100-166~180 解説一覧


問166 
薬物の吸収に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 口腔粘膜から吸収される薬物は
肝初回通過効果を回避できるが
小腸と比較して口腔の粘膜が非常に厚いため
速やかな吸収が期待できない。

2 肺からの薬物吸収は
一般に、Ⅰ型肺胞上皮細胞を介した
単純拡散によるものである。

3 皮膚の角質層の厚さには部位差があることから
薬物の経皮吸収も部位により大きく異なることがある。

4 鼻粘膜は、主に吸収を担う
多列繊毛上皮細胞が密に接着していることから
リアー機能が高く、一般に薬物吸収は不良である。

5 坐剤の適用は、即効性は期待できるものの
経口投与時と同程度に肝初回通過効果を受ける。



選択肢 1 ですが
口腔粘膜からの吸収は
肝初回通過効果を回避し、速やかに行われます。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。



選択肢 4 ですが
胃での分解を避けるために
点鼻薬を用いることがあることなどをふまえると
一般に薬物吸収が不良であるとは
いえないと考えられます。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
坐剤を使用すると
直腸下部(おしりに近い方)からの吸収において
肝初回通過効果を避ける事ができます。

(直腸上部からの吸収は
肝初回通過効果を受けます。)

ちなみに
吐き気止めであるナウゼリン坐剤や
解熱薬であるジアゼパム坐剤などが
代表的な薬です。



よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,3 です。



問167 
薬物代謝に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 シトクロムP450(CYP)による
酸化的代謝と比較して
抱合代謝やアルコールの酸化は
肝疾患による影響を受けにくい。

2 高齢者では、CYP による酸化的代謝と
グルクロン酸抱合代謝が同程度に低下する。

3 喫煙はCYP1A2の誘導を引き起こし
トリアゾラムの血中濃度を低下させる。

4 CYP の遺伝子多型では
代謝活性が上昇する場合や低下する場合がある。



選択肢 1 は、正しい選択肢です。



選択肢 2 ですが
通常、年齢は
抱合による代謝を受ける薬物のクリアランスに
大きく影響しません。

一方で、CYP 3A4 などは
加齢により活性低下が見られます。

同程度に低下するとは、いえません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
喫煙が、CYP 1A2 の誘導を引き起こします。

しかし、トリアゾラムの代謝は
主に CYP 3A4 で行われます。

そのため、血中濃度は
ほとんど変化しないと考えられます。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 1,4 です。





問168 
肝臓で一部が代謝され
一部は未変化体のまま胆汁排泄される薬物について
その肝クリアランスが低下する要因となり得るのはどれか。
2 つ選べ。

1 心拍出量の増大
2 血中タンパク結合の阻害
3 肝取り込みの阻害
4 肝代謝酵素の誘導
5 胆汁排泄の阻害



肝クリアランスは
血流量 Q × 抽出率 Eh  で表されます。

(これは、覚えている必要はなくて
「肝クリアランス=肝臓でどれくらい薬物が除かれるか」 であり
薬物を運んでくるのは血液だから、Q に比例 して
肝臓が薬をどれだけ取り除くかが抽出率 
と考えれば思い出せるのではないでしょうか。

ちなみに
抽出率 は、より具体的に考えると
肝代謝酵素 だったり
血中タンパク質との薬物の結合が関与します。
それらを含んだ式も見たことがあると思います。)



選択肢 1 ですが
心拍出量が増加すると
心臓がバクバク動くので
血流量が増加すると考えられます。

すると、肝臓へ流れ込む血液量も増加し
肝臓へ流れ込む薬物量も増加します。
よって、肝クリアランスは増加すると考えられます。
低下する要因では、ありません。


イメージとしては 
舞台がスーパーなどのお会計で
肝臓を、「レジ」
血液を、「レジに並ぶ人」
薬を、「人が持っているカゴの中身」 
肝クリアランスを、「レジで商品バーコードをスキャンした量」 
とたとえまして

レジに並ぶ人(=血液量)がどんどん増えてくれて
レジがフル回転して
どんどんカゴの中身をスキャンすることができ
スキャンした商品の量、すなわち肝クリアランスは
増加するというイメージです。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
血中タンパク結合の阻害 がおきると
薬物は血中でフリーになります。
すると、肝臓へとより分布するので
肝クリアランスは増加すると考えられます。
低下する要因では、ありません。


イメージとしては
先のレジのたとえに加えて
「商品が、盗難防止目的で
棚から取り出せなくなっている状態」が
血中タンパク質と結合している薬物 
と考えるとよいかもしれません。

血中タンパク結合が阻害される とは
店員さんを呼んで商品をわざわざ
取り出してもらわなくても大丈夫になる
→商品をさくさくとれる
→どんどんとってレジにもっていける
→レジにもっていく商品の量が多くなる
→スキャンする商品の量が多くなる というイメージです。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい選択肢です。


肝取り込みが阻害されるとは
先のたとえでいうと
数台あるレジのうち、何台かにおいて
レジトラブルがおきた ようなものです。

急にこむし、流れは滞って
スキャンする商品の量は減少する イメージです。



選択肢 4 ですが
肝代謝酵素が誘導されると
肝臓でどんどん薬が代謝されるようになり
肝クリアランスは増加すると考えられます。
低下する要因では、ありません。


先のたとえでいうと
レジ応援がいっぱいきてくれて
各レジに2人ついてくれて
がんがんスキャンしてくれて
スキャンする商品の量は増加する イメージです。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。

胆汁排泄の阻害がおきるとは
先のたとえに加えて
レジスキャンしないで、テープだけ貼って処理する
ドリンクの箱ケース買い が
胆汁排泄であると考えるとよいかもしれません。
(この場合は、テープを貼れば
スキャンした商品の量に加わっていると考えます。)

そして、阻害がおきるとは
ちょうどテープが切れてしまい、わたわたしている状態のようなものです。

ひとまず
他の商品はスキャンして通すことができますが
ドリンクが処理できず
全体としては、スキャンする商品の量が減少します。



以上より、正解は 3,5 です。





問169 
新生児・小児の薬物動態に関する
記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 新生児では成人に比べ
体重当たりの総体液量が多いので

水溶性薬物であるセフェム系抗生物質などは
体重当たりの投与量が
成人より多めに設定されることが多い。

2 新生児の体表面積当たりの
糸球体ろ過速度は成人の20~ 30%であり
成人と同程度になるには5~7年を要する。

3 フェニトイン代謝能は、生後、急激に上昇する。

4 一般に、硫酸抱合と比較して
グルクロン酸抱合代謝能の発達は早い。

5 1~3歳児における
テオフィリンの体重当たりのクリアランスは
成人より低い。


選択肢 1 は、正しい選択肢です。
赤ちゃんの方が
みずみずしくプリっとしていることから
前半の記述(体重当たりの体液量が多い)を
イメージするとわかりやすいかもしれません。



選択肢 2 ですが
新生児の糸球体ろ過速度は
生後半年弱で成人と同程度になります。
5~7年は要しません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい選択肢です。



選択肢 4 ですが
硫酸抱合と、グルクロン酸抱合が逆です。

新生児の抱合能に関して
グルクロン酸抱合能の発達は遅い という点を
特に意識して覚えておくとよいです。

(サリチル酸やアセトアミノフェンが
成人では、グルクロン酸抱合体として排泄されるが
10歳未満では、硫酸抱合体として排泄される
といった違いに反映されます。)


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
低いではなく、高いです。

小児の方が代謝活性が高い
代表的な薬物として
フェノバルビタール、フェニトイン
カルバマゼピン、テオフィリンなどがあります。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,3 です。





問170 
薬物を静脈内投与したとき、表に示すパラメータが得られた。
この薬物の全身クリアランスに関する記述として
最も適切なのはどれか。1 つ選べ。

ただし、この薬物は肝代謝と腎排泄によって体内から消失し
肝血流量は 100L/h とする。



1 肝血流量の変動の影響を顕著に受ける。

2 肝代謝酵素阻害の影響を顕著に受ける。

3 肝代謝酵素誘導の影響を顕著に受ける。

4 薬物が結合する
血漿タンパク質量の変動の影響を顕著に受ける。

5 腎機能の変動の影響を顕著に受ける。



全身クリアランスを、CLtot (表より、100 (L/h) )
肝クリアランスを、CLh
腎クリアランスを、CLr とおきます。

(ちなみに
h は、hepatic(肝臓の) の略
r は、renal(腎臓の) の略 です。)

CLtot = CLh + CLr です。

尿中未変化体排泄率が 10 % だから
腎クリアランスが CLtot × 0.1 = 10 (L/h) です。
100 = CLh + 10 なので
CLh = 90 (L/h) とわかります。

ここで、全身クリアランスのうち 90 % が
肝クリアランスなので
全身クリアランス≒肝クリアランスと考えます。



肝血流量が、問題文より 100 (L/h) で
肝クリアランスが、90 (L/h) とわかったので
肝抽出率(Eh)が、CLh/Qh なので
90/100 = 0.9 とわかります。


Eh > 0.7 の場合は
CLh = Qh と考えてOKです。
すなわち、血流依存性薬物と考えられます。


以上より、肝クリアランスが、肝血流の影響を顕著に受け
全身クリアランス≒肝クリアランスであるため

全身クリアランスが、肝血流の影響を顕著に受ける
ということがわかります。


従って、正解は 1 です。





問171 
薬物 A をヒトに 60mg 経口投与した後の
血中濃度時間曲線下面積 (AUC) が 600ng・h/mL であった。
薬物Aを8時間毎に経口投与し
定常状態における平均血中濃度を150ng/mL にしたい。
投与量 (mg) として、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。

ただし、薬物Aの体内動態は
線形1-コンパートメントモデルに従うものとする。

1 30 
2 60 
3 90 
4 120 
5 150



AUC = D/CL です。
(これは、覚えておく必要があります!)

D= 60mg = 60,000,000ng の時
AUC が600ng・h/mL なので、CL = 100,000(mL/h) とします。 


頻回投与における平均血中濃度なので
Css = (D/τ) / CL です。 
(これも重要公式なので、覚えておく必要があります。)

これは書きかえると
Css = ( D/CL ) × ( 1/τ ) です。

本問では、τ = 8 (h) です。



従って
150 (ng/mL) = D/100,000 × 1/8 
を満たす D を考えます。

すると、D = 120,000,000 (ng) です。
mg に直すと、120 mg です。


以上より、正解は 4 です。





問172 
治療薬物モニタリング(TDM)に活用されている
母集団薬物速度論に関する記述として
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 1点の血中濃度測定値から
その患者の薬物動態パラメータが推定できるの
母集団パラメータを事前情報として用いるからである。

2 母集団薬物速度論は
個体内変動の要因解析に利用されることも多い。

3 母集団薬物速度論は普遍性が高いため
同種同効薬であれば、同じ母集団パラメータを適用できる。

4 母集団薬物速度論を用いても
薬物投与後の血液採取時間に関する情報がなければ
患者の薬物動態パラメータの推定は不可能である。

5 体重や腎機能は個々の患者によって異なるため
母集団薬物速度論モデルに組み込んでも
薬物動態の予測精度は向上しない。



選択肢 1 は、正しい選択肢です。

本来、パラメータの数だけ、血中濃度を測定しないと
変数に対して、式が足りないのですが
母集団パラメータを事前情報として用いることで
採血1回で推定を行うことができ、患者負担を軽減できます。



選択肢 2 ですが
母集団薬物速度論とは
多数の患者のデータを収集した上で
集団における平均的な薬物動態パラメータを元にした
考え方です。

従って、個体内ではなく
集団に関する変動の要因解析に
用いられる方が妥当であると考えられます。


よって、選択肢 2 は誤りであると考えられます。



選択肢 3 ですが
薬が違えば、同種同効薬であったとしても
薬物動態パラメータは異なると考えられます。

(同じCa拮抗薬でも
肝代謝メインだったり、腎代謝メインだったりすることから
推測できると考えられます。)


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、その通りの記述です。

イメージとしては
座標中の1点が与えられれば
グラフが書ける というのが母集団速度論ですが

採取時間が与えられないと、x 座標が不明となり
血中濃度= y 座標 のみでは
1点を指定できないため、パラメータ推定は不可能です。



選択肢 5 ですが
個体間変動をより詳細に予測することが可能になると
考えられます。


具体例を考えると、薬を投与して
1分後の血中濃度が A:10,B:20,C:30 で、平均が20 とします。
2分後の血中濃度が A:9.5、B:18、C:2.5 で、平均が10 とします。

A~C3人の体重がそれぞれ 
200kg, 180kg,50kg であるとします。


この情報を組み込まずに動態を予測すると
1分後の血中濃度が 20 なら
きっと 2 分後 10 だろう となります。

しかし、体重をモデルに組み込んだ上で
サンプルの体重が 50kg で、1分後の血中濃度が20だとすれば
もっと血中濃度が下がっているのではないか と考えられ
予測の精度は向上すると考えられます。


よって、選択肢 5 は誤りであると考えられます。



以上より、正解は 1,4 です。





問173 
薬物の溶解及び放出に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 結晶多形間で異なる溶解速度を示すのは
各々の固相における化学ポテンシャルが
異なるためである。

2 Higuchi 式において
単位面積当たりの累積薬物放出量の平方根は
時間に比例する。

3 球体である薬物粒子が
形状を維持したまま縮小しながら溶出する時の
溶解速度定数は、Hixson-Crowell 式を用いて算出できる。

4 回転円盤法により
固体薬物の表面積を経時的に変化させて溶解実験を行い
Gibbs 式を用いることで薬物の溶解速度定数を算出できる。



選択肢 1 は、正しい記述です。
化学ポテンシャルが高い多形の方が
溶解速度が速いです。



選択肢 2 ですが
Higuchi の式は、以下のように表されます。


※Q:単位面積当たりの累積薬物放出量
※D:拡散定数
※A:マトリックス中の薬物の全濃度、Cs:溶解度
※t:時間

従って、単位面積当たりの累積薬物放出量が
時間の平方根に比例します。

単位面積当たりの累積薬物放出量の平方根が
時間に比例する わけでは、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい選択肢です。

Hixson - Crowell 式は、以下のように表されます。


※W0:固体粒子の初期質量
※W:時間tにおける固体粒子の質量
※k:みかけの溶解速度定数


選択肢 4 ですが
回転円盤法を用いる理由は
溶解する固体の表面積を一定にするためです。
表面積を経時的に変化させて では、ありません。
また、用いる式は、Noyes - Whitney 式 です。


よって、選択肢 4 は誤りです。



以上より、正解は 1,3 です。





問174 
界面活性剤に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 イオン性界面活性剤において
アルキル鎖が長くなるほどクラフト点は低くなる。

2 親水性親油性バランス(HLB)値が
小さい界面活性剤ほど、疎水性が高い。

3 HLB 値が3.7 の界面活性剤 2g と
HLB 値が11.5 の界面活性剤 1g を混合して得た
界面活性剤のHLB 値は、7.6である。

4 イオン性界面活性剤水溶液のモル電気伝導率は
臨界ミセル濃度以上で急激に減少する。

5 臨界ミセル濃度以上では
界面活性剤分子はミセルを形成するため
単分子として溶解しているものはない。



選択肢 1 ですが
クラフト点は、炭素数が多いほど
つまり、アルキル鎖が長いほど、高くなります。

アルキル鎖が長くなるほど
クラフト点が低くなるわけでは、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 は、正しい選択肢です。



選択肢 3 ですが
3.7 × 2/3 + 11.5 × 1/3 
= 6.3 です。

7.6 では、ありません。
(7.6 という数字は、単純に 3.7 と 11.5 の平均を
ひっかけ数字として用いたと思われます。)


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。



選択肢 5 ですが
単分子で溶解しているものも存在すると
考えられます。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 2,4 です。





問175
 高分子及びその溶液に関する記述のうち
正しいのはどれか。 2 つ選べ。

1 線状高分子は
良溶媒中で収縮してコイル形状となる。

2 マクロゴール20000
(分子量20,000のポリエチレングリコール)は
室温で水に不溶である。

3 毛細管粘度計は
非ニュートン流体の粘度測定に適する。

4 高分子溶液の極限粘度から
高分子の平均分子量を求めることができる。

5 Voigt 粘弾性の力学的モデルでは
応力一定のとき、ひずみは時間と共に増大
一定の値に収束する。



選択肢 1 ですが
良溶媒中では、溶媒分子が
ごちゃっとからまっている高分子の間に入り込み
分子をぐいっとひきのばします。(膨潤)
その結果、鎖状となります。

収縮して、コイル形状になるわけではありません。
(貧溶媒中に関する記述であると考えられます。)


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
マクロゴールは、水に可溶です。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
毛細管粘度計は、ニュートン流体にのみ用いられます。
非ニュートン流体の測定には適しません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4,5 は、その通りの記述です。

ちなみに、Voigt (フォークト) モデルとは
ばねとダッシュポットが並列に結合したモデルのことです。



以上より、正解は 4,5 です。





問176 
真密度が 1.2g/cm3 の粉体を 
500mL の容器にすり切り充てんしたところ
体層の空隙率は 25 %であった。

この容器をタッピングしたところ
粉体層の空隙率は 17 %となった。

タッピング後の粉体層のかさ密度(g/cm3 )に
最も近い値はどれか。1 つ選べ。

1 0.7 
2 0.8 
3 0.9 
4 1.0 
5 1.1



かさ密度は、タッピングした後の体積で
粉の重さを割ることで求めることができます。


本問のイメージは、下図になります。
(右が、とんとんとタッピングした後です。)


まず、タッピング前に注目すると
空隙率が 25 % なので、実際に粉が占めているのは
75 % です。
500 mL の 75 % なので、 375 mL となります。

粉の密度は、1.2 g/cm3 なので
粉の重さは 375 × 1.2 = 450 g です。
これで、粉の重さがわかりました。


次に
タッピングの後の全体の体積を x mL とすると
空隙率が 17 % なので、実際に粉が占めているのは
83 % です。

x mL の 83 % なので
 0.83 x mL と表されます。

そして、重さを考えると
0.83 x × 1.2 = 450 となります。


ここから x を計算すると
ほぼ 450 mL となります。
これで、タッピング後の体積がわかりました。



以上より、かさ密度は 
450 ÷ ほぼ 450  ≒ 1.0



よって、正解は 4 です。





問177 
注射剤の溶剤に関する記述のうち
正しいのはどれか。2つ選べ。

1 通例、生理食塩液及びリンゲル液は
注射用水の代用として用いることができる。

2 皮内、皮下及び筋肉内投与のみに用いる水性溶剤は
エンドトキシン試験法の適用を受ける。

3 エタノールやプロピレングリコールは
非水性注射剤の溶剤として用いることができる。

4 鉱油試験に適合する流動パラフィンは
非水性注射剤の溶剤として用いることができる。

5 溶剤に注射用水を用いた場合は
添付する文書、容器もしくは被包に
溶剤が注射用水であることを記載する必要がある。


選択肢 1 は、正しい選択肢です。



選択肢 2 ですが
原則として、注射剤にはエンドトキシン試験法
もしくは発熱物質試験法が適用されます。

しかし、皮内、皮下 および筋肉内投与に用いる注射剤は
エンドトキシン試験法の適用を除かれています。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 は、正しい選択肢です。



選択肢 4 ですが
非水性注射剤の溶剤には通例、植物油を用います。

また、鉱油試験とは
鉱油の混在を確認する試験であり
鉱油が含まれなければ試験の合格なのですが
パラフィンとは、まさに鉱油のことです。

そのため、記述がおかしいと
考えてもよいのではないかと思います。


よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 ですが
溶剤の規定が本剤でない場合には
注射用水 若しくは 0.9 % 以下の塩化ナトリウム液
又は pH を調節するための酸若しくはアルカリを用いたときを除き
溶剤の名称を記載します。

よって、注射用水の場合は
記載する必要はありません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 1,3 です。





問178 
下図は、乾燥工程中における
乾燥時間と試料温度及び
試料の含水率との関係を表している。

乾燥に関する以下の記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。



1 乾燥初期の期間(Ⅰ)では
試料温度の上昇にエネルギーが消費されるので
乾燥速度は低下する。

2 試料の含水率は
全乾燥工程中、直線的に減少する。

3 期間(Ⅱ)では
加える熱量と水分の蒸発に伴う気化熱が等しくなり
乾燥速度及び試料温度はほぼ一定となっている。

4 限界含水率より含水率が低くなる期間(Ⅲ)では
試料温度が上昇しても、乾燥速度は低下する。

5 乾燥終了時には
含水率は0%になっている。



選択肢 1 ですが
期間Ⅰのグラフに注目すると
少しわかりにくいのですが、上に凸で、減少しているように
見えます。

上に凸ということは、だんだん含水率の減少速度が
速くなっている、ということです。

含水率の減少する速度とは
まさに乾燥速度です。

以上より
乾燥速度は、期間Ⅰにおいて、上昇しています。
低下では、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが、期間Ⅰ、及びⅢを見ると
グラフがぐにゃっと曲がっており
含水率が全期間で直線的に減少している
ということは、ありません。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3,4 は、正しい選択肢です。



選択肢 5 ですが
含水率は、横軸とは交わっていません。
従って、含水率は 0 % にはなっていません。


よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 3,4 です。





問179 
滅菌に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 最終滅菌法を適用できる医薬品には
通例、10-4 以下の無菌性保証水準が得られる条件で
滅菌が行われる。

2 通常、医薬品の分解における活性化エネルギーは
滅菌の活性化エネルギーに比べて大きい。

3 加熱滅菌における微生物の死滅は
見かけ上2次速度過程となる。

4 発熱性物質(パイロジェン)は
250℃、30分以上の乾熱滅菌で破壊される。

5 医療器具や衛生材料の滅菌には
酸化エチレンガスが広く用いられる。



選択肢 1 ですが
最終滅菌法では、10 -6 以下の無菌性保証水準が
採用されます。
10 -4 では、ありません。


よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2 ですが
滅菌の活性化エネルギーの方が大きいです。

医薬品の多くは
室温保存でも、しばらくたてば
ある程度分解することを考えれば
活性化エネルギーは
それほど高くないと考えられます。

一方、菌をほっておいて、熱で分解される
イメージはあまりないのではないでしょうか。
そこから「滅菌の活性化エネルギー」は
かなり高いと、判断できると考えられます。


よって、選択肢 2 は誤りです。



選択肢 3 ですが
見かけ上、1次速度過程となります。
2次速度過程では、ありません。


よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4,5 は、正しい記述です。



以上より、正解は 4,5 です。





問180 
ある液剤を 25 ℃で保存すると
1次速度式に従って分解し
100 時間後に薬物含量が 96.0 %に低下していた。

この薬物の有効性と安全性を考慮すると
薬物含量が 90.0 %までは投与が可能である。
この液剤の有効期間は何日か。
1 つ選べ。

ただし、log 2= 0.301、log 3= 0.477とする。


1 6 
2 8 
3 10 
4 12 
5 14



問題文より
初めの 100 時間で、 4 % 減少しています。
よって、薬物含量が 90% になるには
後 6 % 減少する時間がわかればよい
ということになります。


1次反応式なので、反応速度は
v = - k [A]  と表すことができます。

これは濃度に比例して、反応速度が変わる
ということを意味しています。

もしも薬物が同じペースで減少するとすれば
後 6 % 減少するのに必要な時間は
100 ✕ 3/2 = 150 時間。

初めの 100 時間と合わせると 250 時間
つまり 10 日と 10 時間 です。


実際には、濃度が減っていくのだから
反応速度は少し減って
もう少し時間がかかるはずです。

だんだん減っていく濃度を考えると
わけがわからないので
もしも薬物含量が 
ずっと 90 % だったら
6 % 減少するのに
必要な時間が何かを考えます。

(こう仮定すると
「6 % 減少するのにかかる時間は
実際よりも長い時間となる」 
という所がポイントです。)


濃度が90% 
つまり 100% から10% 減少すれば
反応速度も 10% 減少するはずです。

そして
反応速度が 10 % 減少すれば
反応にかかる時間は
約10 % 増加すると考えられます。

(「約」 とつけたのは
速度が 10 % 減少すると
実際には、時間は 11.1・・・%増加する
からです。)


つまり、4 % 減少するのに
 大体 110 時間かかるはずです。

すると、6 % 減少するには
大体 165 時間かかるはずです。
(110 ✕ 3/2 で、165 です。)

初めの 100 時間と合わせると 265 時間
つまり 11 日と 1 時間です。


以上の概算から
薬物含量が 90 % になるのにかかる時間は
「10 日と 10 時間」よりは長く
「11 日と 1 時間」よりは短いとわかります。

従って、有効期間は 10 日である
考えられます。 


正解は 3 です。