101-286~101-303 解説一覧


問286-287 
40歳男性。
活動期のクローン病と診断された。
主治医より患者の栄養状態把握及び改善のため
院内栄養サポートチームに介入の依頼があった。


問286(実務)
この患者に対する栄養療法に関して
薬剤師が院内栄養サポートチームで
とるべき対応について、適切なのはどれか。
2 つ選べ。

1 消化及び吸収障害が重篤な場合は
半消化態栄養剤を第一選択として提案する。

2 成分栄養剤を用いる場合は
脂溶性ビタミンや不足する微量元素の投与を提案する。

3 重度な下痢症状が認められたり
広範な小腸病変が認められる場合は
TPN(Total Parenteral Nutrition)の
実施を提案する。

4 栄養療法と薬物療法の併用は
推奨されないことを提案する。

5 経腸栄養療法と併用する食事としては
高脂肪食を提案する。


半消化態栄養剤とは
主要な栄養素がそのまま含まれており
体内での消化が必要な栄養剤です。

消化吸収障害が重篤な患者には
適切では、ありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。


選択肢 4 ですが
栄養療法と薬物療法は
併用を避けるべきものではありません。
むしろ、うまく併用することで
それぞれ単独を超える効果を期待することが
できます。

選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
クローン病の患者の食事は
腸管の炎症や病変の悪化を防ぐため
脂肪摂取量を制限します。
高脂肪食を提案することは、誤りです。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2,3 です。



問287(病態・薬物治療)
クローン病に関する記述のうち
正しいのはどれか。つ選べ。

1 緩解と増悪を繰り返す。
2 小腸及び大腸に病変が限局する。
3 薬物治療により根治できる。
4 好発年齢は10歳代後半から20歳代である。
5 ほとんどの症例に粘血便が見られる。


クローン病とは
10~30代好発の
消化管のいたるところに
炎症や潰瘍が生じる病気です。


慢性に寛解と再燃を繰り返し
継続的治療が必要です。
現在のところ
根治療法は確立されていません。


ちなみに
粘血便は、潰瘍性大腸炎に特徴的な症状です。
クローン病でも、見られることはありますが
ほとんどの症状に見られる
ということはありません。


以上より、正解は 1,4 です。



問288-289
60 歳男性。
2年前にうつ病と診断され
薬物治療を行ってきた。
ここ数ヶ月、仕事が多忙になり
気分の落ち込みが激しくなった。
本日受診した結果、主治医は
これまでの抗うつ薬を1錠から2錠に増量した。

(処方)
セルトラリン塩酸塩錠25mg 
1回2錠(1日2錠) 1日1回 夕食後
14日分


問288(病態・薬物治療)
以下のうち、この患者において
注意すべき重大な副作用はどれか。1 つ選べ。

1 腎不全
2 セロトニン症候群
3 間質性肺炎
4 横紋筋融解症
5 無菌性髄膜炎


問289(実務)
薬局薬剤師が
前問の重大な副作用を早期発見するために
患者にあらかじめ説明する事項として
適切でないのはどれか。1 つ選べ。

1 高熱が出るようでしたら、お知らせください。
2 下痢を起こすようでしたら、お知らせください。
3 手足が勝手に動くことがあれば、お知らせください。
4 不安やいらいらが高まるようであれば、お知らせください。
5 手にピリピリする感覚や、やけどしたときのような
痛みがあれば、お知らせください。


問288-289 解説

セルトラリン(ジェイゾロフト)は
選択的セロトニン
再取り込み阻害薬(SSRI) 
の一種です。


作用機序から
セロトニンが過剰になることによる副作用に
注意が必要であるといえます。

よって、問288 の正解は 2 です。


ちなみに
セロトニン症候群とは
不安、発汗、発熱、下痢
ミオクローヌス(筋肉の、無意識の運動)
などの症状が表れることです。

イメージとしては
感覚も筋肉も、過敏に興奮している感じです。

問289の
選択肢 1 ~ 4 は、適切な選択肢です。


選択肢 5 は
手足症候群に関する説明です。

手足症候群とは
抗がん剤による化学療法の影響で
手や足に、感覚異常や
皮膚の変形、変質などが
見られることです。

よって、問 289 の正解は 5 です。




問290-291 
60歳女性。
下部消化管内視鏡検査により
S状結腸がんが指摘された。
さらにCT による精査の結果
肺と肝臓に転移が見られた。

手術適応がなく、外来に
オキサリプラチン、レボホリナートカルシウム
フルオロウラシルを用いた
ん化学療法を行うこととなった。


問290(実務)
本化学療法における
副作用への対応に関する記述のうち
適切なのはどれか。2 つ選べ。

1 痛風腎の予防のために
尿のアルカリ化及び
アロプリノールの投与が必要である。

2 重篤な過敏症状の発現時には
ステロイド及び抗ヒスタミン薬の静注を行う。

3 白血球数低下を伴う
発熱時には感染症を疑い
直ちに十分量の抗生物質を投与する。

4 投与2~3日後に
筋肉痛及び関節痛が発現した場合には
鎮痛薬を投与する。

5 出血性膀胱炎のリスクを
軽減するために必要量の輸液を投与する。


まず、本症例に関してですが
結腸は、大腸の一部です。

そして、本問の化学療法は
大腸がんのレジメンの一つである
m-FOLFOX6 療法です。

大腸がんのレジメンとして
FOLFOX、FOLFORI について
ある程度知っていることが期待されると
思われます。


さて、選択肢 1 ですが
痛風腎とは
痛風の原因である尿酸結晶が
腎臓に沈着することです。

化学療法における副作用の予防として
尿のアルカリ化やアロプリノールの投与を行うのは
「腫瘍崩壊症候群」への対応と考えられます。

腫瘍崩壊症候群とは
がん細胞が短時間に大量に死滅し
内容物であった尿酸などが
大量に排出されることに伴う
症状の総称です。

血液がんに対する初回化学療法などで
特に注意が必要です。

よって、選択肢 1 は誤りです。



選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。


選択肢 4 ですが
2~3日以内の筋肉痛及び関節痛
パクリタキセルなどの代表的副作用です。
その場合は、アセトアミノフェン等で対応します。


選択肢 5 ですが
出血性膀胱炎のリスクが高いのは
シクロホスファミドやイホスファミドを使用する
化学療法です。


選択肢 4,5 は
オキサリプラチン及び
フルオロウラシルを用いる化学療法
における副作用として
適切ではないと考えられます。


以上より、正解は 2,3 です。



問291(病態・薬物治療)
大腸がんに関する記述のうち
正しいのはどれか。つ選べ。

1 発がん過程において
高頻度で見つかる変異は
EGFR、p53、KRAS の3遺伝子である。

2 早期の場合はほとんどが無症状だが
脳転移による頭痛で発見される例が多い。

3 腫瘍の大きさや発生部位によって
腹痛、血便、腸閉塞などの症状を呈する。

4 扁平上皮がんが大半を占める。

5 血清CEA とCA19-9 は
再発の診断に有用な腫瘍マーカーである。


選択肢 1 ですが
EGFR 変異が見つかるのは
肺がんが代表例です。

大腸がんにおいて
発がん過程で高頻度で
見つかる変異とはいえません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


ちなみに、大腸がんでは
KRAS 遺伝子に変異が
あるかどうかを検査し
抗 EGFR 抗体薬の効果を
期待できるかどうかチェックします。

p53 は、がん抑制遺伝子の一つです。
がんなら変異が高い頻度で見つかります。


選択肢 2 ですが
早期がほぼ無症状 は、その通りです。

大腸がん発見のきっかけは
血便、継続する腹痛などの
消化器症状が多いです。

転移による頭痛 がきっかけであるのは
肺がんなどが代表例。
(血行性転移を起こしやすいもの。)


選択肢 3 は、正しい選択肢です。


選択肢 4 ですが
ほとんどの大腸がんは、腺がん です。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、正しい選択肢です。

再発の診断 や
治療効果の測定 に有用であり
早期の発見 などには
有用とはいえない点に注意が必要です。


以上より、正解は 3,5 です。




問292-293 
65歳女性。
高血圧症治療のために
通院している病院で
慢性心不全
(NYHA 分類Ⅰ度)と診断された。

本日の受診時に
むくみなどの自覚症状はない
心臓超音波検査では
左室機能が低下していると指摘された。

血圧:132/80mmHg、脈拍:78回/分整
副作用歴:リシノプリルによる空咳
薬歴:半年前よりテルミサルタン錠40mg 1日1回
医師は薬剤を追加するに際し、薬剤師に相談した。

問292(実務)
この患者に追加する
心不全治療薬として
最も推奨される薬物はどれか。
1 つ選べ。

1 ジゴキシン
2 フロセミド
3 カプトプリル
4 カルベジロール
5 イソプロテレノール


ガイドラインによれば
慢性心不全患者へは
ACE 阻害薬がまず第一に推奨されます。
ACE 阻害薬への忍容性に乏しい場合は
ARB を使用します。

さらに、予後の改善を目的として
β 遮断薬を用いることが推奨されます。

他に、症状に合わせて
抗アルドステロン薬、利尿薬、ジギタリス
経口強心薬、静注強心薬などを用います。

本症例では
ARB 使用中であり、追加としては
β 遮断薬の導入が適切と考えられます。


選択肢の薬剤は、それぞれ
1 : 強心配糖体
2 : ループ利尿薬
3 : ACE 阻害薬
4 : α,β 遮断薬
5 : β刺激薬です。 


よって、推奨されるのは
カルベジロールです。


以上より、正解は 4 です。



問293(病態・薬物治療)
前問で推奨される追加薬物に関して
適切なのはどれか。1 つ選べ。

1 導入直後から
心筋の収縮力が改善する。

2 治療薬物モニタリング
(TDM)の対象薬物である。

3 導入時に高用量の負荷投与を行い
続けて維持量を投与する。

4 導入時に
心不全が悪化することがある。

5 レニンの分泌を促進する。


カルベジロール(アーチスト)は
β 遮断薬です。
心臓の機能を抑制して
無理をさせなくする薬です。

これは
心臓をマラソンランナーに例えると
頑張りすぎたので、ペースが落ちてきた。
→もう体がぼろぼろだから、休ませるために
β遮断薬を投与。というイメージです。

うまくペースをおとし
適切なペースに移行できると
「楽に走り続けることができる」
状態になります。

そうすると、体(心臓のこと)も保護できるし
結果的にそこそこ走ることができる
という状態になっていく という流れです。


とはいえ、心臓の機能が落ちつつあるのが
心不全なので、更に機能を抑制すると
息切れや呼吸困難などの、種々の症状が
むしろ悪化することがあります。

ペースががくっとおちると、余計に疲れる
しかも、全然進まない。みたいな感じです。

そのため、特に導入時には
症状の変化に注意が必要な薬です。

また、用法も特殊で
「少量からの漸増投与」 という用法に
なっています。

以上をふまえて、各選択肢を検討します。


選択肢 1 ですが
心機能を抑制する方向に働くので
心筋の収縮力が改善するわけでは、ありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
TDM 対象薬では、ありません。
(問 292 の選択肢の中では
ジゴキシン が TDM 対象です。 )

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
これは、禁忌肢になっていいかと思います。
非常に危険です。全く不適切です。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。



選択肢 5 ですが
β 遮断により、レニン分泌は抑制されます。

よって、選択肢 5 は誤りです。



以上より、正解は 4 です。




問294-295 
61歳女性。閉経している。

針生検病理診断の結果
ER(エストロゲンレセプター)陽性
PR(プロゲステロンレセプター)陽性
HER2 陰性の浸潤性乳管がんと診断され
乳房温存手術が施行された。

術後の放射線療法に加え
薬物療法が開始された。


問294(実務)
この患者の術後薬物療法に
用いられる薬剤として
適切なのはどれか。2 つ選べ。

1 アナストロゾール
2 ビカルタミド
3 リュープロレリン酢酸塩
4 タモキシフェンクエン酸塩
5 トラスツズマブ

選択肢 1 は、正しい選択肢です。
アナストロゾール(アリミデックス)は
アロマターゼ阻害剤です。
閉経後乳がんに用いられます。

女性ホルモン受容体が陽性の場合に
優先される治療薬です。


選択肢 2 ですが
ビカルタミド(カソデックス)は
抗アンドロゲン(男性ホルモン)薬です。
前立腺がんに用いられます。
乳がんには、用いられません。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
リュープロレリンは
Gn - RH (ゴナドトロピン 放出ホルモン) の
アゴニストです。

結果的には、性ホルモン欠乏に
導く薬です。
女性に投与すると
強制的に閉経状態を作ると
理解しておけばよいです。
前立腺がんなどに用いられます。

乳がんにも用いられますが
適応は 「閉経前」 乳がんです。

よって、選択肢 3 は誤りです。



選択肢 4 は、正しい選択肢です。
閉経前、閉経後を問わず
女性ホルモン受容体陽性の場合に
乳がん治療薬として用いられます。



選択肢 5 ですが
トラスツズマブ(ハーセプチン)は
HER2 タンパク質を標的とする
分子標的薬です。
乳がんや胃がんに用いられます。

本問では、HER2 陰性なので
用いられません。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1,4 です。



問295(病態・薬物治療)
術後2年経過時に
高カルシウム血症や脊髄圧迫症候など
骨転移にともなう合併症状が現れた。
骨転移や、その合併症状に対して
用いられる薬剤はどれか。2 つ選べ。

1 オマリズマブ
2 メナテトレノン
3 ゾレドロン酸水和物
4 デノスマブ
5 ラロキシフェン塩酸塩


乳がんは、前立腺がんや肺がんと並び
骨転移が多いがんです。

骨転移の結果
破骨細胞の活性化などがおきます。 

薬剤としては
ゾレドロン酸や
デノスマブ(プラリア)が用いられます。



選択肢 1 ですが
オマリズマブ(ゾレア)は
難治性喘息治療薬です。
ヒト化 ヒト IgE モノクローナル抗体です。
炎症細胞の活性化を抑制します。
乳がんの骨転移には、用いられません。


選択肢 2 ですが
メナテトレノンは、骨粗鬆薬です。
ビタミン K 製剤です。
骨量、痛みの改善に用います。
乳がんの骨転移には、用いられません。


選択肢 3,4 は、正しい選択肢です。
ゾレドロン酸は
ビスホスホネート剤の 1 つです。
破骨細胞の活動を阻害し
骨吸収を抑制します。注射剤です。

悪性腫瘍に合併する、高 Ca 血症 に
用いられます。


デノスマブは
RANKL という
破骨細胞の形成、機能などを調節する
タンパク質を標的とした
モノクローナル抗体です。

がん細胞の骨転移により
RANKL 産生が亢進します。
この RANKL を抑制することにより
骨吸収を抑制します。


選択肢 5 ですが
ラロキシフェン(エビスタ)は
SERM です。
選択的エストロゲン受容体調節薬です。
閉経後骨粗しょう症に用いられます。
乳がんの骨転移には、用いられません。

よって、選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 3,4 です。




問296-297 
82歳女性。
関節リウマチと診断され
現在は以下の処方が出されている。

(処方1)
メトトレキサートカプセル2mg
1回1カプセル(1日2カプセル)
毎週月曜日1日2回 朝夕食後
4日分(投与実日数)

(処方2)
メトトレキサートカプセル2mg 
1回1カプセル(1日1カプセル)
毎週火曜日1日1回 朝食後
4日分(投与実日数)


問296(実務)
メトトレキサートカプセルの
服薬指導として、適切なのはどれか。
2 つ選べ。

1 めまい、ふらつきなどの
低血糖症状が起こる場合があります。

2 毎日服用する薬ではないので注意してください。

3 発熱、のどの痛み、風邪のような症状が
あらわれた場合は、すぐに
医師の診察を受けてください。

4 尿の色がオレンジ色になることがあります。

5 痛みがおさまったら服薬をやめてください。


メトトレキサート(リウマトレックス)は
間質性肺炎や骨髄抑制など
重大な副作用がおきうるので
「発熱、せき、呼吸困難、口内炎、倦怠感」
などが起きた場合は
直ちに連絡、医師の診察をすすめます。

また、1週間のうち1~2日だけ使う
という特殊な用法なので
使い方をしっかり理解するよう
注意が必要です。


選択肢 1 ですが
低血糖は知られていません。
服薬指導としては不適切であると
考えられます。


選択肢 2,3 は、正しい選択肢です。


選択肢 4 ですが
尿の色がオレンジになるのは
リファンピシンなどが知られています。
メトトレキサートでは、ありません。
服薬指導としては不適切であると
考えられます。


選択肢 5 ですが
痛みのない寛解状態になったら
その状態を続けることで
関節滑膜の炎症を抑え
関節の壊れの進行を防ぐことができます。

よって、寛解状態を服薬により
継続することが重要です。

痛みがなくなったからといって
勝手に休薬しては、いけません。


以上より、正解は 2,3 です。


問297(病態・薬物治療)
この患者において
関節リウマチの症状が悪化したため
生物学的製剤の追加を
慮することとなった。

メトトレキサートとの併用が前提で
投与されるのはどれか。1 つ選べ。

1 テムシロリムス
2 リツキシマブ
3 トシリズマブ
4 アバタセプト
5 インフリキシマブ


メトトレキサートとの併用を前提として
投与する生物学的製剤といえば
インフリキシマブ(レミケード)です。


選択肢 1 ですが
テムシロリムス(トーリセル)は
mTOR 阻害薬 です。
腎細胞癌に用いられます。


選択肢 2 ですが
リツキシマブ(リツキサン)は
CD20 を標的とした分子標的薬です。
モノクローナル抗体です。

CD 20 陽性の
非ホジキンリンパ腫 などに用いられます。


選択肢 3 ですが
トシリズマブ(アクテムラ)は
IL-6 受容体を標的とした分子標的薬です。
モノクローナル抗体です。

関節リウマチ治療薬です。
メトトレキサートの併用は、不要です。


選択肢 4 ですが
アバタセプト(オレンシア)は
CD80/86 を標的とする
分子標的薬です。
CTLA4 という分子と、免疫グロブリン の
融合タンパク質 です。
T 細胞の 機能を抑制します。

関節リウマチ治療薬です。
メトトレキサートの併用は、不要です。


選択肢 5 は、正しい選択肢です。


以上より、正解は 5 です。




問298-299 
67歳男性。
16年前にHIV 感染が判明し
ジドブジン(ZDV)とラミブジン(3TC)による
治療を開始したが
7年前から服薬を自己中断していた。

6年前の結核罹患を契機に
ロピナビル・リトナビル
(LPV・RTV)配合剤を追加して
治療を再開したが
その2年後から再び
服薬を自己中断していた。

全身倦怠感が徐々に進行し
血液検査(CD4陽性リンパ球
HIV-RNA 定量)の結果
3TC・アバカビル硫酸塩配合剤と
LPV・RTV による治療を開始することになった。


問298(実務)
本症例と治療薬について
適切なのはどれか。つ選べ。

1 3TC は単独投与しても
薬剤耐性を起こさない。

2 結核罹患の一因として
服薬の自己中断が考えられる。

3 全身倦怠感の悪化は
典型的な ZDV の副作用である。

4 無症候性となった場合
血液検査の必要はない。

5 肝機能が低下した場合
配合剤ではなく個々の薬剤の投与を考慮する。


HIV は、変異が多く
薬剤耐性を持ちやすいウイルスです。

多剤併用により
ウイルスの増殖を抑制することで
予後が大きく改善しました。


選択肢 1 ですが
単独投与で、薬剤耐性が生じない
ということはありません。

よって、選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
服薬の自己中断により
ウイルスが増殖し、免疫が弱まり
結核に感染した、という可能性が
一因として考えられます。


選択肢 3 ですが
HIV 感染後、AIDs 発症前には
発熱や倦怠感がつづいたりといった
エイズ関連症候群 と呼ばれる症状が
見られます。

全身倦怠感の悪化も
エイズ関連症候群の
一つである可能性が考えられます。

一方で、ZDV には
重篤な肝障害の副作用がまれにあり
全身倦怠感が、副作用の初期症状とも
考えられます。

これらの可能性を考えると
「典型的 ZDV の副作用」とは
いえないと考えられます。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
無症候性となっても、血液検査の値に注目し
治療方針を決定していく必要があります。
無症候性でも、薬に抵抗性が生じ
ウイルスの増殖が進行していることも
あるからです。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、正しい選択肢です。


以上より、正解は 2,5 です。



問299(病態・薬物治療)
HIV 感染症について
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 母乳を介した感染はしない。

2 無症候期は、感染後、数週間である。

3 一過性のインフルエンザ様症状が
感染初期(感染後数週間)に起こる。

4 進行した場合
CD4 陽性リンパ球数が減少する。

5 日和見感染が、感染初期に起こる。


選択肢 1 ですが
母乳感染が知られています。
そのため、キャリアである母は
断乳します。


選択肢 2 ですが
数年間に至るときもあります。


選択肢 3 は、正しい選択肢です。
とはいえ、この症状では、HIV 感染と
自覚しないことが多いです。


選択肢 4 は、正しい選択肢です。


選択肢 5 ですが
感染してからかなりの時間が経ってようやく
免疫力が弱ってきます。
その結果、日和見感染がおきます。
よって、感染初期では、ありません。

選択肢 5 は、誤りです。


以上より、正解は 3,4 です。




問300-301 
71歳男性。
50年前から喫煙習慣がある
(喫煙指数:1200)。
階段歩行時に息切れを訴え近医を受診し
慢性閉塞性肺疾患(COPD)と診断され
以下の処方が出された。

(処方1)
チオトロピウム臭化物
水和物吸入用カプセル18μg
1回1カプセル
1日1回吸入
全56カプセル

(処方2)
テオフィリン徐放錠 200mg
(12~24時間持続) 
1回1錠(1日2錠) 
1日2回朝食後・就寝前
56日分

(処方3)
フドステイン錠200mg 
1回2錠(1日6錠)
1日3回朝昼夕食後
56日分


問300(実務)
処方1の薬剤を使用するにあたり
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 前立腺肥大症があるかを確認する。

2 口腔内カンジダ症予防のため
チオトロピウムの吸入後は
よくうがいをするよう患者に伝える。

3 フドステインの併用により
チオトロピウムの作用が増強するおそれが
あることを患者に伝える。

4 喫煙者は
チオトロピウムの作用が増強する
おそれがあることを患者に伝える。

5 副作用として
口渇が現れることがあることを
患者に伝える。


まず、喫煙指数とは
1日 a 本 × 喫煙年数 のことです。
大体タバコ1箱は 20 本です。
この患者は
1日 24 本、50 年間吸ってきたということです。

次に処方ですが
チオトロピウムは 「トロピ」があるので
抗コリン薬です。
気管支を広げてくれます。

主な副作用は、口渇です。
禁忌が閉塞性緑内障
前立腺肥大症で排尿障害がある場合 
です。


以上より、正解は 1,5 です。


ちなみに
選択肢 2 ですが、うがいは推奨されます。
口渇などの副作用軽減が期待されます。

カンジダ予防は、ステロイド吸入に関してです。
チオトロピウム吸入に関してでは、ありません。


選択肢 3 ですが
フドステインは、去痰薬です。
カルボシステインなどと
同様のカテゴリーの薬です。

チオトロピウムとの相互作用は
特にありません。


選択肢 4 ですが
喫煙によって
チオトロピウム作用増強はありません。

喫煙といえば、CYP 1A2 の誘導 です。
この知識との混同を狙った選択肢かと
思います。


問301(病態・薬物治療)
上記の患者に関連した記述のうち
正しいのはどれか。2 つ選べ。

1 フドステインは
去痰の目的に用いられている。

2 気管支ぜん息と異なり
禁煙は治療に影響を与えない。

3 病状が増悪するので
インフルエンザワクチン接種は
禁忌である。

4 テオフィリンにより
尿閉の副作用が出やすいので
注意が必要である。

5 改善が見られなければ
サルメテロールキシナホ酸塩の
追加を考慮する。


選択肢 1 は、正しい選択肢です。


選択肢 2 ですが
禁煙により、肺機能の低下を
抑えることができます。
禁煙が、治療に大きく影響します。

よって、選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
COPD 患者は、呼吸器感染症が
重症化しやすいことが知られています。

そのため
インフルエンザワクチンの接種は推奨されます。

よって、選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
尿閉の副作用があるのは
チオトロピウムです。
テオフィリンでは、ありません。

よって、選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は、正しい選択肢です。



以上より、正解は 1,5 です。




問302-303 
23歳女性。体重60kg。
てんかん発作に対して
フェニトイン1日150mgで治療を開始した。

2週間後の受診で、治療開始後も
てんかん発作が起こったとの訴えがあった。
アドヒアランスは良好であった。

血中濃度測定を行ったところ
5.0 μg/mL であり
医師より薬剤師に
増量の目安について相談があった。

肝機能、腎機能に異常はなく
フェニトインの血中濃度に影響を及ぼす
併用薬はなかった。

問302(実務)
本症例でフェニトインの
投与設計を行うにあたり
体内からの消失速度は
ミカエリス・メンテンの式に従い
Km= 5.0μg/mL であると仮定した。

このとき、血中濃度が定常状態において
中毒域(20μg/mL 以上)にならない範囲での
1日最大投与量(mg)の推定値に
最も近いのはどれか。1 つ選べ。

1 200 
2 225 
3 325 
4 450 
5 650

非線形動態を示す薬物
(フェニトイン等)の投与量と
血中濃度の関係は
ミカエリス・メンテン式で近似されます。

ミカエリス・メンテン式
「v = Vmax・[S]/(Km+[S])」
を覚えていたとします。

薬物動態では
 v   : 反応速度→消失速度
[S]:基質濃度→血中濃度とします。
で、定常状態では
「投与速度=消失速度」と考えられます。

150mg 投与して、血中濃度 5.0 だったので
Km=5 として
150 = Vmax・5/(5+5) となるから
Vmax = 300 とわかります。

次に、中毒域にならない
最大投与量(以下、「?」とする。)を考えます。
? = 300・20/(5.0 + 20) より
? を計算すると
240 です。

一番近いのは、選択肢 2 です。


以上より、正解は 2 です。


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問303(病態・薬物治療)
前問で計算した投与量で
治療を続けていたが
中毒症状が発現したため
血中濃度を測定したところ
30μg/mL であった。

原因として考えられる患者の
遺伝的特徴はどれか。1 つ選べ。

1 CYP2D6 の変異型遺伝子をもつ。
2 CYP2C9 の変異型遺伝子をもつ。
3 CYP2C19 の野生型遺伝子をもつ。
4 CYP3A5 の野生型遺伝子をもつ。
5 UGT1A1 の変異型遺伝子をもつ。


血中濃度が高くなっており
代謝酵素の変異が疑われます。

フェニトインの代謝酵素は
主に CYP 2C9 です。

以上より、正解は 2 です。