問91 下図は、ある純物質のエントロピーの温度依存性を示したグラフである。 純物質の状態に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。 1 物質の温度 T が 0 < T < T1 の領域では、気体の状態にある。 2 物質の温度 T が T1 < T < T2 の領域では、固体の状態にある。 3 温度ゼロにおけるエントロピー(S0)は、物質によっては負になる場合がある。 4 ΔS2・T2の大部分は、気化エンタルピーの変化量に由来する。 5 物質によらず、ΔS1・T1<ΔS2・T2 の関係が成り立つ。 問92 分子の分極の度合いは、(電気)双極子モーメント μ として 下式のように定量的に表すことができる。 μ=Q・r Q は電荷、r は電荷間の距離を表す。 0.1nm 離れた電子 1 個分の電荷 +e,-e の 双極子モーメントは 電荷が 1.6 × 10-19 (C)であることから 1.6 × 10-29 (C・m)となる。 ヨウ化水素 HI の双極子モーメントを求めたところ 1.4 × 10-30 (C・m)であった。 H-I 結合距離を 0.16 nm としたとき HI のイオン性は何%程度と見積もることができるか。 最も近い値(%)を1つ選べ。 ただし、H-I 間で 電子 1 個分の電荷(+e,-e)が それぞれの原子上に分離しているとき HI は 100% イオン性を示すものとする。 1 1 2 5 3 10 4 20 5 40 問93 ある物質 A と、A が重合してできた合成高分子 PA がある。 以下の記述の1、2の組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。 A 10g 及び PA 10g を、それぞれ 1L の水に完全に溶解させた。 A 水溶液は PA 水溶液より浸透圧が (1)。 次に、水のみを通す半透膜で隔てられた容器の左側に A 水溶液をいれ 右側には液面が同じ高さになるように PA 水溶液をいれた。 十分な時間が経過した後、観察したところ (2)。 1 低い A水溶液の液面が高くなった 2 低い PA水溶液の液面が高くなった 3 低い 左右の液面は同じ高さのままであった 4 高い A水溶液の液面が高くなった 5 高い PA水溶液の液面が高くなった 6 高い 左右の液面は同じ高さのままであった 問94 水溶液中の イオン間相互作用に関する記述のうち 正しいのはどれか。2つ選べ。 1 強電解質のモル伝導率は 濃度に比例して増加する。 2 難溶解性塩である AgCl の溶解度は、 NaNO3 の添加による イオン強度の増大とともに増大する。 3 高濃度の強電解質溶液における イオンの平均活量係数は 1より大きくなることがある。 4 水中における電解質のイオン間相互作用は アルコールなどを添加して 溶媒の誘電率が低下すると減少する。 5 アルカリ金属における極限モル伝導率は K+<Na+<Li+ の順に大きくなっている。 問95 光の性質に関する記述のうち 正しいのはどれか。2つ選べ。 1 光の屈折率は、光が進む媒体の 誘電率と光の波長に依存し 長波長の光は短波長の光よりも 屈折率が大きい。 2 物質の粒子径が入射光の波長に比べて 非常に小さい場合 入射光と同じ振動数の光を散乱する現象を レイリー散乱とよぶ。 3 入射光により物質が励起される場合 散乱光の振動数が入射光の振動数と 異なる現象をラマン散乱とよぶ。 4 ラマン散乱が起こった場合 散乱光の振動数は必ず小さくなる。 問96 L-リシンは 2つのアミノ基と1つのカルボキシル基をもち 水溶液の pH により 4 つの化学種が存在する。 図に示した L-リシンの化学種が 最も多く存在する pH に最も近い値はどれか。 1つ選べ。 ただし、L-リシンの 3 つの pKa はそれぞれ pKa1 = 2.2、pKa2 = 9.0、pKa3 = 10.5 とする。 1 2.2 2 5.6 3 9.0 4 9.7 5 10.5 問97 日本薬局方一般試験法の定性反応とその対象物の組合せとして 正しいのはどれか。2つ選べ。 1 過マンガン酸塩 本品の硫酸酸性溶液に過量の過酸化水素試液を加えるとき 泡立って脱色する。 2 塩化物 本品の溶液に硝酸銀試液を加えるとき、黄色の沈殿を生じる。 沈殿を分取し、この一部に希硝酸を、また、他の一部に 過量のアンモニア試液を追加してもいずれも沈殿は溶けない。 3 チオ硫酸塩 本品に硫酸及びメタノールを混ぜて点火するとき 緑色の炎をあげて燃える。 4 炭酸塩 本品の冷溶液にフェノールフタレイン試液1滴を加えるとき 液は赤色を呈しないか、又は赤色を呈しても極めてうすい。 5 リン酸塩 本品の希硝酸酸性溶液に七モリブデン酸六アンモニウム試液を 加えて加温するとき、黄色の沈殿を生じ、水酸化ナトリウム試液又は アンモニア試液を追加するとき、沈殿は溶ける。 問98 次の記述は日本薬局方イオタラム酸の定量法に関するものである。 「本品を乾燥し、その約 0.4 g を精密に量り、けん化フラスコに入れ 水酸化ナトリウム試液 40 mL に溶かし、亜鉛粉末 1f を加え、還流冷却器を付けて 30 分間煮沸し、冷後、ろ過する。 フラスコ及びろ紙を水 50 mL で洗い、洗液は先のろ液に合わせる。 この液に酢酸(100)5mL を加え、0.1mol/L 硝酸銀液で滴定する。 (指示薬:テトラブロモフェノールフタレインエチルエステル試液 1mL) ただし、滴定の終点は沈殿の黄色が緑色に変わるときとする。」 本品 0.4500 g をとり、上記の定量法に従って 0.1 mol/L 硝酸銀液(f=1.000) で滴定したところ 18.00 mL を消費した。このときイオタラム酸の含量 % に 最も近い数値を 1つ選べ。 1 75.0 2 81.9 3 88.8 4 95.5 5 99.5 問99 蛍光光度法に関する記述のうち 正しいのはどれか。2つ選べ。 1 蛍光分光光度計の光源には 通例、タングステンランプが用いられ 試料部は四面透明の石英製セルが用いられる。 2 励起スペクトルは、蛍光波長を固定し 励起光の波長を変化させて 試料溶液の蛍光強度を測定 することにより得られる。 3 蛍光強度は溶液の濃度が十分に小さいとき モル吸光係数に反比例する。 4 蛍光強度は相対値であり 測定に用いる装置の励起光強度により 強度が異なる。 5 蛍光を消光させる作用のある物質を 一般にスカベンジャーとよぶ。 問100 陽イオン交換クロマトグラフィーによる アミノ酸の分析に関する記述のうち 正しいのはどれか。2つ選べ。 1 陽イオン交換基としては スルホ基や、カルボキシ基などが用いられる。 2 アルギニン、グルタミン酸、グリシンの 分離を行ったとき アルギニンが最初に溶出される。 3 移動相のイオン強度を低下させることで 保持された物質を溶出させることができる。 4 移動相の pH を上昇させることで 保持された物質を溶出させることができる。 5 溶出されたアミノ酸は ニンヒドリン試薬を用いた ポストカラム誘導体化法により 蛍光検出される。 |