101-181~101-195 解説一覧


問181 
72歳男性。
1年前より、一定の距離を歩行すると
右のふくらはぎ(腓腹筋)に痛みを感じていたが
歩行をしばらく中止すると
改善するので、放置していた。

1ヶ月前から次第に
症状が悪化してきたため
近医を受診した。
このとき測定した血圧は
以下の通りであった。
またMRI で
右総腸骨動脈に閉塞を認めた。

この患者に対する治療薬について
医師から薬剤師に相談があった。
提案すべき適切な薬剤はどれか。
2 つ選べ。

(血圧)
左上腕138/72mmHg 足関節152/78mmHg
右上腕134/70mmHg 足関節94/52mmHg

1 ワルファリンカリウム
2 シロスタゾール
3 ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩
4 リバーロキサバン
5 サルポグレラート塩酸塩


本問において
血圧が両手両足で測定されています。
ここから ABI (ankle brachial index) を算出できます。

ABI とは 
「足首の最高血圧 ÷ 上腕の最高血圧」です。
健康であれば、足首の方が少し高くなります。

ABI が、0.9 よりも小さいと
動脈の閉塞が考えられます。

本問症例では
右側の ABI が低いことが特徴的です。
主訴の右ふくらはぎの痛み や
MRI の結果と符号します。


さて、選択肢の薬はどれも
いわゆる「血液サラサラにする薬」です。
大きく 2 つに分類されます。

すなわち
抗凝固薬 (ワーファリン等) と
抗血小板薬 (サルポグレラート等) です。

抗凝固薬は、心不全などの基礎疾患のもと
血栓ができやすくなっている時につかいます。

一方、抗血小板薬は
動脈硬化が関与する血栓に対して
用いられます。

この使い分けは
血液を、ホースの中を流れる水
血管をホースと例えた時に

そもそも
水が固まりやすくなっているなら
抗凝固薬を用いる。
ホースが細くなってたり、硬くなっているなら
抗血小板薬を用いる。というイメージです。
(両方用いることもあります。)


本問では
選択肢 1,3,4 が、抗凝固薬です。
選択肢 2,5 が、抗血小板薬です。

従って、検査結果をふまえ
抗血小板薬を提案することが適切であると
考えられます。


以上より、正解は 2,5 です。



問182 
65歳男性。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の既往歴あり。

数年前から労作時に
息切れ、動悸を覚えるようになった。
数日前から風邪様症状が出現し
夜間咳嗽、喀痰とともに
起坐呼吸の状態となった。

身体所見:身長172cm、体重69kg
血圧140/85mmHg、脈拍108/分(不整)
頸静脈怒張、収縮期雑音、下肢の浮腫著明。

検査所見:
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)716pg/mL
(基準値18.4pg/mL以下)。

胸部X線写真:
心胸郭比(CTR)71.5%
心電図:心房細動と左室肥大。

この患者に対する治療薬について
医師から薬剤師に相談があった。
提案すべき治療薬として
適切でないものはどれか。2 つ選べ。

1 リシノプリル水和物
2 フロセミド
3 カルペリチド
4 メキシレチン塩酸塩
5 リキシセナチド


起座呼吸や むくみ があって
BNPは、 高値 なので、急性心不全です。


選択肢 1 ですが
リシノプリルは、ACE 阻害薬です。
血圧を下げると共に
抗心不全作用を有します。
提案として、適切であると考えられます。


選択肢 2 ですが
フロセミドは、利尿薬です。

利尿を促進
→体内の循環血液量減少
→心臓が押し出さなければいけない
液体の量が減少
→心臓の負担が減少 という狙いです。

提案として、適切であると考えられます。


選択肢 3 ですが
カルペリチドは、ANP です。
急性心不全に用いられます。
静注で用います。

血管拡張作用、利尿作用等により
心臓への負荷を軽減します。

提案として、適切であると考えられます。



選択肢 4 ですが
メキシレチンは、クラスⅠb の
抗不整脈薬です。

不整脈に用いる薬であり
急性心不全に対する提案としては
不適切であると考えられます。


選択肢 5 ですが
リキシセナチドは、GLP-1 作動薬です。
糖尿病薬です。

急性心不全に対する提案としては
不適切であると考えられます。


以上より、正解は 4,5 です。



ちなみにですが
COPD による呼吸機能の悪化は
心不全の併発を引き起こします。

COPD を有する患者の
心不全リスクが高い理由は

COPD
換気障害がおきている。
→酸素が行き渡りにくく「低酸素血症」。
→元気な肺胞に血液を流したいので
それ以外の肺胞への血流を送る肺血管が
適応として「細くなる」。
→肺血管抵抗が 上昇
→肺への血流を送る時の 
心臓の負荷が 上昇
→右室が、緊張状態 上昇。 

という流れをイメージすると
理解しやすいと思います。

すると
拡張している時ですら圧が高い状態
→心臓のリモデリングが進んで心拡大。

また
「全身から静脈を通じて
戻る血が滞りがち」
→特に下脚の浮腫 として表れる。 

さらに
「右室拡大から、右心不全」 です。

心不全になると
肺血流が特に減少
→呼吸困難 という症状につながります。


以下 雑感

COPD の原因といえば、喫煙だけど
このメカニズムを考えると
「常に緊張状態」
→いつも呼吸が浅い
→いつも低酸素 という流れから
全く同様に、心不全リスク 高い と連想。

ヨガや、鍼灸、温泉療法による
リラックス効果 を考えると
「週 1 で
ヨガや鍼灸+広いお風呂でまったり」 で
40年間(25歳~65歳 を想定。) って
結果的にすごい効果なのでは。。

以上 雑感。




問183 
42歳女性。
身長161cm、体重51kg。
既往歴及び喫煙歴なし。

月経困難症のため
近隣の婦人科を受診し
ドロスピレノン・エチニルエストラジオールの
配合剤が処方された。

薬剤を服用しはじめてから数ヶ月後
かかりつけ薬局の薬剤師
「急に息切れがし、胸が痛くなった」と
電話による相談があった。

薬剤師は、安全性速報で
注意喚起されている
この配合剤の副作用であると推定し
服用を中止してすぐに
救急医療機関を受診するよう指導した。

この副作用はどれか。1 つ選べ。


1 急性心筋塞
2 不整脈
3 狭心症
4 肺塞栓症
5 気胸


ドロスピレノン・エチニルエストラジオール
の商品名は、ヤーズです。

血栓症による副作用に関して
安全性速報が出されました。

よって、正解は 4 です。


血栓症のリスクがある医薬品に関して
「手足のまひ、しびれ」、「しゃべりにくい」
「痛みや呼吸困難」 といった
急激な、いつもと違う症状が見られたら
放置せず、ただちに連絡 をするように
説明を行います。

患者さん自身や、家族が
副作用の初期症状を理解することで
副作用の重篤化を避け
薬による利益を最大限に
享受することができます。

本症例のように
服用を開始して数ヶ月
場合によっては数年後に
副作用が表れることもあることから

服薬指導、薬学的管理を継続的に
行う意義があるといえます。


(PMDA 
重篤副作用疾患マニュアル へのリンク)




問184 
播種性血管内凝固症候群
(DIC)に関する記述のうち
誤っているのはどれか。1 つ選べ。

1 悪性腫瘍や産科的疾患などの
基礎疾患を有する。

2 多発性微小血栓による
循環障害を生じる。

3 凝固系と線溶系が
同時に亢進する。

4 血小板数が増加する。

5 基礎疾患の治療に並行して
ヘパリンや合成プロテアーゼ阻害薬による
治療を行う。


DIC とは
「凝固活性亢進」
→微小血栓が全身にできる
→多臓器不全 がおきる一方で 

微小血栓が全身にできることで
血小板や凝固因子が欠乏
→「全身において出血傾向」 をきたす
という病態のことです。 

何らかの基礎疾患を有した上で
発症します。


DIC で致命的なのは
血栓による臓器不全です。
治療は、ヘパリンなどを用いた
抗凝固療法 です。

プロテアーゼ阻害薬 も用いられます。
プロテアーゼ阻害薬は
抗トロンビン活性を示します。

トロンビンとは、フィブリノーゲンを
フィブリンにする酵素です。

トロンビンを前駆体から切り出す
プロテアーゼを阻害することで
抗トロンビン活性
(つまり抗凝固作用)を示します。


以上より
誤っている選択肢は 4 です。
血小板数は
増加ではなく、減少します。


正解は 4 です。




問185 
42歳女性。
健康診断で高血圧症を
指摘されたため、内科を受診した。

検査の結
血清カリウムの低下
血漿レニン活性の低下
血漿アルドステロン濃度の上昇 を認めた。

さらに検査入院し
カテーテル検査にて両側副腎静脈より採血し
血漿アルドステロン濃度を測定したところ
片側のアルドステロン濃度の
著明な上昇がみられた。

他の生化学的検査値には異常を認めず
特記すべき家族歴もなかった。

この患者の
病側副腎摘出手術を行うまでの期間
高血圧症に対する治療薬につい
医師より薬剤師に相談があった。
提案すべき治療薬はどれか。1 つ選べ。

1 トリクロルメチアジド
2 スピロノラクトン
3 アリスキレンフマル酸塩
4 バルサルタン
5 リシノプリル水和物


選択肢 1 ですが
トリクロルメチアジドは
チアジド系利尿薬です。

利尿薬の中に
「K 保持性利尿薬」というカテゴリーが
あることから推測できるように
利尿薬の多くは、使用により
血中 K が低下します。

そして、チアジド系利尿薬も
使用により、血中 K が低下します。

本症例では
血清カリウムの低下が見られるのだから
更なるカリウム低下を促す
トリクロルメチアジドの使用は
不適切です。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。
スピロノラクトンは、K 保持性利尿薬です。
また、アルドステロン拮抗薬です。

本症例は
原発性アルドステロン症であると
考えられます。

アルドステロンの過剰分泌に対し
拮抗薬を用いることで降圧が期待でき
適切であると考えられます。


選択肢 3~5 ですが
アリスキレンは、直接的レニン阻害薬です。
バルサルタンは、ATⅡ 受容体拮抗薬です。
リシノプリルは、ACE 阻害薬です。

それぞれ
レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系の
出発点や中間の阻害薬です。

アルドステロン(最終産物)が
過剰に分泌されると
フィードバックにより、レニン活性は低下します。

つまり、レニンやアンギオテンシンが
関与する部分の活性は既に低下している
ということです。

従って
レニンの活性阻害や
アンギオテンシン拮抗では
降圧作用はそれほど期待できません。

よって、選択肢 3 ~ 5 は誤りです。


以上より、正解は 2 です。




問186 
36歳男性。
既往歴に特記すべきことなし。
体のだるさとともに、突然
上眼瞼と下肢に浮腫が出現した。

血圧は140/85mmHg で
血液検査・尿検査を行ったところ
結果は以下のとおりであった。

血液検査:
白血球5,800/μL、Hb 14.2g/dL
血小板数25× 104/μL

AST 32IU/L、ALT 38IU/L
血中尿素窒素(BUN)23mg/dL 
血清クレアチニン1.2mg/dL 
クレアチニンクリアランス80mL/min

Na138mEq/L、K4.5mEq/L、
Cl102mEq/L

低密度リポタンパク質コレステロール
(LDL-C)268mg/dL
高密度リポタンパク質コレステロール
(HDL-C)39mg/dL
トリグリセリド190mg/dL
血清総タンパク5.6g/dL

血清アルブミン2.6g/dL
空腹時血糖98mg/dL
HbA1c5.6%

尿検査
尿潜血(-)
尿タンパク(4+)3.8g/day
尿比重1.018

精査の結果
ステロイドのパルス療法が開始された。

この患者の推定される病態として
正しいのはどれか。1 つ選べ。

1 痛風腎
2 糖尿病
3 ネフローゼ症候群
4 急性肝炎
5 多発性硬化症


まぶたは、とても薄い皮膚であり
また、足は重力の影響で
共に、むくみが出やすい場所です。

検査値で
特徴的な点を列挙すると

血圧、BUN、血清クレアチニンが 少し高め。
クレアチニンクリアランスが 少し低め。
コレステロール、中性脂肪が 高め。
アルブミンが低め。
血糖、通常範囲。
尿蛋白+ 

などがあります。

検査値と、症状を
関連づけて評価すると
「タンパク質が体外に排出されて
アルブミン低め。
→浸透圧(=水をキープする力)が下がって
血管外へ水分が漏出して、むくみとして
症状が出ている」 という点が特徴的です。

以上をふまえ、各選択肢を検討します。


選択肢 1 ですが
痛風腎とは、尿酸結晶の腎臓沈着による
慢性的腎炎です。

関節の痛みや血尿などが特徴です。
検査値としては、尿酸値の上昇が特徴です。
この患者からは推定されないと
考えられます。
(尿酸値の値が、普通ならある気もするけど。。。
紛らわしくなるから、問題作成の都合上、省略した・・?)


選択肢 2 ですが
糖尿病は
血中のブドウ糖が多くなっている状態です。

空腹時血糖や HbA1c に異常はなく
この患者からは、推定されません。


選択肢 3 は、正しい選択肢です。
ネフローゼは、高度なタンパク尿により
低タンパク血症を来す疾患です。
結果、むくみなどが生じます。

ちなみに
血中のタンパク質が減ることから
フィードバックにより、タンパク合成が亢進し
リポ蛋白である、コレステロール値の上昇も
みられます。


選択肢 4 ですが
急性肝炎は、急性の肝臓の炎症です。
原因は、主に肝炎ウイルスなどです。

AST,ALT に異常はなく
この患者からは推定されません。


選択肢 5 ですが
多発性硬化症とは
中枢神経において繰り返しおきる炎症です。
結果、神経組織におけるミエリン障害(脱髄)が
引き起こされ、神経伝達がうまくいかなくなり
種々の症状として表れます。
原因はよくわかっていません。

症状としては
ものの見え方がへんになる
ろれつが回らなくなる
歩くとふらつく など、様々な中枢症状が
見られます。

主訴にそのような点は見られず
この患者からは推定されません。


以上より、正解は 3 です。




問187 
58歳男性。
21歳のとき、統合失調症を発症。
その後、精神科への入退院を繰り返し
昨日、本院に入院。
検査の結果、耐糖能異常が診断された。
薬歴として以下の処方が記載されていた。

(処方1)
ハロペリドール錠1mg 1回2錠(1日6錠)
1日3回朝昼夕食後14日分

(処方2)
オランザピン錠5mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回朝食後14日分

(処方3)
フルニトラゼパム錠2mg 1回1錠(1日1錠)
酸化マグネシウム錠250mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回就寝前14日分

(処方4)
フルバスタチン錠20mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回夕食後14日分

この患者の処方に対して薬剤師が
医師に処方変更を提案するとき
削除を提案すべき薬剤はどれか。1 つ選べ。

1 ハロペリドール錠
2 オランザピン錠
3 フルニトラゼパム錠
4 酸化マグネシウム錠
5 フルバスタチン錠


薬に関して
以下簡単に列挙します。

ハロペリドールは、D
2 遮断薬。
オランザピンは、MARTA。色んな受容体に作用。
フルニトラゼパムは、Bz系 不眠症に用いる。
フルバスタチンは、スタチン。コレステロールを下げる。


検査の結果、耐糖能異常
つまり、糖尿病の一歩手前になっています。

血糖値の上昇が知られているのが
オランザピンです。
血糖値上昇による糖尿病性ケトアシドーシス
及び昏睡 について
緊急安全性情報が出たことがあります。

投与を続けると
致死的な転帰もありえるので
オランザピンの削除を提案すべきです。

以上より、正解は 2 です。



以下、雑感。国試では、必要なし。

ちなみに
現実にこの状況で
削除提案だけでいいのか?
→現実的には、代替薬まで
考える必要があると思われます。

少し調べてみると

2015 年 3 月
「Effects of switching from olanzapine to aripiprazole 
on the metabolic profiles of patients 
with schizophrenia and metabolic syndrome
: a double-blind, randomized, open-label study」

という文献があり
アリピプラゾールは、選択肢の 1 つ と
感じました。

本問のような問題は
とても勉強になると共に
国試の範囲は、あくまでもスタート地点であり
患者さんのためにできることを探して
考えるべきことは、いくらでもあるし
そのために学び続ける必要性を感じます。

一方で、自らの知識だけでなく
処方医の使い慣れた薬であるかどうか
なども、使用する薬物選択には
重要な要素です。

日頃から
知識を正確に更新すると共に
関与する方々と
適切にコミュニケーションが
取れていないと
最適な薬物療法に貢献するのは
難しいなぁと感じました。

以上、雑感 終わり。




問188 
臓器移植の拒絶反応に用いる
薬物に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 グスペリムスは
抗CD25モノクローナル抗体であり
急性拒絶反応の治療に用いられる。

2 タクロリムスは
カルシニューリンを阻害して
T細胞におけるインターロイキン-2 の
産生を抑制する。

3 ミコフェノール酸モフェチルは
急性拒絶反応治療の第一選択薬である。

4 抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンは
急性拒絶反応の治療に用いられる。

5 シクロスポリンは
ほ乳類ラパマイシン標的タンパク質
(mTOR)阻害作用に基づく免疫抑制により
腎移植に用いられる。


選択肢 1 ですが
グスペリムス(スパニジン)は
腎移植後の拒絶反応に用いられる薬です。
低分子薬です。

キラー T 細胞や B 細胞の
成熟や 増殖抑制 により
免疫抑制作用を示します。

CD25 に対する
モノクローナル抗体は
バシリキシマブ(シムレクト) などです。

ちなみに、CD 25 は
IL-2 受容体のα鎖 のことです。

語尾が「マブ」じゃない点から
モノクローナル抗体ではないと
推測してもよいと思います。

選択肢 1 は、誤りです。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。
シクロスポリン、タクロリムスは
カルシニューリン阻害薬です。


選択肢 3 ですが
急性拒絶反応は
まずはステロイド剤の大量投与(パルス療法)
を行います。

ステロイド抵抗生の場合に
その他の免疫抑制剤を用います。

ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト)は
代謝拮抗薬です。
各種移植の拒絶反応抑制に用いられますが
急性拒絶反応の第一選択薬では、ありません。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は、正しい選択肢です。
商品名はサイモグロブリンです。
再生不良性貧血や
各種臓器移植の急性拒絶反応に対して
用いられます。


選択肢 5 ですが
シクロスポリンは
カルシニューリン阻害薬です。
mTOR 阻害薬では、ありません。

mTOR 阻害薬としては
エベロリムス(アフィニトール)などが
あります。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2,4 です。




問189 
口腔咽頭カンジダ症に関する記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 HIV 感染者で罹患率が低い。

2 ステロイド吸入患者で罹患率が高い。

3 がん患者で罹患率が低い。

4 舌痛、口腔内出血、口腔粘膜の白苔
潰瘍などの臨床症状を示す。

5 ニューキノロン系抗菌薬による
初期治療が第一選択である。


カンジダ症は
日和見感染症の一種です。

免疫が弱っている時に
常在菌であるカンジダ菌が
増殖することで、発症します。

以上をふまえ
各選択肢を検討します。


選択肢 1 ですが
HIV 感染により、免疫は弱まります。
罹患率は、高くなります。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。
ステロイド吸入により
特に口腔や咽頭において
菌に感染したり、増殖しやすくなります。

吸入ステロイドを使用したら
すぐに正しくうがいをすることが
カンジダ症を避けるために重要です。


選択肢 3 ですが
がん患者は、化学療法や放射線療法の影響や
末期における免疫の低下により
罹患率は高いと考えられます。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は、正しい選択肢です。


選択肢 5 ですが
カンジダ症の治療は
抗真菌薬を用います。
ニューキノロンでは
効果が期待できません。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2,4 です。




問190 
55歳男性。
進行下行結腸がん手術施行後
テガフール・ウラシル配合剤を
内服していた。

その後、脾転移、腹膜播種が認められ
FOLFOX+ベバシズマブ療法
開始された。

12コース施行後、効果が不十分なため
FOLFIRI+パニツムマブ療法へ
変更となった。
このがん化学療法施行前に行う
遺伝子検査はどれか。2 つ選べ。

1 EGFR
2 KRAS
3 UGT1A1
4 B-Raf
5 Bcr-Abl


FOLFIRI 療法とは
FOLFOX で用いられる
OX=オキサリプラチン を
IRI=イリノテカン に変えたレジメンです。

イリノテカンはプロドラッグです。
Ⅰ型DNAトポイソメラーゼ阻害薬です。
カルボキシルエステラーゼによる
代謝を受けて、活性代謝物である
SN - 38 に変換されます。

SN -38 は、グルクロン酸抱合により
代謝されるのですが
UGT1A1 遺伝子 の多型によって
副作用発現割合が
高くなることが知られています。

よって、UGT 1A1 の遺伝子検査を
行います。


また、ベバシズマブ(アバスチン)は
VEGF (血管内皮細胞増殖因子) を
標的とする、モノクローナル抗体です。

そして、今回変更となる
パニツムマブ(ベクティビックス)は
EGFR (上皮細胞増殖因子)を
標的とする、モノクローナル抗体です。

パニツムマブは
KRAS 遺伝子野生型 の
結腸・直腸がんに用いられます。

よって、KRAS 遺伝子検査を
行います。


以上より、正解は 2,3 です。




問191 
製薬企業の医薬情報担当者の
役割として適切なのはどれか。2 つ選べ。

1 医療機関を訪問することにより
自社の医療用医薬品を中心とした
医薬情報を医療関係者に提供し
適切な価格交渉を行う。

2 医薬品の有効性情報や
安全性情報を医療現場から収集し
企業に報告する。

3 常に安全性よりも有効性に
重点をおいて情報を提供する。

4 自社の治験薬に関する
データの収集及び解析を行う。

5 緊急安全性情報を
医療機関に伝達する。


選択肢 1 ですが
最後の1行を除き、正しいです。

医薬情報担当者
(MR: Medical Representatives)の役割は

医療関係者への
医薬品に関する情報提供を通じ
医薬品の適正使用、普及を図ること。

使用された医薬品に関する情報を
現場から収集し、企業へ報告すること。
などです。

適切な価格交渉では、ありません。
(医薬品の価格は、薬価で決められています。)

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は、正しい選択肢です。


選択肢 3 ですが
安全性、有効性 共に
医薬品の適正使用には重要です。
常に有効性に重点をおく、というのは
不適切であると考えられます。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 ですが
治験薬に関する
データ収集や解析を行うのは
臨床開発担当者や
データマネジメント担当者です。

よって、選択肢 4 は誤りです。



選択肢 5 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 2,5 です。




問 192 
ある疾患Xは、日本人の有病率が 0.2%である。
Xに対する疾患マーカーMは
 Xに罹患した患者において 99%の確率で陽性を示すが
1%の確率で陰性を示す。
 また、Xに罹患していない患者では2%の確率で陽性を示し
98%の確率で陰性を 示す。

ある日本人患者が疾患マーカーMで陽性を示したとき
その患者がXに罹患 している確率(陽性予測値)として
最も近い値はどれか。1つ選べ。

1 9% 
2 25% 
3 73% 
4 97% 
5 98%


割合だけが与えられているので
適当な数を設定すると、イメージしやすいと思います。
「0.2 %」 という割合があるので
全体を、例えば 1000 人とします。

すると、病気を有するのは、2 人です。
(1000 × 0.2 × 0.01 = 2)
※ % を割合になおすため、0.01 をかけました。

さて、マーカー M で陽性になるのは
2つパターンがあります。

パターン1
病気のない人(998人)が
2 % の確率で陽性
→ 998 × 0.02 ≒ 1000 × 0.02 = 20 
(998のままだと計算がたいへんなので
大体 1000 としました。)

パターン2
病気の人(2 人)が
99 % の確率で陽性
→ 2 × 0.99 ≒ 2 × 1 = 2
(0.99 は、ほぼ 1 なので、1 としました。)

すると、陽性になる人が合計で 22 人ですが
実際に病気の人は 2 人です。

大体 10 % 弱なので、正解は 1 です。


以下雑感。試験には必要なし。

希少な病気のマーカーを作るのは
難しいんだなぁ、と感じる問題でした。。

1000人に1人ぐらいの病気は
結構あります。
で、その病気に特徴的なマーカーを作って
99%で陽性って
それだけ聞くとすごくいいマーカーと思います。

(以下、架空のプレスリリース

『XVII 型 加齢性全身性筋収縮剛直症 に
特徴的な遺伝子 CALMIOXX を標的とした
遺伝子マーカー 発見のお知らせ

・・・略

本マーカーは、99%の確率で、疾患を有する患者に対して
陽性を示すものであり、早期発見、早期治療に

・・・』

みたいな発表を聞いたら、お~って思う気がする
ぐらいの意味です。)


そして、病気のない人に対して2%で陽性を示すって
正直「ふ~ん、そっか~」ぐらいの感覚でした。

ところが、いざ
「マーカーを使った検査(全員を対象)」を考えてみると
10%程度の陽性予測値 であるというのが本問の答えです。

そうなると、例えば健康診断に加える検査として
費用対効果を考えると
このようなマーカーの意義がどの程度なのか。

このマーカー開発に
例えば50億円と、10人の研究に携わった人の
3年間の人生がつぎこまれたとしたら、これは妥当なのか。

それでも意義があることもあるだろうけれど
意義は言葉を尽くして語り尽くされるべきだろう などと
連想した問題でした。

以上、雑感




問 193 
コホート研究の指標の中で
「絶対リスク減少率」に該当するのはどれか。
2 つ選べ。

1 曝露群と非曝露群の危険度の比 

2 治療することにより
ある転帰がどの程度抑えられたかを
減少率で表した値 

3 対照群における結果因子の発生率と
治療群における結果因子の発生率の差 

4 症例群が曝露した割合と
対照群が曝露した割合の比 

5 治療必要数の逆数


選択肢 1 ですが
これは、相対危険度です。
絶対リスク減少率では、ありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
転帰とは、治癒、軽快などの結果です。

コホート研究とは、ある要因に注目して
暴露群と非暴露群を追跡し
ある疾病の発生率を調べる研究です。
転帰の変化はわかりません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は、正しい選択肢です。


選択肢 4 ですが
コホート研究において
「対照群」とは、要因の非曝露群のことです。
対照群が、曝露した割合というのは
常に 0 と考えられます。

文脈からは、もしかしたら
「発症しなかった群」ぐらいの意味かとも
思いました。

そうだとしても、これで出るのは
「曝露率の比」であり
絶対リスク減少率では、ありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、正しい選択肢です。
治療必要数は、NNT と略されます。
絶対リスク減少の逆数です。


以上より、正解は 3,5 です。



要因・対照研究(コホート研究)、相対危険度(相対リスク)、寄与危険度) 




問194 
仮説検定を
危険率1%で行ったところ
帰無仮説は棄却できなかった。
この検定結果に関する記述として
適切なのはどれか。1 つ選べ。

1 第1種の過誤が
生じている可能性がある。

2 帰無仮説は
肯定されたと解釈される。

3 危険率を5%とすれば
帰無仮説は棄却されやすくなる。

4 危険率を変えなければ
標本数を増やしても
帰無仮説が棄却される見込みは変わらない。

5 第2種の過誤を犯す
可能性の程度は1%である。


選択肢 1 ですが
第 1 種の過誤とは
「帰無仮説 H0 は
本当は正しい。
→棄却されるべきではない
→ミスって、棄却しちゃった。。。」
という誤りです。

本問では
「棄却に失敗」 してます。 

ということは、第 1 種の過誤は
おきていません。 

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
帰無仮説は、棄却されなかったら
肯定される、というものではありません。

例として、やけに6が出る
サイコロを考えます。
偏ってないか?と思った時の
帰無仮説(=否定されてほしい仮説)は
H0 「偏っていない」 です。

で、1% の割合でおきる極端なことが
今のところおきていないから
帰無仮説が棄却できなかった、というのが
今のシチュエーションです。

とはいえ、これだけで「偏っていない」
と結論づけることはできません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は、正しい選択肢です。
危険率を 1 % から 5 % にする
というのは、いいかえれば
「極端なこと」の基準を緩める
ということだからです。

例としては
「6が10回続いてたら
さすがにイカサマだろ!」を

「10回は続かなくても
5回続いてたら、さすがにイカサマだろ!」
とするようなものだからです。


選択肢  4 ですが
もしかしたら、標本数が少なくて
偏りがあったかもしれません。
(ここで言う、標本数は
サイコロの例なら、サイコロをふった回数。)

危険率を変えなくても
標本数を増やせば、帰無仮説が棄却される
見込みが変わることはありえます。

よって、選択肢 4 は誤りであると
考えられます。


選択肢 5 ですが
第 2 種の過誤 とは
「帰無仮説 H0 が
嬉しいことに、本当は違う」
→棄却されるべき
→ミスって、棄却できなかった。。。 
という誤りです。

例えば、サイコロの例で
実際にサイコロが偏っていたとして
6が 50 % , その他の目が 10 % ずつ
出るようなサイコロとします。

この検定の危険率 1 % とする、というのは
「ふつうのサイコロだったら 
100 回に 1 回ぐらいしかおきないこと」が
さくっとおきちゃうなら、イカサマだろ。
と判断する、ということです。

ふつうのサイコロで
100回に1回ぐらいしかおきないこと
というのは、3回サイコロふって、全て6 
とかです。(もう少し確率が低いのですが。。)

例のように偏っていても
3回振って、全て6というのは
50%の3乗で、12.5%しか出ません。
結構な確率で、棄却に失敗しちゃいそうです。

少なくとも
「第 2 種の過誤を犯す確率 1 %」 は
小さすぎと判断できます。

以上より、選択肢 5 は誤りです。



従って、正解は 3 です。




問195 
以下の図は
3群以上の間で仮説検定を行う場合の
データの種類に応じた仮説検定法の選択と
その順序の概要を示したものである。

図の①,②,③の組合せとして
適切なのはどれか。1 つ選べ。

なお、post hoc 多重比較検定には
Tukeyの検
Scheffeの検定
Dunnett の検定などが含まれる。

Tukey の検定は
パラメトリック つまり
正規分布であるデータに
用いるとわかります。

よって、選択肢 1,2 は誤りです。


あとは、選択肢の中で
一元配置分散分析だけ
「分散分析」とあります。
ほかは「◯◯検定」という名前です。

そこで、一元配置分散分析とは
検定の前処理みたいなものであり
検定ではないと推測すると
一元配置「分散分析」が、②です。
以上より、正解は 5 です。

(正直、知らなかったので
過去問の知識から
3~6に絞ることができれば
十分だと思いました。。)