問49 一般に、薬物粉末の粒子径が小さいほど 薬物の溶解速度が大きくなる理由として 最も適切なのはどれか。 1つ選べ。 1 飽和溶解度の増大 2 比表面積の増大 3 粒子表面の拡散層の減少 4 薬物分子の拡散係数の増大 5 飽和層と内部溶液の薬物濃度差の減少 本問の解き方を、2つ紹介します。 1つめは、薬剤学で、溶解速度 と来たので ネルンスト-ノイエス-ホイットニーの式(下図参照)を 使う方法です。 左辺が溶解速度です。 右辺において D は、拡散係数 S は、固体の(比)表面積 V は、溶液の体積 δ は、拡散層の厚さです。 V や δ は溶液側の話なので 今回は無視します。 拡散係数 D は更に で表されます。 R、πは定数です。 ηは溶液の粘度なので、無視します。 Tは温度です。問題に記述がないので、無視します。 以上より、本問においてDに影響を与えるのは r 及び N です。 r は粒子の半径です。 N は粒子数です。 粒子径が小さくなると r が小さくなり、分母が小さくなるから 全体は大きくなります。 ですが、r が小さくなれば 粒子の数 N がその分増えているはずなので D はそれほど変化がないか むしろ大きくなっていると考えられます。 一方で、同じ重さの固体を考えると 粒子径を小さくして、小さなつぶをいっぱいにすれば (比)表面積 S は大きくなります。 以上より、溶解速度が大きくなる理由としては Sの増加、つまり比表面積の増加 が適切です。 以上より、正解は 2 です。 2つめの解き方としては 式で深く考えず 例えばコーヒー豆を挽いて粗くすると 水→コーヒーがあっという間なのはなぜか? 豆を挽いて表面積が多くなって 水といっぱい接触するから という感じで荒っぽく考えて 表面積の増加だから 正解は 2 と考えるという方法です。 どちらの考え方もできるようにしておくと 様々な問題に対応できるのではないかと思います。 参考) (物質の溶解と速度) |