後もすっきりしない。

最近は顔に吹き出物ができ
なかなか治らないため来局した。
薬剤師と相談し
大黄甘草湯を購入することとなった。

問214(実務)
この際、薬剤師が確認、指導する内容として
適切でないのはどれか。 1 つ選べ。

1 他の下剤の使用の有無を確認した。

2 妊娠していないかを確認した。

3 薬だけに頼らず
適度な運動を心掛けるよう指導した。

4 症状が良くならなくても
少なくとも2週間は服用するよう指導した。

5 脱力感や筋肉痛が現れ
徐々に強くなるようなら服用をやめ
申し出るよう指導した。



選択肢 1,2,3,5 は、正しい選択肢です。

他の下剤にも、大黄甘草湯の有効成分である
センノシドが含まれることがあり、併用は避けます。


大黄甘草湯は
流産の危険性を高める可能性があることから
妊娠中(可能性含む)の服用は
できるだけ避ける必要があります。

(医師の診断のもと
リスクとメリットを考慮した上で
処方されることはあります。


薬だけでなく
運動による改善も重要です。
運動不足による、腹筋等の筋力低下は
便秘の大きな原因だからです。


脱力感や筋肉痛は
カンゾウに含まれるグリチルレチン酸による
低カリウム血症に伴うミオパチーの
初期症状と考えられるため
脱力感や筋肉痛について注意が必要です。



選択肢 4 ですが
1週間を目安に、症状の改善が見られなければ
いったん服用を中止するよう指導します。

安易な下剤の長期連用は
更なる便秘の重症化につながるため
できるだけ避けるようにします。


よって、選択肢 4 は誤りです。



以上より、正解は 4 です。



問215(物理・化学・生物)
大黄甘草湯に含有される
センノシドA及びその誘導体に関連する記述のうち
しいのはどれか。2つ選べ。



1 センノシドAは
トリテルペンの一種である。

2 化合物A~Cは
腸内細菌が産生する酵素によって
生成される。

3 炭素aの絶対配置はS である。

4 化合物Cは
化合物Bの酸化的開裂によって生じる。

5 大黄甘草湯が示す
瀉下作用の活性本体は
化合物Cである。



選択肢 1 ですが
トリテルペンとは、ステロイドのような
6,6,6,5環 が、少しずれてくっついているような
構造の物質の総称です。
センノシドA のように、横にきれいに並んでいる
構造の物質は、違います。

ちなみに、センノシドは、アントラキノン類の一種です。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は、正しい選択肢です。
腸で働いて欲しい物質が、腸内細菌によって
活性代謝を受けるという点に注目すると
自然のドラッグデリバリーシステムと
いうことができます。



選択肢 3 ですが
不斉元素の R,S は

1:炭素とつながっている 
4つの原子の優先順位を定める

2:一番優先順位が低い原子を
目線の先に置いた構造をイメージする。
そして、残った3つの原子の優先順位を、1→2→3 と矢印でつなぐ

3:矢印が右回りなら、R、左回りなら、S

というステップを経て判断します。


まず、炭素 a から出ている原子は
一つだけ水素なので、明らかに水素の優先順位が
一番低いことがわかります。

次に、炭素 a から
上に出ている炭素を b 
左下に出ている炭素を c 
右下に出ている炭素を d とおきます。
これらの優先順位を、以下説明します。


b からつながっている元素は
炭素2つ、水素1つ です。

c,d からつながっている元素は
炭素3つです。

ここから、bの優先順位が
b,c,d の中では一番低い 『3』 です。


c,d からつながっている元素は
ほぼ対称で同じようですが
d からつながっている方にだけ 
COOH がついているため
こちらの方が、優先順位が高いと判断します。


以上より、b,c,d の優先順位は
b 『3』、c『2』、d『1』です。

ここまで、確実に各炭素の優先順位が
判断できているか確認してみてください。



次に、R,Sを判断するために
炭素 a と結合している元素の中で
明らかに優先順位が最も低い
点線でつながっている水素を
目線の先においた構造を考えます。

以下がイメージです。
dが『1』、cが『2』、bが『3』だから
d→c→bと矢印でつなぐと
右回りになります。


以上より
この炭素の絶対配置は R です。
Sではありません。



よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
腸内細菌は、主に還元、加水分解を行います。
酸化的開裂ではなく、還元的開裂です。


よって、選択肢 4 は誤りです。




選択肢 5 は、正しい選択肢です。
活性本体である化合物 c は
レインアンスロンと呼ばれます。



以上より、正解は 2,5 です。




問216-217 
20歳女性。体重40kg。
劇症肝炎のため
兄を臓器提供者とした生体部分肝移植を受けた。

タクロリムス水和物カプセル
1mg 1回2カプセル(1日4カプセル)
1日2回朝夕食後投与にて
維持療法を行っていたが
下記の処方が追加になった。

(処方)
ミコフェノール酸モフェチルカプセル
250mg  1回4カプセル (1日8カプセル)
1日2回 朝夕食後 7日分


問216
本患者の薬物療法に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 悪性腫瘍の発生に注意する。

2 高血糖症状の副作用発現に注意する。

3 免疫低下による感染の防止のため
乾燥弱毒生風しんワクチンを接種する。

4 ミコフェノール酸モフェチルは
タクロリムス水和物の副作用を
軽減する目的で使用する。



選択肢 1,2 は、正しい記述です。

免疫抑制療法により
悪性腫瘍の発症率が
健康人と比べると高くなることが知られており
注意が必要となります。

(しかし、移植後の定期的通院の元
早期発見、早期治療が期待されるため
過度の心配は不要であるといえます。)


また、免疫抑制剤である
シクロスポリンやタクロリムスは
副作用として高血糖が知られているため
注意が必要です。



選択肢 3 ですが
タクロリムス 及び
ミコフェノール酸モフェチル について
生ワクチンは、併用禁忌です。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
ミコフェノール酸モフェチルは
核酸合成阻害による免疫抑制剤です。

タクロリムスとは異なった機序による
免疫抑制を期待して用いられます。
副作用軽減が目的では、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



以上より、正解は 1,2 です。


問216-217 
20歳女性。体重40kg。
劇症肝炎のため
兄を臓器提供者とした生体部分肝移植を受けた。

タクロリムス水和物カプセル
1mg 1回2カプセル(1日4カプセル)
1日2回朝夕食後投与にて
維持療法を行っていたが
下記の処方が追加になった。

(処方)
ミコフェノール酸モフェチルカプセル
250mg  1回4カプセル (1日8カプセル)
1日2回 朝夕食後 7日分



問217
移植臓器に対する拒絶反応及び
その制御に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 臓器提供者(ドナー)と受容者(レシピエント)が
親子であれば
一般に拒絶反応は起こらない。

2 ドナーとレシピエントの
ヒト白血球抗原(HLA)の不適合は
拒絶反応の要因となる。

3 移植された臓器が
レシピエントの免疫反応により傷害される反応を
移植片対宿主反応
(graft-versus-host reaction, GVHR)という。

4 移植後、数日から数週間で起こる
急性拒絶反応に
T 細胞は関与しない。

5 タクロリムスは
細胞内の特定のタンパク質と複合体を形成し
転写因子の活性化に関わる
ホスファターゼを阻害する。



選択肢 1 ですが
親子であっても
拒絶反応が起こらないわけではありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は、正しい記述です。

(ちなみに、HLA が適合しても
臓器移植の拒絶反応の原因たる
抗原になり得るものは
HLA の他にも数多く存在します。

つまり、HLAの型を合わせることは
拒絶反応を減らしこそそれ
すべての拒絶反応が
回避できるわけではない点には
注意が必要です。)



選択肢 3 ですが
この記述は、拒絶反応に関するものです。

拒絶反応と GVHR は
攻撃する側とされる側が、正反対です。

すなわち
GVHR は
移植片が、免疫応答によって
レシピエントの臓器を攻撃することによる反応です。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
急性拒絶反応は
T 細胞介在性の反応です。
T 細胞が関与しないわけでは、ありません。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は、正しい記述です。




以上より、正解は 2,5 です。




問218-219 
77歳男性。
163cm、65.0kg、body mass index(BMI)24.5。
現在、糖尿病治療のため、下記の薬剤を服用している。

グリメピリド錠3mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回朝食後

ボグリボース錠0.3mg 1回1錠(1日3錠)
1日3回朝昼夕食直前

メトホルミン塩酸塩錠250mg 1回1錠(1日2錠)
1日2回朝夕食後


これまで、HbA1c(国際標準値)は
7.0%前後で推移していたが
最近になり9.0%まで上昇したため
以下の処方が追加された。

(処方)
アログリプチン安息香酸塩錠25mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回朝食前14日分


問218(実務)
上記の追加処方に関する記述のうち
正しいのはどれか。 2 つ選べ。

1 低血糖のリスクは
特にスルホニルウレア剤との併用により
増加するおそれがある。

2 併用により低血糖が起こった場合には
砂糖を摂取するように患者に伝える。

3 ボグリボースとの併用は禁忌なので
疑義照会が必要である。

4 飲み忘れを防止するために
食後服用への変更も可能である。


問218 解説


選択肢 1 は、正しい選択肢です。

SU 薬との併用において、重篤な低血糖による
意識障害を起こす症例が報告されており
注意が必要です。


選択肢 2 ですが
ボグリボースが投与されており
砂糖の摂取では、砂糖が分解されず
血糖の上昇が期待できません。

ブドウ糖を摂取するよう
患者に伝える必要があります。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
アログリプチンは
他の経口血糖降下薬との併用が可能な薬剤です。
ボグリボースとの併用は、禁忌ではありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。

ちなみにですが、本症例では
朝食前に2種類
朝食後に2種類
昼食前に1種類
夕食前に1種類
夕食後に2種類 と、複雑な用法になっており

飲み忘れの防止という観点から服薬指導を行う という点が
重要なケースであると考えられます。
服薬カレンダーの活用なども考慮すべき事例といえます。

そもそも、血糖値の上昇は
服薬が適切に行うことができていないためかもしれません。

さらに、飲み忘れた時の対処法について
どれぐらい理解できているか といった点もケアすべきであると
考えられます。



問219(物理・化学・生物)
糖尿病では血糖値の異常がおこる。
グルコース代謝に関する記述のうち
正しいのはどれか。 2 つ選べ。

1 血糖値は
筋肉から血中へグルコースが
放出されることにより維持される。

2 インスリンは
血液から筋肉へのグルコースの
取り込みを促進させ、血糖値を低下させる。

3 筋肉中で嫌気的代謝により生成した乳酸は
肝臓に運ばれてグルコースに変換される。

4 飢餓時には、肝臓でタンパク質が分解され
生成したアラニンが筋肉へ運ばれ
グルコースに変換される。

5 筋肉でのグリコーゲンの合成と分解は
肝臓とは異なり、同一の酵素によって触媒される。



選択肢 1 ですが
低血糖時における血糖の維持は
肝臓に蓄積されているグリコーゲン分解によって
行われます。

筋肉にもグリコーゲンがあり
グリコーゲンの分解により
G1P を経て、G6P が生じるのですが
筋肉には、G6Pをグルコースに変換する酵素が存在しません。

つまり
筋肉から直接血中にグルコースが
放出されることはありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。

ちなみに
選択肢 3 の回路は、コリ回路 と呼ばれます。



選択肢 4 ですが
空腹時には、筋肉からアラニンが放出され
肝臓に送られ、グルコースに変換されます。
記述は、肝臓と筋肉が逆です。

これを、グルコース-アラニン回路といいます。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
グリコーゲンの生成と分解を担う酵素は
場所によらず、異なります。
筋肉だから、同一の酵素で行われるということは
ありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,3 です。




問220-221 
55歳男性。
現在、統合失調症の治療のため
ピモジド製剤を服用中で、コントロール良好である。

健康診断(人間ドック)にて
混合型脂質異常症及び萎縮性胃炎との診断を受けた。
ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染の疑いがあり
精査したところ陽性であった。

そこで
脂質異常症の治療及びピロリ菌の除菌をすることになり
以下の処方せんを持って薬局を訪れた。

(処方1)
プラバスタチンNa錠10mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回夕食後14日分

(処方2)
イコサペント酸エチルカプセル300mg 1回2カプセル(1日6カプセル)
1日3回朝昼夕食前14日分

(処方3)
ランソプラゾールカプセル30mg 1回1カプセル(1日2カプセル)
アモキシシリンカプセル250mg 1回3カプセル(1日6カプセル)
クラリスロマイシン錠200mg 1回1錠(1日2錠)
1日2回朝夕食後7日分


問220(実務)
この処方せんを受け取った薬剤師が
疑義照会すべき内容はどれか。2つ選べ。

1 プラバスタチンNa錠の用法

2 イコサペント酸エチルカプセルの用法

3 ランソプラゾールカプセルと
イコサペント酸エチルカプセルの相互作用

4 アモキシシリンカプセルと
プラバスタチンNa錠の相互作用

5 クラリスロマイシン錠とピモジド製剤の相互作用


問 220 解説

選択肢 1 ですが
疑義照会すべき点はありません。

1日 10 mg を、1回又は2回に分けて服用する薬です。

夕食後となっているのは
コレステロールの生合成が夜間に亢進されるため
効果的であるとされているからです。

ただし
半減期が長いスタチンでは、いつ飲んでも変わらない
という結果があったり
他の薬も含めて、飲み忘れを避けるため などから
朝食後などになっていることも、よくあります。



選択肢 2 は、正しい選択肢です。

EPA製剤である
イコサペント酸エチルカプセル
空腹時ではあまり吸収されないため
食直後に服用する薬です。



選択肢 3,4 ですが
疑義照会すべき点は、ありません。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。

クラリスロマイシンがCYP阻害作用を有するため
ピモシドの血中濃度上昇により
副作用発現の危険性が高まる可能性があります。
併用禁忌の組合せの一つです。



以上より、正解は 2,5 です。



問221(物理・化学・生物)
ピロリ菌は、菌に特徴的な代謝反応を利用して
胃内で生存することができる。
の反応は、菌による感染の診断法として用いられている。
この代謝反応はどれか。1つ選べ。

1 L-グルタミンから
L-グルタミン酸とアンモニアを生成する反応

2 ホスホエノールピルビン酸とADP から
ピルビン酸とATP を生成する反応

3 尿素からアンモニアと二酸化炭素を生成する反応

4 L-アルギニンから
尿素とL-オルニチンを生成する反応

5 アセチルCoA とオキザロ酢酸から
補酵素A(CoA)とクエン酸を生成する反応



本問で指摘されている特徴的な代謝反応とは
ウレアーゼという酵素による反応です。

ウレアーゼは
尿素を、アンモニアと二酸化炭素に
分解する酵素です。

尿素は胃粘液にも含まれており
これをアンモニアに分解することで
胃酸を中和させます。


よって、正解は 3 です。




問222-223 
46歳男性。体重90kg。
足の親指が痛みだしたので、近医を受診したとこ
ろ、痛風と診断されフェブキソスタット製剤が処方された。


問222(物理・化学・生物)
フェブキソスタットの作用点としての
生体内代謝反応はどれか。1 つ選べ。

問222 解説

フェブキソスタットは
キサンチンオキシダーゼ(XO)阻害薬です。

キサンチンは、プリン骨格を有する
尿酸の材料です。

キサンチンオキシダーゼは
ヒポキサンチンをキサンチンへ酸化し
キサンチンをさらに尿酸へと酸化させる触媒として
働く酵素です。



選択肢 1 ですが
ウラシル→ジヒドロウラシル の反応です。
キサンチンオキシダーゼが関与する反応ではありません。



選択肢 2 ですが
ヒスチジン→ヒスタミン の反応です。
キサンチンオキシダーゼが関与する反応ではありません。



選択肢 3 は、正しい選択肢です。
キサンチン→尿酸 の反応です。



選択肢 4 ですが
チロシン→L-DOPA の反応です。
キサンチンオキシダーゼが関与する反応ではありません。



選択肢 5 ですが
アデノシン→イノシン の反応です。
キサンチンオキシダーゼが関与する反応ではありません。



以上より、正解は 3 です。



問223(実務)
今回の処方薬との相互作用が問題となるものはどれか。
1 つ選べ。

1 アザチオプリン
2 テプレノン
3 イミプラミン塩酸塩
4 タムスロシン塩酸塩
5 ジゴキシン


アザチオプリンの代謝物である
メルカプトプリンを代謝する酵素である
キサンチンオキシダーゼが阻害されることで

メルカプトプリンの血中濃度が上昇し
副作用発現の可能性が高まるため
相互作用が問題となります。


よって、正解は 1 です。




問224-225 
性ホルモンは
互いに類似の構造を有する
ステロイドホルモンである。

様な生理作用をもち
体毛の発育にも影響をおよぼす。


問224(物理・化学・生物)
性ホルモンに関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 下図のホルモンAがテストステロン
ホルモンBがエストラジオールである。

2 ホルモンAは、ホルモンBに
アロマターゼが作用して合成される。

3 テストステロンは
精巣のセルトリ細胞により
産生・分泌される。

4 テストステロンは
タンパク質同化作用があり
骨格筋を発達させる。

5 エストラジオールは
骨吸収を促進して骨のリモデリングを活性化する。



選択肢 1 ですが
B がエストラジオールということですが
「ジオール」には、OHが2つあるだろうから
誤りであると考えられます。


よって、選択肢 1 は誤りです。


ちなみに
ホルモン A がエストラジオールです。
ホルモン B がテストステロンです。



選択肢 2 は、正しい選択肢です。
テストステロンから
アロマターゼにより生成されます。



選択肢 3 ですが
セルトリ細胞は
精子形成細胞を保持・保護する細胞です。
産生・分泌する細胞では、ありません。
記述は、ライディッヒ細胞についてです。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。



選択肢 5 ですが
エストラジオールは骨吸収を抑制します。
促進では、ありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,4 です。



問225(実務)
国際大会出場予定の男子レスリング選手が
ヒゲを濃くする成分を含有した塗り薬が
あることを友人から聞いて来局した。

選手なので強そうな風貌になりたいとのことであった。
この薬局の薬剤師が
顧客に十分な説明をした上で
とるべき対応として最も適切なのはどれか。
1つ選べ。

1 テストステロンを含有する
軟膏を販売した。

2 エストラジオールを含有する
軟膏を販売した。

3 ミノキシジルを含有する
ローション剤を販売した。

4 ヒドロコルチゾン酢酸エステルを含有する
クリームを販売した。

5 男性ホルモンを主成分とした軟膏はあったが
販売しなかった。


®プラズマホルモン軟膏 など
メチルテストステロンを主成分とした製品があります。


しかし
いわゆるステロイドに分類される
男性ホルモン成分は
ドーピングとして常に禁止される物質です。

国際大会出場予定ということから
販売しない、というのが適切であると
考えられます。


従って、正解は 5 です。


ちなみに
総合かぜ薬によく含まれるエフェドリンは
競技会 一週間前ぐらいまでに服用してしまうと
陽性になることがあります。


漢方薬に含まれるマオウ は
やはりエフェドリンを含むため注意が必要です。


また
治療のため、禁止物質を使う必要がある場合は
TUE(治療使用特例)申請 が必要となります。