問101-304-307 解説


問304-307 
64歳男性。BMI 28.5。
糖尿病で近医に通院中であった。

全身倦怠感を訴
浮腫も認められたため
精査目的で入院となった。

入院時の持参薬と検査データ
以下の通りである。

(持参薬)
グリメピリド錠 1mg 
1回2錠(1日1回) 朝食後

ロサルタンK錠 50mg 
1回1錠(1日1回) 朝食後

メトホルミン塩酸塩錠 250mg 
1回2錠(1日3回) 朝昼夕食後
プラバスタチンNa錠 10mg 
1回1錠(1日1回) 夕食後


(検査データ)
BUN 49.8mg/dL、血清クレアチニン4.38mg/dL
血圧152/93mmHg、Hb8.5g/dL
Alb 2.7g/dL

Na 140mEq/L、K 4.9mEq/L

空腹時血糖224mg/dL、HbA1c7.1%

低密度リポタンパク質
コレステロール(LDL-C)99mg/dL
高密度リポタンパク質
コレステロール(HDL-C)48mg/dL
トリグリセリド(TG)120mg/dL

尿タンパク(3+)


問304(法規・制度・倫理)
病棟の担当薬剤師は
入院直後にこの患者と面談し
持参薬と服薬状況を確認した。

薬の飲み残しが多かったため
薬剤師が治療についての考えを聴いたところ
次のような発言があった。

「ちゃんとやらなければ
ならないことは分かっていますし
自分なりにやろうと努めていますが
なかなか実践できません。」

この発言から、男性は
行動変容ステージモデルの
どの段階にあると考えられるか。
適切なのを1 つ選べ。

1 無関心期
2 関心期
3 準備期
4 実行期
5 維持期


問304 解説
行動変容ステージモデルとは
人が行動を変える場合に
5つのステージを通る というモデルです。
選択肢 の 5 つです。
順番もその通りです。

選択肢 1~3 までが
行動を変えていない時期です。
必要性を感じているか否かで
1 かどうかを分類します。

いつ頃行動を変えようとしているかで
2 と 3 を分類します。

選択肢 4 以降は
行動を変えてからの時期です。
継続している期間により分類します。


本症例では
「自分なりにやろうと務めている」という表現から
まだ行動を変えてはいません。

しかし、今にでも変えようとしている
ということが読み取れます。


以上より、正解は 3 です。


どのステージかに対応して
働きかけのポイントが変わります。

この時期の働きかけとしては
「関心を持っていること」に
肯定的声掛けをしつつ
「主体的に行動を変化できた自分を
イメージ」できるような働きかけが
効果的とされています。

一例としてですが
「やろうと思っても
なかなか一歩目を踏み出せない
はがゆい気持ちを
お持ちなのですね。(今を肯定 という意図。)

少しずつ服薬を
継続できるようになって
だるさやむくみを
もっとコントロールできるように
なるといいですよね。
(そりゃそうだ、という未来のイメージを提案。)」

ぐらいではないかと思います。


以下は、個人的補足ですが

少しずつ服薬を・・・
のくだりの発言に対しては
「そう簡単にいけばいいけどさ」
みたいな漠然とした
反発、違和感も生まれるはず。

イメージさせただけでは
多分行動変容には、つながりづらい。
と、感じます。

そこでさらに
「どのような点を意識すると
うまくいった、ということがあれば
ぜひお教えくださいね。
(教えていただきたい という提案により
「それなら、教えることができるように
何か工夫してみよう」みたいな
意欲の動機になればという狙い。)」

といったお声がけが
できればどうかと思います。

以上、個人的補足。


問305(実務)
検査データに基づいて
薬剤師は薬物治療のアセスメントを行った。
以下の検査データのうち
正常値の範囲に入っていないのはどれか。
2 つ選べ。

1 HbA1c
2 血圧
3 LDL-C
4 血清カリウム
5 TG


問305 解説
血圧が 収縮期 140、拡張期 90  
を超えており、高値です。

また
HbA1c が 6.5 % 以上なので
高値です。

以上より、正解は 1,2 です。


ちなみに、検査値の目安として
脂肪関連(L-cho,H-cho,TG)は
目安として 「150,50,150 上限付近」 
と覚えておくと、ざっと判断しやすいかも
しれません。

K 値は
3 って低くない?6 って高くない? という
感覚があると、判断しやすいかも
しれません。


問306(実務)
この患者の検査データ及び病態を考慮し
薬剤師が医師に変更あるいは追加を
案する治療法として
適切なのはどれか。1 つ選べ。

1 グリメピリド及びメトホルミンの増量
2 カリウム製剤の追加
3 フロセミドの追加
4 コレスチラミンの追加
5 ベザフィブラートの追加


問306 解説
主訴として
だるくて、むくんでいる。

糖尿病で通院中 に加え
血圧が高く、血糖値のコントロール不良
尿タンパクが出ている。

以上から
腎臓への負担増による
腎機能の低下 と推測されます。

K の値が低値でもないので
浮腫の改善、血圧コントロールの改善を意図し
ループ利尿剤の追加などが
適切であると考えられます。

選択肢から選ぶと
正解は 3 です。


ちなみに、本症例のような
糖尿病患者の血圧コントロールは
通常より厳格な 130/80 mmHg 未満 が
推奨されている点に留意が必要です。
(高血圧治療ガイドライン より)


問307(病態・薬物治療)
この患者は、ある臓器の障害により
浮腫を生じていたが
その後、同じ臓器の障害による貧血を生じた。
この貧血の機序として
正しいのはどれか。1 つ選べ。

1 トランスフェリンの産生が抑制されるため。
2 血尿が生じるため。
3 エリスロポエチンの分泌が減少するため。
4 内因子の分泌不全が起こるため。
5 ヘモグロビンの消費が増加するため。


問307 解説
これまでの解説から
ある臓器とは、腎臓であると考えられます。
よって、この貧血は、腎性貧血です。
原因は、エリスロポエチンの分泌減少です。

以上より、正解は 3 です。